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75.発情期⑤ side日向&光琉
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発情期中の記憶を抹消したい。
いつの間にか何日も経っていた…なんてことはない。抑制剤のおかげなのか抑制剤のせいなのか、ところどころの記憶はないけれど、しっかりと記憶がある。
抱きしめてくれから始まり、キスしてほしいとか、触って、舐めて、挿れてと…散々色々と言った記憶が…しっかりとあるんだ。
でも…光琉だって悪いと思う。
抑制剤を飲んでるし、光琉の服さえあれば辛くても1人で乗り切れたんだ。なのに色々…本当に色々してくるから。
「日向、お水飲んで」
「ん…」
自分でも驚くほど喉が渇いていたようで、一気にペットボトルの半分も飲んでしまった。
「あ、あ、あ」
うん。声もちゃんと出るな。
残りの水をちびちびと飲んでいると、お腹から大きな音が…
「ふっ。ちょうどご飯できたよ。おいで」
「ん」
あっ…手を広げながら俺に近づいてきた光琉に、自然と体を預け、抱っこでソファーに連れられてしまった。発情期中の移動は光琉に抱っこしてもらってたから…慣れって怖いな。
「トマトリゾット…?」
「そう。日向トマト好きでしょ」
「うん」
ずっとゼリーとか果物とか、手軽に食べれるものばかり食べていた。固形物は避けたほうが良いと思って、と光琉作のトマトリゾット。
「はい、あーん」
パクっ。
「おいし…」
「よかった」
✽.。.:*・°✽ side光琉 ✽.。.:*・°✽
「可愛かった…」
日向の発情期。
めちゃくちゃ…めぇっちゃくちゃ可愛かった…この世の何よりも可愛くて、可愛すぎた。
『ぎゅってして』って、日向が。いっつも照れて、自分からは決して抱きついてこないあの日向が! 自ら俺の腕の中に入ってきて…『ぎゅってして』って……あれはヤバかった。
その後もアレしてほしい、コレしてほしいとおねだりばっかりしてきて、最高な時間だった。
最高ではあった…あったんだけど。
日向の欲を吐き出すのを手伝って、日向が疲れて眠ったら、今度は風呂場で自分の欲を吐き出して……ほんの少し眠ってから日向にご飯を食べさせ、また手伝っての繰り返し。
いつもより強めの抑制剤を服用していたけど、全く効いてないんじゃないかってくらいだった。噛みたいし、挿れたいし、噛みたいし…何度ネックガードを解除しようと思ったことか。
幸せだったけど、よく理性を保てたなと、自分でも褒めたいくらいだ。
まぁでも…今までのキスなんか比べ物にならないくらい濃厚なキスができたし、日向の隅々まで見て、触って…食事も手づからに食べてくれるようになったし、俺達の仲も大分進展したんじゃないかな。
キスは車の中なら受け入れてくれるだろう。餌付けは…毎食は難しいだろうな。
パクって口に含んでモグモグして…気に入った味付けの時は目を閉じて味を楽しんでいて。
え…俺の番可愛すぎじゃね?
「もういいの?」
「ん。お腹いっぱい」
「じゃあ片付けてくるね」
「ありがと。――光琉! この腕どうしたんだよ!」
あ~、日向に見つからないよう隠すつもりだったのに。
「コレって噛み跡か?」
「………えぇっと…そうかも?」
バックハグしながら日向に触っていると、ネックガードからチラッと見える首筋に噛みつきたくて仕方なかった。頑丈すぎるネックガードは噛み跡すら残すことが出来ず、自分の腕を噛んで欲を発散するしかなかったんだ。
「ごめんっ! ヒートフェロモンにあてられたんだよな?」
「大丈夫だから。日向は気にしないで」
予定外にも、日向の首を守れていると身をもって示してしまった。
「ごめん…」
「俺さ、お正月に引いたおみくじの恋愛欄、『自我を抑えれば大吉』でさ」
「うん?」
「今回自我を抑えたから、きっと大吉なことが起こると思うんだ」
「えっと…?」
ふっ。困ってるな。
「日向、悪いって思ってるんだよね?」
「思ってる」
「なら、これからも食事は俺が食べさせていいよね?」
「えっ!? だ、だめ!」
「そっかぁ…」
ダメって。トマトリゾットは全部俺が食べさせたって、気付いてないんだろうな。
「うぅ…じゃあ光琉が作ってくれるスイーツだけなら」
「そんなこと言ったら毎日作ってくるよ」
「食べきれないからダメ」
「今日の日向はダメが多いね」
そう言うと、涙目で俺を見上げてくる日向。可愛い。
「その…」
「ごめんね? 日向が可愛くていじめすぎちゃった。作ってきた時だけ俺の手で食べてね?」
「うん」
車の中にしてな。と小さい声でお願いしてくる。その可愛すぎるお願いは叶えてあげよう。
いつの間にか何日も経っていた…なんてことはない。抑制剤のおかげなのか抑制剤のせいなのか、ところどころの記憶はないけれど、しっかりと記憶がある。
抱きしめてくれから始まり、キスしてほしいとか、触って、舐めて、挿れてと…散々色々と言った記憶が…しっかりとあるんだ。
でも…光琉だって悪いと思う。
抑制剤を飲んでるし、光琉の服さえあれば辛くても1人で乗り切れたんだ。なのに色々…本当に色々してくるから。
「日向、お水飲んで」
「ん…」
自分でも驚くほど喉が渇いていたようで、一気にペットボトルの半分も飲んでしまった。
「あ、あ、あ」
うん。声もちゃんと出るな。
残りの水をちびちびと飲んでいると、お腹から大きな音が…
「ふっ。ちょうどご飯できたよ。おいで」
「ん」
あっ…手を広げながら俺に近づいてきた光琉に、自然と体を預け、抱っこでソファーに連れられてしまった。発情期中の移動は光琉に抱っこしてもらってたから…慣れって怖いな。
「トマトリゾット…?」
「そう。日向トマト好きでしょ」
「うん」
ずっとゼリーとか果物とか、手軽に食べれるものばかり食べていた。固形物は避けたほうが良いと思って、と光琉作のトマトリゾット。
「はい、あーん」
パクっ。
「おいし…」
「よかった」
✽.。.:*・°✽ side光琉 ✽.。.:*・°✽
「可愛かった…」
日向の発情期。
めちゃくちゃ…めぇっちゃくちゃ可愛かった…この世の何よりも可愛くて、可愛すぎた。
『ぎゅってして』って、日向が。いっつも照れて、自分からは決して抱きついてこないあの日向が! 自ら俺の腕の中に入ってきて…『ぎゅってして』って……あれはヤバかった。
その後もアレしてほしい、コレしてほしいとおねだりばっかりしてきて、最高な時間だった。
最高ではあった…あったんだけど。
日向の欲を吐き出すのを手伝って、日向が疲れて眠ったら、今度は風呂場で自分の欲を吐き出して……ほんの少し眠ってから日向にご飯を食べさせ、また手伝っての繰り返し。
いつもより強めの抑制剤を服用していたけど、全く効いてないんじゃないかってくらいだった。噛みたいし、挿れたいし、噛みたいし…何度ネックガードを解除しようと思ったことか。
幸せだったけど、よく理性を保てたなと、自分でも褒めたいくらいだ。
まぁでも…今までのキスなんか比べ物にならないくらい濃厚なキスができたし、日向の隅々まで見て、触って…食事も手づからに食べてくれるようになったし、俺達の仲も大分進展したんじゃないかな。
キスは車の中なら受け入れてくれるだろう。餌付けは…毎食は難しいだろうな。
パクって口に含んでモグモグして…気に入った味付けの時は目を閉じて味を楽しんでいて。
え…俺の番可愛すぎじゃね?
「もういいの?」
「ん。お腹いっぱい」
「じゃあ片付けてくるね」
「ありがと。――光琉! この腕どうしたんだよ!」
あ~、日向に見つからないよう隠すつもりだったのに。
「コレって噛み跡か?」
「………えぇっと…そうかも?」
バックハグしながら日向に触っていると、ネックガードからチラッと見える首筋に噛みつきたくて仕方なかった。頑丈すぎるネックガードは噛み跡すら残すことが出来ず、自分の腕を噛んで欲を発散するしかなかったんだ。
「ごめんっ! ヒートフェロモンにあてられたんだよな?」
「大丈夫だから。日向は気にしないで」
予定外にも、日向の首を守れていると身をもって示してしまった。
「ごめん…」
「俺さ、お正月に引いたおみくじの恋愛欄、『自我を抑えれば大吉』でさ」
「うん?」
「今回自我を抑えたから、きっと大吉なことが起こると思うんだ」
「えっと…?」
ふっ。困ってるな。
「日向、悪いって思ってるんだよね?」
「思ってる」
「なら、これからも食事は俺が食べさせていいよね?」
「えっ!? だ、だめ!」
「そっかぁ…」
ダメって。トマトリゾットは全部俺が食べさせたって、気付いてないんだろうな。
「うぅ…じゃあ光琉が作ってくれるスイーツだけなら」
「そんなこと言ったら毎日作ってくるよ」
「食べきれないからダメ」
「今日の日向はダメが多いね」
そう言うと、涙目で俺を見上げてくる日向。可愛い。
「その…」
「ごめんね? 日向が可愛くていじめすぎちゃった。作ってきた時だけ俺の手で食べてね?」
「うん」
車の中にしてな。と小さい声でお願いしてくる。その可愛すぎるお願いは叶えてあげよう。
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