sweetly

kotori

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前編

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そして待ちに待った放課後。
俺は上機嫌で、教科書なんて一冊も入ってないカバンを掴むと教室を出た。

今日の合コンの主催は健太だ。
俺の呪いが効いたのか奴はミキちゃんと別れたらしく、半ばヤケになったのか俺の誘いにのってくれたというわけだ。
しかもお相手はあのS女!!やっぱ持つべきは顔の広い親友!!
健太は何気に一途だからミキちゃんのことでまだヘコんでんだろうし、ちょっと罪悪感もあるし(呪いに関して)、こうなったら今日は俺ががっつり盛り上げてやろうじゃないの!!

「ああ、吉河」

廊下で担任に呼び止められる。

「あ、せんせーさよーならー」
「……お前、もうすぐテストだってわかってるよな?勉強しろよ?」

はーいって笑顔で返事をしたのに。

「……その顔やめろ、変だから」

……ひどくねえか?ソレ…

まあテストなんか、この際どうでもいいんだけどね。
それにしても中村も広田もかっこいいし、共学だったらそっこー彼女できそうなのにあんまそういうことに興味がなさそうだ。

……なんかもったいねーなー…ってそれは余計な世話か…

そうしてふんふーんと鼻歌混じりに歩いていたのだが。

……あれ?あそこにいるのって…

遠くにいても、奴の容姿はばっちり目立つ。
さすが天使。
でもその隣にいる奴も、すげえ目立ってる。
燃えるような赤い髪に、着崩した制服。
品行方正(を装っている)藤村とは真逆のタイプ…まあなんてアンバランス。

あれか?屋上の次は体育館の裏で告られてんのか?
まさに青春ですね、少女漫画みたい。女の子いねーけどな!
てか、ギャラリー多くね?何、順番待ち?すげえなおい。
まあ羨ましくはないけど。





「……用ってなんですか?」

ガラの悪い連中に囲まれて、さすがの藤村も表情が固い。

「まあまあ、そんなに警戒すんなよ藤村ちゃーん」

赤い髪の男は、この学校では藤村と同じくらい有名な奴。三年の香川、だっけ?

「俺ら今日超ヒマでさあー、一緒に遊ばねー?」

カツアゲかと思いきや、まさかのナンパ。
マジですか、てかもうあんまり驚かないけど。
てゆうか、先輩方誘い方ベタすぎない?
笑いを堪えながら、物陰からその様子を覗き見る。

……なんか俺、最近こーゆーのばっかだな…

「……すいません、忙しいんで」
「ンなこと言うなよー、ちょっとだけでいいからさぁ」

……おいおい、しつこい男は嫌われるんだぜー?(経験済)

「……遠慮します」
「てゆうかお前さぁ、生意気なんだよ」

香川の声のトーンがガラリと変わる。

……豹変したし

まあ奴のことだ、きっと今までだってこういう事はあったはずだし俺としては奴がこの場面をどう切り抜けるかが気になった。

「………」
「あァ、ごめんねー?ビビらせちゃったー?」
「………」
「大人しくしててくれれば、痛いコトはしないからさー?」

……何する気ですか、あんたら…

俺がそのなんというか、ちょっとお下品な想像をしてしまったその時、ずっと黙っていた藤村が口を開いた。


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