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きみのとなり♯6
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しおりを挟む甲田さんは迷わないタイプだ。
物事を率直に受けとめて、冷静かつ適切な判断を下す。
逆に僕は迷いまくるタイプだ。
物事の総てにおいて不安を感じ、迷いに迷った挙げ句失敗する。
「……ふ、っ」
つい漏らしてしまった自分の声に、我にかえる。
「ん…ぅ…」
思わず身動いだ僕を、更に強く抱きしめる逞しい腕。
何度も重ねられる唇、絡まる舌、唾液が混じりあう音、甘い吐息。
「……冬馬、」
「……っ」
羞恥やら動揺やらいろんな感情が混ざりあって、もうわけがわからなくなっていた。
「……いい?」
耳元で囁かれた声に、ごくりと息をのむ。
とゆうか、ベットに押し倒されたこの状況で、この後に及んで嫌だなんて言えるわけがなく。
「……は、い」
こうなる覚悟はしてたんだ。
わかってて、ここに来たはずなのに。
「……そんなに固くなんなよ、」
大丈夫だから、と彼は安心させるように僕の頬を撫でた。
「………」
……そう、嫌じゃない。嫌じゃないけど…
「冬馬、」
「……っ、」
名前を呼ばれただけで、びくりと身体が震える。
心臓があり得ないスピードで脈打っていた。
「………。無理だな」
「……え?」
顔をあげると、甲田さんは眉間にしわを寄せて僕を見ていた。
そして溜め息混じりに言う。
「やっぱ無理」
「え、あ 、あのっ…」
……なんか、怒ってる?
もしかして、自分のいつまでも煮えきらない態度に気を悪くしたのか。
「あと一回くらいならって、思ってたけど」
甲田さんは苦々しい顔で言う。
「もう無理。耐えらんねーよ」
「ま、待って、甲田さ…」
嫌われる。
そう思った瞬間、僕は泣きそうになりながらその腕を掴んだ。
「違うんです、僕っ…」
「冬馬、諦めて俺のもんになれ」
「……え?」
甲田さんは、予想外の言葉に固まる僕を抱き寄せて言った。
「……ごめんな、もう待てねー」
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