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53.誕生日デート side光琉
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今日は日向と誕生日デート。
当日も暖達と一緒に祝ってくれたし、こんなに誕生日が嬉しいなんて生まれて初めてだ。
「誕生日おめでとう」
ハニカミながら伝える日向が可愛い。お試しとはいえ付き合えてよかった。告白してよかった。
もう離すつもりないから、覚悟してね。
「ありがとう日向」
最近の毎朝恒例行事、日向を抱きしめて俺のフェロモンを付ける。
きっと今もいつものように、車の中じゃだめなのかとでも考えてるんだろう。早くしてくれと言わんばかりに大人しくしている。
外でする理由の1つは牽制するため。近所に住んでいるのはベータばかりだからこそ、目で見て日向が俺のものだと分かるようにな。
しっかりと付けてから車に乗り込むと、ソワソワしだす日向。
「あのさ、隠しきれてないし、先に渡すな。これ、一応プレゼント」
「えっ!? いいの?」
まさか個別でももらえると思っていなかった。今日1日一緒に過ごしてくれることが、俺にとってはプレゼントだし、それに……。
日向に手渡されたのは少しサイズの大きい正方形の箱。箱にはリボンが結ばれており、結び目の近くにカードが挟まれていた。
「あっ! 恥ずかしいからそれは帰ってから読んで」
「ん。分かった」
カードに手を伸ばすと日向に止められてしまった。
あー、今すぐ読みたい。その気持をぐっと抑え、箱の中を開けていいか確認する。
「ケーキだ」
「うん…味の保証はしないけど」
「っ!! もしかして日向の手作り?」
「まぁ」
しかもりんごのケーキ。日向は自分のフェロモンがどんな匂いなのか知らない。だから単純に俺がりんご好きだと思ってりんごケーキにしてくれたんだろう。
「ありがとう。嬉しいよ」
「よかった」
めちゃくちゃ嬉しい。ニヤけてしまう口元を手で隠し、心を落ち着かせる。
「飾りたい」
「いや、腐る前に食べろよ」
これ、永久的に保存できたら良いのに…。
でも日向がせっかく作ってくれたんだ。少しずつ食べよう。もちろん一口だって誰にもあげない。
そうだ。この流れで、俺も今日どうしても日向に渡したかったものを渡そう。
「日向、この間作ったネックガードが届いたんだ。今日からはこっちを身に付けてほしい」
「今…?」
「そうしてほしい」
「分かった」
ベータ偽装用のネックガードとオメガ用の支給品を順に外し、日向の細くて白い首が露わになる。
ダメだ。発情しているわけでもないのに噛みたくて仕方ない。舐めたい。吸いたい。噛みつきたい。
「解除方法、指紋認証って言ってたよな?」
首元に顔を近づけそうになった時、不意に日向がこっちを向いた。
あっぶなかったぁ。
「指紋はもう登録してあるから大丈夫」
「………え?」
「ん? 俺の指紋ね。コレ、俺じゃないと外せないようになってるから」
「はっ!? えっ? なんで!?」
いくら頑丈にできていたって、簡単に外せたら意味ないでしょ。日向にお願いされてもこれは譲らないよ?
「日向の指紋も登録する? ダブル登録していたら安全だもんね」
「そうじゃなくて………光琉がいないと外せないって、家の中でもつけっぱなしってこと? お風呂とかは?」
「うん。防水加工してあるから、お風呂も問題ないよ」
日向が俺の家に住んでくれるなら、お風呂の時だけ外してあげるけどね。
「寝る時もこのまま?」
「そうなるね。でも付け心地は悪くないはずだから。1回試しに付けてみてほしい」
「……分かった。試しに、だからな」
試しでも何でも、1回付けたら俺の指紋認証がないと外せないのに。あーもう、俺に騙されてる事に気が付いてないのも可愛い。
「あれ?」
「付け心地悪かった?」
「というより、そもそも付けてる感じが全然しない…」
「よかった」
ちゃんと売り文句通りの物ができたんだな。
「家の中でも付けていられそう? お風呂も寝る時も」
「………付けられないわけじゃないけど」
「俺への誕生日プレゼントだと思って、このわがままを聞いてほしい」
「うっ。そこで誕生日を出すのはズルいぞ」
顔も耳も真っ赤にして、プイッと横を向く日向。可愛すぎる。
今日はあと何回この顔を見れるのだろう。今から楽しみで仕方ない。
あー、このまま閉じ込めたい。
当日も暖達と一緒に祝ってくれたし、こんなに誕生日が嬉しいなんて生まれて初めてだ。
「誕生日おめでとう」
ハニカミながら伝える日向が可愛い。お試しとはいえ付き合えてよかった。告白してよかった。
もう離すつもりないから、覚悟してね。
「ありがとう日向」
最近の毎朝恒例行事、日向を抱きしめて俺のフェロモンを付ける。
きっと今もいつものように、車の中じゃだめなのかとでも考えてるんだろう。早くしてくれと言わんばかりに大人しくしている。
外でする理由の1つは牽制するため。近所に住んでいるのはベータばかりだからこそ、目で見て日向が俺のものだと分かるようにな。
しっかりと付けてから車に乗り込むと、ソワソワしだす日向。
「あのさ、隠しきれてないし、先に渡すな。これ、一応プレゼント」
「えっ!? いいの?」
まさか個別でももらえると思っていなかった。今日1日一緒に過ごしてくれることが、俺にとってはプレゼントだし、それに……。
日向に手渡されたのは少しサイズの大きい正方形の箱。箱にはリボンが結ばれており、結び目の近くにカードが挟まれていた。
「あっ! 恥ずかしいからそれは帰ってから読んで」
「ん。分かった」
カードに手を伸ばすと日向に止められてしまった。
あー、今すぐ読みたい。その気持をぐっと抑え、箱の中を開けていいか確認する。
「ケーキだ」
「うん…味の保証はしないけど」
「っ!! もしかして日向の手作り?」
「まぁ」
しかもりんごのケーキ。日向は自分のフェロモンがどんな匂いなのか知らない。だから単純に俺がりんご好きだと思ってりんごケーキにしてくれたんだろう。
「ありがとう。嬉しいよ」
「よかった」
めちゃくちゃ嬉しい。ニヤけてしまう口元を手で隠し、心を落ち着かせる。
「飾りたい」
「いや、腐る前に食べろよ」
これ、永久的に保存できたら良いのに…。
でも日向がせっかく作ってくれたんだ。少しずつ食べよう。もちろん一口だって誰にもあげない。
そうだ。この流れで、俺も今日どうしても日向に渡したかったものを渡そう。
「日向、この間作ったネックガードが届いたんだ。今日からはこっちを身に付けてほしい」
「今…?」
「そうしてほしい」
「分かった」
ベータ偽装用のネックガードとオメガ用の支給品を順に外し、日向の細くて白い首が露わになる。
ダメだ。発情しているわけでもないのに噛みたくて仕方ない。舐めたい。吸いたい。噛みつきたい。
「解除方法、指紋認証って言ってたよな?」
首元に顔を近づけそうになった時、不意に日向がこっちを向いた。
あっぶなかったぁ。
「指紋はもう登録してあるから大丈夫」
「………え?」
「ん? 俺の指紋ね。コレ、俺じゃないと外せないようになってるから」
「はっ!? えっ? なんで!?」
いくら頑丈にできていたって、簡単に外せたら意味ないでしょ。日向にお願いされてもこれは譲らないよ?
「日向の指紋も登録する? ダブル登録していたら安全だもんね」
「そうじゃなくて………光琉がいないと外せないって、家の中でもつけっぱなしってこと? お風呂とかは?」
「うん。防水加工してあるから、お風呂も問題ないよ」
日向が俺の家に住んでくれるなら、お風呂の時だけ外してあげるけどね。
「寝る時もこのまま?」
「そうなるね。でも付け心地は悪くないはずだから。1回試しに付けてみてほしい」
「……分かった。試しに、だからな」
試しでも何でも、1回付けたら俺の指紋認証がないと外せないのに。あーもう、俺に騙されてる事に気が付いてないのも可愛い。
「あれ?」
「付け心地悪かった?」
「というより、そもそも付けてる感じが全然しない…」
「よかった」
ちゃんと売り文句通りの物ができたんだな。
「家の中でも付けていられそう? お風呂も寝る時も」
「………付けられないわけじゃないけど」
「俺への誕生日プレゼントだと思って、このわがままを聞いてほしい」
「うっ。そこで誕生日を出すのはズルいぞ」
顔も耳も真っ赤にして、プイッと横を向く日向。可愛すぎる。
今日はあと何回この顔を見れるのだろう。今から楽しみで仕方ない。
あー、このまま閉じ込めたい。
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