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64.焼きもち②
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「解決した?」
「した…ごめん。なんか俺、情緒不安定かも」
「かも、じゃなくて不安定だね。でも仕方ないよ。俺達オメガだから」
……? 関係あるのか?
「最近分かったことだけど、オメガって依存性が強い性なんだ」
「そうなんだ」
生涯に1人しか番になれないのも依存性が理由だと、アメリカの研究機関が最近発表したらしい。蓮は医学部を目指しているから、医療に関するニュースにも注目しているんだって。
その依存性はアルファのフェロモン…匂いを感じる事でより強くなる事も分かったそう。
「日向はさ、香坂くんの匂いを1年嗅いでるでしょ」
「うん」
「だから依存性が強くなってる。なのに番じゃない状態が続いているから…そりゃあ情緒不安定にもなるよ」
「そうなんだ…」
運命の番だからそれがより強いのかもと蓮は続けた。
「でも逆に運命だから、そばにいるだけで十分精神安定するとも思う。今の日向は心配事が多すぎるんだろうね」
「光琉がそばにいてくれるのって…」
俺の体を心配して? 光琉は優しいから…せめて高校生活中はそばにいてあげようって…
「日向! 絶対今良くない考えしてるよね? 香坂くんがそばにいるのは、単に日向のそばにいたいだけ! だってこの研究結果、わざわざアメリカのバース専門機関のサイトを見に行くしか、日本で知る方法ないから!」
「このこと、光琉は知らない?」
「知らない! もう…日向1人で考え込み過ぎ…」
ポロッと一筋の涙を流し、俺を抱きしめてくれる。
「日向、もっと俺とか一樹とかに頼って。話を聞くしか出来ないかもしれないけど、もう1人で悩まないで」
「うん…ありがとう」
抱きしめ合って2人で泣いていたら、昼休みも残り5分となり、光琉が3人を連れて迎えに来たようだ。
「日向!」
「何もしてないし、俺オメガだから。嫉妬しないでよね」
さっと俺から離れ、両手をあげて無実のアピールをする蓮。そんな蓮を無視して光琉は俺を抱きしめてくれた。
ぎゅう…
「ぐるじぃ」
「香坂くん、力強すぎ」
「日向が泣いてる理由は?」
腕の力は弱めてくれたけど、俺を抱きしめたまま頭を撫で、蓮を問いただしている。
「光琉! 蓮は何も悪くないから。俺がちょっと……その不安定っていうか、悩んでて…えっと…」
「俺が知らないところでなにかされた? 犯人誰? 日向のこと睨んでるやつ何人かいたよな…まとめて排除するか」
圧が強い! って排除!? 物騒すぎ。
「違うから。誰にも何もされてない」
強いて言うなら犯人は光琉、お前だよ。
「じゃあなんで泣いてるの? 目真っ赤…可愛い」
「………」
ずっこけるわ。
「1人で悩むなって言われて嬉しかっただけ」
「うん。なんでも相談して」
「光琉に話せないことだってあるだろ。そういうのを聞いてくれるって」
「………俺に、話せ、ない…事……あるの…?」
光琉も情緒不安定じゃん。
もう悩んでるのがおかしくなってきたわ。
でも今度一樹と蓮と3人で遊びに行って、その時、色々相談させてもらおう。
「蓮、ありがとな」
「いいよ。一樹にも話なね」
「おう」
急に名前を出されて驚いている一樹に、俺に抱きついたままの光琉を慰めている稜ちゃん。宇都宮はうんうんと頷いて……うわ…今姉ちゃんと被ったかも。
蓮の言う通りだな。不安も心配事もなくなってないけど、光琉に抱きしめられると俺…安心して穏やかな気持になるから。
「した…ごめん。なんか俺、情緒不安定かも」
「かも、じゃなくて不安定だね。でも仕方ないよ。俺達オメガだから」
……? 関係あるのか?
「最近分かったことだけど、オメガって依存性が強い性なんだ」
「そうなんだ」
生涯に1人しか番になれないのも依存性が理由だと、アメリカの研究機関が最近発表したらしい。蓮は医学部を目指しているから、医療に関するニュースにも注目しているんだって。
その依存性はアルファのフェロモン…匂いを感じる事でより強くなる事も分かったそう。
「日向はさ、香坂くんの匂いを1年嗅いでるでしょ」
「うん」
「だから依存性が強くなってる。なのに番じゃない状態が続いているから…そりゃあ情緒不安定にもなるよ」
「そうなんだ…」
運命の番だからそれがより強いのかもと蓮は続けた。
「でも逆に運命だから、そばにいるだけで十分精神安定するとも思う。今の日向は心配事が多すぎるんだろうね」
「光琉がそばにいてくれるのって…」
俺の体を心配して? 光琉は優しいから…せめて高校生活中はそばにいてあげようって…
「日向! 絶対今良くない考えしてるよね? 香坂くんがそばにいるのは、単に日向のそばにいたいだけ! だってこの研究結果、わざわざアメリカのバース専門機関のサイトを見に行くしか、日本で知る方法ないから!」
「このこと、光琉は知らない?」
「知らない! もう…日向1人で考え込み過ぎ…」
ポロッと一筋の涙を流し、俺を抱きしめてくれる。
「日向、もっと俺とか一樹とかに頼って。話を聞くしか出来ないかもしれないけど、もう1人で悩まないで」
「うん…ありがとう」
抱きしめ合って2人で泣いていたら、昼休みも残り5分となり、光琉が3人を連れて迎えに来たようだ。
「日向!」
「何もしてないし、俺オメガだから。嫉妬しないでよね」
さっと俺から離れ、両手をあげて無実のアピールをする蓮。そんな蓮を無視して光琉は俺を抱きしめてくれた。
ぎゅう…
「ぐるじぃ」
「香坂くん、力強すぎ」
「日向が泣いてる理由は?」
腕の力は弱めてくれたけど、俺を抱きしめたまま頭を撫で、蓮を問いただしている。
「光琉! 蓮は何も悪くないから。俺がちょっと……その不安定っていうか、悩んでて…えっと…」
「俺が知らないところでなにかされた? 犯人誰? 日向のこと睨んでるやつ何人かいたよな…まとめて排除するか」
圧が強い! って排除!? 物騒すぎ。
「違うから。誰にも何もされてない」
強いて言うなら犯人は光琉、お前だよ。
「じゃあなんで泣いてるの? 目真っ赤…可愛い」
「………」
ずっこけるわ。
「1人で悩むなって言われて嬉しかっただけ」
「うん。なんでも相談して」
「光琉に話せないことだってあるだろ。そういうのを聞いてくれるって」
「………俺に、話せ、ない…事……あるの…?」
光琉も情緒不安定じゃん。
もう悩んでるのがおかしくなってきたわ。
でも今度一樹と蓮と3人で遊びに行って、その時、色々相談させてもらおう。
「蓮、ありがとな」
「いいよ。一樹にも話なね」
「おう」
急に名前を出されて驚いている一樹に、俺に抱きついたままの光琉を慰めている稜ちゃん。宇都宮はうんうんと頷いて……うわ…今姉ちゃんと被ったかも。
蓮の言う通りだな。不安も心配事もなくなってないけど、光琉に抱きしめられると俺…安心して穏やかな気持になるから。
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