88 / 106
86.魔法学校の生徒
しおりを挟む
「どう? 似合うか?」
「似合う! 可愛い!」
「いや…」
可愛くはないだろう。
真っ黒な布にそれっぽいアップリケを付けたポンチョ。ちなみに俺と光琉は青いアップリケにした。いやさ…赤と緑が人気すぎてな。
そのポンチョを羽織り、菜箸と紙粘土で作った杖を持ち…今の俺、魔法使いっぽい!
修学旅行先では高くて手を出せなかったそれら。これも節約になるしクラス全員分作れるからと、自作しようと言った光琉の案が通ったおかげだな。
それにしても…校内を回る際についでに宣伝もしようと、そのためにはそれっぽい衣装が全員必要だからって…光琉が集客を気にするなんて意外だった。
俺としては、2日間見た目だけでも魔法使いになって、校内を回るのが楽しみだから、理由なんてなんでもいいんだけどな。
あっ、ローブじゃなくポンチョになったのは……ローブを作る自信がなかったからじゃないぞ? 光琉がポンチョにしようって言ったから、だから。
………俺は光琉に合わせてあげただけ。多分。うん。……まぁ杖を持ってるだけで、それらしくなるしな。
「魔法かーけよっと」
映画によく出てくる有名な呪文を唱え杖を振り…さすが一樹、よく分かってる。ちゃんと反応してくれるのが楽しい。
「ピヨちゃん、俺にもかけて」
「おっけー」
思いつく呪文を一樹、宇都宮とかけあい、授業を受けている風の写真まで撮り……
「どうしよう。日向が可愛すぎるんだけど」
なんて光琉が悶えていたことにも気付かないくらい、開始早々楽しんだ。
「よし! 写真撮ろうぜ!」
「もう撮ってるよ」
おぉ…光琉、さっきからずっと撮ってたのかよ。
「そうじゃなくてさ、みんなで撮りたい」
最初は普通に、次は映画のポスターのような写真も撮った。
「そろそろ回らない?」
あまりにもテンションが高く、蓮に声をかけられるまで、我に返れなかった俺達3人。
「待たせてごめんな」
修学旅行に引き続き申し訳ないことをしちゃった。気をつけなきゃな。
「いいけどさ。せっかくだからそれっぽい場所で写真撮ったほうが楽しいんじゃない?」
「それめっちゃいい! 行こう」
数秒でさっきの決意が揺らぎ、結局またテンションが上ってしまった俺達。
「俺、余計なこと言ったかも」
「諦めましょう」
蓮も映画を見たら良いのに。前に原作本を貸すって言ったら断られたんだよなぁ。貸すの、DVDにしようかな?
なんて考えていたら……
「可愛い可愛い可愛い。俺の番、可愛いしかない」
なんか1人壊れている人がいるんだけど。
*
宣伝と言っても人が多いところで『魔法カフェに来てね』って言うだけ。立ち寄った模擬店や、すれ違った友達に声をかけるかどうかは本人の自由という、かなり緩いルールで宣伝している。
光琉曰く、黒いローブやポンチョを羽織った人が固まってるだけで目を引くから、十分宣伝になっているらしい。まぁ…気になった人が確認したら、どう考えても魔法カフェのクラスだって分かるもんな。
「でもさ…若干詐欺だよな」
「なにが?」
「メニュー。生クリームでしか魔法らしさないから」
赤はいちご、青はブルーベリー、黄色はかぼちゃで緑は抹茶。色を付けただけの生クリームをスポンジケーキに添えるだけのメニュー。映画を見ていなければ、魔法らしさ皆無だからな。
「教室の装飾と店員で、雰囲気だけでも出せてたらいいけど」
「大丈夫でしょ。入ってしまえばこっちのものだから」
「………光琉、集客数にこだわり過ぎじゃないか?」
「えっ……?」
「うん?」
え? 俺? 日向のために…と呟いてるけど、俺、光琉が集客を気にするようなこと言ったっけ?
「似合う! 可愛い!」
「いや…」
可愛くはないだろう。
真っ黒な布にそれっぽいアップリケを付けたポンチョ。ちなみに俺と光琉は青いアップリケにした。いやさ…赤と緑が人気すぎてな。
そのポンチョを羽織り、菜箸と紙粘土で作った杖を持ち…今の俺、魔法使いっぽい!
修学旅行先では高くて手を出せなかったそれら。これも節約になるしクラス全員分作れるからと、自作しようと言った光琉の案が通ったおかげだな。
それにしても…校内を回る際についでに宣伝もしようと、そのためにはそれっぽい衣装が全員必要だからって…光琉が集客を気にするなんて意外だった。
俺としては、2日間見た目だけでも魔法使いになって、校内を回るのが楽しみだから、理由なんてなんでもいいんだけどな。
あっ、ローブじゃなくポンチョになったのは……ローブを作る自信がなかったからじゃないぞ? 光琉がポンチョにしようって言ったから、だから。
………俺は光琉に合わせてあげただけ。多分。うん。……まぁ杖を持ってるだけで、それらしくなるしな。
「魔法かーけよっと」
映画によく出てくる有名な呪文を唱え杖を振り…さすが一樹、よく分かってる。ちゃんと反応してくれるのが楽しい。
「ピヨちゃん、俺にもかけて」
「おっけー」
思いつく呪文を一樹、宇都宮とかけあい、授業を受けている風の写真まで撮り……
「どうしよう。日向が可愛すぎるんだけど」
なんて光琉が悶えていたことにも気付かないくらい、開始早々楽しんだ。
「よし! 写真撮ろうぜ!」
「もう撮ってるよ」
おぉ…光琉、さっきからずっと撮ってたのかよ。
「そうじゃなくてさ、みんなで撮りたい」
最初は普通に、次は映画のポスターのような写真も撮った。
「そろそろ回らない?」
あまりにもテンションが高く、蓮に声をかけられるまで、我に返れなかった俺達3人。
「待たせてごめんな」
修学旅行に引き続き申し訳ないことをしちゃった。気をつけなきゃな。
「いいけどさ。せっかくだからそれっぽい場所で写真撮ったほうが楽しいんじゃない?」
「それめっちゃいい! 行こう」
数秒でさっきの決意が揺らぎ、結局またテンションが上ってしまった俺達。
「俺、余計なこと言ったかも」
「諦めましょう」
蓮も映画を見たら良いのに。前に原作本を貸すって言ったら断られたんだよなぁ。貸すの、DVDにしようかな?
なんて考えていたら……
「可愛い可愛い可愛い。俺の番、可愛いしかない」
なんか1人壊れている人がいるんだけど。
*
宣伝と言っても人が多いところで『魔法カフェに来てね』って言うだけ。立ち寄った模擬店や、すれ違った友達に声をかけるかどうかは本人の自由という、かなり緩いルールで宣伝している。
光琉曰く、黒いローブやポンチョを羽織った人が固まってるだけで目を引くから、十分宣伝になっているらしい。まぁ…気になった人が確認したら、どう考えても魔法カフェのクラスだって分かるもんな。
「でもさ…若干詐欺だよな」
「なにが?」
「メニュー。生クリームでしか魔法らしさないから」
赤はいちご、青はブルーベリー、黄色はかぼちゃで緑は抹茶。色を付けただけの生クリームをスポンジケーキに添えるだけのメニュー。映画を見ていなければ、魔法らしさ皆無だからな。
「教室の装飾と店員で、雰囲気だけでも出せてたらいいけど」
「大丈夫でしょ。入ってしまえばこっちのものだから」
「………光琉、集客数にこだわり過ぎじゃないか?」
「えっ……?」
「うん?」
え? 俺? 日向のために…と呟いてるけど、俺、光琉が集客を気にするようなこと言ったっけ?
30
お気に入りに追加
381
あなたにおすすめの小説

王冠にかける恋【完結】番外編更新中
毬谷
BL
完結済み・番外編更新中
◆
国立天風学園にはこんな噂があった。
『この学園に在籍する生徒は全員オメガである』
もちろん、根も歯もない噂だったが、学園になんら関わりのない国民たちはその噂を疑うことはなかった。
何故そんな噂が出回ったかというと、出入りの業者がこんなことを漏らしたからである。
『生徒たちは、全員首輪をしている』
◆
王制がある現代のとある国。
次期国王である第一王子・五鳳院景(ごおういんけい)も通う超エリート校・国立天風学園。
そこの生徒である笠間真加(かさままなか)は、ある日「ハル」という名前しかわからない謎の生徒と出会って……
◆
オメガバース学園もの
超ロイヤルアルファ×(比較的)普通の男子高校生オメガです。

花いちもんめ
月夜野レオン
BL
樹は小さい頃から涼が好きだった。でも涼は、花いちもんめでは真っ先に指名される人気者で、自分は最後まで指名されない不人気者。
ある事件から対人恐怖症になってしまい、遠くから涼をそっと見つめるだけの日々。
大学生になりバイトを始めたカフェで夏樹はアルファの男にしつこく付きまとわれる。
涼がアメリカに婚約者と渡ると聞き、絶望しているところに男が大学にまで押しかけてくる。
「孕めないオメガでいいですか?」に続く、オメガバース第二弾です。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭

花婿候補は冴えないαでした
いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。
本番なしなのもたまにはと思って書いてみました!
※pixivに同様の作品を掲載しています

幸せになりたかった話
幡谷ナツキ
BL
このまま幸せでいたかった。
このまま幸せになりたかった。
このまま幸せにしたかった。
けれど、まあ、それと全部置いておいて。
「苦労もいつかは笑い話になるかもね」
そんな未来を想像して、一歩踏み出そうじゃないか。
【完結】もう一度恋に落ちる運命
grotta
BL
大学生の山岸隆之介はかつて親戚のお兄さんに淡い恋心を抱いていた。その後会えなくなり、自分の中で彼のことは過去の思い出となる。
そんなある日、偶然自宅を訪れたお兄さんに再会し…?
【大学生(α)×親戚のお兄さん(Ω)】
※攻め視点で1話完結の短い話です。
※続きのリクエストを頂いたので受け視点での続編を連載開始します。出来たところから順次アップしていく予定です。
あなたは僕の運命の番 出会えた奇跡に祝福を
羽兎里
BL
本編完結いたしました。覗きに来て下さった方々。本当にありがとうございました。
番外編を開始しました。
優秀なαの兄達といつも比べられていたΩの僕。
αの父様にも厄介者だと言われていたけど、それは仕方がない事だった。
そんな僕でもようやく家の役に立つ時が来た。
αであるマティアス様の下に嫁ぐことが決まったんだ。
たとえ運命の番でなくても僕をもらってくれると言う優しいマティアス様。
ところが式まであとわずかというある日、マティアス様の前に運命の番が現れてしまった。
僕はもういらないんだね。
その場からそっと僕は立ち去った。
ちょっと切ないけれど、とても優しい作品だと思っています。
他サイトにも公開中。もう一つのサイトにも女性版の始めてしまいました。(今の所シリアスですが、どうやらギャグ要素満載になりそうです。)

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる