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オムライス定食
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こ、こ、これは!!!
オムライスじゃないかっ!
予想通りマイっていうのはお米のことで。14年ぶりのお米…ちょっと感動しちゃう。この嬉しさを伝えようと隣に座るルーク様に声をかけようとしたら、逆隣に座るお兄様がとんでもない事をボソッと呟いた。
「あれ? 今日はみそスープじゃないんだ」
「お、お、お、お兄様っ!」
「ちょっ、落ち着いて」
「い…いま、みそスープっておっしゃいました?」
「え、あ、うん。言ったよ…?」
味噌もあったー!! 今日いただけないのは残念だけど、オムライスに味噌汁はちょっと違うもんね。さすがに庶民的になりすぎると思ったのかスープは具だくさんのクラムチャウダーで見栄えもいい。私的にはコーンスープが良かったな。
円卓テーブルでお兄様の隣に座るニーナ様とその隣に座るセオドア様がちょっと驚いた顔で私を見ている…失礼、少し取り乱してしまったわ。セオドア様の隣に座るオーランドはニコニコとしているけど、あれは多分ニーナ様の驚き顔を脳内に刻み込んでいるわね。
そんなことよりも。
「ルーク様、必ずお話通しておいてくださいませね」
「お話って?」
「実は…」
「ライナスには内緒だよ」
耳元に近付いて反対されても困るでしょうって言われたけど、反対されるかな? むしろ内緒話している現状の方が不貞腐れそうな気が…。
「エレナは目新しい食べ物が好きだもんね」
頷いたり、本当にね、とかみんなが言っていて、お兄様はマウントをとるつもりだったんだろうけど不発に終わってる。
そもそも目新しいんじゃなくて懐かしいんだけどね。あぁ…王女殿下が転生者だったらいいのに。たとえ転生者じゃなかったとしても祖国の食べ物の話をたくさん教えていただきたいわ。
オムライス定食を選んだのは私とセオドア様とオーランド。2人はオムライスよりも貝と野菜が沢山入ったクラムチャウダーを気に入ったようで、公爵家でも出してほしいと盛り上がっている。
「えっ! オーランド?」
ルーク様達と同じように、ダンスの授業を欠席し早々とカフェテリアにやってきた生徒の一人が声をかけてきた。
「ご無沙汰しております」
セオドア様に断りを入れてからナターシャに返事をして……えっ!? えっ!? ナターシャ!?
「ちょっと、そんなよそよそしい話し方しないでよ」
「申し訳ございません」
ちょっとちょっと! オーランドってば主人公と知り合いだったの!?
「…………ハーロウ伯爵令嬢様」
「はぁ。またニーナ様ですか」
「何度も申し上げている通り、私は名前を呼ぶ許可を………」
「また始まったよ」
「えっ? またとは?」
お兄様曰く、ナターシャは入学してから何かとニーナ様に突っかかっているみたい。一緒にいるとお兄様も巻き込まれることがあるから、物凄く面倒なんだそう。
「彼女はライナスの事が好きなのか、やたらと接点を作ろうとしているんだ。良くも悪くもライナスはエレナにしか興味がないから、軽くあしらっているけどね」
まじか。
「別に僕のことを好きって感じはしないけどね。爵位目当てならルークを狙えばいいのに」
確かにルーク様も整った顔で背も高くスタイルも良くてめちゃくちゃカッコいい。公爵家の次期当主だし総合的にみたらお兄様より優良物件。でも…妹の贔屓目なしにしてもお兄様もカッコいいよ?
どちらにせよ見た目や権力だけで好きになる人って苦手だわ。漫画のナターシャもそれが目当てだったっけ? って、主人公がそんな子として描かれるわけないか。
うーん、やっぱり転生者? でももしそうならニーナ様に突っかかりすぎているというか…お兄様の前で猫かぶらなくていいの? って変な心配をしちゃうくらい上手くできてない。
何より伯爵令嬢のわりに礼儀がなってなさすぎる。動揺しすぎて気付くのに遅れてしまったけど、何勝手に同じテーブルに座ってるの? いや伯爵令嬢とか関係ないわ。久しぶりに会った人へ声をかけるだけならまだしも、断りなく同席するって前世の感覚でもおかしいよ。
「あの…学園では爵位は関係なく接していいのでしょうか?」
「平等は謳っているけど、彼女は意味を履き違えているんだろう。そもそも孤児院の子供達ですら同席の許可をとるのにね。とても貴族令嬢とは思えないよ」
「ですよね…ニーナ様も無視されたらいいのに」
せっかく悪役令嬢にならないよう誘導してきたんですもの。ここで覆されたらたまったもんじゃないわ。
「注意したって意味がないし、無視すればいいとニーナにも言ってるんだけどね」
ニーナ!!! ニーナ嬢じゃなくてニーナ!!! いつのまに!?
「お、お、お兄様っ!」
「えっ、なに?」
「うん。エレナ。何に興奮したのか手に取るように分かるけど、ちょっと落ち着こうか」
一瞬でナターシャとかどうでも良くなっちゃったわ。未だにセオドア様とオーランドの間に座ってる無神経女とニーナ様が口論しているけど、現状なら悪役令嬢になることはないだろう。
そういえば、オムライス定食選ばなかったんだ。
「オムライス定食って夜も選べるのですか?」
「料理長は昼しかいないけど、レシピ展開をしているから食べれるはずだよ」
彼女は朝昼晩とカフェテリアで食事ができる。私と違って食べようと思えばいつでもお米が食べられる状況だから、毎回選ぶはずないってことか。
まぁニーナ様とお兄様、それとルーク様に迷惑がかからないのであれば、彼女が転生者かどうかなんてどっちでもいいか。むしろ迷惑かけないのであれば転生者だったら是非お友達になりたい。ちょっと常識外れではあるけど。
「あの…どういう風に絡んでくるのかお手紙いただけますか? 心配ですし」
「心配しなくてもニーナ嬢が負けることはないよ」
「ルーク様のこともお兄様のことも、心配なので」
「エレナっ!」
ちょっとお兄様、勢いよく抱きつくからルーク様にもたれかかってしまったじゃない。
ん? なんか私………ナターシャに睨まれてる?
オムライスじゃないかっ!
予想通りマイっていうのはお米のことで。14年ぶりのお米…ちょっと感動しちゃう。この嬉しさを伝えようと隣に座るルーク様に声をかけようとしたら、逆隣に座るお兄様がとんでもない事をボソッと呟いた。
「あれ? 今日はみそスープじゃないんだ」
「お、お、お、お兄様っ!」
「ちょっ、落ち着いて」
「い…いま、みそスープっておっしゃいました?」
「え、あ、うん。言ったよ…?」
味噌もあったー!! 今日いただけないのは残念だけど、オムライスに味噌汁はちょっと違うもんね。さすがに庶民的になりすぎると思ったのかスープは具だくさんのクラムチャウダーで見栄えもいい。私的にはコーンスープが良かったな。
円卓テーブルでお兄様の隣に座るニーナ様とその隣に座るセオドア様がちょっと驚いた顔で私を見ている…失礼、少し取り乱してしまったわ。セオドア様の隣に座るオーランドはニコニコとしているけど、あれは多分ニーナ様の驚き顔を脳内に刻み込んでいるわね。
そんなことよりも。
「ルーク様、必ずお話通しておいてくださいませね」
「お話って?」
「実は…」
「ライナスには内緒だよ」
耳元に近付いて反対されても困るでしょうって言われたけど、反対されるかな? むしろ内緒話している現状の方が不貞腐れそうな気が…。
「エレナは目新しい食べ物が好きだもんね」
頷いたり、本当にね、とかみんなが言っていて、お兄様はマウントをとるつもりだったんだろうけど不発に終わってる。
そもそも目新しいんじゃなくて懐かしいんだけどね。あぁ…王女殿下が転生者だったらいいのに。たとえ転生者じゃなかったとしても祖国の食べ物の話をたくさん教えていただきたいわ。
オムライス定食を選んだのは私とセオドア様とオーランド。2人はオムライスよりも貝と野菜が沢山入ったクラムチャウダーを気に入ったようで、公爵家でも出してほしいと盛り上がっている。
「えっ! オーランド?」
ルーク様達と同じように、ダンスの授業を欠席し早々とカフェテリアにやってきた生徒の一人が声をかけてきた。
「ご無沙汰しております」
セオドア様に断りを入れてからナターシャに返事をして……えっ!? えっ!? ナターシャ!?
「ちょっと、そんなよそよそしい話し方しないでよ」
「申し訳ございません」
ちょっとちょっと! オーランドってば主人公と知り合いだったの!?
「…………ハーロウ伯爵令嬢様」
「はぁ。またニーナ様ですか」
「何度も申し上げている通り、私は名前を呼ぶ許可を………」
「また始まったよ」
「えっ? またとは?」
お兄様曰く、ナターシャは入学してから何かとニーナ様に突っかかっているみたい。一緒にいるとお兄様も巻き込まれることがあるから、物凄く面倒なんだそう。
「彼女はライナスの事が好きなのか、やたらと接点を作ろうとしているんだ。良くも悪くもライナスはエレナにしか興味がないから、軽くあしらっているけどね」
まじか。
「別に僕のことを好きって感じはしないけどね。爵位目当てならルークを狙えばいいのに」
確かにルーク様も整った顔で背も高くスタイルも良くてめちゃくちゃカッコいい。公爵家の次期当主だし総合的にみたらお兄様より優良物件。でも…妹の贔屓目なしにしてもお兄様もカッコいいよ?
どちらにせよ見た目や権力だけで好きになる人って苦手だわ。漫画のナターシャもそれが目当てだったっけ? って、主人公がそんな子として描かれるわけないか。
うーん、やっぱり転生者? でももしそうならニーナ様に突っかかりすぎているというか…お兄様の前で猫かぶらなくていいの? って変な心配をしちゃうくらい上手くできてない。
何より伯爵令嬢のわりに礼儀がなってなさすぎる。動揺しすぎて気付くのに遅れてしまったけど、何勝手に同じテーブルに座ってるの? いや伯爵令嬢とか関係ないわ。久しぶりに会った人へ声をかけるだけならまだしも、断りなく同席するって前世の感覚でもおかしいよ。
「あの…学園では爵位は関係なく接していいのでしょうか?」
「平等は謳っているけど、彼女は意味を履き違えているんだろう。そもそも孤児院の子供達ですら同席の許可をとるのにね。とても貴族令嬢とは思えないよ」
「ですよね…ニーナ様も無視されたらいいのに」
せっかく悪役令嬢にならないよう誘導してきたんですもの。ここで覆されたらたまったもんじゃないわ。
「注意したって意味がないし、無視すればいいとニーナにも言ってるんだけどね」
ニーナ!!! ニーナ嬢じゃなくてニーナ!!! いつのまに!?
「お、お、お兄様っ!」
「えっ、なに?」
「うん。エレナ。何に興奮したのか手に取るように分かるけど、ちょっと落ち着こうか」
一瞬でナターシャとかどうでも良くなっちゃったわ。未だにセオドア様とオーランドの間に座ってる無神経女とニーナ様が口論しているけど、現状なら悪役令嬢になることはないだろう。
そういえば、オムライス定食選ばなかったんだ。
「オムライス定食って夜も選べるのですか?」
「料理長は昼しかいないけど、レシピ展開をしているから食べれるはずだよ」
彼女は朝昼晩とカフェテリアで食事ができる。私と違って食べようと思えばいつでもお米が食べられる状況だから、毎回選ぶはずないってことか。
まぁニーナ様とお兄様、それとルーク様に迷惑がかからないのであれば、彼女が転生者かどうかなんてどっちでもいいか。むしろ迷惑かけないのであれば転生者だったら是非お友達になりたい。ちょっと常識外れではあるけど。
「あの…どういう風に絡んでくるのかお手紙いただけますか? 心配ですし」
「心配しなくてもニーナ嬢が負けることはないよ」
「ルーク様のこともお兄様のことも、心配なので」
「エレナっ!」
ちょっとお兄様、勢いよく抱きつくからルーク様にもたれかかってしまったじゃない。
ん? なんか私………ナターシャに睨まれてる?
応援ありがとうございます!
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