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手をつないで
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しおりを挟む「……あ、」
「………」
病院から出てすぐに、今一番顔を見たくない奴と遭遇した。
「あの、」
そのまま無視しようとすると、奴は追い掛けてくる。
「この間は俺が誘ったんです。先輩、元気なかったからそれで、」
……それでなんだっつーんだよ
俺はどうしようもなく苛ついていた。
今すぐこいつを殴りたくて仕方がなかった。
「事情も知らねぇくせに、口だしてくるんじゃねぇよ」
「……っ、そうだよ知らねぇよ!けど俺はっ、」
一見チャラそうな外見のそいつは、まっすぐに俺を見据えて言った。
「俺は先輩にあんな顔させたりしねえし!てかなんなんだよあんた、彼氏ならなんでもっと大切にしてやらねぇんだよ!」
……んな簡単なことじゃねぇんだよ、
「……あんたがその気なら、先輩は俺が貰うよ?」
「………」
やれるもんならやってみろ、とはもう言わなかった。
かわりに拳が風を切った。
大切にしたいに決まってる。
ずっと一緒にいたいと思ってるから、決めたんだ。
前は進路の事なんて、もっと適当に考えていた。
だけどあいつとつきあうようになってから、それがお互いにとってすごく重要な事だと気づいた。
同性だという事で、ただでさえ弊害は多い。
社会に出れば若さや勢いだけではどうにもならない事だってあるだろうし、下手すれば共倒れだ。
そうならない為にも、まずは自分が力をつけて足場を固める必要があると思った。
これから先、何があっても対応できるように。
どんな事あっても俺があいつを守れるように。
そしていつの日か――あいつの親に、自分達の関係を認めて貰えるように。
だけどそんな気持ちも、他の男といる淳を見ただけで揺らいでしまった。
病室で眠るあいつの白い顔を見た時は、もう駄目かもしれないと思った。
今まで考えてきた事も決めた事も全部、根本から間違えていたような気がした。
「……ってぇな、」
殴り返された時に口のなかを切ったらしく、鉄くさい味がする。
俺は小さく舌打ちして、真冬の夜空を見上げた。
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