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第2章 御前試合と幸運を呼ぶ猫(6話)
【4】
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「へぇ~、面白いなソレ。初めて見た」
頬の血を手の甲で拭いながら、銀河は言う。口元は笑っているが、眼光は鋭い。
紅は自らの顔の前で、扇子をバサリと開いて見せた。扇子の端から、不敵な笑顔が半分覗く。良く見ると、扇子の先には幾つもの刃物。扇子の骨一本一本から、細く鋭い刃が飛び出していた。
「こいつの名は『紅燕』。れっきとした……」
したり顔で説明し始めた紅の言葉は、途中で断たれた。草薙の高ぶった声が、横入りして来たからだ。
「あれは! かつて忍が使っていたと言う暗殺武器の仕込み扇子! 初めて見た!」
「え? 茜も初めて見たッス。忍なのに」
銀河も珍しい物が見れたと、興味深げに頷く。
「なるほど、れっきとした武器って訳か。なら手加減する必要も無いんだな? けど、仕込み武器って一発で仕留めないとダメなヤツじゃね? 種が解ってたらコッチも対策出来るし」
「いちいち煩い坊やだね。せっかく見せてやったってのに。あんたは、かただっ……たたき棒で肩でも叩いてな!」
「かただったたき棒?」
「かっ、噛んだだけだよ煩いね! こっちも手加減無しで行くよ! 喰らいな、紅燕の舞い!」
顔を真っ赤にして怒る紅。力強く足を踏み出し、ギュンと一気に突進した。風と風とが、勢い良くぶつかり合った様な衝撃。
ヴァッ!
直後、高々と華麗に宙を舞ったのは猫耳少年の姿。銀色の髪が煌めいて、その美しさに観客達は見惚れた。赤熊の女の頭上を軽々と飛び越え、その背後に軽やかに着地する。
「あの程度、銀の字には軽くかわせるわい。……ん? あのネエちゃん様子が変じゃな」
数秒遅れて紅が膝を突いた。右肩を左手で押さえてうずくまる。「くっ……」と苦しそうに呻いたきり動かない。
「あの一瞬で右肩に強打を一撃」
進行役の水鏡は見逃さない。だが、茜が訂正する。
「二発入れたッス! 伝説の肉球ッス!」
「三発な! 秘技『猫パンチ!』なんつって。肩こり、ほぐせたか?」
更に訂正したのは銀河本人。肩叩き棒で自分の肩を、ゆっくりポンポンポン。片足立ちで、余裕の笑顔だ。
「愛刀無し」と言うハンデが有るにも関わらず、銀河はこの余裕。二人の能力差は歴然。紅の右肩には、くっきりと肉球の痕。しばらく利き手は使えないだろう。頃合いを見極めるのも進行役の務め。水鏡は紅に歩み寄る。
「紅殿、まだ試合を続けますか?」
無言のまま肩を震わす紅。その顔を覗き込んだ水鏡は、ヒッと口元を押さえた。およそ美女の顔とは思えない程、物凄い形相。痛みと悔しさを噛み潰すかの様に、ギリギリと歯を鳴らしている。
ふと、その顔の横に筒が現れた。紅のお供のねず吉が持つ、長いメガホンだ。先ほど金剛の馬鹿力で半分に壊されたが、いつの間にかテープで補修してある。
「紅おじょう……ゴニョゴニョゴニョ……」
ねず吉は紅の耳にメガホンを向け、何やらコソコソ話し始める。それを見た草薙は、あの筒は本当にメガホンだったのか……と今になって納得した。水鏡は訝しげに注意する。
「そこ! 何をしているんです? 場外からの助太刀はルール違反です。反則負けにしますよ」
「んふっ。んっふふふ。やるじゃないか、ねず吉」
物も言えなかった紅が、打って変わって笑い出す。立ち上がって振り向くと、左手で真っ直ぐ銀河を指差した。
「良~く、お聞き。猫耳の坊や。あんたの大切な……『昴』と『流星』……とやらを預かった! 無事に返して欲しくば、おとなしく負けを認めるんだねぇ」
会場はざわめきで埋め尽くされる。人質を取った上での脅迫だろうか。観客からブーイングの嵐が巻き起こった。忍者娘の茜が、しょげた様子で抗議する。
「卑怯ッス! やっぱり銀さまの家に入った曲者だったッス。茜がもっとちゃんと家の中確認してれば……ううぅ」
僧兵の金剛も怒り心頭だ。
「そうじゃ卑怯だぞ! 正々堂々と勝負せぃ! ……ところで『昴』と『流星』とは誰じゃ? 銀の字の妹御か?」
そこで金剛が妄想したのは、囚われの猫耳少女二人。後ろ手に縛られ、助けを求め泣いている。
「こりゃいかん。『お兄ちゃん助けて!』と泣いとるに違いない」
「いや銀河に妹はいないはずだ。確か数年前に祖母を亡くしてから独りだと……。もしかしたら人じゃなくて、宝物かもしれん。代々伝わる名刀か? 異国の宝剣か?」
猫耳少女を救い感謝される……そんな妄想が一瞬で破れた金剛。その横で草薙もまた、別の妄想を膨らませる。
一方。余裕を取り戻した紅は、もてはやされる未来を夢見てニヤケ顔だ。こんな卑怯な勝利では、実現しそうもない夢だが。
「ショックで声も出ないかい? さっさと『負けた』とお言い! そうか……確認が先だねぇ。見せておやり、ねず吉」
ねず吉は大きな風呂敷包みを取り出した。そこで「おや?」と思った者は多い。人質二人にしては、その風呂敷包みは小さ過ぎるのではないか。
パサリと開いた包みの中から現れたのは、ケージに入った小動物が二匹。大きさはモルモット程度だが、見たことも無い様な珍獣だ。
「えええ?! 何だいその変な生き物! ネズミ? サル? イヌ? モモ?」
紅の疑問に答えたのは茜だった。自称「銀さま付きの忍」茜。用も無いのに勝手に銀河の家を訪れる事しばしば。銀河の暮らしにも馴染んでいたため、この謎の生き物の正体も知っていた。
「銀さまが飼ってる『キミボシ』ちゃん達ッス!」
「あれが! あれが『公星』! 初めて見ました!」
いつも冷静な水鏡が、珍しく高揚している。茜に続いて流暢に解説し出した。
「通称『公星』と書いて『キミボシ』……正式名称を『ジャンジャカジャン・ハムタロー・スターライト』! ネズミの仲間。動きは素早く、暗くて狭い所に潜り込むのが好きな生き物」
「もう、どうでも良いわ!」
やたら詳しい水鏡に、紅がつっこむ。
「ちょいと何してんだい、ねず吉。モモタローだか何だか知らんけど……そんな妙ちくりん誘拐しても、人質にはなりゃしないよ!」
脅迫は失敗だと、お供の男を責め立てる紅。ところが、そこまで押し黙っていた銀河が、絞り出すように声を漏らした。
「ずばりゅ~……りゅ~ぜ~……」
生気が失せた顔には涙と鼻水。ペタンと垂れた耳に、だらりとぶら下がる尻尾。肩を落とした姿は、いつも飄々としている銀河からは想像も出来ない。胸の鈴飾りが、動揺で小さく揺れた。
「効果抜群ーー?!」
脅迫は物の見事に成功していた。高笑いする女。一変して、力無く膝を突く少年。先程とは真逆の状況になり、会場にどよめきが起こる。
そんな時、別の事に気を取られている人物が居た。ねず吉の直ぐ側で、風呂敷包みの中身を見ていた草薙である。
包みの中から現れたのは、『キミボシ』が入っているケージだけではなかった。近くで見たら一目瞭然。『何か』がケージを抱える様に持っているのだ。その何かとは、箱形のロボットの様なカラクリ人形だった。
草薙はその人形が何物か知っていた。懐から取り出した紙に、描かれている絵にそっくりである。その紙は殿から渡された物。盗まれたカラクリ人形の捜索願。
(お団子ヘアー、パッチリおめめ、おちょぼ口、白エプロン。間違い無い、この人形……盗まれた殿のカラクリ人形。こいつら、やっぱり泥棒だ。水鏡は「もう少し様子を見ましょう」って言ってたけど……。充分な証拠だろコレ)
そんな草薙の確信は露知らず 、泥棒女の紅は悦に入っている。
「んっふふふ。形勢逆転だねぇ坊や。あたしはまだ、左手でも闘えるよ。けど、あんたが攻撃して来たら……あのハム……モモタローがどうなっても知らないよ」
銀河は項垂れたまま立ち上がったものの、足下がふらふらだ。紅は相手が弱った今がチャンスと、仕込み扇子を構えた。降参しないのなら、攻撃して止めを刺すのみ。
「今度こそ喰らいな! 紅燕の舞!」
「銀さま危ないッス!」
ジャキーン!
仕込み扇子を一閃させる紅。刃は銀河の肩叩き棒を捉える。次の瞬間、肩叩き棒の先端が折れた。肉球の様な物が、ゆっくりと宙を飛んで行く。居合わせた人々の目に、そんな奇妙な光景が映った。
つづく
頬の血を手の甲で拭いながら、銀河は言う。口元は笑っているが、眼光は鋭い。
紅は自らの顔の前で、扇子をバサリと開いて見せた。扇子の端から、不敵な笑顔が半分覗く。良く見ると、扇子の先には幾つもの刃物。扇子の骨一本一本から、細く鋭い刃が飛び出していた。
「こいつの名は『紅燕』。れっきとした……」
したり顔で説明し始めた紅の言葉は、途中で断たれた。草薙の高ぶった声が、横入りして来たからだ。
「あれは! かつて忍が使っていたと言う暗殺武器の仕込み扇子! 初めて見た!」
「え? 茜も初めて見たッス。忍なのに」
銀河も珍しい物が見れたと、興味深げに頷く。
「なるほど、れっきとした武器って訳か。なら手加減する必要も無いんだな? けど、仕込み武器って一発で仕留めないとダメなヤツじゃね? 種が解ってたらコッチも対策出来るし」
「いちいち煩い坊やだね。せっかく見せてやったってのに。あんたは、かただっ……たたき棒で肩でも叩いてな!」
「かただったたき棒?」
「かっ、噛んだだけだよ煩いね! こっちも手加減無しで行くよ! 喰らいな、紅燕の舞い!」
顔を真っ赤にして怒る紅。力強く足を踏み出し、ギュンと一気に突進した。風と風とが、勢い良くぶつかり合った様な衝撃。
ヴァッ!
直後、高々と華麗に宙を舞ったのは猫耳少年の姿。銀色の髪が煌めいて、その美しさに観客達は見惚れた。赤熊の女の頭上を軽々と飛び越え、その背後に軽やかに着地する。
「あの程度、銀の字には軽くかわせるわい。……ん? あのネエちゃん様子が変じゃな」
数秒遅れて紅が膝を突いた。右肩を左手で押さえてうずくまる。「くっ……」と苦しそうに呻いたきり動かない。
「あの一瞬で右肩に強打を一撃」
進行役の水鏡は見逃さない。だが、茜が訂正する。
「二発入れたッス! 伝説の肉球ッス!」
「三発な! 秘技『猫パンチ!』なんつって。肩こり、ほぐせたか?」
更に訂正したのは銀河本人。肩叩き棒で自分の肩を、ゆっくりポンポンポン。片足立ちで、余裕の笑顔だ。
「愛刀無し」と言うハンデが有るにも関わらず、銀河はこの余裕。二人の能力差は歴然。紅の右肩には、くっきりと肉球の痕。しばらく利き手は使えないだろう。頃合いを見極めるのも進行役の務め。水鏡は紅に歩み寄る。
「紅殿、まだ試合を続けますか?」
無言のまま肩を震わす紅。その顔を覗き込んだ水鏡は、ヒッと口元を押さえた。およそ美女の顔とは思えない程、物凄い形相。痛みと悔しさを噛み潰すかの様に、ギリギリと歯を鳴らしている。
ふと、その顔の横に筒が現れた。紅のお供のねず吉が持つ、長いメガホンだ。先ほど金剛の馬鹿力で半分に壊されたが、いつの間にかテープで補修してある。
「紅おじょう……ゴニョゴニョゴニョ……」
ねず吉は紅の耳にメガホンを向け、何やらコソコソ話し始める。それを見た草薙は、あの筒は本当にメガホンだったのか……と今になって納得した。水鏡は訝しげに注意する。
「そこ! 何をしているんです? 場外からの助太刀はルール違反です。反則負けにしますよ」
「んふっ。んっふふふ。やるじゃないか、ねず吉」
物も言えなかった紅が、打って変わって笑い出す。立ち上がって振り向くと、左手で真っ直ぐ銀河を指差した。
「良~く、お聞き。猫耳の坊や。あんたの大切な……『昴』と『流星』……とやらを預かった! 無事に返して欲しくば、おとなしく負けを認めるんだねぇ」
会場はざわめきで埋め尽くされる。人質を取った上での脅迫だろうか。観客からブーイングの嵐が巻き起こった。忍者娘の茜が、しょげた様子で抗議する。
「卑怯ッス! やっぱり銀さまの家に入った曲者だったッス。茜がもっとちゃんと家の中確認してれば……ううぅ」
僧兵の金剛も怒り心頭だ。
「そうじゃ卑怯だぞ! 正々堂々と勝負せぃ! ……ところで『昴』と『流星』とは誰じゃ? 銀の字の妹御か?」
そこで金剛が妄想したのは、囚われの猫耳少女二人。後ろ手に縛られ、助けを求め泣いている。
「こりゃいかん。『お兄ちゃん助けて!』と泣いとるに違いない」
「いや銀河に妹はいないはずだ。確か数年前に祖母を亡くしてから独りだと……。もしかしたら人じゃなくて、宝物かもしれん。代々伝わる名刀か? 異国の宝剣か?」
猫耳少女を救い感謝される……そんな妄想が一瞬で破れた金剛。その横で草薙もまた、別の妄想を膨らませる。
一方。余裕を取り戻した紅は、もてはやされる未来を夢見てニヤケ顔だ。こんな卑怯な勝利では、実現しそうもない夢だが。
「ショックで声も出ないかい? さっさと『負けた』とお言い! そうか……確認が先だねぇ。見せておやり、ねず吉」
ねず吉は大きな風呂敷包みを取り出した。そこで「おや?」と思った者は多い。人質二人にしては、その風呂敷包みは小さ過ぎるのではないか。
パサリと開いた包みの中から現れたのは、ケージに入った小動物が二匹。大きさはモルモット程度だが、見たことも無い様な珍獣だ。
「えええ?! 何だいその変な生き物! ネズミ? サル? イヌ? モモ?」
紅の疑問に答えたのは茜だった。自称「銀さま付きの忍」茜。用も無いのに勝手に銀河の家を訪れる事しばしば。銀河の暮らしにも馴染んでいたため、この謎の生き物の正体も知っていた。
「銀さまが飼ってる『キミボシ』ちゃん達ッス!」
「あれが! あれが『公星』! 初めて見ました!」
いつも冷静な水鏡が、珍しく高揚している。茜に続いて流暢に解説し出した。
「通称『公星』と書いて『キミボシ』……正式名称を『ジャンジャカジャン・ハムタロー・スターライト』! ネズミの仲間。動きは素早く、暗くて狭い所に潜り込むのが好きな生き物」
「もう、どうでも良いわ!」
やたら詳しい水鏡に、紅がつっこむ。
「ちょいと何してんだい、ねず吉。モモタローだか何だか知らんけど……そんな妙ちくりん誘拐しても、人質にはなりゃしないよ!」
脅迫は失敗だと、お供の男を責め立てる紅。ところが、そこまで押し黙っていた銀河が、絞り出すように声を漏らした。
「ずばりゅ~……りゅ~ぜ~……」
生気が失せた顔には涙と鼻水。ペタンと垂れた耳に、だらりとぶら下がる尻尾。肩を落とした姿は、いつも飄々としている銀河からは想像も出来ない。胸の鈴飾りが、動揺で小さく揺れた。
「効果抜群ーー?!」
脅迫は物の見事に成功していた。高笑いする女。一変して、力無く膝を突く少年。先程とは真逆の状況になり、会場にどよめきが起こる。
そんな時、別の事に気を取られている人物が居た。ねず吉の直ぐ側で、風呂敷包みの中身を見ていた草薙である。
包みの中から現れたのは、『キミボシ』が入っているケージだけではなかった。近くで見たら一目瞭然。『何か』がケージを抱える様に持っているのだ。その何かとは、箱形のロボットの様なカラクリ人形だった。
草薙はその人形が何物か知っていた。懐から取り出した紙に、描かれている絵にそっくりである。その紙は殿から渡された物。盗まれたカラクリ人形の捜索願。
(お団子ヘアー、パッチリおめめ、おちょぼ口、白エプロン。間違い無い、この人形……盗まれた殿のカラクリ人形。こいつら、やっぱり泥棒だ。水鏡は「もう少し様子を見ましょう」って言ってたけど……。充分な証拠だろコレ)
そんな草薙の確信は露知らず 、泥棒女の紅は悦に入っている。
「んっふふふ。形勢逆転だねぇ坊や。あたしはまだ、左手でも闘えるよ。けど、あんたが攻撃して来たら……あのハム……モモタローがどうなっても知らないよ」
銀河は項垂れたまま立ち上がったものの、足下がふらふらだ。紅は相手が弱った今がチャンスと、仕込み扇子を構えた。降参しないのなら、攻撃して止めを刺すのみ。
「今度こそ喰らいな! 紅燕の舞!」
「銀さま危ないッス!」
ジャキーン!
仕込み扇子を一閃させる紅。刃は銀河の肩叩き棒を捉える。次の瞬間、肩叩き棒の先端が折れた。肉球の様な物が、ゆっくりと宙を飛んで行く。居合わせた人々の目に、そんな奇妙な光景が映った。
つづく
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