【本編完結】運命の番〜バニラとりんごの恋〜

みかん桜(蜜柑桜)

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37.文化祭1日目②

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 文化祭が始まり、まずは机や椅子の移動。隣のクラスの出し物が劇のため、置かせてもらえるんだ。空き教室まで移動させなくて済んで助かったよ。

 早々に移動させ、俺と光琉が一番最初に店番。といっても最初に俺達のクラスに来るやつなんてそういないだろう。

「2年5組、プラネタリウムだって」
「気になる?」
「うん。展示部門の賞候補らしいからな」

 俺達めっちゃ頑張ったし。賞取りたいじゃん。って言っても食堂で使える食券が貰えるとか、金一封とか、そういうのはなにもないけど。

 写真部とか美術部なんかは絵画や、写真コンクールに出す予定の作品を飾ったり…あれ? コンクールに出した作品だっけ? とにかく文化部系の部活は外部にも出す作品を展示しているから、学校で評価されると地元新聞に載ったり、専門雑誌に載ったりなんかがあるらしいけどな。

「でもプラネタリウムはみんなと合流してからにしよう」

 一樹はバスケ部の方にも行かないとだし、稜ちゃんは後期生徒会に入っているから見回りの仕事がある。2人と昼に合流するまで宇都宮も適当に過ごすらしく、午前中は店番後も光琉と2人だ。

 学生が作ったものだって言ってもプラネタリウムなんて2人で入ったら雰囲気に飲まれてしまいそうだし。

「まずはどこから回る?」
「光琉は行きたいところないのか?」
「日向と一緒ならどこでも」
「っ/// またそうやってからかう」

 案の定、誰一人見にこなかった。そりゃ一通り行きたい場所に行ってちょっと休憩するかって時とか、外から見つけて行ってみようってなってからだよな、ステンドグラスを見に行こうってなるのは。

「蓮のクラスがカフェらしいんだ。アップルティーもあるって言ってたから…」
「いいよ。まずそこに行こうか」

 当初は光琉と蓮を会わせたくなかった。でもせっかく蓮と友達になったのに学校で無視するなんてこと俺には出来ないし、光琉とはずっと一緒にいるから2人を会わせないなんて不可能だったんだ。

 それに心配する必要が無いくらい、お互いがお互いに興味ないと言うか…一樹を入れた3人から、俺と一番仲がいい友達は自分だ! ってなんか俺、取り合われてるんだよ。

 友達か…と少しだけ複雑な気持ちになったけど、それ以上に光琉が蓮に興味を抱かなくて物凄く安心したんだけどな。

「蓮!」

 蓮のクラスに着くと、ちょうど蓮が廊下に出ていた。

「日向じゃん。せっかく来てくれたのに申し訳ないけど満席なんだよね」
「並ぶから…ってすごい列だな」

 メイドや執事カフェっていうわけでもなく、ごくごく普通の、強いて言うなら紅茶の種類が豊富なカフェってだけなのにこの列の長さ。本人に言うと嫌がるだろうから言わないけど、恐らく客の殆どが蓮目当てだと思う。

「一応テイクアウトもあるけど」
「光琉どうする?」
「俺はテイクアウトでいいよ」

 蓮のクラスの女子が、ずっとここにいてほしそうな目線を光琉に送っているけど、無視無視。

「じゃあそうしよっか。俺も蓮に会いたかっただけだし」
「あっそ///」

 赤くなって可愛い~。チラッと光琉の様子を確認してみたら目が合った。

「な、なに?」
「メニューを悩む姿も可愛いなと思って」

 なっ!! 蓮の前で可愛いとかなんの嫌がらせだよ。

「――さっさと付き合えばいいのに――」
「蓮ごめん、なんて言ったか聞こえなかった」
「気にしないで」

 そういえば蓮ってクラスに友達いないって言ってたけど、店番終わったらどうするんだろう?

「昼からって蓮どうしてる?」
「適当に過ごす予定」
「ならさ、俺達と一緒にまわろうよ」
「えっ!」「は?」

 光琉、さすがに『は?』はダメだろ。

「いや、悪いよ」

 ほら、蓮が遠慮してしまったじゃないか。

 といっても俺も蓮の店番が何時までか知らないのに、光琉と2人で回れる午前中については言及せず、昼からの予定を聞いてるから人のこと言えないんだけど。

「日向、6人はちょっと大所帯すぎない?」
「あ、日比野くん達と合流するんだ」
「その予定」
「やっぱり一緒に回る」
「? おっけ」

 待ち合わせ場所と時間を伝え、テイクアウトしたアップルティー2つを受け取って、バスケ部がやっているミニゲームをしに向かった。


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