俺様はネコなのだ〜猫は異世界に行ってもネコ〜

わんこ

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本編

第6話 俺様のダンジョンツアーとプチ家出

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ハンターギルドから出た俺様は、とりあえずギヨム商会の倉庫へと向かった。

俺様は月に1回、ネズミ退治に行かなくてはならないのだ。つい最近行った気もするけど、多くてダメな事はないしな。

ギヨム商会までたどり着くと、裏手の倉庫入り口に行ってみた。

あれ? だれも居ないぞ。まあいいか、俺様は倉庫に忍び込んだ。

夜の倉庫は静かだ。

俺様はちょっと大きめの荷物の上に隠れて、ネズミが出るのを待っているのだ。

じっとしていると、微かな音が聞こえてくる。耳をピクと音の方向に向ける。

音を立てずに飛び降りて忍び寄る。ネズミが小麦の袋をかじろうとしている。

俺様はすすすすっと近づいて、狙いを定めて飛び付く。
がっちり爪で押さえ込んで1匹目。

さて、収納にポイっと・・・出来ないぞ。ここのネズミは俺様と同じ位の大きさがあるので、ポイッと投げられるサイズじゃない。仕方が無いので、鼻先で収納画面に押し込む。
咥えて運ぶより、とっても楽ちんだ。

そんな感じで、夜が明けるまでの間に3引きのネズミを仕留めた。
倉庫のおじさん達が来るまでに入り口に並べて置いておく。
また、おじさん達がびっくりしていたけど、今日は踏んづけなかったな。

そのまま倉庫でのんびりして、お昼におじさんのお弁当を少しもらってから昼寝をしていると、商人さんギヨムがやってきて俺様に礼を言ってくれた。尻尾をちょいちょいと振って返事しておいた。

夕方になると、おじさん達の仕事が終わって帰っていった。そろそろお腹が空いてきた。

うーん、ハンターギルドに戻ってやるか。



ハンターギルドまで戻った俺様は、隣の建物の買い取り窓口へ行くのだ。
奥の解体作業場まで行くと、解体のおじさんがでかい魔物を解体していた。大きな角で強そうだな。

おじさんの足元で「にゃー」と鳴く。

「おお? みーちゃん、どこに居たんだい? みんな探してたぞ?」

それはいいから、
ごはんちょーだい。
 俺様は足元にスリスリして、靴の上に寝転がる。

「待て待て。アバラの所をやるからな。もうちょっとまってろ」

おじさんは、骨から肉をそぎ取ると、包丁を両手に持って肉を細かく刻んでいく。
解体場の壁際になる竈で、フライパンで軽く炒めてお皿に載せてくれる。

「ほれ、冷めてからゆっくり食えよ」

ちょっと口をつけたら熱かったので、あわてて舌をペロペロ。
冷めるまで待つしかないか・・・お皿の前でじっとガマン。


そんなことをしていると、解体のおじさんが、茶色の女の人エヌエラ臭い人ガイルを連れてやって来た。

「みーちゃん! よかった、どこに居たの?」

俺様はつーんと横を向く。

「わかったから。依頼とかしなくていいからね?」

わかってくれたか。俺様もひと安心だ。

と思ったら、臭い人ガイルがちょっと困った顔をした。

「いや~悪いんだが、できたら一緒にダンジョン行ってくれねえか? みーちゃん」

茶色の女の人エヌエラはちょっと慌てて臭い人ガイルにかみついた。

「ガイルさん、またみーちゃんが家出したらどうしてくれるんですか!!」

臭い人ガイルは、ちょっとアタフタ。

「すまん、
けどよ。今回は調査だからよ、みーちゃんの索敵がありゃ余計な戦闘しなくて済むんだ。みーちゃんの察知能力はスゲーんだぜ?」

ゴブリンの時に頑張りすぎたかもな。もっと手を抜けばよかった。

茶色の女の人エヌエラは「ダメです」と一言。そうだそうだダメだぞ。

「そこを何とか頼むぜ~一杯おごるからよ」

ふーんだ。俺様は酒は飲まないし~

「じゃあ魚はどうだ?」

魚かぁ。いや、ここで油断したらいけないのだ。

けど、茶色の女の人エヌエラが余計な一言を・・・

「そういえば、お弁当の魚は食べてたわね。他の魚より喜んで食べてたかしら」

確かにあれは美味しかった。キラーサーモンより旨かった。

「ほう? どんな魚だ?」

「あの時のお弁当は、ホワイトレイクシャークの切り身だったわよ」

解体のおじさんが、ぼそっと一言

「あれは滅多に入荷せんな」

レイクシャークは買い取りにも時々持ち込まれるそうだ。皮や骨が素材として使えるらしいが肉は食べられない。でも、ホワイトレイクシャークの肉は食べられる。めったに入荷しないし知らない人も多いから市場にも出回らない。

解体のおじさんも「あれは旨いんだけどな」と。知る人ぞ知る食材なんだとさ。

そんな話を聞いていると食べたくなってきたな。

「にゃぁ?」

臭い人ガイルに向かって鳴いてみた。

「・・・そのホワイトレークシャークがあれば行ってくれるのか?」

「にゃごん」

次の日の朝、ハンターギルドの掲示板に緊急依頼が貼り出された。集まってきた臭い人ハンター達が「なんだこれ?」って顔で眺めている。

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急募! ホワイトレイクシャーク
対象ランク:全ランク対象
報酬:金貨1枚
目的:収集
品目:ホワイトレイクシャークの肉
期日:可及的速やかに
依頼人:C級ハンター ガイル
条件:食用可能な状態であること
    可能であれば活魚、もしくは、新鮮な状態が望ましい
内容:みーちゃんへ依頼を出すための報酬としてホワイトレイクシャークの肉が必要となりました。肉がないと依頼が出せないので可及的速やかに入手したい。
ワイトレイクシャークの肉以外は特に必要ありません。
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声の演技でこんなに生き生きとキャラクターが動き出すなんて感動です。続きを聴いてみたいので、リクエストに是非ご協力をお願いできませんか?Writoneのページで"つづきがきになる"をクリックするだけです。
ボイスブック化してくれた 鈴風さん すみちゃむさん なつさん ありがとうございます。

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