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72.発情期②
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「宇都宮かなぁ」
経験豊富だろうし。受け入れる側の事も色々知ってそう。
「なにが?」
「相談す………いや、なんでもない」
怖いって。光琉から怒りのオーラが漏れ出してきた。
「暖に何の相談?」
「えっと…」
「もしかして、さっき日比野や鶴間に相談したけど解決しなかったから、暖に聞きたいの?」
「そ、ういう、わけじゃ…ないけど」
助けてくれと蓮と一樹の方を向くも知らんぷり。稜ちゃんはため息を吐いてるし、宇都宮はバカすぎると頭を抱えている。
今のは俺が悪いよな。いくら友達だからって、光琉以外のアルファに頼ろうとするのはいけなかった。
「その……ごめんなさい」
光琉のためにも、俺のためにも、いつまでもベータ感覚でいちゃダメだ。
「…………」
反省し謝ってみたものの、無言で肩に担がれた。
「はへっ!?」
「暖、日向の体調が良くないから、次の授業欠席する」
「はいはい」
ズンズンと大股で何処かに連れて行かれている俺。
だよな。そりゃみんな見るよな。
「こういうのって普通お姫様抱っこで連れてかれるものだと思ってた」
「そっちに変えようか?」
「…このままでいいです」
どっちも恥ずかしいけど、お姫様抱っこの方が恥ずかしい気がするし。
案の定連れてこられたのは保健室。そして前回同様、先生は急用を思い出して職員室へ。なんか、すいません。
長椅子に座った光琉の膝の上に、横抱きで強制的に座らされ、めちゃくちゃいい笑顔を向けてきた。
「それで? 暖に何の相談?」
これは言うまで離さないやつだ。
「いや、その…」
初体験の相談だなんて、口が裂けても絶対言えない。キスの方だけにしておこう。
「ん?」
「キス……」
「は? 暖とキスしたいの?」
「ち、違うから!! 光琉とのキスの相談!」
あっぶなぁ。言葉足らず過ぎて、さっきは出てなかった威圧フェロモンが、光琉から溢れ出そうだった。
「どういうこと?」
「俺、いっぱいいっぱいだから。アドバイスもらおうかなって」
「暖に?」
「そ。だって蓮も一樹も分かんないって言うから」
え、なんで? なんで更に機嫌が悪くなったんだ? ちゃんと話したのに?
「光琉?」
「それで、2人からアドバイスを貰えなかったからってなんで暖なわけ?」
「経験豊富そうだから」
「アドバイスってどうやってもらうつもりだったの? まさか実践!?」
「っ! そんなわけないだろ! 口頭で! 聞くつもりだっただけ」
光琉以外とキスしたくないし。と恥ずかしいけど伝えたら、めちゃくちゃ機嫌が良くなった。
のは良かったけど…
「っん、」
腰をガッツリホールドし、後頭部も支えられ、長ーいキスを送られてしまった。
「ん~~。」
もう無理!
俺だって男子高校生。知識くらいあるんだ。ここで口を開けたらダメだって事くらい分かる。
だからもう息が無理っ! と光琉の胸を叩いてアピールし、ようやく新鮮な空気を取り込んだ。
「はぁはぁ…」
満足したのか、光琉は俺の頭を撫で、頬を撫でている。
「こっちでしようね」
と鼻の頭をちょんちょんと指で突かれた。
「だってできないんだもん。あっ…」
「可愛い!」
もんって…俺のキャラじゃなさすぎ。
「もう1回言って?」
「やだ」
「お願い」
「やだ」
何度かこれを繰り返して、折れたのはもちろん俺。言ったら言ったでまた可愛い~と強く抱きしめてくる。
「練習しようね?」
変なことを言ってしまわないよう、黙っておこうと思い、コクン。と頷いて返事をした。
「待って、待って。今日の日向、可愛すぎるんだけど。いっつも可愛いけど今日は特に可愛い」
「………あ、りがと///」
早速練習ね。と、何度も何度もキスをされ、脳みそが溶けそうだ。
「もうダメ」
「帰りも練習しようね」
「ん。……ん? 帰りも?」
「いつかはもっと凄いことするんだから」
と俺の唇を舐め、意地悪な笑顔の光琉。
「俺ばっかり余裕ない」
「そんなことないよ」
思ってもないくせに。いつか絶対やり返してやる! と心に誓い、教室に戻ろうと、差し出された光琉の手をおずおずと握る。
ちょうど授業が終わるチャイムが鳴り、戻ってきた先生と入れ替わるように、俺達も保健室を後にした。
発情期の件は帰りの車で聞く事にしよう。………聞けるかな?
経験豊富だろうし。受け入れる側の事も色々知ってそう。
「なにが?」
「相談す………いや、なんでもない」
怖いって。光琉から怒りのオーラが漏れ出してきた。
「暖に何の相談?」
「えっと…」
「もしかして、さっき日比野や鶴間に相談したけど解決しなかったから、暖に聞きたいの?」
「そ、ういう、わけじゃ…ないけど」
助けてくれと蓮と一樹の方を向くも知らんぷり。稜ちゃんはため息を吐いてるし、宇都宮はバカすぎると頭を抱えている。
今のは俺が悪いよな。いくら友達だからって、光琉以外のアルファに頼ろうとするのはいけなかった。
「その……ごめんなさい」
光琉のためにも、俺のためにも、いつまでもベータ感覚でいちゃダメだ。
「…………」
反省し謝ってみたものの、無言で肩に担がれた。
「はへっ!?」
「暖、日向の体調が良くないから、次の授業欠席する」
「はいはい」
ズンズンと大股で何処かに連れて行かれている俺。
だよな。そりゃみんな見るよな。
「こういうのって普通お姫様抱っこで連れてかれるものだと思ってた」
「そっちに変えようか?」
「…このままでいいです」
どっちも恥ずかしいけど、お姫様抱っこの方が恥ずかしい気がするし。
案の定連れてこられたのは保健室。そして前回同様、先生は急用を思い出して職員室へ。なんか、すいません。
長椅子に座った光琉の膝の上に、横抱きで強制的に座らされ、めちゃくちゃいい笑顔を向けてきた。
「それで? 暖に何の相談?」
これは言うまで離さないやつだ。
「いや、その…」
初体験の相談だなんて、口が裂けても絶対言えない。キスの方だけにしておこう。
「ん?」
「キス……」
「は? 暖とキスしたいの?」
「ち、違うから!! 光琉とのキスの相談!」
あっぶなぁ。言葉足らず過ぎて、さっきは出てなかった威圧フェロモンが、光琉から溢れ出そうだった。
「どういうこと?」
「俺、いっぱいいっぱいだから。アドバイスもらおうかなって」
「暖に?」
「そ。だって蓮も一樹も分かんないって言うから」
え、なんで? なんで更に機嫌が悪くなったんだ? ちゃんと話したのに?
「光琉?」
「それで、2人からアドバイスを貰えなかったからってなんで暖なわけ?」
「経験豊富そうだから」
「アドバイスってどうやってもらうつもりだったの? まさか実践!?」
「っ! そんなわけないだろ! 口頭で! 聞くつもりだっただけ」
光琉以外とキスしたくないし。と恥ずかしいけど伝えたら、めちゃくちゃ機嫌が良くなった。
のは良かったけど…
「っん、」
腰をガッツリホールドし、後頭部も支えられ、長ーいキスを送られてしまった。
「ん~~。」
もう無理!
俺だって男子高校生。知識くらいあるんだ。ここで口を開けたらダメだって事くらい分かる。
だからもう息が無理っ! と光琉の胸を叩いてアピールし、ようやく新鮮な空気を取り込んだ。
「はぁはぁ…」
満足したのか、光琉は俺の頭を撫で、頬を撫でている。
「こっちでしようね」
と鼻の頭をちょんちょんと指で突かれた。
「だってできないんだもん。あっ…」
「可愛い!」
もんって…俺のキャラじゃなさすぎ。
「もう1回言って?」
「やだ」
「お願い」
「やだ」
何度かこれを繰り返して、折れたのはもちろん俺。言ったら言ったでまた可愛い~と強く抱きしめてくる。
「練習しようね?」
変なことを言ってしまわないよう、黙っておこうと思い、コクン。と頷いて返事をした。
「待って、待って。今日の日向、可愛すぎるんだけど。いっつも可愛いけど今日は特に可愛い」
「………あ、りがと///」
早速練習ね。と、何度も何度もキスをされ、脳みそが溶けそうだ。
「もうダメ」
「帰りも練習しようね」
「ん。……ん? 帰りも?」
「いつかはもっと凄いことするんだから」
と俺の唇を舐め、意地悪な笑顔の光琉。
「俺ばっかり余裕ない」
「そんなことないよ」
思ってもないくせに。いつか絶対やり返してやる! と心に誓い、教室に戻ろうと、差し出された光琉の手をおずおずと握る。
ちょうど授業が終わるチャイムが鳴り、戻ってきた先生と入れ替わるように、俺達も保健室を後にした。
発情期の件は帰りの車で聞く事にしよう。………聞けるかな?
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