上 下
3 / 44

ここは漫画の世界?

しおりを挟む
「ゔぅっ」
「エレナ様っ!」
「えっ……だれ?」
「っ!!! すぐに旦那様に知らせてきますっ。お、お医者様もっ」

 今の女の子は誰? というかここはどこなの? 少し頭が痛い気がするけど、病院って感じもしない。何というか…貴族の部屋みたい。ベッドもふかふかだし、天蓋付きだし。

 何よりさっきの女の子めちゃくちゃ可愛かったなぁ。ハーフ…いや欧米人って感じがした。

 そういえば旦那様って言ってたけど、私結婚してないんだけど。

「分けわかん……えっ?」

 私の手、小さくない? 声も子供の声だし…。どう見ても体が小さい…鏡はっ!? ………あった!

 ベッドを降り、目に入ったドレッサーへと一目散と向かってみるとそこにいたのは……

「えっ、めっちゃ可愛いじゃん」

 鏡の前には4.5歳くらいの外国の女の子が立っていた。金髪碧眼で肌は白く控えめに言って美少女なんですけど。これ私だよね…? えっ、夢? 現実? 現実ならめちゃくちゃ嬉しいんだけどっ!! 将来が楽しみすぎるっ。

 バタバタバタ

 ん? 数人の走る音…?

 ガチャッ

「エレナっ。記憶がないと聞いたがっ」
「お、お父様?」

 あれっ? 違和感なくこの人が父親だとそう思える。さっきの旦那様ってお父様のとだったのね。

「よかった。でももう少し休みなさい。医者も外傷はないが意識が戻っても2.3日は大人しくするようにと言っていたからね」

 そう言って軽々私を抱き上げ、ベッドへと寝かせてくれた。後ろにいるお母様とお兄様、そしてソフィーも心配そうな顔をしていている。

「記憶は問題ないのですね?」
「はい、お母様。さっきは少し混乱してしまい…ソフィー、ごめんなさいね」
「いえっ」

 まだ絶賛混乱中だけど、家族の顔を見たおかげかここで5年間過ごしてきたことも思い出したし、さっきの可愛い女の子は私の専属侍女であるソフィーだということも思い出せた。産まれたときからちゃんと私がエレナで、この子の人格を奪ってしまったとかじゃなくて本当によかった。

 ソフィーは私より5歳年上だから可愛いお姉さんって言う方が正しいのかな? なんて考えていたら可愛い男の子、お兄様が心配そうに私の手を取って様子をうかがってきた。

「エレナ大丈夫?」
「大丈夫です、お兄さま……っ、!!」

 う、嘘でしょ!? あまりの驚きで目を見開いてしまった。

「エレナ、やっぱり様子が…」
「だ、だいじょ、ぶです。少し寝ます…」
「そうだな、ゆっくり休むといい。ライナスも部屋に戻りなさい」

 一旦自己処理させてほしい。心配しているお兄様には申し訳ないけれど、頭まで布団を被ってシャットダウンさせてもらいますっ!

「ゆっくり寝てね」
「はい」

 まだ幼いけれどお兄様の顔を見て気が付いた。ここは私が前世好きだった漫画の世界だということに。お兄様って主人公の相手役のライナス・マーリンだっ! 金髪碧眼で国一番のイケメンって設定で…そりゃ血の繋がった妹も可愛いわけだよ。両親も美男美女だったし。

 昼間に階段で足を踏み外し、頭をぶつけたのかそのまま意識が遠のいて…起きたらこの状況。いいのか悪いのか頭痛が治まってきた。私は前世を思い出したかったの?



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

死にたがり令嬢が笑う日まで。

ふまさ
恋愛
「これだけは、覚えておいてほしい。わたしが心から信用するのも、愛しているのも、カイラだけだ。この先、それだけは、変わることはない」  真剣な表情で言い放つアラスターの隣で、肩を抱かれたカイラは、突然のことに驚いてはいたが、同時に、嬉しそうに頬を緩めていた。二人の目の前に立つニアが、はい、と無表情で呟く。  正直、どうでもよかった。  ニアの望みは、物心ついたころから、たった一つだけだったから。もとより、なにも期待などしてない。  ──ああ。眠るように、穏やかに死ねたらなあ。  吹き抜けの天井を仰ぐ。お腹が、ぐうっとなった。

転生おばさんは有能な侍女

吉田ルネ
恋愛
五十四才の人生あきらめモードのおばさんが転生した先は、可憐なお嬢さまの侍女でした え? 婚約者が浮気? え? 国家転覆の陰謀? 転生おばさんは忙しい そして、新しい恋の予感…… てへ 豊富な(?)人生経験をもとに、お嬢さまをおたすけするぞ!

【完結】殺されたくないので好みじゃないイケメン冷徹騎士と結婚します

大森 樹
恋愛
女子高生の大石杏奈は、上田健斗にストーカーのように付き纏われている。 「私あなたみたいな男性好みじゃないの」 「僕から逃げられると思っているの?」 そのまま階段から健斗に突き落とされて命を落としてしまう。 すると女神が現れて『このままでは何度人生をやり直しても、その世界のケントに殺される』と聞いた私は最強の騎士であり魔法使いでもある男に命を守ってもらうため異世界転生をした。 これで生き残れる…!なんて喜んでいたら最強の騎士は女嫌いの冷徹騎士ジルヴェスターだった!イケメンだが好みじゃないし、意地悪で口が悪い彼とは仲良くなれそうにない! 「アンナ、やはり君は私の妻に一番向いている女だ」 嫌いだと言っているのに、彼は『自分を好きにならない女』を妻にしたいと契約結婚を持ちかけて来た。 私は命を守るため。 彼は偽物の妻を得るため。 お互いの利益のための婚約生活。喧嘩ばかりしていた二人だが…少しずつ距離が近付いていく。そこに健斗ことケントが現れアンナに興味を持ってしまう。 「この命に代えても絶対にアンナを守ると誓おう」 アンナは無事生き残り、幸せになれるのか。 転生した恋を知らない女子高生×女嫌いのイケメン冷徹騎士のラブストーリー!? ハッピーエンド保証します。

【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!

白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、 《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。 しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、 義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった! バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、 前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??  異世界転生:恋愛 ※魔法無し  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

【完結】怪力令嬢の嫁入り~嫁の貰い手がないので最弱王国の王子様と結婚させていただきます~

久留茶
恋愛
最強騎士団を統率するハミルトン公爵家の末っ子令嬢のマチルダは見た目はとても淑やかで控え目な美少女であったが、実は怪力の持ち主であった。怪力を隠し世間知らずの箱入り娘として育ったマチルダは自国のお城の王子とお見合いをするも、ふとしたことで怪力がばれてしまう。怪力の噂が広がり、今後の縁談に支障が出てしまったハミルトン公爵はマチルダの力を有効に使える最弱国であるボルド国の第一王子マンフリードに縁談話を持ちかけるのだが……。 脳筋天然おバカワンコ系ヒロインと真面目な苦労性の突っ込み役王子のラブコメです。 *二章の次に番外編を挟み、一章~三章の全27話完結となっています。 *二章のバトル描写と後半のやや高めの糖度で一応R15とさせて頂きました。 *小説家になろうにも掲載してます。

【完結】せっかくモブに転生したのに、まわりが濃すぎて逆に目立つんですけど

monaca
恋愛
前世で目立って嫌だったわたしは、女神に「モブに転生させて」とお願いした。 でも、なんだか周りの人間がおかしい。 どいつもこいつも、妙にキャラの濃いのが揃っている。 これ、普通にしているわたしのほうが、逆に目立ってるんじゃない?

【完結】名ばかりの妻を押しつけられた公女は、人生のやり直しを求めます。2度目は絶対に飼殺し妃ルートの回避に全力をつくします。

yukiwa (旧PN 雪花)
恋愛
*タイトル変更しました。(旧題 黄金竜の花嫁~飼殺し妃は遡る~) パウラ・ヘルムダールは、竜の血を継ぐ名門大公家の跡継ぎ公女。 この世を支配する黄金竜オーディに望まれて側室にされるが、その実態は正室の仕事を丸投げされてこなすだけの、名のみの妻だった。 しかもその名のみの妻、側室なのに選抜試験などと御大層なものがあって。生真面目パウラは手を抜くことを知らず、ついつい頑張ってなりたくもなかった側室に見事当選。 もう一人の側室候補エリーヌは、イケメン試験官と恋をしてさっさと選抜試験から引き揚げていた。 「やられた!」と後悔しても、後の祭り。仕方ないからパウラは丸投げされた仕事をこなし、こなして一生を終える。そしてご褒美にやり直しの転生を願った。 「二度と絶対、飼殺しの妃はごめんです」 そうして始まった2度目の人生、なんだか周りが騒がしい。 竜の血を継ぐ4人の青年(後に試験官になる)たちは、なぜだかみんなパウラに甘い。 後半、シリアス風味のハピエン。 3章からルート分岐します。 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。 表紙画像はwaifulabsで作成していただきました。 https://waifulabs.com/

悪役令嬢に転生したので落ちこぼれ攻略キャラを育てるつもりが逆に攻略されているのかもしれない

亜瑠真白
恋愛
推しキャラを幸せにしたい転生令嬢×裏アリ優等生攻略キャラ  社畜OLが転生した先は乙女ゲームの悪役令嬢エマ・リーステンだった。ゲーム内の推し攻略キャラ・ルイスと対面を果たしたエマは決心した。「他の攻略キャラを出し抜いて、ルイスを主人公とくっつけてやる!」と。優等生キャラのルイスや、エマの許嫁だった俺様系攻略キャラのジキウスは、ゲームのシナリオと少し様子が違うよう。 エマは無事にルイスと主人公をカップルにすることが出来るのか。それとも…… 「エマ、可愛い」 いたずらっぽく笑うルイス。そんな顔、私は知らない。

処理中です...