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77.観覧車リベンジ② side光琉
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俺より上位のアルファに会うことは中々ない。どこぞの財閥の御曹司…あいつは俺よりも上位のアルファだ。
文化祭で日向が目を付けられ、年末、親に連れられた会社関連のパーティーで再会し…どうしても日向を取られたくなくて、そこで運命の番であることを伝えた。
どうやって調べたのか、お試しで付き合い始めたことを知っていたそいつは、運命なのにさっさと番にならなかった俺にも興味を持ったようで、日向を諦めてくれた。
でもあいつは大学に通いながらも会社を経営していて。地に足を付けているあいつに会うと、俺の無力さに気付かされて嫌なんだ。
暖や伊織には年上と比べることはないと言われたけど、あいつに勝てる物がないことに気付かされ、このままじゃダメだと、そう思ってしまったんだ。
それまでバイトと言っても、親の会社の雑用しかしていなかった。日向を守るだけの力がないと実感し、今年に入ってからは企画書を書いたり、会社経営についての勉強も始めている。
さっきあいつが連れていたのは、アルファ偽装していると有名な社長令嬢だった。フェロモンのつもりなのか、いつも香水をたっぷり付けていて…付けすぎて逆に臭くなっていることに本人だけが気付いてない。
その匂いに日向が嫌な顔をしたから、あいつは帰したんだろう。
まぁ…取引を優位に進めるため、情報を得たくて相手をしていたってだけで、用がなくなったのも本当なんだろうけど。
日向に何かされる前に排除しなければと思っていたから、その手間が省けたのは良かったが。
でもやっぱり…あいつの方が何枚も上手だと示されたように感じたし、運命の番じゃなければ、あいつに日向を取られてしまったんじゃないかと、不安に苛まれてしまう。
だからあいつには会いたくないんだ。
一刻も早く日向を感じたい。日向に俺のフェロモンをもっと付けないと…そんな気に駆られてしまう。
*
観覧車に乗ってすぐ日向の後頭部に手を回し、早急に唇を奪う。
「んっ、」
何度も角度を変え、啄むようなキスから長いキスへと変えていく。
足りない。もっともっと、日向を感じたい。
日向を膝の上に乗せ、逃げられないようがっちりホールド。
「日向、口開けて」
「……ん」
ほんの少し開いた口に強引に舌をねじ込み、日向の舌を絡め取る。
はぁ…甘い。
強くなったりんごの香りを存分に味わうように、余すことなく口内を舐め回す。
「っん……」
混ざり合う唾液…それを必死に飲み込んでくれている日向。間に合わず口の端から溢れ出してきた分は、今度は俺が余すことなく舐め取る。
「んんっ」
力が抜けた日向が俺にもたれかかってくるけれど、まだだ。まだ足りない。
あぁ…このまま押し倒したい。
その思いが強く出てしまったようで、無意識に服の中に手を入れてしまった。
「だめ…」
力ない手で腕を捕まれ、さすがにやりすぎたと反省。日向の腰へ腕を戻し、キスを続ける。
「だめぇ」
少し口を離した瞬間、指を間に入れ止められてしまった。
そのまま日向の指を口に含み、今度は日向の指を舐めていると、涙目で睨んでくる。
可愛い。
「だめぇ、なの」
可愛すぎる。
「もう少しだけ、ね?」
「も、つく…から」
あぁ…後4分の1ほどで着いてしまうのか。どうやらキスに夢中になりすぎてしまったようだ。
でももう一度だけ…と日向の手をどけ、顔を近づけると……ポカポカと力なく叩かれてしまう。
「うっ…可愛い」
「……ばか」
とろんとした顔でそんな事言われたら、余計やめられないじゃないか。
「ふぅ……こし、ぬけちゃった…」
「抱っこしてあげるから」
「むぅ。恥ずかしいのに」
ぷくっと頬を膨らませて怒る日向。
あ…俺、もうイライラ収まってたわ。8割は日向とイチャつきたいだけだったかも。
ガチャ…
「……と、到着で…す」
恐る恐る扉を開けられた。
これは…中の様子を見られていたな。
日向もその事に気付いたようで、真っ赤な顔で怒っている。
「……光琉のバカ」
「ごめん。おいで」
手を広げると素直に俺に寄りかかってくれる。
日向を抱き上げ観覧車を降りると、俺の首に回した腕をぎゅっと強く抱き、恥ずかしさから顔を俺の肩に埋めてきた。
その可愛すぎる行動…ニヤけてしまうじゃないか。
「ばか」
耳元でそんな事言わないでくれ。ここで降ろしてまたキスをしたくなるから。
完全に俺のせいで日向の匂いが強くなってしまった。抑制剤が効いていて、俺にしか感じることが出来ないとは言え、早く日向を隠したい。
………花火の時間まで車の中で過ごしたいって言ったら、日向、どんな反応するだろう。
文化祭で日向が目を付けられ、年末、親に連れられた会社関連のパーティーで再会し…どうしても日向を取られたくなくて、そこで運命の番であることを伝えた。
どうやって調べたのか、お試しで付き合い始めたことを知っていたそいつは、運命なのにさっさと番にならなかった俺にも興味を持ったようで、日向を諦めてくれた。
でもあいつは大学に通いながらも会社を経営していて。地に足を付けているあいつに会うと、俺の無力さに気付かされて嫌なんだ。
暖や伊織には年上と比べることはないと言われたけど、あいつに勝てる物がないことに気付かされ、このままじゃダメだと、そう思ってしまったんだ。
それまでバイトと言っても、親の会社の雑用しかしていなかった。日向を守るだけの力がないと実感し、今年に入ってからは企画書を書いたり、会社経営についての勉強も始めている。
さっきあいつが連れていたのは、アルファ偽装していると有名な社長令嬢だった。フェロモンのつもりなのか、いつも香水をたっぷり付けていて…付けすぎて逆に臭くなっていることに本人だけが気付いてない。
その匂いに日向が嫌な顔をしたから、あいつは帰したんだろう。
まぁ…取引を優位に進めるため、情報を得たくて相手をしていたってだけで、用がなくなったのも本当なんだろうけど。
日向に何かされる前に排除しなければと思っていたから、その手間が省けたのは良かったが。
でもやっぱり…あいつの方が何枚も上手だと示されたように感じたし、運命の番じゃなければ、あいつに日向を取られてしまったんじゃないかと、不安に苛まれてしまう。
だからあいつには会いたくないんだ。
一刻も早く日向を感じたい。日向に俺のフェロモンをもっと付けないと…そんな気に駆られてしまう。
*
観覧車に乗ってすぐ日向の後頭部に手を回し、早急に唇を奪う。
「んっ、」
何度も角度を変え、啄むようなキスから長いキスへと変えていく。
足りない。もっともっと、日向を感じたい。
日向を膝の上に乗せ、逃げられないようがっちりホールド。
「日向、口開けて」
「……ん」
ほんの少し開いた口に強引に舌をねじ込み、日向の舌を絡め取る。
はぁ…甘い。
強くなったりんごの香りを存分に味わうように、余すことなく口内を舐め回す。
「っん……」
混ざり合う唾液…それを必死に飲み込んでくれている日向。間に合わず口の端から溢れ出してきた分は、今度は俺が余すことなく舐め取る。
「んんっ」
力が抜けた日向が俺にもたれかかってくるけれど、まだだ。まだ足りない。
あぁ…このまま押し倒したい。
その思いが強く出てしまったようで、無意識に服の中に手を入れてしまった。
「だめ…」
力ない手で腕を捕まれ、さすがにやりすぎたと反省。日向の腰へ腕を戻し、キスを続ける。
「だめぇ」
少し口を離した瞬間、指を間に入れ止められてしまった。
そのまま日向の指を口に含み、今度は日向の指を舐めていると、涙目で睨んでくる。
可愛い。
「だめぇ、なの」
可愛すぎる。
「もう少しだけ、ね?」
「も、つく…から」
あぁ…後4分の1ほどで着いてしまうのか。どうやらキスに夢中になりすぎてしまったようだ。
でももう一度だけ…と日向の手をどけ、顔を近づけると……ポカポカと力なく叩かれてしまう。
「うっ…可愛い」
「……ばか」
とろんとした顔でそんな事言われたら、余計やめられないじゃないか。
「ふぅ……こし、ぬけちゃった…」
「抱っこしてあげるから」
「むぅ。恥ずかしいのに」
ぷくっと頬を膨らませて怒る日向。
あ…俺、もうイライラ収まってたわ。8割は日向とイチャつきたいだけだったかも。
ガチャ…
「……と、到着で…す」
恐る恐る扉を開けられた。
これは…中の様子を見られていたな。
日向もその事に気付いたようで、真っ赤な顔で怒っている。
「……光琉のバカ」
「ごめん。おいで」
手を広げると素直に俺に寄りかかってくれる。
日向を抱き上げ観覧車を降りると、俺の首に回した腕をぎゅっと強く抱き、恥ずかしさから顔を俺の肩に埋めてきた。
その可愛すぎる行動…ニヤけてしまうじゃないか。
「ばか」
耳元でそんな事言わないでくれ。ここで降ろしてまたキスをしたくなるから。
完全に俺のせいで日向の匂いが強くなってしまった。抑制剤が効いていて、俺にしか感じることが出来ないとは言え、早く日向を隠したい。
………花火の時間まで車の中で過ごしたいって言ったら、日向、どんな反応するだろう。
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