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推しは悪役令嬢
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いつの間にかそのまま寝てしまっていたようで、気が付いたら陽の光が差し込んでいる。もう朝になったのね。
それにしても…漫画の世界だ、異世界転生したと思う前世の私と、漫画って何? ここは現実世界よと思う今世の私が混在しているわ。
とりあえず、漫画について覚えている事を書き出しておく?
「朝の5時か…」
ソフィーが起こしに来るのは7時だからまだ2時間ある。無駄骨になるかもしれないけれど、頭の整理のためにも書き出そう。
「えっと、確かあの漫画の主人公は伯爵令嬢だったわよね。名前はナターシャで侯爵家嫡男のライナスとの恋愛を描いた漫画で…」
舞台となるのは王都にある全寮制の学園。お兄様達は入学から卒業までの3年間で愛を育み、卒業後に結婚してハッピーエンドで物語が終わっていた。
そういえば成人となる18歳の誕生日前に悪役令嬢との婚約を破棄していた。大勢の前とかではなく、恐らくうちの応接室で。
………あれ? 私、漫画に一切登場してなくない? 確かに1学年違うとはいえ、メインヒーローの妹なのに。結婚式のシーンでは私も描かれていたのかもしれないけれど…。
まぁいいわ。
「それより推しキャラよっ」
悪役令嬢である、ニーナ・クラーク公爵令嬢。
そもそもあの漫画家さんの絵が好きっていうのもあったんだけど、悪役令嬢が一番美しく描かれていたし、何より私の前世の名前が倉田新菜。そりゃあニーナ・クラークに親近感が湧きまくってもおかしくないでしょ。
どんな理由があれ虐めはよくないけど、婚約者がいるのに他の女といちゃついて、婚約者を蔑ろにしたお兄様が悪いわよね。
ニーナはお兄様が大好きなのに、素直になれなかっただけなんだから。
漫画では存在すらしていたのか怪しい私がニーナ・クラークと仲良くしていたのかは謎。でもせっかくなら美しいあのお顔を近くで拝みたい! 仲良くなりたい!
紙面上での主人公は、男性に好かれるタイプの可愛さなんだと読者に思わせるように描かれていた。会ったことないけど多分現実世界でもそうだと思う。勘だけど。
それに比べて悪役令嬢は女性が憧れるタイプの美しさだと思わせる描かれ方。正直義姉になるなら女性が憧れる悪役令嬢の方がよくない?
お兄様が婚約するのはいつかしら? ちょっと調べる必要があるわね。
私が会った時には悪役令嬢が既に悪役令嬢に仕上がっていたら困るから、できるだけ幼いうちから知り合っておきたいのよね。
前世では学生時代は部活を理由に、社会人になってからは仕事を理由にあまり恋愛をしてこなかった。本当は恋愛を楽しみたかったけど、誰にも相談できず、その代わりに恋愛漫画や小説、ゲームで疑似恋愛を楽しんでいた。
前世の私を供養するためにも、ニーナ・クラークを必ず幸せにするわ!
「えい、えい、おー!」
それにしても…漫画の世界だ、異世界転生したと思う前世の私と、漫画って何? ここは現実世界よと思う今世の私が混在しているわ。
とりあえず、漫画について覚えている事を書き出しておく?
「朝の5時か…」
ソフィーが起こしに来るのは7時だからまだ2時間ある。無駄骨になるかもしれないけれど、頭の整理のためにも書き出そう。
「えっと、確かあの漫画の主人公は伯爵令嬢だったわよね。名前はナターシャで侯爵家嫡男のライナスとの恋愛を描いた漫画で…」
舞台となるのは王都にある全寮制の学園。お兄様達は入学から卒業までの3年間で愛を育み、卒業後に結婚してハッピーエンドで物語が終わっていた。
そういえば成人となる18歳の誕生日前に悪役令嬢との婚約を破棄していた。大勢の前とかではなく、恐らくうちの応接室で。
………あれ? 私、漫画に一切登場してなくない? 確かに1学年違うとはいえ、メインヒーローの妹なのに。結婚式のシーンでは私も描かれていたのかもしれないけれど…。
まぁいいわ。
「それより推しキャラよっ」
悪役令嬢である、ニーナ・クラーク公爵令嬢。
そもそもあの漫画家さんの絵が好きっていうのもあったんだけど、悪役令嬢が一番美しく描かれていたし、何より私の前世の名前が倉田新菜。そりゃあニーナ・クラークに親近感が湧きまくってもおかしくないでしょ。
どんな理由があれ虐めはよくないけど、婚約者がいるのに他の女といちゃついて、婚約者を蔑ろにしたお兄様が悪いわよね。
ニーナはお兄様が大好きなのに、素直になれなかっただけなんだから。
漫画では存在すらしていたのか怪しい私がニーナ・クラークと仲良くしていたのかは謎。でもせっかくなら美しいあのお顔を近くで拝みたい! 仲良くなりたい!
紙面上での主人公は、男性に好かれるタイプの可愛さなんだと読者に思わせるように描かれていた。会ったことないけど多分現実世界でもそうだと思う。勘だけど。
それに比べて悪役令嬢は女性が憧れるタイプの美しさだと思わせる描かれ方。正直義姉になるなら女性が憧れる悪役令嬢の方がよくない?
お兄様が婚約するのはいつかしら? ちょっと調べる必要があるわね。
私が会った時には悪役令嬢が既に悪役令嬢に仕上がっていたら困るから、できるだけ幼いうちから知り合っておきたいのよね。
前世では学生時代は部活を理由に、社会人になってからは仕事を理由にあまり恋愛をしてこなかった。本当は恋愛を楽しみたかったけど、誰にも相談できず、その代わりに恋愛漫画や小説、ゲームで疑似恋愛を楽しんでいた。
前世の私を供養するためにも、ニーナ・クラークを必ず幸せにするわ!
「えい、えい、おー!」
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