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☆番外編☆
蜂蜜オイル
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リリーナとアルフレッド 15歳 学園入学前
フラン=アルフレッドの身バレ防止の呼び名
――――――――――――――
アルフレッド様とお忍びで王都貴族街でランチを終え、王宮へ戻る前に少しこの辺りを散策することに。
王都貴族街はとても広く、何度も足を運んでいてもまだ知らないお店がたくさんある。毎回滞在時間が短いことも原因の1つだけど。
「こちらのお店に入ってもいいですか?」
「オイル専門店か」
どちらかといえば工房といった方が良さそうな店構えだけど、販売もしているみたい。基礎化粧品の補充は私が何も言わなくても使用人がしてくれているし、新しい香りにしたければ家に呼べばいいのだけど、せっかくだからと入ってみたい気持ちが勝ってしまった。
「すごい数だな」
店内に入ると数多くのオイルが並べられ、蜂蜜オイルだけでも数種類が取り揃えてある。すごい、こんなにも種類があったなんて知らなかった。
「自分好みに調合することもできるみたいですね」
ずっと蜂蜜オイルを使っているけれど、もうすぐ学園に入学するし、そろそろ大人っぽい香りの物にしようかしら? 前世好きだった薔薇のオイルもいいわよね。
「いい香り」
「薔薇にするのか?」
「似合わないですか?」
15歳には大人っぽすぎただろうか?
「いや…薔薇の香りは母上が愛用しているからどうしても母上を思い出してしまうんだ」
確かに王妃様はいつも薔薇のいい香りがしている。女性の憧れの的だし、私のことも可愛がってくださるとても尊敬できるお方なのだけど……母親を思い出すと言われるとなんとも使いにくい。
薔薇以外で気に入るものがないかと物色していると、店主に声をかけられた。
「よろしければお好みで調合されますか?」
要するにオーダーメイドを店側から勧められ、店頭に並んでいない珍しいオイルまで出してくれた。これは高位貴族だとバレたなと思いつつも様々な香りを試していると、アルフレッド様が何度も同じ物を手に取っていることに気がついた。
「ラベンダー、ですか?」
「あぁ。すごく落ち着く。それにこの色も好きだ」
紫…アルフレッド様の持ち物に私の瞳の色である紫色が多いのは、きっと自意識過剰じゃない。
「何と合わせてみましょうか」
「蜂蜜だろう?」
「ふふ。はい」
数種類ある蜂蜜の中から、ラベンダー蜂蜜を選び合わせることに。無難に…と選んだけれどものすごく貴重で高価な物らしい…まぁ、出せちゃうんだけどね。
「これ好きかも…」
「いい香りだな」
程よい蜂蜜の甘い香りに、ラベンダーの香りが心を落ち着かせてくれる。確か前世ではラベンダーってそういう効果があるって言われていた気がする。
「こちらにしようと思います。フラン様はどう思われますか?」
「もう少し蜂蜜の甘い香りが出てもいい」
「ではこちらと、蜂蜜を多めにしたものと2種類のオイルをお願いしましょう」
調合した2種類を公爵家に送ってもらうよう伝え、ラベンダー蜂蜜オイルとラベンダーオイルをそれぞれ私が愛用しているヘアオイルやボディクリームなど、基礎化粧品を作ってくれている工房へ送ってもらうようお願いしてから、王宮へと戻った。
今使っているものは子供がいる使用人にあげることにしよう。使いかけをあげるなんて…って思わないわけじゃないけど、あげるって言わなきゃ捨てられるだけだしね。
「アルフレッド様って蜂蜜の香り好きですよね」
「…………」
「アルフレッド様?」
「リリーナ様が愛用されている蜂蜜オイルって、確か殿下の瞳の色に似ていましたよね」
「ダニエルっ!」
な、なるほど。でも香りに色は付いてないのに。
「それだけではなく、初めて好きと言う言葉を聞いたのが……」
「ダニエルっ!!」
婚約した日、王宮の庭園で蜂蜜が好きだと言っていたリリーナ。
アルフレッドは初めてリリーナから好きという言葉を聞き、その日から蜂蜜が特別なものになったのだとダニエルが何度も聞かされているとは、リリーナは知る由もない。
フラン=アルフレッドの身バレ防止の呼び名
――――――――――――――
アルフレッド様とお忍びで王都貴族街でランチを終え、王宮へ戻る前に少しこの辺りを散策することに。
王都貴族街はとても広く、何度も足を運んでいてもまだ知らないお店がたくさんある。毎回滞在時間が短いことも原因の1つだけど。
「こちらのお店に入ってもいいですか?」
「オイル専門店か」
どちらかといえば工房といった方が良さそうな店構えだけど、販売もしているみたい。基礎化粧品の補充は私が何も言わなくても使用人がしてくれているし、新しい香りにしたければ家に呼べばいいのだけど、せっかくだからと入ってみたい気持ちが勝ってしまった。
「すごい数だな」
店内に入ると数多くのオイルが並べられ、蜂蜜オイルだけでも数種類が取り揃えてある。すごい、こんなにも種類があったなんて知らなかった。
「自分好みに調合することもできるみたいですね」
ずっと蜂蜜オイルを使っているけれど、もうすぐ学園に入学するし、そろそろ大人っぽい香りの物にしようかしら? 前世好きだった薔薇のオイルもいいわよね。
「いい香り」
「薔薇にするのか?」
「似合わないですか?」
15歳には大人っぽすぎただろうか?
「いや…薔薇の香りは母上が愛用しているからどうしても母上を思い出してしまうんだ」
確かに王妃様はいつも薔薇のいい香りがしている。女性の憧れの的だし、私のことも可愛がってくださるとても尊敬できるお方なのだけど……母親を思い出すと言われるとなんとも使いにくい。
薔薇以外で気に入るものがないかと物色していると、店主に声をかけられた。
「よろしければお好みで調合されますか?」
要するにオーダーメイドを店側から勧められ、店頭に並んでいない珍しいオイルまで出してくれた。これは高位貴族だとバレたなと思いつつも様々な香りを試していると、アルフレッド様が何度も同じ物を手に取っていることに気がついた。
「ラベンダー、ですか?」
「あぁ。すごく落ち着く。それにこの色も好きだ」
紫…アルフレッド様の持ち物に私の瞳の色である紫色が多いのは、きっと自意識過剰じゃない。
「何と合わせてみましょうか」
「蜂蜜だろう?」
「ふふ。はい」
数種類ある蜂蜜の中から、ラベンダー蜂蜜を選び合わせることに。無難に…と選んだけれどものすごく貴重で高価な物らしい…まぁ、出せちゃうんだけどね。
「これ好きかも…」
「いい香りだな」
程よい蜂蜜の甘い香りに、ラベンダーの香りが心を落ち着かせてくれる。確か前世ではラベンダーってそういう効果があるって言われていた気がする。
「こちらにしようと思います。フラン様はどう思われますか?」
「もう少し蜂蜜の甘い香りが出てもいい」
「ではこちらと、蜂蜜を多めにしたものと2種類のオイルをお願いしましょう」
調合した2種類を公爵家に送ってもらうよう伝え、ラベンダー蜂蜜オイルとラベンダーオイルをそれぞれ私が愛用しているヘアオイルやボディクリームなど、基礎化粧品を作ってくれている工房へ送ってもらうようお願いしてから、王宮へと戻った。
今使っているものは子供がいる使用人にあげることにしよう。使いかけをあげるなんて…って思わないわけじゃないけど、あげるって言わなきゃ捨てられるだけだしね。
「アルフレッド様って蜂蜜の香り好きですよね」
「…………」
「アルフレッド様?」
「リリーナ様が愛用されている蜂蜜オイルって、確か殿下の瞳の色に似ていましたよね」
「ダニエルっ!」
な、なるほど。でも香りに色は付いてないのに。
「それだけではなく、初めて好きと言う言葉を聞いたのが……」
「ダニエルっ!!」
婚約した日、王宮の庭園で蜂蜜が好きだと言っていたリリーナ。
アルフレッドは初めてリリーナから好きという言葉を聞き、その日から蜂蜜が特別なものになったのだとダニエルが何度も聞かされているとは、リリーナは知る由もない。
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