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意識改革計画
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「焼き上がるまで2人で散歩でもしてきなよ」
「えっ!? でもエレナと…」
「もう少し婚約者らしくしとかないと、侯爵に何か言われても知らないぞ」
「……分かってる」
ルーク様、そういう事は本人がいないところでこっそり言わないと。そばで聞いてるニーナ様が複雑な顔をしてるじゃない。あんな状態で2人きりにしても…絶対進展しないわね。
「さぁ、僕達も行こうか」
「どこにですか?」
「相談、ここでしていいの?」
「はっ!! そうですね、サロンに移動しましょう」
せっかくだから焼きあがったクッキーもサロンでいただくことにしようっと。そうと決まればお兄様達にも散歩後にサロンに来てもらうよう、ソフィーに頼んでおかなきゃ。
「それで、エレナはどうしたいの?」
サロンに着くなりすぐさま本題に入った。今はあまり時間がないから、とってもありがたい。
「ニーナ様を悪役令嬢にしたくないのです」
「あく、あくやく令嬢? 悪い役をする令嬢ってことかな? えぇっと…ニーナ嬢には舞台に上がる役者になってほしいの?」
そっか、悪役も令嬢もそれぞれの言葉はあっても熟語としては存在してないんだった。
「ものの例えと言いますか…うーんなんて説明すればいいんだろう。大人になってもずっと優しいニーナ様でいてほしいと言いますか、身分を振りかざすような人になってほしくないんです」
「要するに悪役みたいに悪いことをする令嬢にはなってほしくない、ってことでいい?」
「はいっ! 分かってくださるなんて、さすがルーク様です!」
まぁねって言ってドヤ顔している姿は年相応で可愛いかも。ルーク様も…推せないことはないわね。あぁ、でもお兄様と並んだら……いい。
成長した2人はアイドル顔負けになるだろうから、そのままアイドルとしてデビューさせるでしょ。ニーナ様は…やっぱりモデルよね。お父様やお母様だって今からでも……
「…レナ、エレナ!」
「はっ!! ごめんなさい、ちょっとぼぉっとしてしまいました」
「そう? ずっと僕の顔を見つめるからドキドキしちゃったよ」
「えっ! あっ、その、見つめてなんて…」
なになにその色気! とても子供が出せるような色気じゃないと思うんですけどっ。それにその顔、絶対ドキドキなんてしてないでしょ。もうこんなのおませさんってレベルじゃないわ。
「エレナはその、悪役令嬢? にしないためにどうしたいって考えてる?」
「まずは使用人に優しくするところからだと思っています」
「うーん、そっか。でもね? 時には目で合図しなければいけない状況だってあるんだ。普段から主人の意図を汲んで動くことができなければ、そういった場合に困るでしょう? 言われたことをやるだけなら、言い方は悪いけどその辺にいる子供だってできるよ」
なるほど。その考えには至らなかった。確かに王城で働く上級使用人は9割が貴族出身だとついこの間習った気がする。中には優秀な平民もいるけど、継ぐ爵位がない貴族は騎士や文官を目指すか、王城で働くために努力するんだって。
うちにも貴族出身の使用人がいるし、公爵家はうちよりも多いはず。そもそも子供でもできるようなことしかできない人が、主人の身の回りの世話を任せてもらえるわけない。プライドを持って仕事をしている人に対して失礼な考え方を私はしてしまっていたのかも。自分の考えの甘さに気付かせてもらえて良かった。
「それでも…お礼を言うくらいはいいんじゃないかなって思ってしまいます。当たり前のことを当たり前にしてるだけだとしても」
「うん。感謝をするのは悪いことじゃないと僕も思うよ。ニーナ嬢に今ある当たり前は、感謝すべき事だって気付かせることが最初の課題かな?」
「はいっ! あの…その、ありがとうございます。相談に乗ってくれて」
「いつでも頼ってね。クッキーが焼き上がったらうまくその話に持っていかないとね」
「はいっ」
って…それが難しいんだけどね?
*
*
ガチャ
「おかえり」
「はわわわ」
「エレナっ!? どうしたの顔が真っ赤だよ? ルークに何かされた?」
いえいえ、強いて言うならお兄様達が原因です。ニーナ様とお兄様が腕を組んでいたなんて! 私としたことが、感動を声に出してしまったせいでその素敵なツーショットは一瞬だけのことだったけど。
「手カメラ…」
「大丈夫、僕が代わりにやっておいたよ」
「本当ですか!?」
「ん? て…? 今なんて言ったの?」
さすがルーク様っ! 後で見せて…………もらえないじゃない! 代わりじゃ意味ないのに。
「エ、エレナ? ど、どうしたの? なにか嫌なことがあった? なんで泣きそうな顔になってるの? あぁ…きっと僕が離れてたから寂しい思いをさせちゃったんだ…ごめんね?」
お兄様が何か言っているけど全然頭に入ってこない。カメラ制作って理系? いやたとえ文系だったとしても作れないわ。なんでもっと前世で勉強してこなかったんだろう。
「えっ!? でもエレナと…」
「もう少し婚約者らしくしとかないと、侯爵に何か言われても知らないぞ」
「……分かってる」
ルーク様、そういう事は本人がいないところでこっそり言わないと。そばで聞いてるニーナ様が複雑な顔をしてるじゃない。あんな状態で2人きりにしても…絶対進展しないわね。
「さぁ、僕達も行こうか」
「どこにですか?」
「相談、ここでしていいの?」
「はっ!! そうですね、サロンに移動しましょう」
せっかくだから焼きあがったクッキーもサロンでいただくことにしようっと。そうと決まればお兄様達にも散歩後にサロンに来てもらうよう、ソフィーに頼んでおかなきゃ。
「それで、エレナはどうしたいの?」
サロンに着くなりすぐさま本題に入った。今はあまり時間がないから、とってもありがたい。
「ニーナ様を悪役令嬢にしたくないのです」
「あく、あくやく令嬢? 悪い役をする令嬢ってことかな? えぇっと…ニーナ嬢には舞台に上がる役者になってほしいの?」
そっか、悪役も令嬢もそれぞれの言葉はあっても熟語としては存在してないんだった。
「ものの例えと言いますか…うーんなんて説明すればいいんだろう。大人になってもずっと優しいニーナ様でいてほしいと言いますか、身分を振りかざすような人になってほしくないんです」
「要するに悪役みたいに悪いことをする令嬢にはなってほしくない、ってことでいい?」
「はいっ! 分かってくださるなんて、さすがルーク様です!」
まぁねって言ってドヤ顔している姿は年相応で可愛いかも。ルーク様も…推せないことはないわね。あぁ、でもお兄様と並んだら……いい。
成長した2人はアイドル顔負けになるだろうから、そのままアイドルとしてデビューさせるでしょ。ニーナ様は…やっぱりモデルよね。お父様やお母様だって今からでも……
「…レナ、エレナ!」
「はっ!! ごめんなさい、ちょっとぼぉっとしてしまいました」
「そう? ずっと僕の顔を見つめるからドキドキしちゃったよ」
「えっ! あっ、その、見つめてなんて…」
なになにその色気! とても子供が出せるような色気じゃないと思うんですけどっ。それにその顔、絶対ドキドキなんてしてないでしょ。もうこんなのおませさんってレベルじゃないわ。
「エレナはその、悪役令嬢? にしないためにどうしたいって考えてる?」
「まずは使用人に優しくするところからだと思っています」
「うーん、そっか。でもね? 時には目で合図しなければいけない状況だってあるんだ。普段から主人の意図を汲んで動くことができなければ、そういった場合に困るでしょう? 言われたことをやるだけなら、言い方は悪いけどその辺にいる子供だってできるよ」
なるほど。その考えには至らなかった。確かに王城で働く上級使用人は9割が貴族出身だとついこの間習った気がする。中には優秀な平民もいるけど、継ぐ爵位がない貴族は騎士や文官を目指すか、王城で働くために努力するんだって。
うちにも貴族出身の使用人がいるし、公爵家はうちよりも多いはず。そもそも子供でもできるようなことしかできない人が、主人の身の回りの世話を任せてもらえるわけない。プライドを持って仕事をしている人に対して失礼な考え方を私はしてしまっていたのかも。自分の考えの甘さに気付かせてもらえて良かった。
「それでも…お礼を言うくらいはいいんじゃないかなって思ってしまいます。当たり前のことを当たり前にしてるだけだとしても」
「うん。感謝をするのは悪いことじゃないと僕も思うよ。ニーナ嬢に今ある当たり前は、感謝すべき事だって気付かせることが最初の課題かな?」
「はいっ! あの…その、ありがとうございます。相談に乗ってくれて」
「いつでも頼ってね。クッキーが焼き上がったらうまくその話に持っていかないとね」
「はいっ」
って…それが難しいんだけどね?
*
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ガチャ
「おかえり」
「はわわわ」
「エレナっ!? どうしたの顔が真っ赤だよ? ルークに何かされた?」
いえいえ、強いて言うならお兄様達が原因です。ニーナ様とお兄様が腕を組んでいたなんて! 私としたことが、感動を声に出してしまったせいでその素敵なツーショットは一瞬だけのことだったけど。
「手カメラ…」
「大丈夫、僕が代わりにやっておいたよ」
「本当ですか!?」
「ん? て…? 今なんて言ったの?」
さすがルーク様っ! 後で見せて…………もらえないじゃない! 代わりじゃ意味ないのに。
「エ、エレナ? ど、どうしたの? なにか嫌なことがあった? なんで泣きそうな顔になってるの? あぁ…きっと僕が離れてたから寂しい思いをさせちゃったんだ…ごめんね?」
お兄様が何か言っているけど全然頭に入ってこない。カメラ制作って理系? いやたとえ文系だったとしても作れないわ。なんでもっと前世で勉強してこなかったんだろう。
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