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100.エピローグ〜バニラとりんごの恋〜
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「ポップコーンでき……ってこれ…」
「あっ! だめっ」
実家から持ってきた服を片付けている最中、部屋に入ってきた光琉に1枚の服を手に取られてしまった。
「ふっ。懐かしいな」
「………返さなくてごめんな」
光琉から借りたままのジャージ。
「匂いつけようか?」
「!! いいの?」
「うん。というかコレ、日向の匂いがたっぷりついてて離したくないし」
「///」
そう言ってジャージを羽織った光琉。
「あははっ。合ってないな」
「ふっ。確かに」
今着てる服とアンバランスすぎる。
「片付けは後にして、映画観よう」
「うん」
実はシアタールームがあって…今日は人気恋愛映画を一緒に観るんだ。主演俳優の2人が最近結婚を発表し、まだ観てなかったってことを思い出してな。
手を繋いでシアタールームに入ると、バニラ味のポップコーンとりんご味のポップコーンから香る匂いが、部屋中に充満している。
「いちごエクレアもあるじゃん」
「この映画を観るならいるかなって」
「だな」
今日は光琉の足の間が俺の座る場所。
*
「ぐすっ…」
「泣いてる日向が可愛い」
「めちゃくちゃいい話じゃん」
まさか泣かされるとは思わなかった。
光琉にもたれかかり、光琉の手を使って流れた涙を拭う。
「もう、可愛すぎる」
「へ?」
「はぁ…ツンデレの日向も可愛いけど、デレデレの日向が可愛いっ」
ぎゅーっと抱きしめ、項を舐めてくる……いやいや、ちょっと待て。
「ツンデレって…俺が?」
「うん」
「嘘でしょ!?」
後で『ツンデレとは』って調べよう。
それにしても…この映画を見るといちごエクレアが食べたくなる気持ち、やっと分かったわ。エクレアに手を伸ばそうとしたら、光琉が気付いて食べさせてくれた。
「ん。うまうま~」
「ふっ」
俺が食べてる間も、ずっと項から頬にかけてたくさんキスしてくる…ドキドキしてくるんだけど。
なんだか余裕な光琉にムカついたから、エクレアと一緒に光琉の指も食べてやった。
「んふふ~」
「日向、こっち向いて」
「いや~」
って言ったのに、顔を後ろに向けられ…キスをされ…長いキスにいつも通り力が抜けてしまう。
「むぅ…」
結局、俺ばっかり余裕ないじゃん。くるっと後ろを向き、フードを被って光琉に攻撃!
「にゃー!!」
ネコ耳付きのフードだからと鳴き声付きで猫パンチ……やってみて後悔した。キャラじゃなさすぎて恥ずかしい。
「えっ…可愛いんだけど」
「……真顔で言うなよ」
無言になった光琉に抱き上げられ、寝室に連れて行かれた。
「光琉?」
「日向が悪いよ」
「え?」
「煽るから」
「いや…煽ったつもりは…」
*
*
そのまま予定より数日早く発情期が来てしまい、気が付いた時は映画を観てから1週間も経っていた。
「また買いに行こうね」
「??」
「ネコ耳付きのモコモコ部屋着」
「あるのに?」
「前のはダメにしちゃったから」
「///」
光琉がどうしてもほしいって言うから買った、モコモコ生地の部屋着。ラットになった光琉がダメにしちゃったらしい。
「可愛い日向にネコ耳とか可愛すぎた」
そういえば…何度も『にゃー』と言わされた気がしてきた。
「違うのにする」
「黒猫っていうのもいいよね」
「猫は買わないからな」
「白猫にする?」
「いや、猫じゃん」
モコモコ部屋着…俺には似合わないとか思ってたのにな。
『つい抱きしめたくなる肌触り』このキャッチフレーズのモコモコ生地の部屋着を、結局3セットも買ってしまった。白猫に白うさぎに……黒猫の3着。
「光琉も一緒に着よ」
「残念でした。サイズがないよ」
「うっ…あれ? 光琉、背、伸びた?」
「うん。今188センチ」
「俺は止まったのに…」
あれ? 俺、オメガにしては高身長って気にしてたのに…いつから気にしなくなったんだろう?
「日向、俺に合わせて、身長伸ばしてくれてありがとう」
「…うん///」
俺もありがとう。の気持ちを込めて、背伸びして光琉にキスをした。
*
*
*
数年後…日向のそばにいたい光琉が、日向の夢を叶えるためと言い訳し、自社ビルの1階に洋菓子店を開く。もちろんスタッフは光琉が全て手配。以前日向が提案した和風テイストのその店が、オフィス街の憩いの場になる……そんな未来があるかもしれない。
✽.。.:*・°✽.。.:*・°✽.。.:*・°end
「あっ! だめっ」
実家から持ってきた服を片付けている最中、部屋に入ってきた光琉に1枚の服を手に取られてしまった。
「ふっ。懐かしいな」
「………返さなくてごめんな」
光琉から借りたままのジャージ。
「匂いつけようか?」
「!! いいの?」
「うん。というかコレ、日向の匂いがたっぷりついてて離したくないし」
「///」
そう言ってジャージを羽織った光琉。
「あははっ。合ってないな」
「ふっ。確かに」
今着てる服とアンバランスすぎる。
「片付けは後にして、映画観よう」
「うん」
実はシアタールームがあって…今日は人気恋愛映画を一緒に観るんだ。主演俳優の2人が最近結婚を発表し、まだ観てなかったってことを思い出してな。
手を繋いでシアタールームに入ると、バニラ味のポップコーンとりんご味のポップコーンから香る匂いが、部屋中に充満している。
「いちごエクレアもあるじゃん」
「この映画を観るならいるかなって」
「だな」
今日は光琉の足の間が俺の座る場所。
*
「ぐすっ…」
「泣いてる日向が可愛い」
「めちゃくちゃいい話じゃん」
まさか泣かされるとは思わなかった。
光琉にもたれかかり、光琉の手を使って流れた涙を拭う。
「もう、可愛すぎる」
「へ?」
「はぁ…ツンデレの日向も可愛いけど、デレデレの日向が可愛いっ」
ぎゅーっと抱きしめ、項を舐めてくる……いやいや、ちょっと待て。
「ツンデレって…俺が?」
「うん」
「嘘でしょ!?」
後で『ツンデレとは』って調べよう。
それにしても…この映画を見るといちごエクレアが食べたくなる気持ち、やっと分かったわ。エクレアに手を伸ばそうとしたら、光琉が気付いて食べさせてくれた。
「ん。うまうま~」
「ふっ」
俺が食べてる間も、ずっと項から頬にかけてたくさんキスしてくる…ドキドキしてくるんだけど。
なんだか余裕な光琉にムカついたから、エクレアと一緒に光琉の指も食べてやった。
「んふふ~」
「日向、こっち向いて」
「いや~」
って言ったのに、顔を後ろに向けられ…キスをされ…長いキスにいつも通り力が抜けてしまう。
「むぅ…」
結局、俺ばっかり余裕ないじゃん。くるっと後ろを向き、フードを被って光琉に攻撃!
「にゃー!!」
ネコ耳付きのフードだからと鳴き声付きで猫パンチ……やってみて後悔した。キャラじゃなさすぎて恥ずかしい。
「えっ…可愛いんだけど」
「……真顔で言うなよ」
無言になった光琉に抱き上げられ、寝室に連れて行かれた。
「光琉?」
「日向が悪いよ」
「え?」
「煽るから」
「いや…煽ったつもりは…」
*
*
そのまま予定より数日早く発情期が来てしまい、気が付いた時は映画を観てから1週間も経っていた。
「また買いに行こうね」
「??」
「ネコ耳付きのモコモコ部屋着」
「あるのに?」
「前のはダメにしちゃったから」
「///」
光琉がどうしてもほしいって言うから買った、モコモコ生地の部屋着。ラットになった光琉がダメにしちゃったらしい。
「可愛い日向にネコ耳とか可愛すぎた」
そういえば…何度も『にゃー』と言わされた気がしてきた。
「違うのにする」
「黒猫っていうのもいいよね」
「猫は買わないからな」
「白猫にする?」
「いや、猫じゃん」
モコモコ部屋着…俺には似合わないとか思ってたのにな。
『つい抱きしめたくなる肌触り』このキャッチフレーズのモコモコ生地の部屋着を、結局3セットも買ってしまった。白猫に白うさぎに……黒猫の3着。
「光琉も一緒に着よ」
「残念でした。サイズがないよ」
「うっ…あれ? 光琉、背、伸びた?」
「うん。今188センチ」
「俺は止まったのに…」
あれ? 俺、オメガにしては高身長って気にしてたのに…いつから気にしなくなったんだろう?
「日向、俺に合わせて、身長伸ばしてくれてありがとう」
「…うん///」
俺もありがとう。の気持ちを込めて、背伸びして光琉にキスをした。
*
*
*
数年後…日向のそばにいたい光琉が、日向の夢を叶えるためと言い訳し、自社ビルの1階に洋菓子店を開く。もちろんスタッフは光琉が全て手配。以前日向が提案した和風テイストのその店が、オフィス街の憩いの場になる……そんな未来があるかもしれない。
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