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本編
第2話 俺様の初仕事と家出ヌコの事情(3)
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黒猫について路地裏を行く。途中で少し話を聞けた。
家出したチェルシーとは顔見知りらしい。部屋に閉じ込められたチェルシーと窓越しにいろんな話をしたんだとか。
食べて寝るだけの生活で、飼い主のようにでぷでぷになってしまう、いつかは外に出るんだといつも言っていたらしい。
探すのが気の毒になってきたな。
「お前が探さなくても、臭い連中が来たら捕まっちまう。やつらに縄張りを荒らされるよりお前の方がマシだ。出来れば、ほっといてやりてえがな」
運河の橋を越えて細い通りを2つほど抜けたら少しボロっちい家の庭先にたどり着いた。
いや、畑かな? 作物の影に潜り込む。
「この辺りにいるばすだ。ここはガキが多くてな。見つかったらすぐに逃ないとダメだ」
この家は親のない子ども達が沢山暮らしているらしい。子ども達にオモチャにされて大変な目にあったのだとさ。
でも、家出したチェルシーは子ども達と平気で遊んでるらしい。ヌコの性格もいろいろだからな。
そんな話をしながら庭(畑?)を眺めていると、明るいグレーの毛並みのヌコがやって来た。
「黒のだんな、ここには近づかないはずだったのでは?」
こいつがチェルシーか。ちょっと丸っこいけど、上品そうなヌコだな。
垂れ耳が野良ネコをやるのは無理があるかもなあ。
「こいつがお前に用があるってよ」
「新顔の方ですね。はじめまして、自分はチェルシーです。よろしく」
上品に挨拶されてしまった。
お金持ち家ってのはヌコまで上品になるのかい? びっくりだな。
俺様も負けずに自己紹介してやるか。
「俺様の名前は”みー”だ。すきな食べ物はマグロ。嫌いなものは、みかん。こたつにみかんを置いてあると殺意をかんじるね」
チェルシーも黒猫も、首を横に倒して不思議そうな顔をしている。
あれ? 何か変だったか?
そういえば、ずっとイエネコだったからネコ同士の挨拶なんてしたことなかったな。
「みーさんは、異国のお生まれで? なにやら珍しい毛並みのご様子。マグロというものは自分も食べたことがないですね。さぞ、美味しいのでしょうね」
まさか、挨拶だけで敗北感を感じるとはな。悔しいけど、すごくイイやつ。
それから話が弾んで、俺様が住んでいた部屋や家族の話しをしてやったら、チェルシーと黒で面白そうに聞いていた。
「ああ、やはり世界は広いのですね。こんなにも珍しいお話が聞けるなんて」
家出してよかった。そう言うチェルシーに俺様は何も言えなくなった。
俺様にもこいつの気持ちは解る。
そうすると、黒がジロリを俺様をにらんでフンと鼻を鳴らした。そして、チェルシーに向かって言った。
「お前、屋敷に帰れ」
「いやですよ、あんな場所にもどったら、また部屋で閉じ込められて一生あのまま。自分はもっと世界を見てみたいんです」
「気の毒だがな。帰ってもらわねえと、こっちが困るんだ」
黒が言うには、以前にも家出したヌコが居たらしい。
その時も、飼い主がハンターギルドに依頼を出して、臭い人達が何人かやってきた。
まだ、若い連中だったと言ってるから駆け出しって呼ばれてる人たちだろう。
見境なく、鍋を叩いてヌコ達を追い詰め、なんとか逃れたと思ったら強烈な臭いの煙で追い出され、
路地裏に罠までしかけられて、何匹かのヌコが犠牲になったらしい。
それでも、仲間だからと何日かは皆でかくまってやったそうだけど、最後には捉えられて連れて行かれたと。
残ったのは、そこらじゅうに染み付いた煙の臭い。
「みーは、あの臭い連中の仲間だ。こいつが帰ったらあの連中がくるぞ。この辺りは戦場になる」
チェルシーは、がっくりと肩を落とし、深く溜息をついた。
「そうでしたか、みーさんは、あの臭い方々の使者ということで・・・」
いや! ちがうから! あの臭い人達と一緒にしないで! たのむから!
それから、チェルシーは「明日になったら必ず帰るから」と言った。
世話になった子供達に贈り物をしたいのだという。夜になったら隣の建物の地下に捕りに行くのだそうだ。
「そうだ、みーさんも、となりの建物を見ていきませんか? 人が言う「女神様」の像がありまして、なかなかに綺麗な方ですから」
チェルシーが帰ってくれるなら、俺様の仕事は終わったようなもんだ。ついでだから見ていくか。
黒は興味ないから帰るというので、建物の前で別れた。
建物の裏手の窓に飛び乗って忍び込む。ひんやりとした廊下を進むと大きなホールにでた。
チェルシーに案内されて、壁の彫刻を足場にして壁から突き出たステージのような場所まで上がっていく。
「下から見上げるより、この辺りから見たほうが お顔がよく見えていいんですよ」
ふーん、これが女神様ってやつか?
チェルシーが自慢げに話しているけど俺様はネコだから、人間の女には興味ないんだけどな。
説明を聞き流しながら、どっかで見た顔だなと思っていると、窓からスッと光が差し込んで女神像を照らした。
あれ? と思うと、いつぞやの白い場所に居た。
俺様の前に あの金色の変な女の子。
「みーちゃん、元気にしてた? 来てくれて良かったわ。あの時は 私も訳が解らない事が多くてさ、説明も不十分だったし 心配してたのよ」
なんでも、この金色のは人間担当でマニュアルも人間用のやつしかなかったらしい。
どうして俺様がまぎれこんだのかは、今でも調査中らしい。
どこかからクラッキング? スタックオーバーフローでコードインジェクション? そんな話しをネコにしてどうするねん? ちゃんとセキュリティパッチいれとけ! 俺様はネコだから知らん。
「それで、みーちゃんのスキルなんだけどね」
人に与えるスキルは、ネコに適合しなかったから、色々と変則的になっているらしい。
この世界のどこに飛ばされるかさっぱりわからなかったから、護身用のスキルを着けようとしたら、おまけアイテムの「こたつ」についちゃった?
危なくなったら、こたつに逃げ込めば、だいたい何でも防げるかもしれない? 1度試してみて? ただし、制限があって、暑い夏場だと、さらに暑くなるから熱中症に注意だと? そこだけは納得できた。
人間用の基本パッケージだったのは、無限収納と言語理解。
無限収納は、荷物を何でも収納できて欲しい時に取り出せる。ごはんを大量に詰め込んでくれたらしい。
前に出てきた猫缶はそれだな。飢える心配がないから大変ありがたい。
言語理解は、人の場合は読み書き自由にできるらしいけど、ちょっと適合不十分で喋るのはエラーだとさ。
いや、俺様はネコだから、喋りたいとは思わんよ?
その代わり他の動物の言葉もわかるかも? 一度試してみてだって?
最後に「女神アリシアの加護」
ここでやっと、金色の変な子の名前がアリシアだってわかった。
俺様をナデナデしてる時に、うっかり加護が付いちゃったらしい。
うっかりつけちゃったから、「すごい加護なのか、たいしたこと無いか良くわからない効果」だそうだ。
つまり、気にするなってこと?
「実は、その加護もちょっと安定してなくてね」
人に比べて体が小さいから、少し漏れてる時があるらしい。
お漏らしするネコなんて恥ずかしいだろ!
その影響で他の人に伝染るかもしれないから気をつけて?
あと、もう少しシステムが安定したら、オンラインアップデートがとか言い出した。
俺様はなんとなく寒気を感じて、ちょっとそれは遠慮しといた。
と言うか、説明長くない??
「まあ、だいたいこんな感じかな。また何かあったら、この教会に来て」
そう言って、また俺様の頭をナデナデしてきた。うーん、これまたちょっと気持ちいい。
背中と・・・ゴロンと転んで、お腹も・・・
「じゃあ、元気でね」
女の子がそう言うと、俺様の隣で、チェルシーの説明が続いてた。
こいつの説明の方が長かったか。
家出したチェルシーとは顔見知りらしい。部屋に閉じ込められたチェルシーと窓越しにいろんな話をしたんだとか。
食べて寝るだけの生活で、飼い主のようにでぷでぷになってしまう、いつかは外に出るんだといつも言っていたらしい。
探すのが気の毒になってきたな。
「お前が探さなくても、臭い連中が来たら捕まっちまう。やつらに縄張りを荒らされるよりお前の方がマシだ。出来れば、ほっといてやりてえがな」
運河の橋を越えて細い通りを2つほど抜けたら少しボロっちい家の庭先にたどり着いた。
いや、畑かな? 作物の影に潜り込む。
「この辺りにいるばすだ。ここはガキが多くてな。見つかったらすぐに逃ないとダメだ」
この家は親のない子ども達が沢山暮らしているらしい。子ども達にオモチャにされて大変な目にあったのだとさ。
でも、家出したチェルシーは子ども達と平気で遊んでるらしい。ヌコの性格もいろいろだからな。
そんな話をしながら庭(畑?)を眺めていると、明るいグレーの毛並みのヌコがやって来た。
「黒のだんな、ここには近づかないはずだったのでは?」
こいつがチェルシーか。ちょっと丸っこいけど、上品そうなヌコだな。
垂れ耳が野良ネコをやるのは無理があるかもなあ。
「こいつがお前に用があるってよ」
「新顔の方ですね。はじめまして、自分はチェルシーです。よろしく」
上品に挨拶されてしまった。
お金持ち家ってのはヌコまで上品になるのかい? びっくりだな。
俺様も負けずに自己紹介してやるか。
「俺様の名前は”みー”だ。すきな食べ物はマグロ。嫌いなものは、みかん。こたつにみかんを置いてあると殺意をかんじるね」
チェルシーも黒猫も、首を横に倒して不思議そうな顔をしている。
あれ? 何か変だったか?
そういえば、ずっとイエネコだったからネコ同士の挨拶なんてしたことなかったな。
「みーさんは、異国のお生まれで? なにやら珍しい毛並みのご様子。マグロというものは自分も食べたことがないですね。さぞ、美味しいのでしょうね」
まさか、挨拶だけで敗北感を感じるとはな。悔しいけど、すごくイイやつ。
それから話が弾んで、俺様が住んでいた部屋や家族の話しをしてやったら、チェルシーと黒で面白そうに聞いていた。
「ああ、やはり世界は広いのですね。こんなにも珍しいお話が聞けるなんて」
家出してよかった。そう言うチェルシーに俺様は何も言えなくなった。
俺様にもこいつの気持ちは解る。
そうすると、黒がジロリを俺様をにらんでフンと鼻を鳴らした。そして、チェルシーに向かって言った。
「お前、屋敷に帰れ」
「いやですよ、あんな場所にもどったら、また部屋で閉じ込められて一生あのまま。自分はもっと世界を見てみたいんです」
「気の毒だがな。帰ってもらわねえと、こっちが困るんだ」
黒が言うには、以前にも家出したヌコが居たらしい。
その時も、飼い主がハンターギルドに依頼を出して、臭い人達が何人かやってきた。
まだ、若い連中だったと言ってるから駆け出しって呼ばれてる人たちだろう。
見境なく、鍋を叩いてヌコ達を追い詰め、なんとか逃れたと思ったら強烈な臭いの煙で追い出され、
路地裏に罠までしかけられて、何匹かのヌコが犠牲になったらしい。
それでも、仲間だからと何日かは皆でかくまってやったそうだけど、最後には捉えられて連れて行かれたと。
残ったのは、そこらじゅうに染み付いた煙の臭い。
「みーは、あの臭い連中の仲間だ。こいつが帰ったらあの連中がくるぞ。この辺りは戦場になる」
チェルシーは、がっくりと肩を落とし、深く溜息をついた。
「そうでしたか、みーさんは、あの臭い方々の使者ということで・・・」
いや! ちがうから! あの臭い人達と一緒にしないで! たのむから!
それから、チェルシーは「明日になったら必ず帰るから」と言った。
世話になった子供達に贈り物をしたいのだという。夜になったら隣の建物の地下に捕りに行くのだそうだ。
「そうだ、みーさんも、となりの建物を見ていきませんか? 人が言う「女神様」の像がありまして、なかなかに綺麗な方ですから」
チェルシーが帰ってくれるなら、俺様の仕事は終わったようなもんだ。ついでだから見ていくか。
黒は興味ないから帰るというので、建物の前で別れた。
建物の裏手の窓に飛び乗って忍び込む。ひんやりとした廊下を進むと大きなホールにでた。
チェルシーに案内されて、壁の彫刻を足場にして壁から突き出たステージのような場所まで上がっていく。
「下から見上げるより、この辺りから見たほうが お顔がよく見えていいんですよ」
ふーん、これが女神様ってやつか?
チェルシーが自慢げに話しているけど俺様はネコだから、人間の女には興味ないんだけどな。
説明を聞き流しながら、どっかで見た顔だなと思っていると、窓からスッと光が差し込んで女神像を照らした。
あれ? と思うと、いつぞやの白い場所に居た。
俺様の前に あの金色の変な女の子。
「みーちゃん、元気にしてた? 来てくれて良かったわ。あの時は 私も訳が解らない事が多くてさ、説明も不十分だったし 心配してたのよ」
なんでも、この金色のは人間担当でマニュアルも人間用のやつしかなかったらしい。
どうして俺様がまぎれこんだのかは、今でも調査中らしい。
どこかからクラッキング? スタックオーバーフローでコードインジェクション? そんな話しをネコにしてどうするねん? ちゃんとセキュリティパッチいれとけ! 俺様はネコだから知らん。
「それで、みーちゃんのスキルなんだけどね」
人に与えるスキルは、ネコに適合しなかったから、色々と変則的になっているらしい。
この世界のどこに飛ばされるかさっぱりわからなかったから、護身用のスキルを着けようとしたら、おまけアイテムの「こたつ」についちゃった?
危なくなったら、こたつに逃げ込めば、だいたい何でも防げるかもしれない? 1度試してみて? ただし、制限があって、暑い夏場だと、さらに暑くなるから熱中症に注意だと? そこだけは納得できた。
人間用の基本パッケージだったのは、無限収納と言語理解。
無限収納は、荷物を何でも収納できて欲しい時に取り出せる。ごはんを大量に詰め込んでくれたらしい。
前に出てきた猫缶はそれだな。飢える心配がないから大変ありがたい。
言語理解は、人の場合は読み書き自由にできるらしいけど、ちょっと適合不十分で喋るのはエラーだとさ。
いや、俺様はネコだから、喋りたいとは思わんよ?
その代わり他の動物の言葉もわかるかも? 一度試してみてだって?
最後に「女神アリシアの加護」
ここでやっと、金色の変な子の名前がアリシアだってわかった。
俺様をナデナデしてる時に、うっかり加護が付いちゃったらしい。
うっかりつけちゃったから、「すごい加護なのか、たいしたこと無いか良くわからない効果」だそうだ。
つまり、気にするなってこと?
「実は、その加護もちょっと安定してなくてね」
人に比べて体が小さいから、少し漏れてる時があるらしい。
お漏らしするネコなんて恥ずかしいだろ!
その影響で他の人に伝染るかもしれないから気をつけて?
あと、もう少しシステムが安定したら、オンラインアップデートがとか言い出した。
俺様はなんとなく寒気を感じて、ちょっとそれは遠慮しといた。
と言うか、説明長くない??
「まあ、だいたいこんな感じかな。また何かあったら、この教会に来て」
そう言って、また俺様の頭をナデナデしてきた。うーん、これまたちょっと気持ちいい。
背中と・・・ゴロンと転んで、お腹も・・・
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