sweet days

きみのとなり♯4

1

 
「……あ、あのう…」
「なんか好きなの、あったか？」
「いっ、いえ…」

その日もいつものように、甲田さんが学校に迎えに来た。
そして連れてこられたのは…某高級セレクトショップ。

……僕、完全に浮いてるんですけど…

場違いにもほどがある。
そもそも制服で来るような所じゃないし…普通の高校生とは、縁もゆかりもないようなお店だ。

でも甲田さんは、制服だろうとなんだろうと違和感なくこのスタイリッシュな空間に溶け込んでいる。
いやむしろ、僕とは違う意味で目立ってる。
さっきから女性の店員さんやお客さんが、ちらちらこっちを見てるし…。

「………」
「あ、冬馬これとか似合うんじゃね？」
「……えっ、ええ？！無理です似合わないです！」
「んなことねーって。試着してみろよ」
「いやっ、いいです」
「いいから早く」

そのまま強引に試着室に連れ込まれた。

「あ、あのほんとに」
「ほら、脱げ」
「いや、あの…てゆうか、なんで甲田さんまで一緒に」
「いーじゃん別に。なんなら俺が脱がしてやろうか？」
「～～～！！」





「……で？今日はなんでその素敵な彼氏はいないわけ？」

にやにや笑いながら村くんが言う。
一緒に寄り道するのは久しぶりだった。

「……なんか、用があるって…」
「てゆうか、なんだかんだで上手くいってんじゃん」
「上手くって…」
「ラブラブじゃん」
「……っ」

かあっと顔が熱くなる。

「……うわ、すげえ真っ赤。大丈夫？」
「むっ、村くんがいきなり変なこと言うから！」
「変って…これは彼氏も大変だなー…」

村くんはちょっと呆れたように笑った。



その後、村くんとは駅前で別れた。

……ラブラブって…

信号待ちの間、辺りを見回すと…普通に手をつないだり楽しそうに話しているカップルは、結構いる。
勿論、男同士じゃないけど…。

……甲田さんと僕も…あんな感じ…？

「……っ」

また顔が熱くなって、ぶんぶんと顔を振った。
そして信号が青に変わったその時だった。

「……あ、」

駅前の通路を歩いている甲田さんを見つけた。
目立つから、遠目でもすぐに気づいた。
彼の隣りに…とても綺麗な人がいる事にも。