手をつないで(BL)

kotori

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体育祭編

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その日の晩、巽と縁側で夕涼みをした。

「おまえほんと、体力ねえな」

甚平姿の巽が、床にへばりついた俺を団扇(うちわ)であおいでくれながら言う。

「……悪かったな」

……自分だって、冬は冬眠状態のくせに…

「………」

こてん、と巽の膝に頭をのせた。

「……何してんだよ」
「膝、貸して」
「暑苦しい」
「そう言わず」

柔らかな風と巽の体温が心地よくて、目を閉じる。
ちりんと鳴る、風鈴の音。

「……おまえ、飯はちゃんと食えよ?」
「うん」
「あんまり心配、させんな」
「……うん」



「あらあら、仲良しねえ」

奥から出てきた母さんが笑いながら言う。

「二人とも、かき氷食べる?」
「食べる!!」
「やめとけ。また腹こわすぞ」
「やだ!食べる!」

……あれ?

「……ったく、ガキかよ」

この会話、どっかで…。

「……でじゃぶぅー?」
「……は?」

……ま、いっか

「……おい、そろそろどけ」
「やだー。母さーん、練乳はいっぱいかけてねー!」
「てめえにかけんぞコラ」
「巽、なんかヤラシイ!!」
「……何が?」
「あっちゃーん、ちょっと取りに来てー」

奥から母さんの声がしたので立ちあがろうとすると、腕をひっぱられた。

「いいから、座っとけ」
「……うん」

夏はやっぱり苦手だけど、いいこともある。
巽がいつもよりちょっとだけ優しくて、俺を甘やかしてくれるし。
ありがと、と言うと巽はにやりと笑った。

「まあ、練乳プレイについては考えといてやるよ」
「……んえええ?!」



end.
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