【本編完結】運命の番〜バニラとりんごの恋〜

みかん桜(蜜柑桜)

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24.誕生日パーティー

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「「おめでとー」」
「おめでとうございます」
「日向、おめでとう」

 四者三様にお祝いの言葉をくれる。

「ありがとう!!」

 そう、今日は俺の16歳の誕生日! 実は光琉とは朝からずっと一緒にいる。

 元々は一樹の部活終わりに集まって、バーベキューをしようって話になってたんだ。ちなみに宇都宮の親が経営してるグランピング施設で。

 待ち合わせの時間まではゲームでもしてようかなってところに、せっかくだからどこか遊びに行こうって光琉から連絡がきてさ。

 家まで迎えに来てくれて、映画を観て、お昼ご飯を食べ、洋服やアクセサリーを見たり、前に行ったパンケーキのお店では2人でパンケーキをシェアしたり。

 控えめに言ってめちゃくちゃ楽しかった。

「くすくす」
「ん? なにか面白いことあった?」
「光琉って本当にりんご好きだよなぁって。フルーツパンケーキのりんごは全部光琉が食べてたし、ドリンクはアップルティーだったし、今だってそれリンゴジュースじゃん」
「りんご大好きって言ったでしょ。はい、日向にはバニラヨーグルト」

 俺調査によると、光琉は自分のフェロモンの匂いを知らない。だから俺のバニラ好きがバレたけど、堂々としてるんだ。まぁ俺も自分の匂いなんて知らないしな。

「おーい、肉焼けたぞー」
「光琉、肉取りに行こう! 宇都宮~俺めっちゃお腹すいた~」
「仕方ない。今日の主役、ピヨちゃんには一番でかい肉をやろう」
「やったー!」

 絶対高い肉をお腹いっぱい食べ、何人前だ? ってくらい大きいケーキのロウソクの火を吹いて…。

「はい、これみんなで選んだプレゼントな」
「おぉ! サンキュー。開けていい?」

 シュル…ペリッ…ゴソゴソ…

 しっかりとした包装紙にくるまれているプレゼントを丁寧にほどき、ワクワしながら箱を開けると、フワッとバニラの香りがした。

「オーデコロン?」
「そう。毎日付けてね」
「ありがとう!」

 …これ、光琉のフェロモンにちょっと似てるよって教えたらどんな反応するんだろう。贈ったことを後悔する?

「そういや日向、香坂から個別では何を貰ったんだ?」
「っ!! な、なんでそんな事聞くんだよ。誕生日プレゼントは本人以外の4人みんなで買うって決めたじゃん」

 なんで光琉から個別でも貰ってること、一樹が知ってるんだよ。

 実は光琉からスイーツ詰め合わせとサマーストールを貰ってる。家に迎えに来てくれた時にもらったから、スイーツは置いてきたけど。

 光琉の作るスイーツまじで美味しくてさ。絶対誰にも…姉ちゃんとか、姉ちゃんとか、姉ちゃんとかに取られたくないから、部屋に隠してきた。

「―あいつ、俺達からのも1人で選んだくせに、個別でも用意してたのかよ―」
「―想定内ですけどね―」

「稜ちゃん?」
「いえ。そのサマーストール似合ってますね」
「ふっふー。ありがとう」

 サマーストールは貰ってすぐに身に着けたんだ。




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