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本編
第7話 俺様の誘拐事件と新しい遊び相手
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口髭の男は、うるさそうな顔をして、後ろの棒の人達に手で合図した。そしたら、棒の人達が俺様の方に向かってきたのだ。無言でな、まったく人は常識というものを知らないから困るのだ。
「チっ チっ チっ」のおじさん達よりも少しだけ早かったけどお話にならないのだ。最初の棒の人の手を横飛びで避けて、次の棒の人の手に猫パンチ2発。机を超えて転がっていった棒の人が何かにぶつかってガッシャンガラガラと音がした。けど3人めの棒の人が殴りかかって来たから、その腕に爪を立てて飛び乗ってからジャンプして顔に引っ掻く攻撃。後ろ足で顔を蹴ってジャンプ。仰向けに倒れたから腹の上にドスンと着地。「ぅう」と苦しそうな声を出すけど、気にせずに胸の革鎧でガシガシと爪とぎ攻撃だ。
「このやろう!!」
さっき後ろに転がっていったヤツがまた向かってきたから、さっさと走って逃げる。ちょっとミスって壁際に追い詰められてしまった。仕方ないな。くるっと反転して、棒の人に向かってジャンプ! 「おぉぉ」ってのけぞった胸に爪を立ててしがみつく。ガッチリと爪を食い込ませて「ウゥゥッ」って威嚇したら仰向けにドスンと倒れたから、またさっさと逃げる。逃げた先に腕から血を流した棒の人が居たから、くるっと向きを変えて階段を駆け上がる。廊下を走って突き当りは白髭の爺さんの部屋だ。
棒の人が棒を振り回して来たから、ちょっと横に避ける。棒が折れて飛んでいった。扉に猫パンチ3発! バリバリバリっと何かが割れるような音がした。いつもはそっと開けるんだけどな、今日は急いでいるからゴメンよ。扉が開いたら部屋に飛び込む。棒の人達も追ってくるから本棚の上に駆け上がる。振り返って思いっきり吠えてやった。
「シャァァァァアァァァ!!」
棒の人達が後ろに下がったから、本棚の上から飛び降りる。もちろん、顔めがけてだ。爪を立てて顔に着地、そのまま爪で引っ掻いて下までずり落ちる。おっと、革鎧で引っかかったぞ? この革は爪研ぎにちょうどいいかもしれないな。うつ伏せに倒れて来たから、さっと飛び降りて白髭の爺さんの机の上に飛び乗る。ふぅと一息。そろそろ諦めたかな? 背中をペロペロしてちょっと落ち着こう。
棒の人達は、尻もちをついた状態で動こうとしないから、机から飛び降りた。そんなにビクッとしなくても、俺様から仕掛けることはしないのだ。そのまま廊下へ出て階段から1階へ降りると、太った商人がまだ居た。無視して受付の机の上に飛び乗る。香箱座りして、ふぁ~とあくびする。
「こっこのヌコめ! おいシエトン! さっさと捕まえろ! 役立たずめ!」
2階から棒の人達も降りてきたら、口髭の男がやかましくなったのだ。
「貴様ら! ヌコ一匹捕まえられんのか! たるんどる!」
降りてきた棒の人達も困った顔してるのだ。血だらけの顔でな。
「班長、俺達じゃ無理です。捕獲できません」
「ふぬけどもめ!」
口髭の男が俺様の方に近づいて来たから、俺様は立ち上がった。けど、くるっと回れ右して白髭の爺さんの方に行ってしまった。
「おい、引き渡しに抵抗すると言うのならハンターギルドが犯人という事にするぞ! さっさと引き渡せ!」
「ワシらは一歩も動いとらんぞ? お主らがヌコを追いかけるのを見ていただけじゃが?」
「おのれ! 一般市民は衛兵隊に協力しろ! 公務執行妨害にするぞ!」
白髭の爺さんは、ふかーく溜息をついてから静かに言った。
「エヌエラ、みーちゃんをシエトン殿の胸に貼り付けてあげなさい」
「ギルマス!」
「今はそれしか無さそうじゃ」
茶色の女の人は悔しそうな顔で口髭の男を睨みつけた。そして、俺様の方にやって来ると抱き上げて頭を撫でてくれた。
「みーちゃん、この人が遊んでくれるそうよ。思いっきりやりなさい」
べしっと革鎧に押し付けられた。ん? ん?
口髭の男が俺様を抱きかかえていたけど、居心地がわるいな。
「よし、シエトン放すなよ!!!」
くそーうるさいな。革鎧にガシッと爪を立てる。口髭の男が「うぐぐぐぐ」って言っているな。もう一回やってみよう。ガシッ、ガシガシガシ。
「よし邪魔したな。シエトン帰るぞ! 急げ!」
俺様は口髭の男に抱えられたまま、馬車の中に入った。外から白髭の爺さんの声が聞こえた。
「みーちゃん、自由にして来て良いぞ」
そっかー自由にして良いのか~
俺様は革鎧でバリバリと爪研ぎしてみた。いつもは爪研ぎすると怒られるからな。自由っていいなー。あれ? 革鎧が裂けてきた。なんか血が出てるなあ。口髭の男は胸に毛が生えてるのかあ、これは新発見だな。口に咥えて引っ張ってみた。ギィッとかグゥゥって言うから面白いな。最近新しいおもちゃが無かったからな。
「チっ チっ チっ」のおじさん達よりも少しだけ早かったけどお話にならないのだ。最初の棒の人の手を横飛びで避けて、次の棒の人の手に猫パンチ2発。机を超えて転がっていった棒の人が何かにぶつかってガッシャンガラガラと音がした。けど3人めの棒の人が殴りかかって来たから、その腕に爪を立てて飛び乗ってからジャンプして顔に引っ掻く攻撃。後ろ足で顔を蹴ってジャンプ。仰向けに倒れたから腹の上にドスンと着地。「ぅう」と苦しそうな声を出すけど、気にせずに胸の革鎧でガシガシと爪とぎ攻撃だ。
「このやろう!!」
さっき後ろに転がっていったヤツがまた向かってきたから、さっさと走って逃げる。ちょっとミスって壁際に追い詰められてしまった。仕方ないな。くるっと反転して、棒の人に向かってジャンプ! 「おぉぉ」ってのけぞった胸に爪を立ててしがみつく。ガッチリと爪を食い込ませて「ウゥゥッ」って威嚇したら仰向けにドスンと倒れたから、またさっさと逃げる。逃げた先に腕から血を流した棒の人が居たから、くるっと向きを変えて階段を駆け上がる。廊下を走って突き当りは白髭の爺さんの部屋だ。
棒の人が棒を振り回して来たから、ちょっと横に避ける。棒が折れて飛んでいった。扉に猫パンチ3発! バリバリバリっと何かが割れるような音がした。いつもはそっと開けるんだけどな、今日は急いでいるからゴメンよ。扉が開いたら部屋に飛び込む。棒の人達も追ってくるから本棚の上に駆け上がる。振り返って思いっきり吠えてやった。
「シャァァァァアァァァ!!」
棒の人達が後ろに下がったから、本棚の上から飛び降りる。もちろん、顔めがけてだ。爪を立てて顔に着地、そのまま爪で引っ掻いて下までずり落ちる。おっと、革鎧で引っかかったぞ? この革は爪研ぎにちょうどいいかもしれないな。うつ伏せに倒れて来たから、さっと飛び降りて白髭の爺さんの机の上に飛び乗る。ふぅと一息。そろそろ諦めたかな? 背中をペロペロしてちょっと落ち着こう。
棒の人達は、尻もちをついた状態で動こうとしないから、机から飛び降りた。そんなにビクッとしなくても、俺様から仕掛けることはしないのだ。そのまま廊下へ出て階段から1階へ降りると、太った商人がまだ居た。無視して受付の机の上に飛び乗る。香箱座りして、ふぁ~とあくびする。
「こっこのヌコめ! おいシエトン! さっさと捕まえろ! 役立たずめ!」
2階から棒の人達も降りてきたら、口髭の男がやかましくなったのだ。
「貴様ら! ヌコ一匹捕まえられんのか! たるんどる!」
降りてきた棒の人達も困った顔してるのだ。血だらけの顔でな。
「班長、俺達じゃ無理です。捕獲できません」
「ふぬけどもめ!」
口髭の男が俺様の方に近づいて来たから、俺様は立ち上がった。けど、くるっと回れ右して白髭の爺さんの方に行ってしまった。
「おい、引き渡しに抵抗すると言うのならハンターギルドが犯人という事にするぞ! さっさと引き渡せ!」
「ワシらは一歩も動いとらんぞ? お主らがヌコを追いかけるのを見ていただけじゃが?」
「おのれ! 一般市民は衛兵隊に協力しろ! 公務執行妨害にするぞ!」
白髭の爺さんは、ふかーく溜息をついてから静かに言った。
「エヌエラ、みーちゃんをシエトン殿の胸に貼り付けてあげなさい」
「ギルマス!」
「今はそれしか無さそうじゃ」
茶色の女の人は悔しそうな顔で口髭の男を睨みつけた。そして、俺様の方にやって来ると抱き上げて頭を撫でてくれた。
「みーちゃん、この人が遊んでくれるそうよ。思いっきりやりなさい」
べしっと革鎧に押し付けられた。ん? ん?
口髭の男が俺様を抱きかかえていたけど、居心地がわるいな。
「よし、シエトン放すなよ!!!」
くそーうるさいな。革鎧にガシッと爪を立てる。口髭の男が「うぐぐぐぐ」って言っているな。もう一回やってみよう。ガシッ、ガシガシガシ。
「よし邪魔したな。シエトン帰るぞ! 急げ!」
俺様は口髭の男に抱えられたまま、馬車の中に入った。外から白髭の爺さんの声が聞こえた。
「みーちゃん、自由にして来て良いぞ」
そっかー自由にして良いのか~
俺様は革鎧でバリバリと爪研ぎしてみた。いつもは爪研ぎすると怒られるからな。自由っていいなー。あれ? 革鎧が裂けてきた。なんか血が出てるなあ。口髭の男は胸に毛が生えてるのかあ、これは新発見だな。口に咥えて引っ張ってみた。ギィッとかグゥゥって言うから面白いな。最近新しいおもちゃが無かったからな。
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