【本編完結】運命の番〜バニラとりんごの恋〜

みかん桜(蜜柑桜)

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67.3人でパンケーキ

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 光琉とよく行くパンケーキ専門店。今日は部活終わりの一樹と蓮の3人で来ている。

「それにしても、香坂くんよく許してくれたね」
「なにが?」
「だってここ、日向の家からだと電車に乗らないとじゃん? 香坂くんが許可しなさそう」
「あー、実はさっきまで光琉と一緒だったんだ」

 早めに部活が終わった一樹と合流し、蓮が着く前に帰っていったからな。決して1人にならないようにと条件付きで、終わるまで待つつもりだった光琉を帰した。

「なるほどね」

 それぞれパンケーキと飲み物を頼む。一樹はおかず系、蓮はシンプルにシロップのみ、俺はフルーツ系のパンケーキにバニラアイスを追加。

「先に話しておくね。この間日向の机にカッターナイフの刃を貼り付け件だけど、もう解決したから」
「そっか。ありがとな」

 実は主犯と異母兄妹だった蓮。一樹は2人が話している場に遭遇したそうで、その時に異母妹だと聞いたらしい。

「異母妹がごめん」
「蓮が悪いわけじゃないから。謝らないでくれ」
「異母妹は海外に留学することになった。表向きはお咎めなしだけど…」

 逆恨みされたくないし、留学で落ち着いて良かったよ。

「だからもう異母妹は心配いらない。でもアルファはともかく、ベータ女子が同じようなことしてくる可能性もあるから…」
「遮って悪いけど、何でアルファは心配しなくていいんだ? 香坂が日向にフェロモンを付けてるのと関係ある?」

 と一樹。

「あるよ。薬のんでるから俺には分からないけど」
「宇都宮から所有フェロモンと威嚇フェロモンを組み合わせてるって聞いた」
「……それで手を出すとかほんと異母妹あいつ馬鹿だな」

 本来アルファのフェロモンを付けているオメガに、アルファは手を出さないもの。それが自分より上位なら尚更。

「どうみたって香坂くんは上位アルファだし、普通なら囲ってる日向に手を出さない。でも上位と言ってもまだ高校生。本人同士に力の差があっても、親が上位だと調子に乗るんだろうね」
「自分の親より相手の親のほうが上位の可能性があるから?」
「そう」

 それでも真っ当なアルファは何もしないって蓮は続けた。

「それでベータだけなんだな」
「日向をベータ男子だって思ってる人、思いたい人が、それなら自分だってって思って馬鹿な行動するんでしょ」
「俺、オメガだって言ったほうがいいのかな」

 沈黙………なんとも言えないよな。

「大っぴらに言う必要は無いけど、隠す必要もないんじゃない?」
「俺もそう思う。特に体育とか…とりあえずオメガ用の更衣室使ってみたら?」

 男女で分かれているのとは別にオメガ用の更衣室がある。使う使わないは自由だから、同学年で使ってるのは蓮だけらしいけど。

「だってオメガ用の更衣室って男女一緒だからさ…」
「日向入ったこと無いでしょ? 中で更に個室になってるから」
「へ?」
「使う人数が少ないから部屋は一緒だけど、アパレルショップにある試着室みたいになってるんだ」
「知らなかった…」

 使ってみるか…? 毎回光琉の後ろに隠れるように着替えてるし…。

「番になるのは慎重のままでいいと思う。でも香坂くんと番になる予定だってことは隠さずにいたほうがいいとも思う」

 番、か…

「本当に番うかどうかは別として、身を守るためにね」
「考えてみる」

 アルファなんて上手く使ったもん勝ちなんだからと…蓮らしいな。



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