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anniversary編
4.巽side
しおりを挟む「いつまで拗ねてんだよ」
ぶに、と柔らかい頬をつねる。
「………」
……無視かよ
はぁ、と溜め息を吐いて煙草に火をつけた。
夕方部屋に来てから、もうずっとこんな調子だ。
「いい加減にしろよ」
「………」
また、シカト。
「可愛くねー…」
「……っ、どうせ俺は可愛くないしっ」
ぷいっと顔を背ける淳。
こいつのそういう仕草は、嫌いじゃないけど。
「大体そんなん言うなら、可愛い子とつきあえばいいじゃんっ」
……あ、なんかまじムカついた
「……あっそ。じゃあそうしようかな」
吸いはじめたばかりの煙草を灰皿に押しつけると立ち上がる。
「おまえがそうしろって言ったんだからな、」
「………」
淳は無言のまま、動かない。
「……淳、」
「………」
小さく溜め息を吐くと、ぷるぷる震えている肩を抱きしめた。
「……っ、巽なんかっ…どっか、行っちゃえ…」
「………」
……小学生か、おまえは
てゆうか俺の部屋だし。
「……おまえが馬鹿なこと、言うからだろ」
頭を撫でながら言う。
「……だっ…て、」
「なんだよ」
「……巽はやっぱ、女の子の方が、いいんじゃんって」
子どもみたいに泣きじゃくりながら、淳はそんな事を言った。
「……おまえ俺のこと、信用してないわけ?」
「……してる、けどっ。でも、巽だってそうじゃん」
「………。俺は信用してねぇわけじゃねーよ、心配してんだろうが」
「……しんぱい?」
目を見開いた淳を、後ろから抱っこしてこたつに入る。
……淳の一途さは、誰よりも知ってるけど
「おまえバカだし、非力だし」
無駄に男にモテるし、自覚がないのかかなり無防備だし。
「たぶん俺が女でも犯せるな」
「な゛っ…」
「おまえがそんな目にあったら、耐えらんねぇよ」
「……巽、」
柔らかい髪に顔を埋める。
ずっとこんなふうに、腕んなかに置いとければいいのにな。
「大体おまえ、計画性がなさすぎなんだよ」
こたつの上に置いたのは、淳が書いたメモ。
「どう考えても三日はかかるだろ、コレ」
「……だって、記念日だし…」
「記念日?」
「………」
……あぁ、そういう…
「……巽はそういうの、どうでもいいかもしんないけど…」
まあ正直いって、あんまり興味はないけど。
「明日でもいいか?」
「……え?」
「とりあえず一ヶ所。あとは次の記念日な」
「えー…」
不服そうに口を尖らせる淳を見て笑う。
「欲張りすぎ」
「……だって、いっぱい思い出作りたいし」
「こんな、いっぺんじゃなくてもいいだろ」
思い出なんて、これからゆっくり作っていけばいいだろ。
「全部、連れてってやるから」
「……ほんと?」
「うん」
ようやく振り向いた淳は嬉しそうな顔をしていた。
……単純、
また頬をつねると、いひゃいと喚く。
「……間抜けなツラ」
「うるへえ」
手を離して少し赤くなった頬にキスをすると、淳は笑った。
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