【本編完結】運命の番〜バニラとりんごの恋〜

みかん桜(蜜柑桜)

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79.2人だけの花火大会②

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「日向」
「ん……」
「日向、起きて」
「うん?」

 目を開けると…俺の頭を撫でながら、俺を見つめている光琉が目の前にいる。

 あぁ…俺、寝ちゃったのか。

 お昼を食べすぎてしまい、少しだけ…とベッドに横になったら光琉もベッドに来て…2人でじゃれてたら、まぁ…うん。そういう事して///

「赤くなって、日向可愛い」
「うるさい」

 うぅ…発情期に一通り恥ずかしい思いをしたのに! なのに…さっきまでの事を思い出すと恥ずかしくて、顔が赤くなるのをとめられない。

 光琉の胸に顔を隠すと、可愛いと言いながら俺を抱きしめてくる。

「あーもう!」

 俺ばっかりいっぱいいっぱいだ。

「ムカつく」
「ごめん。体、痛い?」
「そうじゃなくって。光琉が慣れてるのがムカつくの!」
「え? 俺、慣れてないよ?」

 絶対嘘じゃん。

 ふーんだ。拗ねてやる。

「ひーなた。こっち向いて」
「やだ」

 可愛いって言ったって無駄だからな。

「日向、体が平気ならあっちに移動しよう? そろそろ花火の時間だから」
「えっ!? もうそんな時間!?」

 うわぁ、本当だ。もう外暗いじゃん。

 ベッドを降り、窓の側に寄ろうとしたら…力が入らず転けそうになってしまった。光琉が抱きとめてくれたから大丈夫だったけど。
 
「ごめん」
「/// 別に怒ってない」

 そういえば体はキレイになっているし、服も着ている。光琉が全部やってくれたんだよな…。

「ありがと」
「ん?」
「シャワーとか服とか」
「俺の特権だからね」

 もう何も言うまい。

 それにしても、まさか今日、最後までするとは思わなかった。

「光琉、次の発情期って言ったくせに」

 光琉の抱っこでソファーに移動しながら、抗議してみる。

「発情期までしないとは言ってないよ?」
「…………詐欺だ」

 まぁ…俺もいいよって言ったんだけどさ。

「ヒートオメガとはやっぱり違って、その…大変だった?」

 って、そんな事聞いてどうするんだよ。他の人と比べられるのなんて嫌なのに。

「今度確かめさせてね」
「今度? 今までも経験あるんだろ?」

 あー! 過去の人だって分かっていても、嫉妬してしまいそうだ。

「経験? 俺、日向が初めてだけど」
「絶対嘘。………あっ! 男は俺が初めてってことか」
「違うって。誰とも経験ないし、全部日向が初めて。付き合うのもね」

 嘘だろ? 光琉が? ありえな…いや待てよ、あの蓮ですら経験ないって言ってたし、ありえるのか?

「でもアルファって性欲強いよな?」
「抑制剤で抑えてるから」
「アルファ用ってそんな効果もあるんだ…」

 本当に俺が初めて? いや、それにしては…

「初めてにしては慣れてる。俺と違っていっぱいいっぱいになってないし」
「日向、いっぱいいっぱいなの? 可愛い」
「うるさいっ」

 だから、抱きしめる力が強すぎだっての。

 あれ? チラッと見えた光琉の耳、ちょっと赤い…?

「ふふっ」
「ん?」
「いや、嬉しいなって思ったんだ。光琉の初めてが俺で」
「信じてくれるんだ」
「うん。だって光琉、心臓めっちゃ早いもん」

 今思うと、最中の光琉は余裕がなかった気もしてきた。


「「あっ!」」

 花火の打ち上げが始まったようだ。

 写真を撮ろうとスマホを構えたら、そのスマホを光琉に取られ、『俺が撮るよ』と言って俺を膝の間に座らせた。

「実は去年、今年はこうやって花火を見ようって決めてたんだ」

 なんて凄い嬉しそうに言われたら、来年も同じように見たいなと思った。

「そっか」

 光琉、結構可愛いとこあるじゃん。



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