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しおりを挟む「………」
「………」
昼休みの屋上。
「なんだこれは」
「お弁当!」
「………」
隣りに座った楓はニコニコ笑っている。
さすがに突っ返すわけにもいかず、フタを開けた…が、即閉じた。
「……なんだ、これは」
「俺の愛?」
「………」
ごはんの上に鮭フレークで彩られたハートマーク。
再びおそるおそるフタを開け、また反射的に閉じようとしたらがしっと腕を掴まれた。
「おかずはこっち!」
「………」
「この間、宮本くんに教えてもらってさー」
宮本くんは、例の重箱の後輩だ。
あれがきっかけで、二人は仲良くなったらしい。
「……いただきます」
「どうぞ!」
「………」
「………」
「……うまい、かも」
「マジで?!」
真剣だった楓の表情が、ぱあっと明るくなる。
よかったーと本当に嬉しそうに笑う楓を見て、なんだか胸が苦しくなった。
少し焦げてる卵焼きに、いびつな形のおにぎり。
慣れない手つきで料理をしている様子が、なんとなく想像できた。
「………」
……神野、おまえ勿体ねぇよ
確かにバカだし、ウザいし、妄想癖と暴走癖を兼ね備えた迷惑極まりない変態だけど。
やっぱかわいいよ、こいつ。
楓が女だったら、俺は…。
……俺は?
「……てか、神野は?」
いつもだったら、乱入してくる頃なのに。
「さっき一組の子と、どっか行ったよ」
「……いいのか?」
「何が?」
楓はきょとんと首を傾げた。
「………」
「それよりアナタ、はいあーん」
「あーん…ってするわけないだろ。てか舌打ちすんな」
思わず笑ってしまう。
「いいんちょのけちーっ」
「うるせぇよ」
万が一。
万が一、俺が楓とつきあったら、神野はどんな顔をするだろう。
なんて一瞬、最低な事を考えた。
「まだまだあるよ?」
「……どんだけ作ったんだ?」
「だっていいんちょ、何が好きか教えてくれなかったからさー」
だからって…まさかそのでかい紙袋の中身、全部弁当?
……こいつ…
「あ、ちなみにデザートは俺ですよ!旬ですよ!」
「いらん」
「食べ頃なのに~」
「腹壊すわ」
「なんならテイクアウトで!」
バカなことを言いながらも、持参した水筒のお茶を注いでくれる楓。
……ああ、どうしよう
こいつ、マジでかわいいかもしれない。
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