一億回の転生者

きのっぴー♪

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第一章「『魔法少女☆マジカラ』編」

第8話(Aパート)

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…それはまた、とある休日の事
自称怪人の豚野郎を退けてかないが立ち直った、その少し後の日の話である
場所は店長が留守であるのぞみ御用達の喫茶店、今はただしの家に次ぐ魔法少女たちの根倉と化していたりもする




「野郎ども、修行するぞォーーッツ!!!!」
事の始まりは、かないのその一言だった
「「「………はい?」」」
かさみ以外の面々全員が『何言ってんだコイツ』という表情をかないに向けながら目を丸くしている
まーそりゃ急に言われたら普通にはそうだよね
「いや…何急に?」
「保健室付き合いますよ?」
「はっ倒すぞテメーら」
相も変わらず聞きながらもさり気無く煽っていく面々
かないは言葉の整理ついでに軽くせき込んだ後、少しだけ間を置いてから順に説明しようと口を開けた
「まぁ確かに急に言ったのは悪かったって…私が言いたいのは特訓の事だよ、魔法少女の特訓のコト」
「特訓?」
特訓というと、アニメや漫画にも良く出てくる所謂パワーアップイベント
ある世界では山に篭もってはひたすら自然の力を身に付け、またある世界では師から教えを乞い技術を身に付ける…そんな感じのヤツである
「私達は今…とってーも危機的状況の更にその淵に立たされているのだよ!!」
「何なんスかいきなり…」
そう、何を隠そうかないがこんな突拍子も無く言い出したのは紛れもない魔法少女の危機だからである…いや割と本気で
「まずつい最近の敗北だよ!!
あの出荷されそうな豚の成り損ないにトッコトンやられまくった、コレはどう考えても私達の実力不足である!!」
「「うっ…」」
今のマジカルカラーズこと魔法少女三人の戦闘力は、控え目に言ってもあのジャドーという自称怪人一人にすら劣るものである
前はかさみがいきなり覚醒したお陰で追い出せたものの、このまま同じ様にまた激突するような事があれば今度こそ勝ち目は無いだろう
「加えてあの自称怪人は更に上が居るみたいな事を仄めかしてる!!アレに、まして全員で勝てない様じゃ終わりなんだよォ!!」
「た、確かに…ッス」
ジャドーの『あの御方』発言…これはどう考えても上司的な存在がいるという証拠、もっと言えば実力的にも上の敵が居る可能性が物凄く高いのである
「ついでに言うとただしさんに助けられた数々の街もとい私達の危機、このままでは『もう私達要らないんじゃね?』的なフラグ立ちや展開にもなりかねない!!」
「…リストラする?」
「今そういうのちょっと冗談で済まないからマジで止めてかさみ!?」
ちょっとと言うか結構洒落にはなってないね

「とまぁそんなワケで、私達にはまだまだ実力が足りないって事で修行でもして力をつけましょうって事だよ」
「成程…」
そういう訳でかないはかないなりに魔法少女として強くなろうと、取り敢えず試みたワケである
だがそれには勿論、課題が少し残る
「確かにかないの言う通りね、このままで居るよりも何かしらの方法で強くなった方が私達の為だと思うわ」
「おっ、ゆめみちゃん分かってるぅー!!」
「調子乗んなバカ、でも出来ないのよ」
ゆめみは少しだけ頭の中を整理した後に一息つき、そしてかないの提案に対して反論をしようとする
「あのね?まず修行ったって何すんのよ」
「そ、それは…山籠もり、とか?」
山籠もり、確かに修行場としては良くあるものだ
「こんな街中に山なんかある訳無いでしょ、それに器具がある訳でもない山の中でどうやって力をつけんのよ」
だがそれはあくまでも常人にとってのそれも慣れている人の体力の付け方であり、どう見たって普通の人がやるものじゃない
ましてつけるのは魔法少女としての力、そんな体力の差なんて魔法少女からしたら誤差程度のものでしかないだろう
というか日本の山ってほぼ観光用か立ち入り禁止
「それにっ!!もし修行をやるのなら日帰りなんて途中半端な事は無理、言わば文字通りずっと何日も籠るのよ!?
私達がどっかに行ったら街はどうやって守るのよ!!」
「あー、そりゃ確かにッスね…」
まして怪人が街に自然発生してほぼもうRPGのエンカウント状態、なのに魔法少女の本業は一体どうすんのかと
これでは修行どころか鍛える時間も無いのだ
「で、どーすんのよ」
「えっと、あーそれ、は…」
煽り半分を入れつつも言い出しっぺのかないに迫るゆめみ
「早くして下さいッスよー」
「お前は考える側だろうが自称妖精!!」
「んだとこの猿頭!!」
それにほぼ煽り100%が加わり喧嘩というかまたいつもの意味の無いじゃれ合いが始まっていく
これでは力をつけるどころか、まず今後の方針すらもどうするのかが全くつかないまま無駄に時間だけが過ぎ去ってしまう
一体どうすべきなのだろうか
「はぁ、どうすれば良いんでしょうか…




…ってアレ?何してるんですか、かさみさん」
「ちょっと、協力を」
ゆめみを巻き添えにしたかないとアイリスの喧嘩の傍ら、心配しながら考えるのぞみの横でかさみは何やら電話を弄っている
どうやらどこかに電話しようとしている様子である
因みに携帯自体はかないからコッソリと盗…少し借りた
「あ…もしもし
実はちょっと、かくかくしがじか…」
(誰に話しているんでしょうか…?)
かさみは電話の相手に今の状況やかないの提案を事細かに伝え、時々うんうんと頷きながらも適当に返事を返しながら話している
するとすぐに会話が終わったのか、話して五分もしないうちに耳から携帯を放して通話を終えて切った
するとかさみがのぞみの方に振り返り口を開く
「修行の場所、取ったよ」
「えっ?」
まさに、唐突な解決である
「修行の内容は行ってみれば分かるらしいし、場所もそんなに遠くはないんだって…」
「ど、どれどれ…あっ本当です、結構近いです!!」
かさみがメールで送られてきたらしい地図を見てみると、そこに記されてる図は電車で行けばそう時間はかからない位の場所だった
という事は場所の確保も出来て、修行の内容も良く分からないものの言っている事が本当ならば既に用意されたという事
つまりはほぼ全部お膳立てされたという事である
(というか、そんな都合の良いもの一体誰が…?)
「あ、後…




その間、街の方はただしさんが守ってくれるって」
「あぁ、大体理解しました」
その一言で、自分の疑問が全て分かってしまったのぞみだった




【第八話『修行挑戦!鍛錬と出会い』】





ーーーー

と、そんなワケでその数日後
各々は各自寝泊まり等に必要なものを持てるだけバッグに詰め込み担いで電車で約一時間、歩いて数十分かけたところ
「山にキターーーーッッ!!!!」
「かない、五月蠅い」
鍛錬の為に目的の山へと来たのだった
「にしても結局山なのね、本当になんてベタな…」
「まっ、ベタな分安定もしまスがね」
時刻は午後三時、朝早くから山に着き歩いて結構経つ
そう言いながらアイリスはかないの携帯を借りて地図の画像を見ながら山の奥へと進み、魔法少女御一行もそれについていく
進んでいる場所は最早道なき道、というか最早正規の通り道から大幅に外れまくり木と木の間を縫う様にズンズン進んで行った
「それでっ…目的地は、まだなんですかっ…?」
「のぞみちゃん無理しないで、頼むから一旦休憩して」
「まだッ…まだぁ!!」
「インドア系のアンタの何がそんなに駆り立てるのよ…」
そのそこそこ過酷かつちょっとキツい位の道のりに、根っからの文系であるのぞみの体力は既に限界寸前
「…それで、まだなの?」
「待ってくださいよかさみさん、地図によると目的地はここら辺の筈なんスけれども…っと」
それでもせっせと目的地らしきものを文字通り草木を分けながら探す一行
「おっかしいなぁ…まさか嘘だったなんてオチなんスか?」
「流石に幾ら胡散臭いからって、それは…

…って、あぁ!!アイリス、アレ見て!!」
するとその直後、何を見つけたのかかないが大声を出しながら指をさす
「どうしたんスかかないさん?何か見つけ…」
思わず振り向きかないがさした方へと目をやるとそこには
「で、で…デケェーーーーッ!?」
大きな木造建築の建物がポツンと山中のど真ん中に、思いっきり不自然にも建っていたのだった
最早別荘と言うべきか、その大きさや形は家そのものである
「なななっ…何コレ、あの人こんなの持ってたの!?」
「まんまテレビにある様な別荘とは、たまげたなぁ…」
「ウッソだろお前、ッス」
その建築物を見上げながら、一同は困惑していた
「み…皆さん、凄いのは…分かりっましたからぁ、取り敢えず私を…その建築、物にっ…案なっいをぉ…!!」
勿論伸びてるのぞみを置いて、若干放置しながら
「ってオァァあまりの唐突な別荘に驚き過ぎてのぞみちゃんの事忘れてたァ!!早く皆でのぞみちゃん彼処に運べ運べ!!」
「あ、はいッス!!」
という事で一先ず五人は目の前にあったただしの別荘…らしき木の家の中へとそそくさと入って行ったのだった



という事で家の中
「…で、取り敢えず数分経ったけどのぞみの様子はどうなの?」
取り敢えず解放という事でのぞみを中にあったソファーで寝かせたかない
「あぁ大丈夫大丈夫、何とか落ち着いたっぽい」
「コヒュー、コヒュー…」
「いや見るからに全然大丈夫そうじゃないんスけれども」
完全に息切れして体力の限界寸前っぽそうなのぞみ、一先ず横に寝かせ休憩させてはいるのだが大分重症そうではある
これも本食い虫もといインドア派の弊害なのだろうか
…だが実は今現在の問題は重症っぽそうではあるが休憩は出来たのぞみの事よりも、というよりもその休憩の場所にあるのである
というのもそれもその筈
「いやー、それにしても…
やっぱ広いッスねー、何か家電も完備されてまスし」
「本当にそれな…」
この家、道外れかつそこそこの山の中にあるにも関わらずとても広く、かつ色々な意味で充実していて最早山奥の小屋とは言えないもの
「皆、大丈夫…?」
「おおかさみちゃん、家の中どうだった?」
と、そこに先に家の奥をもう少しばかり見に行っていたかさみが四人の居るリビング…というか広間へと戻ってきた
「二階があったから見てみた…ら
大きなお風呂とか二段ベッドとか、色々あった」
「うわぁやべぇ」
「ヤバいわね」
電気はめちゃくちゃ通ってるわトイレは西洋どころかウォシュレット付きだわ、もうやりたい放題寛ぎ放題である
というかもう完全に娯楽施設である
「最早ここまで来るとただの旅館か別荘ね」
「ッスねぇ」
「…私達、修行しに来たのよね?」
「…ッスね」
というかこんなバカ親の様に甘やかしたみたいな場所で一体どうやって修行をしろというのか
「本当、何であの人はこんな所を特訓場所に選んだのかしら?」
「修行というよりもうコレ旅行ですしおすし」
ますますただしという男がこの魔法少女達にとってどういう奴なのか、てか何考えてんのかが分からないという想像図が加速する事になった
てかマジでどうなるんだコレ

だがまぁそれでも一応拠点は定まったというところで、一息ついたアイリスがのぞみの寝ているソファの端に座り喋り出す
「…でもあの人が考え無しに言いそうにも無いッスしねぇ
丁度落ち着いた頃でスしこの家の周りを探索してみたら良いんじゃないッスか?私は此処でのんびり待ってるッスし」
ソファで寝ているのぞみは未だダウン中、となると周辺の探索に行けるのはかないとゆめみにかさみの三人である
「探索、そういうのもあるのか!!」
「行きたい…!!」
修行に引き続き如何にも冒険物の本にありそうな『探索』というワードに、休む暇も無くというのか忙しなく心を踊らせるかないとかさみ
「待ちなさい、何でアンタがここで待つ事前提なのよ
幾ら妖精でも修行とやらでもして少しでもドジを減らすべきじゃない?それともまさかサボろうってんじゃ…無いわよね」
「ギクッ」
だがアイリスの如何にもなサボります宣言によって腹を立てたのか、邪悪な笑みを浮かべながらアイリスをポンと叩くゆめみ
「い、いやいやいや!!サボろうって、そんなワケ無いじゃないッスか!!」
「動揺してるところが益々怪しい…」
「ででで、でものぞみさんを放っておくワケにはいかないでしょ!?
そうです…そうッスよ、それにこの家が何かあった時用の留守番も必要ッスし!!」
「ぐっ…!!」
良い言い訳を思いついたかみたく揚げ足を取る様にゆめみを理由付けもとい説得しようとしにかかるアイリス
まぁ確かにこのままのぞみを放っておくのは心身的に不味い事ではあるのだが
「まーまー、やる気の無いアイリスはもう放っといてさ
コッチはコッチでさっさと行こうよ早くさぁホラホラー!!」
「探索、探索…!!」
「こ、この脳筋お馬鹿コンビがっ…!!」
二人の張り切り様に不安すら感じるも、仕方無いと割り切ったのかゆめみは諦めて三人で家を出ようとした
「…分かったわ、じゃあもう私達だけで行くわ」
「よっしゃあ!!」
もう隠す気も無くガッツポーズを決め込むアイリス、そんなに怒らせたいのか
(にしししっ、コレで今日はニート生活確実ッス…!!
実はさっきチラ見したら最新のゲーム機があったッスし、ゆめみさん達悪いけど私はこのまま修行せず自堕落にーーーー



「ただしアイリス」
「ひゃいっ!?」
家から出ていく直前、ゆめみがドアからちらりと目を覗かせてアイリスにボソリと伝え出す
「もしコレで良い修行場を見つけたら…
今日何もしなかった分、アンタは二倍分の量をやって貰うからね…それじゃ」
「」
まぁだからこそ、そう上手くはいかないのがこの物語である

ーーーー

と、そんな事で再び森の中へと入りだした散策隊の三人
生い茂る草木を掻き分けながら、それと同時に自分達の居場所と拠点を見失わないように目印を付けながら注意深く歩いて行く
「フンフンフフーン、っと」
「今のところは何も無いわね…」
「とっても、静か」
山の中はとても静かであり空気が澄んでいる
「それにしても…んー、修行抜きにしても来て良かったわね
こういう山の中だととってもリラックスするわ…」
それは気を抜くにはまさにうってつけの場所でもあり、性格やぼっち…もとい孤独的な性質のゆめみにとっては心地良かったらしい
「ね?修行行って良かったでしょ!!」
「調子に乗んなバカ」
「辛辣ゥ!?」
だがまぁ当然といえば当然なのか、木や草こそ溢れかえる程見えるが逆に言えばそれしか辺りに無く動物の気配すら微塵にも無い
これではまるでただの安全なキャンプ場である
「あのねぇ、リラックスできるのは良いけれども本当に修行なんか出来るの?今のところ何も無いんだけれども」
遂に痺れを切らしゆめみが独り言の様に言い漏らす
「ま、まだまだこれからよ!!」
「何も無い…」
歩けど歩けど目に映るのは同じ風景ばかり、一体ただしが修行にうってつけだという要素は何処にあるのか
「はぁ…これはもう、期待するだけ無駄っぽいわね」
「わ、私の所為じゃねーし!!ただしさんの所為だし!!」
「うー…」
さっきまで能天気だったかないはやがて必死になって修行場を探しだし、かさみも流石に代り映えしない風景に飽き始めてしまった
このままでは当初の目的どころかただの山登りである
はたして本当に、このまま何もせずに終わってしまうのだろうか…

と、そんな時だった
「…!!
かないアレ、アレ見て」
ふとかさみが指をさしながらかないを呼ぶ
「うん?どしたのかさみちゃ…って、うわ!?」
「何かあったの…って、これは…!!」
するとそこには、草木を抜けた先にはまた変わって辺り一面に広がる岩場ととても長く大きな川が流れていた
それを見て三人はその美しさに、一瞬だけ動きを止める
「…凄いわね、歩いてそう遠くないとは言え山中にこんな川があるなんて」
「テレビでやってたみたいな、綺麗な川だなぁ…」
「魚、いっぱい」
川はとても澄んでいて川魚が飛び跳ねているのが遠目でも分かる、それを三人は草木の影から覗き込む様に見ていた
「しっかし本当にあんな街中の近くにこんな山があるとは…何年も住んでて気づかなかったわ、ねぇかない…」
ゆめみはそれに感動しながらも、横にいるハズのかないに目を向けようとする
の、だが
「へっへーんだ一番乗りィーッ!!」
「ちょっ、かない!?待ちなさいよ!!」
「ずるい…」
気づくとそれを見て我慢が出来なかったのか、かないが動いていた
まるではしゃぎまくる子犬の様に猛ダッシュするその少女は、川の水に目掛けて一直線に向かって行く
「おっさきっにしっつれぇーい!!」
そして木陰や茂みから勢い良く飛び出した
「あぁもう、せめて周りに何も無いか確認してから…!!」
「聞く耳持たんっ!!そしてこのまま川にダーイヴ…」
ゆめみはかさみと共にかないを一旦止めようと後を追って岩場に足を踏み入れた、のだがその忠告も時既に遅し
何故ならばというと、それは



「グルォオ…」
「えっ」
「」
そこに川の主である、熊が居たからだ
(やっばいやばいやばいどうしよどうしよぉおおッッ!?!?)
(だから言ったでしょうがこのお馬鹿ァァアアアアッッ!!!!)
勿論ほぼ無感情じみているかさみを除いた二人はものっそい心臓音バックバクに鳴らしながらパニック状態寸前に陥っている
かないはおろか、既に後ろに居るゆめみすら動けない
(に、逃げよう早くさっさとここから!!)
(落ち着きなさい!!このまま背中向けたら死ぬわよ!?
取り敢えず死んだフリでもして…)
「グルルルルル…!!」
(あ、駄目だコレ!!完全に目ェつけられてるよ畜生ァ!!)
どうやら熊は何処からともなく飛び出てきたかないに反応し、そのまま狙いを定められてしまっている様だった
現在進行形で鋭い眼光でめっちゃかないを睨んでいる
「と、兎も角せめて少しでも距離を…!!」
「考え方がせっこ」
「うっさいコッチも必死なんだよォ!!」
と、かないがコッソリと靴を引きずりながら一ミリ…また一ミリと傍目で分からない位にちょっとずつ熊から離れようとすれば
「……グルル」
「やっだこの子私に合わせてまた距離詰めてくる」
驚くべき反応力というべきか、その度に同じ距離近づいてくる
最早絶対に逃すまいと慎重に行動をしているのか、はたまたただ獲物として捕獲する前に遊んでいるだけなのか
何にせよ一刻も早くこの場から逃れたいところである、が
「もういいッ…!!せめてもの悪あがき、背中向けて逃げてや…

ってアレ、かさみちゃん何処行った?」
とかないが思っていたその時、ふと気付く
さっきまでゆめみと一緒にそこら辺に居た筈のかさみが、いつの間にか何処にも姿が見当たらなくなっていた
「え?いや此処に…って居ない!?」
ゆめみもかないに言われてようやく気づき辺りを見回す
が、やはり何処に行ったのか分からない
「いやいやいやさっきまで居たでしょ!?そんな遠くには行ってない筈なのに一体何処に行ったんだよ!!
あぁでも目の前の熊も…クッソどうすれば!?」
かさみの行方不明にもいち早く目を向けるべきではあるのだが、それ以上に今の熊の対面という絶望的状況のが実際ヤバい
兎に角この状況を打開して、一刻も早くかさみを探さなければ…!!



と、そう思っていた
「ん?」
そう思いながらも、ふと熊の方にチラリと目をやると
「ガウゥ…」
「もふ、もふ」
「「」」
かさみが思いっきり熊の背中に引っ付いていた、頬擦りしながら
何というか、子供みたいな純粋さだからこその恐怖心の無さというかただ単に何も考えてない無謀者というか…
「「何してんだお前ェええええッッ!!!?」」
状況すらも忘れて勿論ツッコむお二人方
「もふもふ…」
「いやソレの毛皮が気持良いのは分かったから、お願いだから危ないからそっから離れてマジで!!」
「わぁあ落ちる、落ちるって!!」
「グルォオオオオッ!!」
まぁ焦る気持ちは今の状況から見て十二分に伝わるのだが、その空気をわざわざ野生の獣がそう都合良く読んでくれる訳も無い
「ま、不味い…熊もいよいよ興奮しだしたわ!!
そうだかない、アンタ早く魔法少女に変身してあの熊倒しなさいよ!!相手は怪人じゃないけど緊急事態よ、何とかしなさい!!」
「ゴメン本当に悪いんだけどロッド別荘に置いてきた!!」
「バカ!!本当にバカ!!」
頼みの綱である魔法少女にもなれず何かの対策もなくおまけにかさみが人質、というか背中にまだよじ登ってる
そして熊は、ここぞとばかりにそのままコッチに向かってきた
「グルォアアア!!」
「え、いやちょっ待っ…!?
ああああああああああああッッ!!!!」
かないは叫びながら、ゆめみは困惑しながらもその熊に対して必死に全速力で森の中へと逃げていったのだった

ーーーー

一方その頃、アイリス達はというと
「はー、やっぱこうやってダラダラしてるのが一番ッスねぇ」
「アイリスさん…」
鬼の居ぬ間に別荘にあったテレビとゲーム機を使い、ちゃっかりそのままのんびりとだらけながらプレイしているのだった
「今出かけている三人に失礼ですよ
折角動けなくなっていた私や看病していたアイリスさんを休憩にと置いてもらって、この山の中を探索して貰ってるんですよ?」
そのあまりの気の抜けただらしなさに気の優しいのぞみも、幾ら何でもとでも言いたげな顔ををしながらアイリスに視線を移した
そう、アイリスを睨んでいた
「のぞみさん…
…2Pコントローラ持って一緒にゲームしてる時点で説得力皆無なんでスけども、てか割と強っ…やりこんでないッスか?」
「あ、やっぱりですか…」
妙に慣れたコントローラ捌きでアイリスとゲームしながら
そこそこデカいテレビの画面には超有名な某赤帽子の髭の鼻デカおっさんのレースゲームのプレイ画面が写っている
「実は私、たまにちょっとした喫茶店の手伝いしてるんですけれども…そこの店長が色々な本やゲームを持っていましてね」
「あぁかないさんから聞いた事あったッスね、のぞみさんが気に入ってる本だらけの喫茶店があるって」
「そこでたまに少しゲームもやらせて貰っていたんですよ…まぁ結構古いゲームなんですけれどもね」
喫茶店に関しては
どうやら意外な事にあそこの店長、エロ本にゲームとダンディな顔して割と俗っぽい感じなのである
「ぬぉぉ…ぐっ、地味にCOMがウザい…!!」
「あ、私ゴールしました」
「えっちょま、早…って待って赤甲羅が後ろからァアアアア!?」
しかものぞみ共々結構やりこんでるっぽく、普段実はかないのカバンに引き篭ってると同時に暇な時に隠し入れていたゲームを無音でプレイしまくっていた筈のアイリスと互角以上の勝負をしているのだ
案外レトロゲームも馬鹿に出来ないという事だろうか
「あー畜生負けちまったッス、のぞみさんホントに強いッスねー」
「では次はこの、ス〇ブラというものでストック制を…」
「あの、のぞみさん結構どっぷり嵌って無いッスか?」

なんて他愛無い会話をしながらも次のゲームを準備しようとしていると
「「ッッずぅあぁぁああああ!!!!」」
「とーうっ…」
家のドアをまるで壊れそうな勢いで開け、かさみを抜いたかない達探索チームが飛び込みながらも帰って来る
「うぇっ!?ななな何スか急に、てかドア壊れるッスよ!!」
「というか、思ったよりも帰ってくるのが早かったですね…」
三人が家を出てからおよそ三十分ほど、もう少しかかると思っていた二人はドアを開いた衝撃もあった少しビクついていた
「あー死ぬかと思たよ…
ってあー!?何隠れてゲームやってんのさ二人共、ずっりぃ!!」
「アイリスはいつも通りとしてのぞみ、アンタまで…」
「ち、違うんですゆめみさんコレはアイリスさんが!!」
「いや私が一人でやってた時に勝手に乱入したのアンタでしょ!?」
などと責任の擦り付け合いをするアイリスとのぞみに、その周りで騒ぎ始めるゆめみとかない
「と、というかそれよりもかないさん何でそんなに急いで家に入ってきたんですか!?何かに逃げてた様ですけれども!!」
(露骨に話題逸らした)
「あぁ、それは…」
しかし苦し紛れと思ったのか、すぐにのぞみは話を変えようとかない達の方へと話題を移そうとし始める
するとそこに、今度はまた別の騒ぎがやって来ようとしていた
「…オ、ォ……!!」
「「「「!!!?」」」」
何かのうめき声の様な音と共に、先程空いた後に自動的に閉まったオートロック付きのドアがドンドンと響きだす
まるで外から何かが叩き付けられているかの様に
「な、何スか!?」
「すげぇ…この家って、オートロックだったんだ…!!」
「違うそうじゃない!!いやそうなんだけれども、今はそこじゃないんスけど!?」
確かに鍵付きどころかオートロックとかどんだけこの家ハイテクなんだとか言いたいが、アイリスが今聞きたいのはそこじゃない
「…えーっと、現在進行形で只今山の中にありますこの家の玄関先のドアを…一体誰が叩いてるんでスかねぇ?」
というかアイリスは何かもう、正体までは分からないものの何となく凄い嫌な予感がする事だけは既に感じ取っていた
「あっ、そういえばかさみさん居ないじゃないですか!!なーんだ、ビックリしましたよ
もう…二人とも外に一人で置いてきちゃ駄目じゃないですか」
「いや、あっちょ…」
だが天然は天然らしく全く感じ取れても理解してもいないのぞみは、何の疑問も持たずにそのドアを開けようとノブに手をかける
それこそかないが止める間も無かった位のその自然さに
そして勿論、そのドアを開けた先には…

「グルルルル…」
「やっほー」
「「」」
喉元を鳴らしながらのそのそと家の中へ入ってくる熊と、未だに呑気にそれに乗っかっているかさみが居たのだった
現実逃避もとい完全に白目を向くのぞみ、直後に思考停止するアイリス
「あの…かないさん、どういう事ッスか?」
すぐ様アイリスは正気に戻りかないに聞いてみる
「熊に見つかる、かさみが乗っかる、追いかけられる」
「わぁわっかりやすーい…じゃねーよアンタら何とんでもないモン連れてきてんだ!!見ろのぞみさんを、気絶してんぞ!!」
間近で現れるのを見たのぞみはその場で気絶し仰向けで倒れていた、当然に…まして野生の熊と遭遇したのだから無理も無い
「グルルル…」
一方の熊はというと、その倒れたのぞみの頭に鼻を近づけ匂いを吸っているご様子
割と絶体絶命である
「ほらかない、早くロッド持ってきて助けにいきなさい!!」
「無茶言うな間に合うワケねーだろーが!!」
「駄目だこの人ら自分から行く気毛頭無いッスコレ!!」
そんな事してる間にも熊は涎を垂らしながら、今にも口を開けて更に頭に近づかせていく
「チクショー!!のぞみさんを放せぇーーッ!!」
思わず飛びつくアイリス、が勿論の事コレに戦闘力など無い、つまり言ってしまえばそもそも勝機など毛ほども無いのだ
「さらばアイリスとのぞみちゃん、君達の事は忘れない…」
「すぐに諦めてんじゃないわよ!!私も思ったけど!!」
「いやアンタも思うなって言いたいけどコン畜生自分の弱さに否定できない!!でもやるしかねぇーーーーッス!!
うおおおおおおおおおおおッッ!!!!」
それでも分かってて、しかし無謀にも突っ込んでいくアイリス
対し目の前でのぞみを様子見している熊はというとーーーー




「…グルッ」
「えっ」
ーーーー捨て身のアイリスをものともせずにのぞみを服から口で掴み、あろうことか近くのソファーまで運んで寝かせたのだった
その様子はまるで、のぞみを看病するかの様である
「…何この状況、どういう事?」
「さ、さぁ…?」
ワケが分からずじまいの一行を他所に熊は、次にかないの元へと歩いてくる
「な、何?」
思わず身構えるかない、対して熊は徐ろに口をまた開けて何かを吐いた
吐いたものとは…何かが書かれた紙だった
「手紙…って事ッスか?」
「コレ、読んでも…良いの?」
熊がかないの疑問にコクリと頷く
かないはそれを見た後に恐る恐る紙を取り、涎を少し拭いてから見始めた
そこに書かれていたのは…
「え、えーっと…『魔法少女御一行様へ
この手紙を読んだって事はちゃんと迷わずにあの別荘に着いたって事だな、まぁそれなら結構良かった良かった』
…ってコレ、ただしさんからの手紙!?」
「「えぇっ!?」」
その手紙は魔法少女と言う所やこの話を知ってる素振りから、最早ただしが書いたとしか思えない様な手紙だった
いや文面から見ても恐らく実際に、本人が書いたものだろう
とまぁそれは兎も角、その手紙に書いてあったものとは簡潔に言ってしまえば…かない達に向かってきた熊についての話だった
「えーっと…続きを読むよ?
『というかコレを読んでるなら多分熊にあっただろ?川の近くに住み着いている、毛深くて茶色で腹にデカい十字傷があるヤツ』」
「え?」
「ガウ?」
ふとかないがいつの間にか自分の家の様にのんびり座っている熊を見てみると、確かに腹には古傷と見られる大きなバッテンが付いていた
それに初めて会った場所は川で毛並みも毛深く茶色い、どうやら目の前の熊で合っているみたいだ
「『さて、それで本題の修行の件だが…

お前等は次に「いや修行って、こんなハイテクな家の上に何も無い山の中で何言ってんの」と言う!」
「いや修行って、こんなハイテクな家の上に何も無い山の中で何言ってんの…ハッ!?」
ゆめみが手紙のノリにも乗ったところで遂に本題に入る
「『実はその修行の内容っていうのはな、お前等が合った筈のその熊の事なんだ』」
「ど、どういう事?」
どうやら修行というものは目の前の熊が必要な模様、一体その修業とはどういったものなのだろうか
…熊を使う時点で碌なものじゃなさそうだが
「『その熊は人懐っこくて何故か人の言葉もちゃんと分かるっぽいんだわ、何かお前らの写真見せたら覚えたっぽいし
試しに芸でもさせてみろ、多分やるぞ』」
「本当?お手ッス」
「ガウッ」
「いや犬かよ」
確かめ方は兎も角として熊は確かに芸達者かつ人懐っこい様で、アイリスの犬みたいなアレな命令にも案外素直に従った
因みに写真はかないが結構前にスマホで送っていた
「しっかし本当に驚く位素直に聞いたわね…後かさみ、そろそろいい加減降りなさい」
「あうっ」
熊がブンブンと体を揺さぶると、さっきまで未だにずっと背中に乗っかっていたかさみが振り下ろされる
かさみはまだ物足りなかったのか不機嫌そうな顔だ
「成程、私達を追いかけてったのは写真で顔を覚えられてたからなのね…いやかさみが勝手に乗っかったってのもありそうだけど」
「ま、まぁまぁ…」
「ウゥゥ…」
まるでゆめみの言葉に肯定する…というかため息をつく様に唸り声を上げて頭を下げる熊、てか本当に熊なのかコレ
とまぁ熊の事は取り敢えず分かったのだが
「で?結局のところ、修行は何なのよ?」
確かにまだ修行の事はまだ分かってない、とでも言わんばかりにゆめみは手紙を持っているかないを急かしだす
「ちょっと待ってよ今読むから、えーっと何々…
『まぁその熊の事に関しては別に近くに居ても安全だから安心しろ、絶対に襲って来ない筈だから…うんまぁ、多分』」
「多分て、今多分て!!」
「アイリス五月蠅い」
震えながら叫ぶアイリスをスルーしてかないは読み続ける
…のだが、実を言うとその修行の内容が少し問題である
「『と、それよりも肝心の修行の方法に関してだが…まず最初に熊にこの絵みたいなハンドサインをしてみろ』」
かないがそう読みながら手紙を見せる、手紙には文字の後にこまねく様な動きをしている手の絵が描かれていた
「こ、こうですか?」
「!!」
それを見てのぞみは試しに実際に熊にそのハンドサインをやって見せてみた
熊はそれを見ると反応し動き出す、すると…




「『するとその熊が試験開始と受け取って、ハンドサインした相手に向かってスタンディングポーズを取ります』」
「ガウッ!!」
「えっ」
かないの言った通りのぞみに身体を受けながら徐にスタンディングポーズを取り始めた
「『そしてそのポーズを取って三秒後に襲い掛かってくるので逃げるなり躱すなり防ぐなり戦うなりしてして下さい、以上』」
「グルァァアアアアッッ!!!!」
「ちょ、ちょっと待って聞いてないですぅううううッッ!!!!」
そしてまぁものの見事にその通りに熊がのぞみに目掛けて一気に走り襲い掛かっていく
のぞみはそれを何とか偶然にも転がり躱した
「いやいや無理無理聞いてない、聞いてないです!!」
だが熊はすぐに向き直ってまた今にも襲い掛かろうとしている、それも如何にもかつ大きく喉元をわざとらしく鳴らしながら
「ちょっと、本当に修行法それであってんの!?」
「『尚怪我はさせないよう躾けてるので安心してください』」
「そういう問題じゃないです!!そういう問題じゃないです!!」
熊に追われながらも必死に逃げながらもツッコむのぞみ
流石に相手が熊となると助ける気持ちも無くなるのか、かない達もそのまま遠巻きに見てるだけで助けようともしない
それを見てのぞみはちょっとだけキレた
「…って何ずっとみてるんだすか、助けて下さいよぉ!!」
「うわコッチ来んなおまっ!!」
するとキレたのぞみは即座に熊ごと引き連れながらかない達に向かって走って来た、というか完全に道連れにする気満々である
「のぞみ…う、嘘よね?」
「…ふふっ」
のぞみは静かに笑った後、静かにこう言った

「死ぬ時は…一緒ですよ?」
「」
その日の山では、とても大きな悲鳴が木霊したという…

《Bパートへ続く…》
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