手をつないで(BL)

anniversary編

1.淳side

   
「どうしたのあっちゃん、なんか元気ないね」

昼休み、一緒にお弁当を食べていたこうちゃんが言った。

「そういえば今日、イブだね」
「うん…」
「巽さんと、どこかに出掛けたりしないの？」
「………。実は、サプライズ考えてたんだけど…」
「サプライズ？」
「一周年だから」
「え、そうなの？」



巽とは去年のクリスマスからつきあい始めて、なんだかんだで一年が経った。
いろんなことがあったけど、また一緒にこの日が迎えられてよかったって思った。

……それなのに、

「……ケンカしちゃった」
「えぇっ、なんで？」
「～～だってあいつ、俺が隣りにいるのに普通に女の子と電話したりするし！」

思い出すだけで苛々して、おにぎりに箸をぶっ刺した。

「しかも俺には冷たいのに女の子には優しいし！」
「ち、ちょっとあっちゃん、落ち着いて…」

弁当箱の中のおにぎりは、既に残骸となりつつある。

「マジありえねぇ…あいつ俺には男と仲良くすんなとかワケわかんねーこと言うくせに…」
「いやそれは、単なるヤキモチ…」
「しかも俺が練りに練ったサプライズプランを、絶対無理って…！」
「てゆうか、相手に教えたらそれもうサプライズにならないんじゃ…」

こうちゃんは苦笑いを浮かべて、うさぎのりんごをくれながら言った。

「はやく仲直りしちゃいなよ」
「やだ！俺悪くないし！」
「でも、せっかくの記念日なんだしさ」
「………。そうだけど…」

なんかバカみたいじゃん、俺ばっか盛り上がってるみたいでさ。
あいつはクリスマスも記念日も、どうでもよさそうだし…。
でも、女々しいかもしんないけど…やっぱそういうのって特別じゃん？

……去年はまだつきあってなかったけど、一緒にツリー見れたし…楽しかったのにな…

小さく溜め息を吐く。

こうちゃんがくれたりんごはしゃりしゃりしてて、甘酸っぱかった。