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33.文化祭準備
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「では皆さんどんどんアイデアを出してくださーい」
先生に任された文化祭委員の2人が前に立ち、クラスでやる文化祭の出し物について話し合う。
高校に入って初めての文化祭だからみんなちょっと浮足立っているな。俺もその1人で楽しみで仕方ないんだけど。
だって文化祭があるのは11月。少し前に前回から計算して約3ヶ月で発情期がきたし、西井戸先生にも次も3ヶ月後だろうって言われた。ということは…文化祭は発情期と被らない! しかもこのままこの周期だったら、3年間体育祭は危ういけど文化祭は参加できるはず。
「光琉達って中学の時も文化祭あった?」
「あったよ。一般公開はなかったけどね」
さすが私立。
「いいなぁ。俺達の中学は文化祭って言うより芸術発表会って感じで、クラスごとに展示物の作成と合唱だったんだ。な、一樹」
「そうそう。中3の時のステンドグラスは達成感半端なかったよな」
「それな」
個々で作ったものを飾っているクラスもあったけど、中学最後の芸術発表会だから、思い出に残るようみんなで一つのものを作ろうって話になってさ。
作業しながら合唱曲歌ったり、楽しかったな。
「ステンドグラスいいじゃん」
「宇都宮とステンドグラスとか一番似合わないよ」
「ピヨちゃん…俺結構芸術好きよ?」
「ふーん」
確かに前に行った宇都宮のホテルに絵画とか飾ってなぁ…何が描かれてるのかよく分からなかったけど。
「ステンドグラス、私もいいと思います」
「さすが稜ちゃん」
「日向はステンドグラス、やりたい?」
「ん~。模擬店もやってみたいけど…」
でも模擬店ならカフェとかだよな? 光琉、絶対接客やらされるよな? 一般公開日はオメガの人もたくさん来るだろうし…俺がなにか言える立場じゃないってことは分かってるけどさ。不安とか言う立場じゃないけど。
なんかやだ。取られるかもって…光琉の存在を知られたくないって思っちゃう。
「松本さん絵の才能あるし、このクラスでステンドグラスやったら去年より凄いのが作れそう」
「松本さん?」
? 松本さんで名前合ってたよな? えっ、もしかして…
「……今前に立ってる文化祭委員だけど。名前知らないとか言わないよな?」
「知らない」
「体育祭の応援団旗、一緒に作業したのに?」
「あぁ、そういえばもう一人いたな」
そういえばって…
「松本さんが団旗のデザイン考えたってことも覚えてないのか?」
「覚えてない」
「うちのクラスの団旗、好評だったって聞いたけど」
「それどころじゃなかったから」
「そ、そっか」
それって俺が発情期で休んでる事が気がかりだったって聞こえるけど? はぁ。お願いだから心臓に悪い反応しないでほしい。
「模擬店も捨てがたいけど、ステンドグラスやりたくなってきたかも。俺、体育祭休んじゃって好評だった団旗の完成品見てないし」
応援団旗が太陽の光に当たった完成品を、写真じゃなく実物を見たかったってのは本当。
「俺もステンドグラスがいいと思う」
光琉もステンドグラスがやりたくなったのか?
「なら今度写真持ってくるな」
「楽しみにしてる」
そう言ってガヤガヤとクラスで話し合っている中、光琉がステンドグラスを提案してくれた。
「松本、ステンドグラス」
「えっ? ステンドグラスですか?」
「そう。日向と日比野が中学でやったことがあるらしい」
さすが松本さんというべきか、今まで出た案の中で一番興味が湧いたようで、俺と一樹で詳しく説明することに。
「カラーセロファンを使うんだ」
「予めデザインを考えてセロファンで貼っていくだけなんだけどな。結構大変だけど、達成感もあるし」
「そうそう。最後は窓に飾るんだけど、想像以上の出来になるからその時の達成感がな」
2人で思い出しながら話していると、当時のことが思い出されて自然と笑みがこぼれてくる。その様子を見て松本さんを始めクラスのみんなも興味が湧いてきたようだ。
「模擬店をするクラスが多いだろうし、しかもカフェが多いと確か抽選って言ってたから…ステンドグラス、ありかもね」
「松本さん絵の才能あるし、もちろん任せっきりにはしないけど、いくつかデザイン案出し合って作るのもいいかなって」
「ふふ。ありがとう。では今あがってるカフェ、お化け屋敷、劇、ステンドグラス、この4つで多数決取りまーす」
多数決の結果、うちのクラスはステンドグラスをすることになった。テーマを決めて窓ごとにデザインするか、一つの絵にするかはデザイン案を出し合ってから決めるっぽい。
先生に任された文化祭委員の2人が前に立ち、クラスでやる文化祭の出し物について話し合う。
高校に入って初めての文化祭だからみんなちょっと浮足立っているな。俺もその1人で楽しみで仕方ないんだけど。
だって文化祭があるのは11月。少し前に前回から計算して約3ヶ月で発情期がきたし、西井戸先生にも次も3ヶ月後だろうって言われた。ということは…文化祭は発情期と被らない! しかもこのままこの周期だったら、3年間体育祭は危ういけど文化祭は参加できるはず。
「光琉達って中学の時も文化祭あった?」
「あったよ。一般公開はなかったけどね」
さすが私立。
「いいなぁ。俺達の中学は文化祭って言うより芸術発表会って感じで、クラスごとに展示物の作成と合唱だったんだ。な、一樹」
「そうそう。中3の時のステンドグラスは達成感半端なかったよな」
「それな」
個々で作ったものを飾っているクラスもあったけど、中学最後の芸術発表会だから、思い出に残るようみんなで一つのものを作ろうって話になってさ。
作業しながら合唱曲歌ったり、楽しかったな。
「ステンドグラスいいじゃん」
「宇都宮とステンドグラスとか一番似合わないよ」
「ピヨちゃん…俺結構芸術好きよ?」
「ふーん」
確かに前に行った宇都宮のホテルに絵画とか飾ってなぁ…何が描かれてるのかよく分からなかったけど。
「ステンドグラス、私もいいと思います」
「さすが稜ちゃん」
「日向はステンドグラス、やりたい?」
「ん~。模擬店もやってみたいけど…」
でも模擬店ならカフェとかだよな? 光琉、絶対接客やらされるよな? 一般公開日はオメガの人もたくさん来るだろうし…俺がなにか言える立場じゃないってことは分かってるけどさ。不安とか言う立場じゃないけど。
なんかやだ。取られるかもって…光琉の存在を知られたくないって思っちゃう。
「松本さん絵の才能あるし、このクラスでステンドグラスやったら去年より凄いのが作れそう」
「松本さん?」
? 松本さんで名前合ってたよな? えっ、もしかして…
「……今前に立ってる文化祭委員だけど。名前知らないとか言わないよな?」
「知らない」
「体育祭の応援団旗、一緒に作業したのに?」
「あぁ、そういえばもう一人いたな」
そういえばって…
「松本さんが団旗のデザイン考えたってことも覚えてないのか?」
「覚えてない」
「うちのクラスの団旗、好評だったって聞いたけど」
「それどころじゃなかったから」
「そ、そっか」
それって俺が発情期で休んでる事が気がかりだったって聞こえるけど? はぁ。お願いだから心臓に悪い反応しないでほしい。
「模擬店も捨てがたいけど、ステンドグラスやりたくなってきたかも。俺、体育祭休んじゃって好評だった団旗の完成品見てないし」
応援団旗が太陽の光に当たった完成品を、写真じゃなく実物を見たかったってのは本当。
「俺もステンドグラスがいいと思う」
光琉もステンドグラスがやりたくなったのか?
「なら今度写真持ってくるな」
「楽しみにしてる」
そう言ってガヤガヤとクラスで話し合っている中、光琉がステンドグラスを提案してくれた。
「松本、ステンドグラス」
「えっ? ステンドグラスですか?」
「そう。日向と日比野が中学でやったことがあるらしい」
さすが松本さんというべきか、今まで出た案の中で一番興味が湧いたようで、俺と一樹で詳しく説明することに。
「カラーセロファンを使うんだ」
「予めデザインを考えてセロファンで貼っていくだけなんだけどな。結構大変だけど、達成感もあるし」
「そうそう。最後は窓に飾るんだけど、想像以上の出来になるからその時の達成感がな」
2人で思い出しながら話していると、当時のことが思い出されて自然と笑みがこぼれてくる。その様子を見て松本さんを始めクラスのみんなも興味が湧いてきたようだ。
「模擬店をするクラスが多いだろうし、しかもカフェが多いと確か抽選って言ってたから…ステンドグラス、ありかもね」
「松本さん絵の才能あるし、もちろん任せっきりにはしないけど、いくつかデザイン案出し合って作るのもいいかなって」
「ふふ。ありがとう。では今あがってるカフェ、お化け屋敷、劇、ステンドグラス、この4つで多数決取りまーす」
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