【本編完結】運命の番〜バニラとりんごの恋〜

みかん桜(蜜柑桜)

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41.文化祭2日目

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 文化祭2日目の今日は一般公開日のため、門の横に受付用の簡易テントが建てられている。ここで来場者に配られる投票券の数が、賞を取るのに大きく関わってくるんだよな。

「うちのクラス、どれくらい票入れてもらえるかな」

 そんな会話をしながら教室へ入ると、クラスのみんなもどのクラスが展示部門の賞を取れるか話していた。

「おはよー」
「あっ、岩清水くん。おはよう」

 松本さん、朝からテンション高いな。

「昨日ってどれくらいの人が立ち寄ってくれたんだろ。松本さん知ってる?」
「人数までは分からないけど、見に来てくれた人はみんな凄いって写真を撮っていく人が多かったって」
「そうなんだ。写真撮ってくれるとか嬉しいね。今日もたくさん来てくれると良いな」

 話し終わると同時に光琉に手を引かれ、なんとなく自分の席付近に移動。机も椅子も隣のクラスにあるのに、定位置に行ってしまうのってなんでだろ?

 定位置に着くと、一樹も別のクラスメイトから情報を得ていた。それによると午後からの方が立ち寄る人が多かったみたい。でも俺と光琉は今日も始まってすぐの時間が担当だから、きっとまた誰も来ないまま担当時間が終わりそうだな。

 シフト以外の時間に様子を見に来ようかと光琉と相談していると、教室のどこからかプラネタリウムの話が聞こえてくる。

「2年のプラネタリウム、クオリティ高すぎだった」
「本格的だったよな」
「聞いた話では天文部の部長がいるらしいよ」
「しかも担任が顧問」

 わお。そりゃあの出来栄えの物ができるわけだ。

「日向、今日は2人でプラネタリウムに行こうよ」
「えっ!? 2人で?」
「いや?」
「いやってことはないけど…」

 10分程度とは言え、あの雰囲気の中に光琉と2人きりなんて無理だ。横になって見れるようにカーペットが敷かれていたし、昨日は両隣が一樹と蓮だったから純粋にプラネタリウムを楽しめたけど、光琉が隣とかドキドキしすぎてそれどころじゃなくなる。

「俺は行きたいけど、日向が嫌なら無理強いはしないよ」
「………いやじゃない」



 担当時間が終わりまず最初はバスケ部のミニゲームをしに体育館へ。

「よしっ! 今日は絶対に外さないぞ!!」
「日向頑張ってね」

 なんだかギャラリーが多い気がするけど、昨日も挑戦してコツは掴んだはず。狙いを定めて…

 シュッ。パシュ。

「よしっ」

 まずは1球。

 シュッ、シュッ……連続的にシュートを決めていく。

「やった」

 その後も外すことなく、5球全て成功した。うん、満足。

「さすが日向~! はい、バニラクッキー」

 一樹から念願のバニラクッキーを受け取り、更に人が多くなってきた体育館を出る。蓮は今日も午前中にシフトが組まれているようなので、昨日同様アップルティーをテイクアウトしに蓮のクラスへと向かった。

「バニラクッキーにはアップルティーが一番合うと思うんだ」
「ふっ。俺もそう思うよ」

 クッキーと紅茶ってなんでもそれなりに合うだろ、なんてことには気付かないふり。



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