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エピローグ
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今日は私達の学園の卒業式。式の後にパーティーが開かれ、明日からは前世でいうと社会人になる。とはいえ結婚するまで公爵家に住むし、式の準備があるからと学生時代とそこまで変わらない王太子妃の仕事量。もちろん回りにいる人達も変わらないので、前世みたいに社会人一年目のフレッシュさなんかは全く無い。
**
何事もなく式が終わり、ドレスに着替えるため一旦タウンハウスへ戻る。
「ご卒業おめでとうございます」
アンナを筆頭にメイド達がズラッと並んでお祝いの言葉を贈ってくれた。やけに多くないかしら?
「ありがとう」
「さぁ、早速準備を始めましょう。あまり時間がありませんので急いでくださいね」
「えっ、」
少しゆっくりするつもりだったのに…。アンナに促されラベンダーが浮いている湯船に浸かりオイルマッサージを受ける。今日は蜂蜜よりラベンダーが強いのね。
隅から隅までオイルを練り込まれ、マッサージされ…何だかいつもより張り切っている気がするのはなぜ?
「ねぇ、アンナ? 今日は結婚式じゃないのよ?」
「えぇ。存じております」
「卒業パーティーに気合い入れ過ぎじゃないかしら?」
「足りないくらいです」
「そ、そう…」
黙って受け入れたほうがよさそうね。もう何をされたのかわからないくらい磨きあげられ、ドレスを着せられ、飾りたてられ…
「完っ璧ですっ!!! 帰ったら絶対にお話聞かせてくださいね!!」
「わ、わかったわ」
言われなくてもいつも話しているでしょ? こんなに聞きたがるって何かありますって言ってるようなものだけど……何かあるの?
えっ、ここに来て強制力が働いて断罪!? ……なわけないか。そもそも私モブだし。
何も聞けないままアルフレッド様が迎えに来てくださった馬車に乗り込み、パーティー会場へ向かう。この時、私はアンナのテンションが気になりすぎて、目の前のアルフレッド様がソワソワしていた事に全く気付かなかった。
*
パーティーが始まって少したった頃。
「リリーナ、少し外に出ないか?」
そう言われ向かったのは噴水が中央にある庭園。いつもと違ってラベンダーをふんだんに使って噴水が飾られている。
噴水の前で片膝をつき、私の手を取ったアルフレッド様。
「リリーナ。初めて会った日からずっと君を愛している。婚約者になれた日は嬉しすぎて中々眠れなかったほどだ。幼い頃からずっと側にいてくれてありがとう。これからもずっと俺の側で笑っていてほしい」
「リリーナ。私と結婚してくれますか」
なにこれなにこれっ、こんなの聞いてないよ。嬉しすぎて涙が止まらないじゃない。
「はい……これからも、ずっとおそばにいさせてください」
そう答えると、見たことがないくらい嬉しそうな笑顔でありがとうと言って指輪を出し、左手の薬指につけてくれたアルフレッド様。
「これは婚約指輪だ。結婚指輪は、リリーナの好きなデザインでお揃いで作りに行こう」
立ち上がり、私を強く強く抱きしめてくれる。
「覚えていてくれたんですね」
「忘れるわけないだろう」
何歳頃だっただろうか………まだ前世が強く出ていた頃に理想のプロポーズの話をしたことがある。婚約者にわざわざプロポーズをする貴族なんていないし、指輪を贈る文化も、それを左手の薬指につける文化もこの国にはない。一度しかしていないその話を忘れていたっておかしくないのに、彼は覚えてくれていたのか。
モブだからと、ずっと気持ちに蓋をしていた私を想い続けてくれたアルフレッド様。こんなに素敵な人と結婚できるなんて、私は世界一の幸せ者だと思う。
きっと前世の私が、リリーナを幸せにしたいって強く思ったから転生できたのかな。
そんな私の顎をそっと上げ、アルフレッド様は初めて唇にキスを贈ってくれた。
悪役令嬢の姉、リリーナに産まれることができて、本当に良かった。
.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:* end
**
何事もなく式が終わり、ドレスに着替えるため一旦タウンハウスへ戻る。
「ご卒業おめでとうございます」
アンナを筆頭にメイド達がズラッと並んでお祝いの言葉を贈ってくれた。やけに多くないかしら?
「ありがとう」
「さぁ、早速準備を始めましょう。あまり時間がありませんので急いでくださいね」
「えっ、」
少しゆっくりするつもりだったのに…。アンナに促されラベンダーが浮いている湯船に浸かりオイルマッサージを受ける。今日は蜂蜜よりラベンダーが強いのね。
隅から隅までオイルを練り込まれ、マッサージされ…何だかいつもより張り切っている気がするのはなぜ?
「ねぇ、アンナ? 今日は結婚式じゃないのよ?」
「えぇ。存じております」
「卒業パーティーに気合い入れ過ぎじゃないかしら?」
「足りないくらいです」
「そ、そう…」
黙って受け入れたほうがよさそうね。もう何をされたのかわからないくらい磨きあげられ、ドレスを着せられ、飾りたてられ…
「完っ璧ですっ!!! 帰ったら絶対にお話聞かせてくださいね!!」
「わ、わかったわ」
言われなくてもいつも話しているでしょ? こんなに聞きたがるって何かありますって言ってるようなものだけど……何かあるの?
えっ、ここに来て強制力が働いて断罪!? ……なわけないか。そもそも私モブだし。
何も聞けないままアルフレッド様が迎えに来てくださった馬車に乗り込み、パーティー会場へ向かう。この時、私はアンナのテンションが気になりすぎて、目の前のアルフレッド様がソワソワしていた事に全く気付かなかった。
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パーティーが始まって少したった頃。
「リリーナ、少し外に出ないか?」
そう言われ向かったのは噴水が中央にある庭園。いつもと違ってラベンダーをふんだんに使って噴水が飾られている。
噴水の前で片膝をつき、私の手を取ったアルフレッド様。
「リリーナ。初めて会った日からずっと君を愛している。婚約者になれた日は嬉しすぎて中々眠れなかったほどだ。幼い頃からずっと側にいてくれてありがとう。これからもずっと俺の側で笑っていてほしい」
「リリーナ。私と結婚してくれますか」
なにこれなにこれっ、こんなの聞いてないよ。嬉しすぎて涙が止まらないじゃない。
「はい……これからも、ずっとおそばにいさせてください」
そう答えると、見たことがないくらい嬉しそうな笑顔でありがとうと言って指輪を出し、左手の薬指につけてくれたアルフレッド様。
「これは婚約指輪だ。結婚指輪は、リリーナの好きなデザインでお揃いで作りに行こう」
立ち上がり、私を強く強く抱きしめてくれる。
「覚えていてくれたんですね」
「忘れるわけないだろう」
何歳頃だっただろうか………まだ前世が強く出ていた頃に理想のプロポーズの話をしたことがある。婚約者にわざわざプロポーズをする貴族なんていないし、指輪を贈る文化も、それを左手の薬指につける文化もこの国にはない。一度しかしていないその話を忘れていたっておかしくないのに、彼は覚えてくれていたのか。
モブだからと、ずっと気持ちに蓋をしていた私を想い続けてくれたアルフレッド様。こんなに素敵な人と結婚できるなんて、私は世界一の幸せ者だと思う。
きっと前世の私が、リリーナを幸せにしたいって強く思ったから転生できたのかな。
そんな私の顎をそっと上げ、アルフレッド様は初めて唇にキスを贈ってくれた。
悪役令嬢の姉、リリーナに産まれることができて、本当に良かった。
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