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ついでに私も幸せになります!
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「う、美しすぎます」
「エレナの方が…って聞いてないね」
今日はお兄様とニーナ様の結婚式。
ニーナ様がお兄様に思いを伝え、案の定お兄様は見た目だけしか好かれていないと思い込んでいたので、とっても驚いたみたい。
相変わらずシスコンであることに変わりはないけど、お兄様の溺愛対象にニーナ様も入ってからの尽くし具合が半端なかった。
お兄様に愛され、幸せそうな推しの笑顔は何物にも変えられないほど私も幸せな気持ちに……あっ、何か隣から不穏な空気が…。
「エレナ?」
「今はルーク様かもしれません」
「えっ!?」
うん。お兄様のシスコン度合いの1…2割くらいは私もブラコンだし、ニーナ様は変わらず推しだけど、今の私を一番幸せにしてくれるのはルーク様かも。
式が終わり、教会から侯爵家へ移動するため馬車に向かおうとしたら、お兄様に呼び止められた。
「エレナっ」
お兄様とニーナ様の方へと足向けると、私に届くようにと真っ直ぐ投げられた花束。この世界にブーケトス文化なんてないのに…ルーク様経由で話を聞いたのね。知っているブーケトスとはすこーし違うけど、推しのブーケとか嬉しすぎる。
「次はエレナの番よ」
「はい。ありがとうございます、お義姉様」
ルーク様と共に2人のそばにより、初めてお義姉様って呼んでみたら…驚いた顔をした後に物凄く嬉しそうな、それこそ推しからの言葉に喜んでいますって顔をされた。お兄様、もしかしたらニーナ様の推しは私かもしれません。
*
怒涛の一日が終わった。
はぁ…お義姉様は綺麗だったし、ブーケを貰えて嬉しいし、世界一素敵な結婚式に感動して涙が止まらない。
そろそろ着替えなければいけないのは分かっているけど、もう少しこのまま幸せの余韻に浸っていたいし…このままソファーで寝ちゃいたいわ。なんて思っていたら…
「さぁ、そろそろ俺たちも次に進もう」
ルーク様!
「もう少しお待ち下さい!」
「十分待ったよ。約束は守らないとね」
「ちょ、ちょっとまっ……」
どうしてこうなった!?
さっきまで対面のソファーに座っていたのに。いつの間に隣に!?
「お、降ろしてくださいっ」
そして速攻で膝の上。
「無理」
「ちょっ」
息ができなくなるくらいの口付けに、体の力が抜けていく。
「ライナスとニーナ嬢の幸せを見届けたらと言ったのはエレナ、君だよ」
確かに言った。両思いになった途端こっちの気も知らずにルーク様はグイグイ来るから、ちょっと待ってくれとお兄様の結婚を引き合いに出したのは認める。
「でもまだっ、私は学園を卒業していませんし、私達もまだ婚姻前ですっ」
そう言うと今日は見逃してくれたけど…卒業まで後3ヶ月。ルーク様が少しも待てないと卒業式の1ヶ月後には結婚するのよね。後4ヶ月で覚悟を決めなければ。
18歳で結婚するなんて、前世の私が聞いたら驚くどころじゃないな。
「ずっと確かめたかったんだけど、エレナは前世で結婚していたの?」
「へ? してませんが」
そういえば新菜って何歳まで生きたんだろう? 結婚した記憶がないだけとかは…ないわね。
「本当に? 恋人は?」
「本当ですっ! 恋人なんていたことありませんっ、悪いですか!?」
経験値の無さはルーク様が一番知っているでしょう。
「いや安心したよ。前世とはいえ、俺のエレナに手を出した男は許せないからね」
「ルーク様…」
薄々気付いていたけど、愛が重いよ。でもそれを苦なく受け入れ、なんなら嬉しく思えるのは…
「お兄様に感謝してくださいね」
「何でライナス?」
「なんでもです」
産まれてからこの18年、お兄様からの重い愛を受け続けていたお陰だと思うから。
*
*
*
*
卒業パーティーでエスコートしてくれたルーク様は、当日108本のバラの花束を用意していた。前世の小説では鉄板の卒業パーティーで断罪…ではなく、プロポーズするために。
「エレナ・マーリン侯爵令嬢。私、ルーク・オリヴィエと結婚してください」
いやいや、めっちゃ恥ずいから。
っていうか結婚式の招待状を送った人がこの場に結構いるんですけど。みんな、え? 来月結婚するよね? って顔してるじゃん。なんなら前回、101本のバラの花束を貰った時にプロポーズも兼ねてると思ってたわ!
貴族の婚姻は家と家の契約。例え前世でもこの状況は恥ずかしいのに、プロポーズの概念がない今の方が恥ずかし差は上回る気がする。
なぁんて。それ以上に嬉しいのだけど。
「ルーク様っ! もちろんですっ」
結婚指輪を付けるのはもちろん、婚約指輪を用意するのだって前世だけの話なのに、調子に乗って強請ったダイヤモンドの婚約指輪をルーク様が左手の薬指に付けてくださる。
まさかルーク様の色であるエメラルドをグリーンダイヤモンドで囲った指輪になるとは思わなかったけど。
「ルーク様、私、幸せです!」
ーーーーーーーーーー
108本のバラの花束の意味:結婚してください
「エレナの方が…って聞いてないね」
今日はお兄様とニーナ様の結婚式。
ニーナ様がお兄様に思いを伝え、案の定お兄様は見た目だけしか好かれていないと思い込んでいたので、とっても驚いたみたい。
相変わらずシスコンであることに変わりはないけど、お兄様の溺愛対象にニーナ様も入ってからの尽くし具合が半端なかった。
お兄様に愛され、幸せそうな推しの笑顔は何物にも変えられないほど私も幸せな気持ちに……あっ、何か隣から不穏な空気が…。
「エレナ?」
「今はルーク様かもしれません」
「えっ!?」
うん。お兄様のシスコン度合いの1…2割くらいは私もブラコンだし、ニーナ様は変わらず推しだけど、今の私を一番幸せにしてくれるのはルーク様かも。
式が終わり、教会から侯爵家へ移動するため馬車に向かおうとしたら、お兄様に呼び止められた。
「エレナっ」
お兄様とニーナ様の方へと足向けると、私に届くようにと真っ直ぐ投げられた花束。この世界にブーケトス文化なんてないのに…ルーク様経由で話を聞いたのね。知っているブーケトスとはすこーし違うけど、推しのブーケとか嬉しすぎる。
「次はエレナの番よ」
「はい。ありがとうございます、お義姉様」
ルーク様と共に2人のそばにより、初めてお義姉様って呼んでみたら…驚いた顔をした後に物凄く嬉しそうな、それこそ推しからの言葉に喜んでいますって顔をされた。お兄様、もしかしたらニーナ様の推しは私かもしれません。
*
怒涛の一日が終わった。
はぁ…お義姉様は綺麗だったし、ブーケを貰えて嬉しいし、世界一素敵な結婚式に感動して涙が止まらない。
そろそろ着替えなければいけないのは分かっているけど、もう少しこのまま幸せの余韻に浸っていたいし…このままソファーで寝ちゃいたいわ。なんて思っていたら…
「さぁ、そろそろ俺たちも次に進もう」
ルーク様!
「もう少しお待ち下さい!」
「十分待ったよ。約束は守らないとね」
「ちょ、ちょっとまっ……」
どうしてこうなった!?
さっきまで対面のソファーに座っていたのに。いつの間に隣に!?
「お、降ろしてくださいっ」
そして速攻で膝の上。
「無理」
「ちょっ」
息ができなくなるくらいの口付けに、体の力が抜けていく。
「ライナスとニーナ嬢の幸せを見届けたらと言ったのはエレナ、君だよ」
確かに言った。両思いになった途端こっちの気も知らずにルーク様はグイグイ来るから、ちょっと待ってくれとお兄様の結婚を引き合いに出したのは認める。
「でもまだっ、私は学園を卒業していませんし、私達もまだ婚姻前ですっ」
そう言うと今日は見逃してくれたけど…卒業まで後3ヶ月。ルーク様が少しも待てないと卒業式の1ヶ月後には結婚するのよね。後4ヶ月で覚悟を決めなければ。
18歳で結婚するなんて、前世の私が聞いたら驚くどころじゃないな。
「ずっと確かめたかったんだけど、エレナは前世で結婚していたの?」
「へ? してませんが」
そういえば新菜って何歳まで生きたんだろう? 結婚した記憶がないだけとかは…ないわね。
「本当に? 恋人は?」
「本当ですっ! 恋人なんていたことありませんっ、悪いですか!?」
経験値の無さはルーク様が一番知っているでしょう。
「いや安心したよ。前世とはいえ、俺のエレナに手を出した男は許せないからね」
「ルーク様…」
薄々気付いていたけど、愛が重いよ。でもそれを苦なく受け入れ、なんなら嬉しく思えるのは…
「お兄様に感謝してくださいね」
「何でライナス?」
「なんでもです」
産まれてからこの18年、お兄様からの重い愛を受け続けていたお陰だと思うから。
*
*
*
*
卒業パーティーでエスコートしてくれたルーク様は、当日108本のバラの花束を用意していた。前世の小説では鉄板の卒業パーティーで断罪…ではなく、プロポーズするために。
「エレナ・マーリン侯爵令嬢。私、ルーク・オリヴィエと結婚してください」
いやいや、めっちゃ恥ずいから。
っていうか結婚式の招待状を送った人がこの場に結構いるんですけど。みんな、え? 来月結婚するよね? って顔してるじゃん。なんなら前回、101本のバラの花束を貰った時にプロポーズも兼ねてると思ってたわ!
貴族の婚姻は家と家の契約。例え前世でもこの状況は恥ずかしいのに、プロポーズの概念がない今の方が恥ずかし差は上回る気がする。
なぁんて。それ以上に嬉しいのだけど。
「ルーク様っ! もちろんですっ」
結婚指輪を付けるのはもちろん、婚約指輪を用意するのだって前世だけの話なのに、調子に乗って強請ったダイヤモンドの婚約指輪をルーク様が左手の薬指に付けてくださる。
まさかルーク様の色であるエメラルドをグリーンダイヤモンドで囲った指輪になるとは思わなかったけど。
「ルーク様、私、幸せです!」
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108本のバラの花束の意味:結婚してください
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