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漫画の第一話
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~桜が満開に咲くこの季節、新しい物語が始まる~
確かこんな謳い文句から漫画が始まった。とうとうこの日が来てしまった。全寮制の王立学園の入学式。
主人公が運命の相手に会う日。そう、今日はハーロウ伯爵家の長女ナターシャが、マーリン侯爵家の嫡男ライナスに出会う日なのだ。
それにしても新年度の始まりが4月で、桜まで咲いちゃってるところがさすが日本の漫画って感じよね。まぁ前世の私が住んでいた場所では、入学式にはもう桜はほとんど散ってしまっていたけど。
「こんなにも中世ヨーロッパ風のくせになんで飛び級制度がないのよ」
「何風って?」
「いえ、気になさらないでください。いいですかお兄様。お兄様の見た目に騙されて近寄ってくる女性に、心を許しちゃダメですからねっ!」
本当はニーナ様がいるんだから余所見するなよって言いたいところだけど。お兄様ってまだニーナ様へ恋愛感情がないみたいだから…って、婚約者なんだからそう言ってもいいのか。
「そう何度も言わなくたって分かってるよ。もう、エレナったら本当に僕のことが大好きなんだから」
「はぁぁ。本当に大丈夫かしら」
私は今日の入学式に参列する。兄の入学式に、1歳しか変わらない妹が参列するなんてそうそういないけど、別に来ちゃいけないってわけじゃないからと、無理を言って付いてきた。
だって早々に確認しておかないといけないことがあるから。
主人公、ナターシャ・ハーロウが私と同じ転生者であるかどうか。
どうやってそれを確かめるかというと、そもそも二人の出会いが、ど定番の入学式の会場へ向かう途中に転けてしまった主人公をお兄様が助ける、といったもの。
申し訳ないけれどお兄様は助けに行かせない。酷いって? 私はそうは思わない。だって今年16歳になるんだから転けたって一人で立ち上がれるしょって話だし。
もし転生者ならそこでお兄様の助けを待つだろうし、そうでなければ一人で立つはず。それに仮に転生者であったとして、漫画を読んでいないか、読んでいても頭の悪い転生者に成り下がらないタイプなら、むしろ仲良くしたい。
「お父様、お母様、行ってまいります」
「あぁ。大きくなったなぁ」
「もう、あなたったら何度泣けば気が済むのですか。来年、エレナの入学式ではもっと泣きそうで今から思いやられますわ」
生徒と保護者では入口が違うため、お兄様は先に馬車を降りてしまう。本当は私もお父様達と一緒に行動しなければいけないのだけど…3人で抱き合っている今のうちに降りてしまおうっと。
「っ! お嬢さ……」
「しっ! 静かにして。お願いがあるんだけど、お父様達を降ろしたらまたここに戻ってきてくれない? ほら、私も来年ここに入学する予定でしょ? 先に少し学園内を見学してみたいの。もちろん、お父様達に何か言われたら私が指示したって言ってくれて構わないから」
「わ、分かりました」
「中に私がいないってバレないうちに馬車を走らせてね」
お兄様が降りてくる前に馬車の後ろに隠れてっと。
「エレナ」
「お、お兄様……気付いていたのですか?」
「御者と話している声が聞こえていたからね。学園内を見学って、保護者でも申請が通らないと中に入れないんだよ? とはいえ離れるのが寂しいって気持ちはよく分かるけどね」
違うけどね。ここはお兄様のシスコンを利用させてもらおう。
「はい……。お兄様と離れるのが寂しくて。時間ギリギリまで一緒にいてもらえないですか?」
前世の容姿ならただの痛い子だけど、今の私は可愛い自覚がある。美男美女から産まれ、今後国一番のイケメンと言われることになるお兄様の妹ですからね。目を潤ませ、上目遣いで、お願いって手を組んで少し首を傾ける。お兄様はこの顔が大好きだし断れないって知ってるの。
「うっ…」
「お兄様」
制服の裾を引っ張っちゃったりして。
「分かったよ。もう、僕が断れないって分かっててやってるでしょう。まぁ…分かっていても可愛いから結局断れないんだけどさ」
「ふふ、ありがとうございます、お兄様っ」
サービスで抱き着いてあげよ。
「かっ、可愛い。僕の妹は世界一可愛いんだから」
あっ! ハーロウ伯爵家の家紋が入った馬車だわ。そろそろね。このまま抱きついていればお兄様は私から離れないだろうし、正直こんな場所で頭を撫でられるなんて恥ずかしすぎるけど、我慢よ。
「何してるんだ。おかしいな、エレナを抱き締めるのは僕の特権のはずだけど」
「ルークさまっ!?」
「ライナスが中々来ないから見に来てみれば…エレナ、こっちへおいで」
「あっ、でも…」
えぇ…ちょっと何でこのタイミングなのよ。せめて主人公が転けて立ち上がっていなくなったあとにしてよね。
「ほらっ、おいで」
「邪魔するなよ。しばらくエレナと離れなきゃいけないんだ」
「それは僕も同じ。エレナを補充しないとやっていけない。寂しいならライナスはニーナ嬢を抱きしめればいいだろう」
「世界一可愛い僕の妹はエレナだけだ」
「世界一可愛い僕の婚約者もエレナだけだけどね」
あっ! やっぱり転けるのね。助けは…あっ、ニーナ様が助けるんだ。なるほど、お兄様とニーナ様はここで待ち合わせていて、私が引き止めなければお兄様の方が主人公のそばにいたのかもしれないわね。
「エレナ?」
「あっ、すいません。話を聞いていませんでした」
「こっちへおいで」
公爵家と侯爵家は使用人を一人連れてこれるから、ニーナ様付きの侍女が付き添って主人公を医務室へ連れて行くのね。漫画ではお兄様が付き添っていたっけ? 侍従に任せていた? ちょっと覚えてないわね。まぁニーナ様が助けた時点で漫画とは違っているわけだし、どちらでもいいっか。
よく言われる強制力ってのは存在していなさそうね。それに主人公も、転けて恥ずかしいと俯いていて、お兄様を探す素振りはしていなかった。
頭の悪い転生者のパターンは崩れたわね。
「エレナ?」
「あっ、すいません。そろそろお時間ですか?」
「こちらへおいで」
「一人にするなんて心配だよ」
ニーナ様が私達を見て微笑んでいる…眼福だわ。
「ニーナ様がこちらへ向かっているようです。皆様の勇姿を後ろから見守っていますね」
って、ちょっと保護者みたいなこと言っちゃった? なんて。
「エレナ、こちらへ」
「あの…お兄様? 離していただけますか?」
ルーク様に抱きしめられに行くわけではないけど、目的は達成したからそろそろ本気で離してほしい。
「なんで? 抱き着いてきたのはエレナでしょ?」
「はっ!?」
「そ、それは…ですが人が集まってきましたし、幼い子でもないのには…恥ずかしくなってきました」
無視しているのではなくお兄様が離さないからだと分かったからなのか、ルーク様が無理やり離してきた。うん、助かったように見えて抱きしめてくる相手が変わっただけで、状況は何も変わっていない…。
「相変わらず仲がよろしいですわね」
「ニーナ様っ!」
ぎゅっ。
「ふふ。殿方達よりも私の方が上のようですわ。エレナ、どうしてここに? 生徒以外は別の入口でしょう?」
「ニーナ様にお会いしたくて」
「あらっ、嬉しいわ」
ルーク様は私がニーナ様ラブな事を知っているから、相手がニーナ様だと案外簡単に離してくれた。
そろそろ御者が戻ってくる頃だし、目的も達成したから3人を見送ろう。
「御者に戻ってくるようお願いしているので、私のことは気にせず入学式の会場に向かってください」
「学園内の見学はもういいの?」
「はいっ。それは今度ちゃんと申請することにします」
見学がしたいのも事実だけど、一応フラグは折っておきたいし。
確かこんな謳い文句から漫画が始まった。とうとうこの日が来てしまった。全寮制の王立学園の入学式。
主人公が運命の相手に会う日。そう、今日はハーロウ伯爵家の長女ナターシャが、マーリン侯爵家の嫡男ライナスに出会う日なのだ。
それにしても新年度の始まりが4月で、桜まで咲いちゃってるところがさすが日本の漫画って感じよね。まぁ前世の私が住んでいた場所では、入学式にはもう桜はほとんど散ってしまっていたけど。
「こんなにも中世ヨーロッパ風のくせになんで飛び級制度がないのよ」
「何風って?」
「いえ、気になさらないでください。いいですかお兄様。お兄様の見た目に騙されて近寄ってくる女性に、心を許しちゃダメですからねっ!」
本当はニーナ様がいるんだから余所見するなよって言いたいところだけど。お兄様ってまだニーナ様へ恋愛感情がないみたいだから…って、婚約者なんだからそう言ってもいいのか。
「そう何度も言わなくたって分かってるよ。もう、エレナったら本当に僕のことが大好きなんだから」
「はぁぁ。本当に大丈夫かしら」
私は今日の入学式に参列する。兄の入学式に、1歳しか変わらない妹が参列するなんてそうそういないけど、別に来ちゃいけないってわけじゃないからと、無理を言って付いてきた。
だって早々に確認しておかないといけないことがあるから。
主人公、ナターシャ・ハーロウが私と同じ転生者であるかどうか。
どうやってそれを確かめるかというと、そもそも二人の出会いが、ど定番の入学式の会場へ向かう途中に転けてしまった主人公をお兄様が助ける、といったもの。
申し訳ないけれどお兄様は助けに行かせない。酷いって? 私はそうは思わない。だって今年16歳になるんだから転けたって一人で立ち上がれるしょって話だし。
もし転生者ならそこでお兄様の助けを待つだろうし、そうでなければ一人で立つはず。それに仮に転生者であったとして、漫画を読んでいないか、読んでいても頭の悪い転生者に成り下がらないタイプなら、むしろ仲良くしたい。
「お父様、お母様、行ってまいります」
「あぁ。大きくなったなぁ」
「もう、あなたったら何度泣けば気が済むのですか。来年、エレナの入学式ではもっと泣きそうで今から思いやられますわ」
生徒と保護者では入口が違うため、お兄様は先に馬車を降りてしまう。本当は私もお父様達と一緒に行動しなければいけないのだけど…3人で抱き合っている今のうちに降りてしまおうっと。
「っ! お嬢さ……」
「しっ! 静かにして。お願いがあるんだけど、お父様達を降ろしたらまたここに戻ってきてくれない? ほら、私も来年ここに入学する予定でしょ? 先に少し学園内を見学してみたいの。もちろん、お父様達に何か言われたら私が指示したって言ってくれて構わないから」
「わ、分かりました」
「中に私がいないってバレないうちに馬車を走らせてね」
お兄様が降りてくる前に馬車の後ろに隠れてっと。
「エレナ」
「お、お兄様……気付いていたのですか?」
「御者と話している声が聞こえていたからね。学園内を見学って、保護者でも申請が通らないと中に入れないんだよ? とはいえ離れるのが寂しいって気持ちはよく分かるけどね」
違うけどね。ここはお兄様のシスコンを利用させてもらおう。
「はい……。お兄様と離れるのが寂しくて。時間ギリギリまで一緒にいてもらえないですか?」
前世の容姿ならただの痛い子だけど、今の私は可愛い自覚がある。美男美女から産まれ、今後国一番のイケメンと言われることになるお兄様の妹ですからね。目を潤ませ、上目遣いで、お願いって手を組んで少し首を傾ける。お兄様はこの顔が大好きだし断れないって知ってるの。
「うっ…」
「お兄様」
制服の裾を引っ張っちゃったりして。
「分かったよ。もう、僕が断れないって分かっててやってるでしょう。まぁ…分かっていても可愛いから結局断れないんだけどさ」
「ふふ、ありがとうございます、お兄様っ」
サービスで抱き着いてあげよ。
「かっ、可愛い。僕の妹は世界一可愛いんだから」
あっ! ハーロウ伯爵家の家紋が入った馬車だわ。そろそろね。このまま抱きついていればお兄様は私から離れないだろうし、正直こんな場所で頭を撫でられるなんて恥ずかしすぎるけど、我慢よ。
「何してるんだ。おかしいな、エレナを抱き締めるのは僕の特権のはずだけど」
「ルークさまっ!?」
「ライナスが中々来ないから見に来てみれば…エレナ、こっちへおいで」
「あっ、でも…」
えぇ…ちょっと何でこのタイミングなのよ。せめて主人公が転けて立ち上がっていなくなったあとにしてよね。
「ほらっ、おいで」
「邪魔するなよ。しばらくエレナと離れなきゃいけないんだ」
「それは僕も同じ。エレナを補充しないとやっていけない。寂しいならライナスはニーナ嬢を抱きしめればいいだろう」
「世界一可愛い僕の妹はエレナだけだ」
「世界一可愛い僕の婚約者もエレナだけだけどね」
あっ! やっぱり転けるのね。助けは…あっ、ニーナ様が助けるんだ。なるほど、お兄様とニーナ様はここで待ち合わせていて、私が引き止めなければお兄様の方が主人公のそばにいたのかもしれないわね。
「エレナ?」
「あっ、すいません。話を聞いていませんでした」
「こっちへおいで」
公爵家と侯爵家は使用人を一人連れてこれるから、ニーナ様付きの侍女が付き添って主人公を医務室へ連れて行くのね。漫画ではお兄様が付き添っていたっけ? 侍従に任せていた? ちょっと覚えてないわね。まぁニーナ様が助けた時点で漫画とは違っているわけだし、どちらでもいいっか。
よく言われる強制力ってのは存在していなさそうね。それに主人公も、転けて恥ずかしいと俯いていて、お兄様を探す素振りはしていなかった。
頭の悪い転生者のパターンは崩れたわね。
「エレナ?」
「あっ、すいません。そろそろお時間ですか?」
「こちらへおいで」
「一人にするなんて心配だよ」
ニーナ様が私達を見て微笑んでいる…眼福だわ。
「ニーナ様がこちらへ向かっているようです。皆様の勇姿を後ろから見守っていますね」
って、ちょっと保護者みたいなこと言っちゃった? なんて。
「エレナ、こちらへ」
「あの…お兄様? 離していただけますか?」
ルーク様に抱きしめられに行くわけではないけど、目的は達成したからそろそろ本気で離してほしい。
「なんで? 抱き着いてきたのはエレナでしょ?」
「はっ!?」
「そ、それは…ですが人が集まってきましたし、幼い子でもないのには…恥ずかしくなってきました」
無視しているのではなくお兄様が離さないからだと分かったからなのか、ルーク様が無理やり離してきた。うん、助かったように見えて抱きしめてくる相手が変わっただけで、状況は何も変わっていない…。
「相変わらず仲がよろしいですわね」
「ニーナ様っ!」
ぎゅっ。
「ふふ。殿方達よりも私の方が上のようですわ。エレナ、どうしてここに? 生徒以外は別の入口でしょう?」
「ニーナ様にお会いしたくて」
「あらっ、嬉しいわ」
ルーク様は私がニーナ様ラブな事を知っているから、相手がニーナ様だと案外簡単に離してくれた。
そろそろ御者が戻ってくる頃だし、目的も達成したから3人を見送ろう。
「御者に戻ってくるようお願いしているので、私のことは気にせず入学式の会場に向かってください」
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