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第37話 エクソダス 各種族編

第37-2話 説得とお引っ越し

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○各種族の説得の方法
 他の種族の説得についても語らなければならないでしょう。
 私の場合は、流れ作業のように同じパターンを作って、できるだけ事務的に話を進めようとしていました。
 まず、これまでに起きたことを歴史を含めて時系列で説明してから現状の説明から入り、現在起きている事象を簡単に説明してから、私の案を話します。
 そして、移転までのスケジュール、説明に対する疑問の解消する会を行って、納得させた後、一部の人達を現地視察に連れて行く。
 これをローテーションにして、まず各種族の代表の里のところに事情を説明して、その里の住民身説明をして、回り終わったら、今度は、分散して暮らしている人達に日にちを決めて、集まってもらい説明をして、質問があれば、その時に説明をする。これをローテーションとして、何回かに分けて行うつもりでした。進み具合は、それぞれの種族の都合に合わせて行います。
 最後に、移転の邪魔をする人達には、何らかの報復があると必ず付け加えている。
 私は、理解を示す種族はほとんどなく、それでも現地視察まで行うと、賛成派が過半数になっているだろうと予測していました。

○孤狼族A
「さて、まずは孤狼族ですか。あそこは場所を知っているのですぐに行けますね。レイ行きますよ」
「はい」レイは少し緊張気味だ。
 私はレイと共に孤狼族のところに飛んだ。
 門の所まで歩いて行くと、門の内側に人影がさした。族長会議に出席していた、族長とその孫、レイの兄が出てきた。
「こんにちは・・・ああ、お久しぶりです。匂いで私が来るのがわかりましたか」
「話なら外でも良いだろう」レイの祖父である族長が私に言った。
「族長会議であなた達に言ったとおりですよ。残念ながらあなた達だけではなくこの里にいる全員に聞いて欲しいのです。私にとってそれが絶対条件なので」
「私達が伝えるのではダメなのですか」レイの双子の兄が言った。
「はい。この事実をあなた達だけに伝えて里の人に教えないということも十分あり得ますので」
「信用していないと言うことか?」族長が言った。
「信用とかそういうことでは無く。私が信念を通したいだけですね。全員にもれなく話を聞いて欲しいのです」
「それを私たちが認めるとでも思っているのですか」
「里の外に里の皆さんが出てきてもらって、話を聞いてもらうこともできます。もっとも家から出られない方などにも話したいので、できれば入れてもらいたいと思っていますが」
「全員を里の外に出すとか。無理難題を突きつける。無理に決まっている」
「族長様」そこでレイが私の横に並ぶ。
「おぬしもきていたか。ああ、今はレイと呼ばれているのだったな」
「はい。今回は親方様のお手伝いとしてこちらに同行しております」
「何をしに来たのだ」
「親方様が、ここで一度目の説明をした後、私が他の獣人族のところに案内します。さらに2回目から説明が足りない人や移住に反対な人には私が説得をします」
「そうかお前がか。だが一族の掟どおり、おぬしを里に入れるかどうかは、長老達と話をすることになるが」
「親方様は、これから他種族も回る予定です。あまり時間もかけていられません。どうか、即決してもらえませんか?もし断ると言われたら、私はお二人と戦ってでも、里に親方様と共に入る決意でおります。
 掟、掟と連呼されますが、私が勝ってしまったらどうなるかおわかりでしょう?私としては、里を治める人にいなくなられては、今後の動きに支障が出てしまいますからそれは避けたいと思っています。どうか、私があなた達と戦わずに、穏便に事を進めさせていただけませんか」
「レイとやら。それは脅迫か?」
「そう取られてもかまいません。でも、また兄と戦うのは嫌です」
「どうなのだ?」族長はそこでレイの兄を見た。
「残念ですが、やめて置いた方が里のためだと思います。一度は客人としてお招きした方ですし、レイは、里の関係者です。すぐ長老の皆さんに図って里に入ることを認めてもらいましょう」
「そうか。お前がそう言うのであれば、そうしよう」
 レイの祖父と兄は、一度中に入り、私達は里へ入ることを認められた。
「説得を感謝します」私とレイは族長と族長代理に頭を下げた。
 そして広場に集まってくれた孤狼族の人々が私をうさんくさそうに見ている。一部には冷静に見てくれている人の顔を見つけたりもしている。
「私は善人ではありません。現にこうして長老達を脅迫して、一族の掟を破らせ、全員の前に立ち、これから話をするのですから」
「ただ、私の願いは、里の人たち全員に私の話を聞いてもらいたい。疑問があるならぶつけて欲しい、迷っているなら相談して欲しいのです。私のような者では不安でしょうから、あなた達の同族で私の家族であるレイに話をしてください」
 そこで私は隣に立っているレイを紹介する。
「私の匂いでお気づきでしょう。私は私の兄である族長の孫と血を同じくする者です」そう言って頭を下げた。
 私は話を続ける。
「すぐに答えは出ないでしょう。ですができれば全員に私の案に乗って欲しいのです。不満もあるでしょうし、納得できないかもしれません。でも、全員にこの案に同意してから参加して欲しいのです」
「わしらに一体何をさせたいのじゃ」
「それは、これから話します」
 そうして、里に住むほとんどの人達に説明を終え、希望者には惑星の移住予定地に転移して現地を見てもらった。レイの兄が族長に代わって移住予定地を見てからは、積極的に仲介に入ってくれるようになった。そして、説明が周力する頃には、2回目に里を訪れる前に納得しない者達の名簿や不安な点などをまとめてくれる事になった。
「あなたは一体何者ですか」レイの兄にはそう聞かれたが、
「私は辺境にすむ魔法使いです」としか答えようがなかった。
 里を出る時に族長と長老達に念のため挨拶をした。
「この話を孤狼族がまとめている獣人族すべての仲間達に、私が話をしに行きますので邪魔しないでくださいね。余計な事も言わないようにお願いします。私が話した後で何を言おうとかまいませんので」
「それぞれの獣人族がお前の提案を拒否するとは思わないのか?」族長は私にそう尋ねる。
 レイが、私が何か言おうとしたのを遮って話し始める。
「掟で縛って隠れ里を作っているのはここだけです。各獣人族にはそのような掟はありません。里がどう言おうと、賛同する獣人族は、連れて行きます。あなた達が私達を信用するなと連絡をしても、私達は、各獣人族の縁の者を同行して説明に歩きます。逆に孤狼族が孤立することになるかもしれませんよ」
 レイがそう言って、長老達を見回して言った。
「騙して歩くのか」
「騙している訳ではありません。この土地がしばらくしたらなくなるというのを族長会議で聞いたのではありませんか?」レイがそう反論する。
「それがたわごとだと言うのだ、 数千年この土地は安泰であった。これからだってきっとそうに違いない。お前は、天界やドラゴンさえ騙しているのだ」
「そう思い込もうとしているのは理解できます。でも、もう時間がないのです。現に獲物が減ってきていませんか? 草を食べる動物が減ってきて狩りの範囲を広げていませんか?」レイが再びそう質問する。
「仕方がないだろう。一族の人数だって増えて食べる量だって増えているのだから」
「残念ですが、狩猟だけで生きられるほどこの世界は広くないのです。それで親方様はここの十倍のエリアを用意していたではありませんか。実際にその目で見てきた人もいるでしょう?」
「それでも、信用できない」族長は下を向いて呟いた。
「親方様が今回来たのは、全員にもれなく話を聞いて欲しいから来たのです。考える時間はまだあります。そして全員が新しい世界に移動する事を目指しています。できれば邪魔をしないでいただきたいのです」
 そこで、私とレイは里をでようとした。
「待って欲しい。妹に、レイに話がある」
 レイは私を見た。私が頷いたので、レイは兄のところに戻って言った。
「本当に全員をあの星に連れて行くのか?」
「はい」レイが胸を張って言った。
「誰も置き去りにはしないと」
「はい。私は、親方様と1対1で話をした時にそう言われています」
「可能なのか?」
「できないのではなく、確実にやるのです。それが親方様です」
「わかった、祖父と長老達は私が説得する。それが僕にできることだ」
「ありがとうございます。やはり兄さまはよき人なのですね」
「よき人か。これからはそうならなければいけないな」
「はい」レイはそう言って、私の所に戻って来た。
 私とレイは、次の獣人族のところに行くために、一度ファーンの獣人族の集落に戻った。

○ドワーフ
「さて、次はドワーフですね」
 私は、パムと共にドワーフの里に飛んだ。場所は以前調査した時に事前にわかっていました。
「こんにちは、お話しがあってきました」
 私は大きな声で門の前で叫びました。すると、門の裏側に立っていた人が、門の上からのぞき込み、私とパムを見て、すぐいなくなった。
「ぬし様、あまりにも防備が弱くなっています。どうしたのでしょうか」
 パムが不安げにそう言った。
「さて、何か起きたのですかねえ」
 しばらく待っていると、私とパムは、里の長の家に連れて行かれた。そこには、里の長とその付き添いらしきドワーフの男、反対側に族長会議の時にいた若いドワーフが座っていた。部屋の両側には、古参のドワーフが並んで座っている。
「まずはご挨拶させてください。私は辺境に住む魔法使いです。初めまして。族長会議の話をすでにお聞きかと思いますが、改めて説明に参りました。そして・・・」
「皆様、私はパムという名のドワーフです。今回はぬし様のお手伝いについて参りました。よろしくお願いします」
 私とパムは二人とも頭を下げる。
「族長会議では話を聞いたが、疑いは捨てきれぬ」族長ではなく、付き添っている男が言った。
「横で聞いていたあなたはどうなのですか?族長代行さん」
「私は信じても良いとは思っているが、里の総意が否定的なのです」
「いや、話を全員に聞かせるのに里の総意もなにもありませんよ。一人ずつから話を聞きたくないと言われたのなら諦めますが、里の一存で里の人々に話が伝わらないのは、私個人として不本意ですし、問題がありますので」
「里の総意で、移住しないという結論なら問題ないだろう」
 やはり里の長の横にいる男が言った。どうやら、すでに里の考えは、決まっているようだ。
「その中の数人でも賛同いただけるのであれば、その人たちは連れて行きたいと思っていますからね」
「断ると言ったら」その男は言った。その言葉に古参のドワーフ達が頷いている。
「話を聞いていただける方に里の長になっていただいてでもかまいませんよ。つまり、そこに座っている里の長に長の座を降りていただいてでも実行すると言いましたらどうしますか?」
 私の言葉に里の長の方が少しだけ反応したように見えましたが、里の長の視線はパムに向かっていた。
「脅しか?」
「話を聞かせるのが怖いのでしょう?」
「どうしてそう思うのだ」
「話を聞く事で里に動揺がおき、里が2分されるかもしれないですからね」
「おぬしの話は突拍子もなく、荒唐無稽すぎるのでな」
「実際にその土地を見せると言っていたではありませんか」
「本当に見せられるのか?族長会議で見せたのは、虚像ではないのか」
「はい。いつでも見せられますよ」
「他の種族にも話に言っているのか」
「少しずつですが、話を聞いてもらえるようにはしてもらっています」
「なるほどな」
「一度目は私が説明をしますが、今後は、隣にいるパムが中心となって、土のドラゴンの縄張りにいるドワーフ族の人達と共に説明を手伝ってもらうつもりです」
「全員とか?」
「話がまた聞きでは、イメージを取り違える可能性があります。そのイメージを何度も修正して、納得してあの惑星に一緒に行って欲しいのです」
「当然拒む者もでるであろう」
「私は最後まで納得させる事を諦めるつもりはありませんよ」
「意志は固いということか」
「はい」私の言葉を聞いて、里の長はそばにいた者の袖を引っ張り顔を近づけさせて、ボソボソと話をした。聞いた男は驚いた表情で里の長を見たが、里の長は頷くだけだった。
「長は、「わしも老いた。後進に道を譲りその者に託すことにする」と申された」その男は残念そうにそう言った。周囲の者達は、その言葉にざわめいていたが、やがて静かになった。
「それは勝手にしてください。その前に許可をいただけますか?」
「しばしまて。長老会議にかければすぐ終わる」その男はそう言って、周囲の者達の顔を見回す。
「いいですか、期限は決まっていて、急いでいます。間に合わなかったらあなた達の責任ですからね」
「まだ余裕はあるのだろう?」
「いつ崩壊してもおかしくないと言えばいいですか?」
「わかった。すぐ結論をだす」
「よろしくお願いします」
 私とパムはその部屋から追い出されて、パムの知り合いのところに挨拶に行った。
「あなたが噂では死んだと言われていた魔法使いさんですか」
「初めまして、そんな大それた者ではありません。パムさんがここに来た時にお世話になっていたと聞きました。色々とありがとうございます」私は頭を下げる。
「私は何もできませんでした。それでもこうしてまたパムが元気で会いに来てくれたのは嬉しい限りです」
「おじさんには色々お世話になりました。これからも元気でいてください」
「ありがとう。今回は何をしにきたのですか?」
「それは・・・」
 その時に長老達の使いとして族長代行が訪ねてきた。
「説明するのを許可するそうです」
「ありがとうございます。では、話はまず大きな広場があれば、そこで話を始めましょう。一緒に聞いてもらえませんか?」
「そうですか。それではぜひお聞かせください」
 そうして、広場で大勢を相手に説明をした。質問がたくさんありそうだったのですが、十数人の希望者を現地に連れて行った。もちろん族長代行も連れて行く。
「私の話が荒唐無稽では無いとわかってもらえましたか?」
「実際見ても、信じていいのかどうかわかりません」族長代理は、不安げだ。
「ですが、長老達も必ず見せておきたいので、お願いしますね」
「まさか見たくないと言い出すとは思いませんでした。変なところに置き去りにされるとでも思ったのでしょうかね」
「その説得はお願いします」
「はい」
 そう言って私とパムはドワーフの里を出た。
「私の出番はありませんでしたね」少し寂しそうにパムが言った。
「あなたには、次回からの説明をお願いします。頑固な人達が多そうですので」
「孫だから有効に・・・」
「そういう絡め手は使わないでください。事実をありのままに話してください」
「わかりました。もう英雄の誇りは通用しないと」
「あなたの決意と真剣さで十分伝わりますよ」
「それは嬉しいですね」
「よろしくお願いします」
「はい」

○エルフ族
 そして、エルフ族に行くことになった。エルフィが私の所に相談に来た。
「実は、ファーンのそばにいるエルフ達が一緒に行って説得したいと言い出しまして」
 エルフィは心細げにそう言った。
「エルフィも一緒に行った方がいいと思っていますか?」
「はい。彼らは里を愛しています。嫌いなのは族長と長老達だけなのです。それに多分家族に会いたいのだと思います」
「いいですよ。連れて行きましょう」
「いいのですか?」
「何も問題はありませんよ。むしろ大歓迎です」
「では話してきますね」
「お願いします」
 そうして、アが引く馬車にエルフィと4名ほどが乗った状態で、私は迷いの森の前に転移する。
 エルフィと4人がそこで祈る。
「迷いの森さん、通してもらえませんか。あなたもこの世界の危機だとわかっているのでしょう?できれば穏便に通してほしいのですが」私は、そう語りかけた。
 木々はざわめいたが、風景は何も変わらない。そうだ森は答えを返す訳では無い、ただ信じて先に進むだけだ。思いが伝わっていれば里に到着する。馬車を進めると、里の入り口に到着した。
「さて、一番の難関も抜けられました」
 私達が到着して、すぐに砦の柵は開かれた。
「ようこそいらっしゃいました」砦の柵が開いて待っていたのは、長老ではなかった。
「エルバーンがどうして・・・他種族の出迎えは、長老の仕事ではなかったの?」エルフィがビックリして尋ねた。
「長老と長老連中は、すでに各家に軟禁している。エルフ族に話をしたいのだろう?準備は出来ているよ」
 彼はそう言った。
「そうなの?」エルフィはその言葉にも驚いている。
「族長会議の後、長老連中が騒ぎ出してね、エルフの森をどう移転するつもりなのか、森の加護がなくなったら終わりだ。と騒いでね。長老達は、里の全員で心中することを自ら提案して、長老会議で可決したのだよ。あきれるだろう?」
「それでどうしたのですか?」私はつい口を挟む。
「魔法使いさん。どうもしないよ。隠居してもらうことにしただけだよ。まさか一族ごと心中するとか考えて、しかも諫める者がひとりもいない長老連中じゃあ、もう誰もついていく訳がない」ため息交じりに彼は言った。
「そうですよねえ」
「私は族長会議に出席していたから最初に質問させて欲しい。迷いの森はどうなるのですか?」彼は心配そうにそう言った。
「こればかりはわかりません。私は、この森ごと転移させるつもりですけれど、その森に精霊が宿ったまま移転してくれれば良いのですが、こればかりは私にもわかりません」私は正直にそう言った。
「正直だな。聞かれたらそう答えるのだろうか」苦笑いをして彼は言った。
「私はそう答えます。やってみなければわからないと。ただ、できるだけ根まで残して移転させますから、それでダメなら諦めて欲しいと言いますよ」
「そうか・・・わかった。とりあえず里の中にいる全員を呼び集めて話は聞いてもらう。長老連中にも聞かせる。質問もさせる。納得しない者は改めて説得に来てくれ。それで良いか?」
「かまいませんよ」
「全員に話が通るなら~2回目からは私が来ますからね」
「エルフィが来るのか」彼は驚いてエルフィを見た。
「エルフ一族の者が説得するのは当然でしょ?あと一緒に来ている4人にも手伝ってもらうけど」
「外に出て行った者達か」
「そうよ。色々苦労したみたいだしね。手伝ってもらうことにしたの」
 そうして、私は全員を集めてもらって説明を行い、現地を見せて理解を深めていった。
「エルフィ。次もこられそうですか?」
「長老連中が出てきたらちょっとつらいけど頑張ります」
 そうしてエルフ族の説明もほとんど終わった。

○ダークエルフについて
 話は、族長会議の前に戻ります。
 私は、族長会議の少し前にダークエルフの里に立ち寄った。
「ダークエルフの族長の方、お久しぶりです」
 私は、里の入り口で、門番に挨拶をしてから、族長の家に入って行った。
「ああ、あなたでしたか。あの森林火災の鎮火にお手伝いありがとうございました。今回はどういう理由でお越しになりましたか」
 族長は、作業の手を止めて座ったまま私を見て言った。
「お話があります。あまり良い話ではありません」
「前回お越しになった時には調査だとおっしゃられていましたが、その結果が出たのですか?」
「はい、結果があまり芳しくないので、一族の皆さんにお引越しをしてもらう事になると思います」
「それは難しい話ですね。いや先に結論を申し上げましょう。それは不可能です」
「ここ数年狩猟は順調でしたか?木の実の生育は? 実はその辺の調査も並行して行っていました」
「十年のスパンでかなり収穫量は落ちていますね」族長は考えもせずに即答した。
「理由については何かお考えでしたか?」
「収穫量は長いスパンで波がありますから、下降期だから仕方がないのではと思っていました」
「下降期の後に災害が起きていませんか?」
「ちょっと待ってください。 おい、あいつを呼べ」長は大きい声で誰かを呼びに行かせたようだ。
「あの子ですね」
「はい。前回の時に事前に危機を察知して警告してくれた子です。記憶力がずば抜けていいのです」
「私もあの子から色々情報をもらっていました」
 私がそう言った時に人影がさした。
「なんでしょうか。ああ、DTさんお久しぶりです。何か聞きたいことでも?」
 その子は、私に軽く挨拶をして、そのままそこに立っている。
「DTさんが、収穫量が減った時に災害が起きていないかと尋ねられていてな」
「私も調べてみましたが、私自身、前回の災害の時の事しか知りません。でも、確かに生育がかなり悪くなってきた時に災害が起きて、一時期飢饉になりかけたそうで、その後は収穫量が戻ったような気がします。データとして示せませんが」
「DT様そうだったのですか」
「はい。多分この世界はもうじき耐え切れなくなって崩壊します」
「この世界がですか?」その子は私を見て強い口調でそう言った。
「そうです。この世界です」
「この世界が崩壊するなら、引っ越す場所なんてないのではありませんか。いったいどこに引っ越すというのですか」
 族長は自嘲気味笑いながら、私に言った。
「族長、落ち着いてください。引っ越しをすることになるのですか?」
「はい。そのお願いに参りました」
「一体どこに」
「それはここです」
 私は指を鳴らした。周囲は一瞬で星空になり、椅子に座ったまま星空の中に放り出された。驚いて立ち上がろうとする族長。冷静に周囲を見ているその子。
「大丈夫です映像です」私はそうして、恒星から惑星へと視点を変えて惑星の大気圏を越えて空中に静止する。
「ここは、私達が作った新しい世界です。この世界が崩壊する前にここに移住しようと思っています」
「私達だけですか?」
「いいえ、この世界の全ての生き物です」
「そんな事が可能なのですか?」
「可能です。そのためにこの世界の全ての意志のある種族に説明に歩いています」
「調査とはそのためだったのですか」
「はい。目的を話せず、すいませんでした」
「最初にそんな事を言われていたら、到底信じられずに次からこの里に入れなかったかもしれませんね」
「そんな事はないと思いますよ。一緒に食事までしているのですから」
「それが根拠になりますか?」
 族長は頭をかかえ、その子は苦笑いしていた。

○ダークエルフ 族長会議の後
「あなたは、やはりすごい人だったのですね」族長がそう私に言った。
「やはりとは?」
「私達一族は、他の種族とはあまり交流はありませんが、噂はけっこう流れてきます。 特に面白い話は尾ひれがついてね。その中でも飛び切り面白いのが辺境の魔法使いのお話です」
「はあ」
「その方は次々と偉業を成し遂げ、それでいて謙虚。最後には神にまで歯向かって殺されたと言います」
「その人は死んだのですね」
「ところが、最近の噂では死んではいない。生き返っている。もしかしたら不死なのではという噂が流れています」
「それはすごい人ですね」
「しかもあなたと風貌が似ている。もっとも噂の範疇を越えていませんが」
「そのような大それた人と一緒にされても困りますね。私は私の周りの人達の協力があって、ここに来て説明しています」
「検討はさせていただきます。というかもう時間もあまりないのでしょうね」
「はい。ですが私は一つだけ通したいわがままがあります」
「なんでしょうか」
「私は、全ての人に直接お話をしたいのです。私自身で。もちろん行きたくない人もいるでしょうが、その人にもお話をして、納得してもらって一緒に行っていただきたいと思っています」
「誰も残したくないと」
「ここは崩壊する可能性の方が高いのです。ここで死を待って欲しくないのです。死ぬなら次の世界で看取られて死んで欲しいのですよ」
「お考えはわかりました。お待ちいただければ、早急に説得します」
「何回かに分けて現地も見せます。最初に行く人の人選さえしてくれればすぐにでも」
 そうして、ダークエルフの里では、私が全員に説明をしたところ、反対する者は数人で、その数人さえ実際に移転する惑星を見せると素直に移住を選択した。

○ダークエルフの移転
 少し先の話をします。
 各種族に説明に歩いて、ほぼ説明が終了した頃、ダークエルフの一族は人数も少なく自給自足をしていたので、一番早く移転をお願いした。もちろん意志疎通のできる種族の中でということだ。ゴブリンやオークなどは、地域をかなり離して隔離する形で引っ越しを終えている。
 私と族長さんは、惑星の大地に立っている。そこはダークエルフ達が住んでいたところに割と似た、森と岩場がある地方だった。森はまだ成長しきっていないので少し小さめだが、食料となる動植物は十分生存している。
「族長さん。この辺で本当に良いのですね」
「ああ。私たちは森と岩に住む者ですから。森の資源と岩場の家に住みたいと思っています」
「わかりました。家の場所はこのままでいいですか?」
「はい」
 私と族長さんは、元の場所に戻った。
「明日の朝、全員を一カ所に集めて、人数を確認してください。できれば一回で終わらせて、建物を転送する余力を残したいので」
「わかりました。今夜でこの風景も見納めなのですね」
「そう言われると寂しく感じますね」
 翌日、惑星側にメアとブレンダが待機している。かなり遠くにたくさんの人が立っているのが見える。
「メアさん大体の位置をマークしてください」
 私の声が地面から聞こえてくる。傍らには四角い箱が置いてあり、そこから線が延びていて空間のゆがみの中につながっている。
「はい。大丈夫です。この位置に降ろしてください」
「転送しますよ」
「お待ちしています」
 惑星側の空中に巨大な穴があいて、地面一帯ごとそこに現れる。ブレンダが受け取り、少し速度がついていたが、最後だけ速度がゆっくりになり、無事に地上に降ろされた。
「成功しました」メアとブレンダが手分けをして建物を確認している。
「そうでしたか。中を確認してもらってください」
 私は元の世界で、建物の送り残しを確認しながら言った。
「族長さん確認をお願いします」メアが遠くに立っていた人達の中の族長に言った。族長が部下に命じて確認をさせる。
「ご主人様大丈夫です」
「では、そちらに行きます」私は惑星に転移して、族長にある物を渡した。
「族長さん。何かあったらこれを使って連絡してください」
「ありがとうございました」
「こちらこそ、一番最初に動いていただいてありがとうございました。 住んでみて何か支障があったら元の世界に戻します」
「はい」
「だいぶお疲れのようですから私が転移します」ブレンダが私の様子を見て心配そうに言った。
「魔力はそうでもありませんが、脳が疲れました」
「確かにご主人様の頭が熱を持っています」メアが自分の額を私の額に当てて熱を確認しています。ブレンダがちょっとうらやましそうです。でも、メアはセンサーで計れるのですよ。わざとですね?
 私がそう思っていると、ブレンダが頬を膨らませて、メアが舌をちょっとだしました。やりますね二人とも。私は二人を見て萌え死にしそうでしたよ。ああ、尊い。
「では、族長さん皆さん失礼します」私は族長達に手を上げて挨拶をしてそこから消えた。

○トロール
 私は、トロールの所に出向いていた。
「あんたに言われて族長会議に出てはみたが、わしらにはよくわからん、ここには愛着はあるが、滅びる土地なら次の場所に行く。それがわしらじゃ。これまでいくつもの災害に遭ってきたと先祖からは伝えられている。いつかは、滅びる運命かもしれないとは言われていたからな。じゃが、これまでよりも長く静かな土地で生きられるのであれば、そこに移り住みたい」
 族長はそう私に言った。
「全員と話をしたいのですが」
「ああ、もちろんかまわぬ。わしらのところには、はぐれ者もおらんからな。今日は、以前のように泊まっていけ。明日の昼には全員揃うじゃろう。おぬしの旅の話は面白くてなあ。みんなが聞きたがっているからな」
 族長も嬉しそうだ。
「それは嬉しいですねえ」
 翌日、トロール達は全員集まったらしく、高齢の方達だけ、家から動けないので実際に話をしに言ったが、私の顔を見て微笑んで、頷いてくれただけだった。
「それでは、場所を決めなければなりません。族長さんと数人の方、現場に行きますよ」
「そうか、では副族長よ行ってこい」
「私がですか」
「わしが住みたいところとお前達が住みたいところはやや違うであろう?要望はしたが、決めるのは次の世代だからな。もっとも年寄りにも優しい場所にしてくれたらありがたいがな」
「わかりました。では見に行きましょう」
 そうして、ほとんど同じ場所を用意していたので、即決してくれました。当然、人族との距離はこれまでの10倍ほどありますからこれからはもっと静かに暮らせますよ。

○ホビット
「こんにちは」
「あああんたか。族長会議に出るほどの人だったとはな。直接会うのは久しぶりだなあ。待っておったよ」
「待っていたのですか?」
「ああ待っていた。わしらはドリュアディス様と懇意にするものじゃからな。いずれあんたが来るという話は聞いていたのだ」
「そうでしたね。今日は皆さんにお話があってきたのですが」
「その話も聞いているよ。わしらには難しい事はよくわからん。この世界がもうじき壊れるかもしれないと言われてもな、ピンとこないのじゃよ。今を生きるのに精一杯でな」
「そうですか」
「だが、最近の草花の育成不順や川水の状態を見ていると。ドリュアディス様から聞いていた話とあっている。それは良くわかる」
「・・・」
「だから、わしらはあんたを信じる。いや、正直に言えばあんたは胡散臭いとは思っている。 人でありながら、わしらと寝食を共にして嫌がらない。そんな人間は今までいなかったのだから。だからこそ怪しいとも思うし、だからこそ信じても良いかと思ったのだ。まあ、ドリュアディス様が信用しているからおぬしも信用するという事だ」
「ありがとうございます。それでも良いのです。不安もあるとは思いますから、お試しで次の世界に行ってみますか?」
「そんな事ができるのか?」
「実は私もどのくらいの人を転移できるのか不安はあるのです。なので、10分の1の人を一度現地に送りますので、生活してみてもらえませんか」
「住む家や食料はどうするつもりなのか。早々に新生活になじめるとは思えないが」
「一つの地域をまとめて転移させます。土地ごと」
「それはすごいな」
「やってみますか?」
「あんたも行くのか?」
「もちろんです。嫌になったら戻っても来られます」
「この世界が壊れるのだったら戻っても意味がないであろう」族長に笑われてしまいました。
「最終的にはここから移りますが、しばらく離れているのは寂しいでしょう?」
「まあそうだが。危険はないのか?」
「猛獣はまだいませんから大丈夫ですね」
「なら、わしが行こう」
「おまかせします」
 そうしてホビットたちは、ある程度の人数で短期間生活をして、一度こちらに戻り、その話を聞いて全員が納得して新しい惑星に移住した。
「あんたも大概ね。ようは転移魔法のテストに使ったわけよねえ」
 私の話を聞いてアンジーがあきれている。
「結果的にそうなっただけですよ。これで、大体の転移に使う魔力量が推計できました」
「でも、人間には建物があるわよ」
「そうなんですよ。そこはまたテストが必要ですね」
「慎重なのね」
「私だけの事ではありませんからね」
 そうして、ホビットはなんとかなった。事実上の先遣隊として生活しているが、支障はないようだ。問題だったのはスノーク族だった。動きたくないの一点張りであった。

○スノーク族
「ドリュアディス様にはお聞きしましたが、私たちは動きたくないのです。この環境を変えたくない。この土地のままなら移住もしましょう」
「わかりました。本当にそれでいいのですか?季節も結構厳しくなるかもしれませんが」
「私たちは与えられた環境を受け入れ、その中で手に入るものを使い、手に入るものを食べて生きているのです。それがたとえ誰から与えられたものであっても」
「本当に良いのですね」
「はい」
 そうして、メアとブレンダと共に作業に入ろうと、地下室の私の部屋で事前に打ち合わせを行っていた。そこにアンジーが様子を見に来た。
「あんた、人と土地と建物の同時転送のテストをするつもりでしょう」
「転移は間違いなくできるのですよ。ダークエルフ族で実績もあります。人と建物と土地をいっぺんにやって大丈夫なのかは気になりますね」
「それにしても面倒な話ね」
「今回はちょっとねえ。ドリュアディスさんにも聞きましたが、それでかまわないと言っていましたから」
「彼らは、ビオトープの中のような生活をしているのねえ」
「こっそり夜中にやりますね」
「惑星の方との時差はないのかしら」
「ああ、転送したら昼はちょっとびっくりしますねえ」
「うまく合わせてあげるのよ」
「そうします」
 私は、まず全員にお会いして説明をしました。全員がこのまま次の世界に行けるのならと承諾をもらいましたので、次の日の朝には風景が変わっていますけど良いですかと聞き、問題ないと言われて、本当に土地、建物、そして家で寝ている人ごと転移させた。問題も無く暮らしているようで少し安心しました。

○風の質問
 モーラが縄張りの中を飛んでいる時に、突然風のドラゴンさんが現れた。
「スノーク族が住んでいた土地と建物と共にどこかに消えてしまったの。何か知らない?もし行方を知っているなら教えてほしいのよ」
 風のドラゴンさんがモーラに尋ねました。
「見てきたのか。スノーク族を土地ごとまとめて転移したそうじゃ」
「事前に言っておいて欲しかったわね」風のドラゴンさんがモーラを睨んでいる。
「それはすまんな。次からは事前に伝えさせるわ」
「なんて報告すれば良いと思う?」
「そのまま伝えればいいではないか」
「もっともその後の結果の報告の方が面倒なのよ。それはヒメツキの仕事なんだけどね」
「なんかすまんな。これからも多そうだ」
 しばらくしてヒメツキさんが家に来た。
「さて、結果を教えて欲しいのだけれど」
「見に行きますか?」
「いやいいわ。問題は起きていないのね?」
「支障があれば連絡員が転送されて、ドリュアディス様から連絡があります。最悪の場合は、建物を除いて全員が戻れる緊急魔法も置いてあります」
「なるほど。最悪の結果にはならないわけね」
「惑星には監視員は置いていませんからね」
「置かないの?」
「最近は頻繁に観光ツアーに行っていますから、惑星自体に何かあれば変化に気づきますよ。それにあの惑星に連絡員として一人でいるのは寂しいですよ」
「経験したのね」
「人の気配がないのはね、寂しいのですよ」

○現状確認
「さて、小規模な種族はほぼ了解をとれましたし、協力のおかげで、転送も順調にできています」
「順調にテストを終えているわねえ」
「エルフドワーフ獣人族の転移に着手しましょうか」
「パムさん達から、現在の状況の報告がありましたが、エルフ族はほぼ半分、ドワーフ族が3割、獣人族は7割が移住に賛同していますね」
 ブレンダがメモを見ながら説明してくれました。
「魔族はどうですか?」私はアンジーに聞いた。
「戦いたいそうよ。私たちとね」
「まあそうなるとは思いましたが、では先に魔族の願いをかなえますか。その後、半分になっているところについては、転移を実行します」
「事前にモーラの縄張りの各種族を転移してうまくやっているところを見せたほうがいいのではありませんか」
「それも良い案ですね。物流が止まりますから、1か月くらいは食料の供給ができないかもしれませんけど大丈夫でしょうか」
「定期的に物資を転移してもらえればよろしいかと」
「誰かが常駐する必要がありますよね」
「それは各種族の代表者に・・ああ、説得交渉でいないのでしたね。さらに副代表を設けてその人と共に転移しますか」
「では段取りはユーリとキャロルとエーネにお願いしますね」
「はい」
「段取りが前倒しになって嬉しいのですがねえ」
「スケジュールではまだ遅れているのであろうが」
「そうですね、 それでも最悪のラインまで遅れている訳ではありませんから」

続く
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