【本編完結】運命の番〜バニラとりんごの恋〜

みかん桜(蜜柑桜)

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20.姉ちゃんと買物②

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「日向? 知り合いでもいたの?」
「なん、でもない」
「そう?」

 姉ちゃんお気に入りのショップに向かっている途中で目に入った二人組。バーゲン中で、百貨店内には沢山の人がいるのに見つけてしまった。結構遠かったのに、なんで俺見つけちゃうかなぁ。

 化粧品とか、香水とか、いろんな匂いがするから…光琉の匂いに全く気が付かなかった。目で見るより先に匂いに気が付いてたら、あの光景を見ずに済んだのに。

 ……いや、匂いがしたら無意識にそっちに向かって行っちゃってるか。


 彼女、だよなぁ…やっぱり。

 キレイな人だった。ちょっと年上過ぎるようにも見えたけど、大人っぽい格好をしているだけかもしれないしな。それに多分アルファ女性だから、年上に見えただけかもしれない。

 俺なんか全然相手にならないくらいの美人。光琉に微笑みかけて、楽しそうだった。

 そっかぁ…付き合ってる人がいるから、俺っていう運命に抗えたんだ。

 分かってたのに、やっぱちょっと辛いなぁ。


「これ、日向似合うんじゃない? ほら当ててみて」
「俺はいいよ」
「いいからっ、ほら」

 鏡の前に連れてこられ、姉ちゃんは手に持ってる服を俺の体に当ててくるけど、正直、今服とかどうでもいい。

「…………ねぇ。やっぱり何かあったでしょ?」
「……別に」

 もう俺のことなんか無視して自分の服だけ選んでてよ。

「さっきの美男美女カップル」
「っ!!」
「ずっと見てたよね。友達?」

 はっ。俺分かりやすすぎ。

「男の方が…クラスメイト」
「もしかしてこないだ一緒にプール行ったうちの1人?」
「あぁ、うん」
「そっか。大人っぽい子だったね」
「うん…」

 彼女に合わせているのか、確かにいつもより大人っぽかった。

「日向の好きな人?」
「は? ち、違うし」

 好きな人か。俺が恋愛とか…諦めたはずなのに笑えるよな。

「ねぇ日向。ワイヤレスイヤホン買って今日はもう帰ろっか」
「姉ちゃんバーゲン来たかったんじゃないの」
「なぁんか気分じゃなくなっちゃった」

 姉ちゃんごめん。ありがとう。

「どういたしまして」
「俺何も言ってない」
「そ? お姉ちゃんには分かるのよ」
「あっそ」

 帰りにコンビニでバニラアイス買おうって。姉ちゃんにもバニラ味が最近好きだってことバレてたんだな。

 俺がいちご味よりバニラ味を選ぶようになったのって、運命の番の匂いがバニラだからだよって言ったら、姉ちゃん喜ぶ? 流石に今日は喜ばないか。


―――
少し短いですが、キリが良いのでここで一旦切ります

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