86 / 106
84.文化祭の準備 2年生
しおりを挟む「模擬店の権利、手に入れました~!」
昼休み、嬉しそうに報告しながら教室に入ってきたのは文化祭委員の松本さん。なにげに彼女ともまた同じクラスで…松本さん、去年も文化祭委員やってたよな。
模擬店は出店数に上限があるから、希望が多いと抽選になってしまう。その抽選を見事当ててきてくれたようだ。
次に文化祭準備にと充てられている時間で決まるよう、何を扱うのか、コンセプトはどうするか、案を出しておいてほしいと。
「光琉はなにかある?」
「シフトが一緒の時間で、日向が接客しないなら何でもいいよ」
「俺、接客しちゃダメなの?」
「ダメ」
これは…いつもの心配性か?
「でも俺も光琉に接客してほしくない」
光琉目当てで来るお客さん、絶対多いと思うし。女子とかオメガとか…心配だし。
「うん。俺もしない。一緒に調理担当したいね」
「それいいな! 前に一緒に作って楽しかった…から///」
やばっ。なんでこんな時に思い出すんだよ。
「日向、顔赤いけど、何考えてるの?」
「なっ!? 別にっ! 何も思い出してないしっ!」
「思い出し…? ふっ。日向のエッチ」
「んなっ!」
だから、一緒に料理した日に初めて最後までしたとか、そんな事思い出してなんかないってば。
あの日と前回の発情期でしかしてないからって…発情期中より記憶が残ってるからって、思い出したりしてないからな!
「ひーなた、拗ねないで?」
「拗ねてないし」
「可愛い。ねぇ、ちゅーしていい?」
「っ!! ダメに決まってるだろっ」
結局何の案もないまま昼休みを終えるチャイムが鳴ってしまった。
「無駄でしょうが一応お願いしておきますね。そういうのは2人きりでやってください」
「「どういうの?」」
「………もういいです」
諦めて席に戻っていった稜ちゃん。蓮も程々にねって言ってくるし…いやいや、今日は咎められるようなことしてないぞ? 俺も光琉もそれぞれ自分の席に座ってるし、キスだってちゃんと断ったし。
「あー、俺も彼女ほしい」
「なに日比野寂しいの? 俺が相手してやろうか?」
「おっ! 宇都宮、俺の彼女になる?」
「なんで俺が彼女なんだよ。日比野が彼女な」
なんて一樹と宇都宮はじゃれているけど、さっさと席に戻れよな。
*
「では飲み物はパック飲料とペットボトルで用意して、ケーキはスポンジケーキに生クリームを添える、これで決定にします」
スポンジケーキは予め用意しておき、数種類の生クリームのうちから注文が入った物を添える。これなら俺でも問題なくできそうだ。
「では次に担当を割り振ります! 希望がある人~」
「俺と日向は調理担当で」
早々に希望を伝えた光琉。
「えっ!? 香坂くんはできたら接客に回ってほしいんだけど…」
やっぱりそうだよな。光琉と宇都宮、稜ちゃんと蓮は集客が見込めるし、接客に回ってほしいって思うよな。
「岩清水くんは絶対に接客に回さないようにするし、シフトだって香坂くんと一緒にするから……お願いできないかな?」
「日向が俺に接客してほしくないって言ってるから、無理」
ちょっと待て。俺ってそんなに接客向いてないのか!? 失礼じゃね?
「俺だって接客くらいできるし…」
「日向、ダメだよ? 一緒に調理担当するって約束したでしょ?」
小さい声で呟いただけなのに、光琉には声が届いていたようで、俺の手を取り、真剣な顔でそう言ってきた。
「そうだけどさ…」
「一緒に調理しようね?」
「……うん」
俺だってそれが一番いいけど…光琉を接客に回したくないって、俺のわがままを聞いてもらっていいのかな?
「あの~香坂くん? 接客に回っては…?」
「無理」
「あ、はい」
絶対にやらないとの姿勢を崩さない光琉に、松本さんも諦めてくれたようだ。
ほんっとごめんな。でも俺は安心した。
話し合いの結果、俺、光琉、蓮、稜ちゃんは調理担当で、一樹と宇都宮は接客担当になった。松本さんは4人を順番に接客のシフトに入れたかったようだけど、それも諦め、俺達みんな同じシフト時間にしてくれるそう。
やったね!
「文化祭を楽しむ権利は俺達にもあるからね」
「それもそうだな」
みんなだって文化祭を回る友達と同じ時間にシフト希望を出すんだし、俺達が希望を出しちゃいけない理由なんてないしな。
「俺は日向と一緒なら4人はどっちでも良いんだけどな」
「あのさ…どっちかはみんなで、どっちかは……2人で回りたい…」
「っ!! 俺も! 日向~」
俺から文化祭デートを誘った事が嬉しかったようで、一応授業中なのに光琉の膝の上に横抱きにされてしまった。
「しないからな」
「いいじゃん」
「ダメ」
ちゅっ。ちゅっ。ちゅっ。
「ダメって言っただろ」
「口にはしてないよ?」
「…………もう、好きにすれば」
光琉に甘すぎだって? うん、それは俺が一番分かってる。
昼休み、嬉しそうに報告しながら教室に入ってきたのは文化祭委員の松本さん。なにげに彼女ともまた同じクラスで…松本さん、去年も文化祭委員やってたよな。
模擬店は出店数に上限があるから、希望が多いと抽選になってしまう。その抽選を見事当ててきてくれたようだ。
次に文化祭準備にと充てられている時間で決まるよう、何を扱うのか、コンセプトはどうするか、案を出しておいてほしいと。
「光琉はなにかある?」
「シフトが一緒の時間で、日向が接客しないなら何でもいいよ」
「俺、接客しちゃダメなの?」
「ダメ」
これは…いつもの心配性か?
「でも俺も光琉に接客してほしくない」
光琉目当てで来るお客さん、絶対多いと思うし。女子とかオメガとか…心配だし。
「うん。俺もしない。一緒に調理担当したいね」
「それいいな! 前に一緒に作って楽しかった…から///」
やばっ。なんでこんな時に思い出すんだよ。
「日向、顔赤いけど、何考えてるの?」
「なっ!? 別にっ! 何も思い出してないしっ!」
「思い出し…? ふっ。日向のエッチ」
「んなっ!」
だから、一緒に料理した日に初めて最後までしたとか、そんな事思い出してなんかないってば。
あの日と前回の発情期でしかしてないからって…発情期中より記憶が残ってるからって、思い出したりしてないからな!
「ひーなた、拗ねないで?」
「拗ねてないし」
「可愛い。ねぇ、ちゅーしていい?」
「っ!! ダメに決まってるだろっ」
結局何の案もないまま昼休みを終えるチャイムが鳴ってしまった。
「無駄でしょうが一応お願いしておきますね。そういうのは2人きりでやってください」
「「どういうの?」」
「………もういいです」
諦めて席に戻っていった稜ちゃん。蓮も程々にねって言ってくるし…いやいや、今日は咎められるようなことしてないぞ? 俺も光琉もそれぞれ自分の席に座ってるし、キスだってちゃんと断ったし。
「あー、俺も彼女ほしい」
「なに日比野寂しいの? 俺が相手してやろうか?」
「おっ! 宇都宮、俺の彼女になる?」
「なんで俺が彼女なんだよ。日比野が彼女な」
なんて一樹と宇都宮はじゃれているけど、さっさと席に戻れよな。
*
「では飲み物はパック飲料とペットボトルで用意して、ケーキはスポンジケーキに生クリームを添える、これで決定にします」
スポンジケーキは予め用意しておき、数種類の生クリームのうちから注文が入った物を添える。これなら俺でも問題なくできそうだ。
「では次に担当を割り振ります! 希望がある人~」
「俺と日向は調理担当で」
早々に希望を伝えた光琉。
「えっ!? 香坂くんはできたら接客に回ってほしいんだけど…」
やっぱりそうだよな。光琉と宇都宮、稜ちゃんと蓮は集客が見込めるし、接客に回ってほしいって思うよな。
「岩清水くんは絶対に接客に回さないようにするし、シフトだって香坂くんと一緒にするから……お願いできないかな?」
「日向が俺に接客してほしくないって言ってるから、無理」
ちょっと待て。俺ってそんなに接客向いてないのか!? 失礼じゃね?
「俺だって接客くらいできるし…」
「日向、ダメだよ? 一緒に調理担当するって約束したでしょ?」
小さい声で呟いただけなのに、光琉には声が届いていたようで、俺の手を取り、真剣な顔でそう言ってきた。
「そうだけどさ…」
「一緒に調理しようね?」
「……うん」
俺だってそれが一番いいけど…光琉を接客に回したくないって、俺のわがままを聞いてもらっていいのかな?
「あの~香坂くん? 接客に回っては…?」
「無理」
「あ、はい」
絶対にやらないとの姿勢を崩さない光琉に、松本さんも諦めてくれたようだ。
ほんっとごめんな。でも俺は安心した。
話し合いの結果、俺、光琉、蓮、稜ちゃんは調理担当で、一樹と宇都宮は接客担当になった。松本さんは4人を順番に接客のシフトに入れたかったようだけど、それも諦め、俺達みんな同じシフト時間にしてくれるそう。
やったね!
「文化祭を楽しむ権利は俺達にもあるからね」
「それもそうだな」
みんなだって文化祭を回る友達と同じ時間にシフト希望を出すんだし、俺達が希望を出しちゃいけない理由なんてないしな。
「俺は日向と一緒なら4人はどっちでも良いんだけどな」
「あのさ…どっちかはみんなで、どっちかは……2人で回りたい…」
「っ!! 俺も! 日向~」
俺から文化祭デートを誘った事が嬉しかったようで、一応授業中なのに光琉の膝の上に横抱きにされてしまった。
「しないからな」
「いいじゃん」
「ダメ」
ちゅっ。ちゅっ。ちゅっ。
「ダメって言っただろ」
「口にはしてないよ?」
「…………もう、好きにすれば」
光琉に甘すぎだって? うん、それは俺が一番分かってる。
30
お気に入りに追加
381
あなたにおすすめの小説

王冠にかける恋【完結】番外編更新中
毬谷
BL
完結済み・番外編更新中
◆
国立天風学園にはこんな噂があった。
『この学園に在籍する生徒は全員オメガである』
もちろん、根も歯もない噂だったが、学園になんら関わりのない国民たちはその噂を疑うことはなかった。
何故そんな噂が出回ったかというと、出入りの業者がこんなことを漏らしたからである。
『生徒たちは、全員首輪をしている』
◆
王制がある現代のとある国。
次期国王である第一王子・五鳳院景(ごおういんけい)も通う超エリート校・国立天風学園。
そこの生徒である笠間真加(かさままなか)は、ある日「ハル」という名前しかわからない謎の生徒と出会って……
◆
オメガバース学園もの
超ロイヤルアルファ×(比較的)普通の男子高校生オメガです。

花いちもんめ
月夜野レオン
BL
樹は小さい頃から涼が好きだった。でも涼は、花いちもんめでは真っ先に指名される人気者で、自分は最後まで指名されない不人気者。
ある事件から対人恐怖症になってしまい、遠くから涼をそっと見つめるだけの日々。
大学生になりバイトを始めたカフェで夏樹はアルファの男にしつこく付きまとわれる。
涼がアメリカに婚約者と渡ると聞き、絶望しているところに男が大学にまで押しかけてくる。
「孕めないオメガでいいですか?」に続く、オメガバース第二弾です。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭

花婿候補は冴えないαでした
いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。
本番なしなのもたまにはと思って書いてみました!
※pixivに同様の作品を掲載しています

幸せになりたかった話
幡谷ナツキ
BL
このまま幸せでいたかった。
このまま幸せになりたかった。
このまま幸せにしたかった。
けれど、まあ、それと全部置いておいて。
「苦労もいつかは笑い話になるかもね」
そんな未来を想像して、一歩踏み出そうじゃないか。
【完結】もう一度恋に落ちる運命
grotta
BL
大学生の山岸隆之介はかつて親戚のお兄さんに淡い恋心を抱いていた。その後会えなくなり、自分の中で彼のことは過去の思い出となる。
そんなある日、偶然自宅を訪れたお兄さんに再会し…?
【大学生(α)×親戚のお兄さん(Ω)】
※攻め視点で1話完結の短い話です。
※続きのリクエストを頂いたので受け視点での続編を連載開始します。出来たところから順次アップしていく予定です。

孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。

欠陥αは運命を追う
豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」
従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。
けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。
※自己解釈・自己設定有り
※R指定はほぼ無し
※アルファ(攻め)視点
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる