sweet days

ともだち

1

『ねーねー、今日の晩ごはん、なに？』

ラインは基本、俺からが多い。

『朝から晩飯の話かよ』

先輩の返事は、基本短文。

『おまえゴーヤ好き？』
『好きー！てゆうか先輩が作るものならなんでも好き！あと先輩大好き！』
『あほだろ』

そしてスタンプを使うのは基本俺だけ。



休み時間。
俺はせっせと先輩にラインしていた。
俺のラブに溢れたメッセージに対し、先輩の返事はどれもこれも素っ気ない。

……もー、素直じゃないな～

でも、そこがカワイイ。
それにウザいウザい言いながらも、ちゃんとラインを返してくれるところに愛を感じる。
机にへばりついて、溜め息をついた。

……あー幸せ…

先輩はカワイイ。
壮絶にカワイイ。
キスするだけで、未だに耳まで真っ赤になって。
耳と首筋が弱くて、触れたり舐めたりするとびくっと身体を震わせた。
押し倒せば初めこそ抵抗するものの、愛撫し続ければ力が入らなくなるのかふにゃふにゃになって、そしたらいつものツンツンな感じはどこへやらだ。
恥ずかしそうにしがみついて俺を呼ぶその掠れた声とか、ちょっと甘えるように俺を欲しがるその仕草とか、涙を溜めて俺を睨むその目とか…。

……あぁもう、思い出すだけで…



「……おい」
「………」
「もしもーし」
「あーあ…完全どっかイっちゃってるよ」
「おいこら！戻ってこい！」

ガクガクと肩を揺すられ、目の前に中村がいることに気づく。

「……あ、なに？」
「なに？じゃねぇよ。さっきから一人でニヤニヤしやがって」
「ニヤニヤ？」
「季一、なんかいいことあったの？」

隣りに立っていた広田が笑いながら言う。
つられて笑顔になった。

「今日晩飯ゴーヤなんだよ！」
「………」
「………。だから？」
「いやあ、すげえ楽しみで」
「………」
「………。大丈夫？」
「……？何が？」
「……なんかムカつく」
「なんで？！」

するとまあまあ、と広田。

「ほら、透」
「……あーもう、わかってるよ。季一、お前来週の水曜ヒマ？」
「水曜？ん～たぶん」
「セッティングしたから」
「え、なにを？」
「……合コン」
「……え？」