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本編
第8話 俺様の侵入経路と結界の秘密
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次の日の朝、白髭の爺さんがやって来た。
「どうじゃ、なにか判ったかの?
なんじゃ? 寝てしまったのか? それでは何も判らんではないか。
まあ、昨夜はみーちゃんが部屋に入った形跡は無かったが」
いや、俺様には判ったことがあるぞ。扉のおじさんはイビキがうるさいのだ。
「困ったのお・・・・」
白髭の爺さんが困っていると、茶色の女の人が書類をもってやって来た。
「ギルマス、忙しいのに何をやっているんです? これ急ぎで決済お願いしますね。
みーちゃん、今日もギルマスに遊んでもらってね」
「おいおい、みーちゃんをワシに押し付けるでないわ。
ところでエヌエラ。みーちゃんが、どうやって部屋に入るか判らんかの?」
茶色の女の人は、ちょっと不満そうな顔で白髭の爺さんと扉のおじさんの話を聞いたら、1階から自分の弁当を持ってきた。
弁当から、魚の切り身を取り出して
「ほーら、みーちゃん、大好きな魚よ~」
俺様の鼻先で見せつけた後で、白髭の爺さんのデスクに置いた。
俺様は、デスクに飛び上がって、魚を食べようとした所で、抱き上げられた。
「にゃあああああああ」
俺様は抗議したけど、茶色の女の人は放してくれないのだ。
そのまま、廊下に連れて行かれた。
「結界はちゃんと起動してます? それじゃ、行きますよ」
俺様は、廊下にポンと降ろされた。
ちょっと腹が立つけど、やっぱり魚は食べたいしな。
魚は部屋の中だから部屋に入るしかない。
俺様は部屋の扉をじっと見上げる。
扉の中ほどにあるガラス玉が赤色に光っているからな。
ぴょんとジャンプして肉球でタッチ。
ガラス玉が青色に変わる。
そしたら、もう一度ジャンプしてドアノブにぶら下がる。
扉が開いて隙間ができるから、飛び降りて隙間から部屋に入るのだ。
暫くすると、扉は自動的に閉まるからな。
閉まったところで、扉の向こうで3人の声がした。
「「「普通に開けてた!!」」」
俺様はいつも普通に出入りしているのだ。当たり前だろ?
さて、魚を頂くのだ。
◇◇◇◇◇◇
今日も俺様は、白髭の爺さんの部屋だ。
ソファーの上で、真っ直ぐに伸びて昼寝しているのだ。
だけど、白髭の爺さんが俺様の隣に座って紙束で遊んでいるから、時々、俺様も一緒に遊ぶけどな。「やめろ」って言うならデスクの方に行けば良いんじゃないかと俺様は思うのだ。
午後になって、また扉のおじさんがやってきた。
「王都の工房に調べてもらってたんですが、調査結果が届きまして」
白髭の爺さんが紙束をまとめてソファーの前のテーブルに置いたから、俺様は起き上がって紙束の上に座った。
「みーちゃん、その書類はバラバラにしたらいかんぞ?
それで、工房からは何と言ってきたのじゃ?」
「調べた所、結界の術式は大昔に勇者が魔王城から持ち帰った結界石の術式が基になっているらしいなんですが・・・」
「ほほう。魔法城の術式とは驚いたわい」
「現在、世界中で使われている結界はこれの派生術式ばかりなんです。
しかし、術式の中心部の個人認証部分が特に難解でして。数百年使われていますが、未だにほとんど解読不能だそうでして」
「なんじゃ、訳のわかからんモノを使っておるのか?」
「えーと、そういう事になります。しかし、解明出来ないので誰も突破出来ないという事でもありまして、セキュリティ的にはかなり高度なものになります」
「ふーむ、確かにそういう考え方もできるのぉ」
「ただ・・・ですね」
「ほほう、ここからが本題のようじゃの。聞かせてもらおうかの」
「当時の記録を詳しく調べた所、魔王がヌコを飼っていたらしいんですよ」
「魔王がヌコを? それは驚きじゃが・・・関係あるかの?」
「いや、ほら。ヌコを飼う人って扉に小さい穴を開けたりするじゃないですか。トイレに行けるように」
「それは聞いたことがあるが・・・もしかして?」
「いや、推測なんですよ。推測なんですが、ヌコが出入りできるように結界の術式が組まれているんじゃないかって・・・」
「なんとまあ・・・驚くやら呆れるやら・・・それで対策は?」
「人間が数百年も解読不能な術式ですよ。対策なんて無理ですよ」
「そうすると、世界中にある結界はヌコが出入り自由という事か?」
「王宮でも裏の組織でも、どんな結界でもヌコは自由に出入りできますね・・・」
白髭の爺さんと扉のおじさんが、俺様をじっと見るからな。
バラバラになった紙束を蹴飛ばしてソファーの下に逃げ込んだのだ。
「ちなみにこれ、工房の方から秘密にしてくれって言ってます」
「当然じゃろうて・・・じゃがしかし、これが毎日続くのか・・・」
白髭の爺さんが、散らばった書類を見て溜息をついた。
「どうじゃ、なにか判ったかの?
なんじゃ? 寝てしまったのか? それでは何も判らんではないか。
まあ、昨夜はみーちゃんが部屋に入った形跡は無かったが」
いや、俺様には判ったことがあるぞ。扉のおじさんはイビキがうるさいのだ。
「困ったのお・・・・」
白髭の爺さんが困っていると、茶色の女の人が書類をもってやって来た。
「ギルマス、忙しいのに何をやっているんです? これ急ぎで決済お願いしますね。
みーちゃん、今日もギルマスに遊んでもらってね」
「おいおい、みーちゃんをワシに押し付けるでないわ。
ところでエヌエラ。みーちゃんが、どうやって部屋に入るか判らんかの?」
茶色の女の人は、ちょっと不満そうな顔で白髭の爺さんと扉のおじさんの話を聞いたら、1階から自分の弁当を持ってきた。
弁当から、魚の切り身を取り出して
「ほーら、みーちゃん、大好きな魚よ~」
俺様の鼻先で見せつけた後で、白髭の爺さんのデスクに置いた。
俺様は、デスクに飛び上がって、魚を食べようとした所で、抱き上げられた。
「にゃあああああああ」
俺様は抗議したけど、茶色の女の人は放してくれないのだ。
そのまま、廊下に連れて行かれた。
「結界はちゃんと起動してます? それじゃ、行きますよ」
俺様は、廊下にポンと降ろされた。
ちょっと腹が立つけど、やっぱり魚は食べたいしな。
魚は部屋の中だから部屋に入るしかない。
俺様は部屋の扉をじっと見上げる。
扉の中ほどにあるガラス玉が赤色に光っているからな。
ぴょんとジャンプして肉球でタッチ。
ガラス玉が青色に変わる。
そしたら、もう一度ジャンプしてドアノブにぶら下がる。
扉が開いて隙間ができるから、飛び降りて隙間から部屋に入るのだ。
暫くすると、扉は自動的に閉まるからな。
閉まったところで、扉の向こうで3人の声がした。
「「「普通に開けてた!!」」」
俺様はいつも普通に出入りしているのだ。当たり前だろ?
さて、魚を頂くのだ。
◇◇◇◇◇◇
今日も俺様は、白髭の爺さんの部屋だ。
ソファーの上で、真っ直ぐに伸びて昼寝しているのだ。
だけど、白髭の爺さんが俺様の隣に座って紙束で遊んでいるから、時々、俺様も一緒に遊ぶけどな。「やめろ」って言うならデスクの方に行けば良いんじゃないかと俺様は思うのだ。
午後になって、また扉のおじさんがやってきた。
「王都の工房に調べてもらってたんですが、調査結果が届きまして」
白髭の爺さんが紙束をまとめてソファーの前のテーブルに置いたから、俺様は起き上がって紙束の上に座った。
「みーちゃん、その書類はバラバラにしたらいかんぞ?
それで、工房からは何と言ってきたのじゃ?」
「調べた所、結界の術式は大昔に勇者が魔王城から持ち帰った結界石の術式が基になっているらしいなんですが・・・」
「ほほう。魔法城の術式とは驚いたわい」
「現在、世界中で使われている結界はこれの派生術式ばかりなんです。
しかし、術式の中心部の個人認証部分が特に難解でして。数百年使われていますが、未だにほとんど解読不能だそうでして」
「なんじゃ、訳のわかからんモノを使っておるのか?」
「えーと、そういう事になります。しかし、解明出来ないので誰も突破出来ないという事でもありまして、セキュリティ的にはかなり高度なものになります」
「ふーむ、確かにそういう考え方もできるのぉ」
「ただ・・・ですね」
「ほほう、ここからが本題のようじゃの。聞かせてもらおうかの」
「当時の記録を詳しく調べた所、魔王がヌコを飼っていたらしいんですよ」
「魔王がヌコを? それは驚きじゃが・・・関係あるかの?」
「いや、ほら。ヌコを飼う人って扉に小さい穴を開けたりするじゃないですか。トイレに行けるように」
「それは聞いたことがあるが・・・もしかして?」
「いや、推測なんですよ。推測なんですが、ヌコが出入りできるように結界の術式が組まれているんじゃないかって・・・」
「なんとまあ・・・驚くやら呆れるやら・・・それで対策は?」
「人間が数百年も解読不能な術式ですよ。対策なんて無理ですよ」
「そうすると、世界中にある結界はヌコが出入り自由という事か?」
「王宮でも裏の組織でも、どんな結界でもヌコは自由に出入りできますね・・・」
白髭の爺さんと扉のおじさんが、俺様をじっと見るからな。
バラバラになった紙束を蹴飛ばしてソファーの下に逃げ込んだのだ。
「ちなみにこれ、工房の方から秘密にしてくれって言ってます」
「当然じゃろうて・・・じゃがしかし、これが毎日続くのか・・・」
白髭の爺さんが、散らばった書類を見て溜息をついた。
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