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36.文化祭1日目
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待ちに待った文化祭。
門には昨日なかったアーチが設置されていて、いつもとは雰囲気がガラッと違う学校。1日目の今日は校内のみだから、できるだけ今日のうちにたくさん回っておこう。
店番の担当が割り振られているけど始まってすぐの時間だし。本来、うちのクラスは展示なので、ご自由にどうぞって開放するだけで店番をする必要はない。けど見に来てくれた人の反応を見たいからと、順に案内役をすることにしたんだ。
教室に入ると昨日飾ったステンドグラスが美しく輝いている。見るたびに頑張ってよかったなぁって思える出来だな。
「中学の時より全然すごいの出来ちゃった」
「そう? 日向が中学で作ったのもキレイだったよ」
「ありがと。でも複雑さが違うし、窓全部使って一つの作品にしたのが良かったのかもな」
俺達のようにクラスのみんなも誇らしげにしている。普段は窓側の席で嬉しいのに、今日だけは廊下側が良かったかも。
ステンドグラスに触れないよう気を付けながら席に座ると、松本さんが俺達のところにやってきた。
「岩清水くん、香坂くん、おはよう」
「おはよう松本さん」
「あのね、コレよかったら受け取ってもらえないかな?」
写真…? 裏向きで渡された写真立てを受け取り、どんな写真だろうと表に向けてみると…
「これ、ステンドグラスのデザイン?」
「それを少しアレンジしてみたの」
ステンドグラスのデザインを元に、ひよこが真ん中でバニラとりんごの花束を持っている。花や花びらが外側に向かって広がっているように、背景にもそれらが描かれている絵。
「ほら、岩清水くんってピヨちゃんって呼ばれてるでしょ? だから宇都宮くんが描いたひよこが岩清水くんに見えてきたっていうか…名前も日向でヒナだし」
「あーうん」
ヒナね。俺はそういう可愛いイメージとかけ離れてるし、なんとも言えない気持ちになるんだけど。
「描きたかったのもあるけど、前に余計なことを聞こうとしたお詫びだと思って受け取ってくれないかな」
「お詫び?」
……? もしかして前になにか聞こうとしてやめた、アレ? 謝るようなことを聞かれるところだったのか。
何と返すべきか悩んでいると光琉が松本さんと話しだした。
「他意はないんだよな?」
「これで香坂くんの怒りも沈めてもらえると…」
えっ、光琉怒ってたのか?
「日向のこと可愛いって言ってるよね」
「それは弟的な要素でって言うか、恋愛的要素は一切ないので!」
「そう。なら貰っておく」
「はい! ありがとうございます」
告ってないのに振られた感じ、なんだこれ。
「日向よかったね。このひよこ気に入ってたでしょ?」
「あぁ、うん。松本さんありがとう」
理由なく描いたからこれあげる~って渡される方が素直に受け取れたよ。
「一緒に作ったステンドグラスの隣に飾ろうかな」
絵に罪はないし。
「日向も飾ってくれてるの?」
「せっかく作ったしな。光琉も?」
最初に2人で考えたデザイン案。みんなも余ったカラーセロファンで好きに作っていたし、俺達も作ったんだ。その、下書きは宇都宮に描いてもらってな。
「もちろん。あれって俺達みたいに見えていいよね」
「なっ/// 何言ってるんだよ」
ただの花だし。
担任が教室に入ってきて、注意事項なんかを伝えられ…放送がなっていよいよ文化祭が始まった。
門には昨日なかったアーチが設置されていて、いつもとは雰囲気がガラッと違う学校。1日目の今日は校内のみだから、できるだけ今日のうちにたくさん回っておこう。
店番の担当が割り振られているけど始まってすぐの時間だし。本来、うちのクラスは展示なので、ご自由にどうぞって開放するだけで店番をする必要はない。けど見に来てくれた人の反応を見たいからと、順に案内役をすることにしたんだ。
教室に入ると昨日飾ったステンドグラスが美しく輝いている。見るたびに頑張ってよかったなぁって思える出来だな。
「中学の時より全然すごいの出来ちゃった」
「そう? 日向が中学で作ったのもキレイだったよ」
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俺達のようにクラスのみんなも誇らしげにしている。普段は窓側の席で嬉しいのに、今日だけは廊下側が良かったかも。
ステンドグラスに触れないよう気を付けながら席に座ると、松本さんが俺達のところにやってきた。
「岩清水くん、香坂くん、おはよう」
「おはよう松本さん」
「あのね、コレよかったら受け取ってもらえないかな?」
写真…? 裏向きで渡された写真立てを受け取り、どんな写真だろうと表に向けてみると…
「これ、ステンドグラスのデザイン?」
「それを少しアレンジしてみたの」
ステンドグラスのデザインを元に、ひよこが真ん中でバニラとりんごの花束を持っている。花や花びらが外側に向かって広がっているように、背景にもそれらが描かれている絵。
「ほら、岩清水くんってピヨちゃんって呼ばれてるでしょ? だから宇都宮くんが描いたひよこが岩清水くんに見えてきたっていうか…名前も日向でヒナだし」
「あーうん」
ヒナね。俺はそういう可愛いイメージとかけ離れてるし、なんとも言えない気持ちになるんだけど。
「描きたかったのもあるけど、前に余計なことを聞こうとしたお詫びだと思って受け取ってくれないかな」
「お詫び?」
……? もしかして前になにか聞こうとしてやめた、アレ? 謝るようなことを聞かれるところだったのか。
何と返すべきか悩んでいると光琉が松本さんと話しだした。
「他意はないんだよな?」
「これで香坂くんの怒りも沈めてもらえると…」
えっ、光琉怒ってたのか?
「日向のこと可愛いって言ってるよね」
「それは弟的な要素でって言うか、恋愛的要素は一切ないので!」
「そう。なら貰っておく」
「はい! ありがとうございます」
告ってないのに振られた感じ、なんだこれ。
「日向よかったね。このひよこ気に入ってたでしょ?」
「あぁ、うん。松本さんありがとう」
理由なく描いたからこれあげる~って渡される方が素直に受け取れたよ。
「一緒に作ったステンドグラスの隣に飾ろうかな」
絵に罪はないし。
「日向も飾ってくれてるの?」
「せっかく作ったしな。光琉も?」
最初に2人で考えたデザイン案。みんなも余ったカラーセロファンで好きに作っていたし、俺達も作ったんだ。その、下書きは宇都宮に描いてもらってな。
「もちろん。あれって俺達みたいに見えていいよね」
「なっ/// 何言ってるんだよ」
ただの花だし。
担任が教室に入ってきて、注意事項なんかを伝えられ…放送がなっていよいよ文化祭が始まった。
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