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第30話 特訓しましょうか

第30-5話 エーネのひとり旅

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○勇者を特訓する
 そういえば、以前、キャロルの特訓のついでに私達のダイエットのついでに勇者を特訓すると言われていた。その時は、漠然と自分のお腹の肉をつまみながら、誰かが来るのかとボーッと考えていた。しかし、突然、勇者が来るとなって、私の中に何か黒いものが湧き出してくる。
「エーネはここにいるなら正体を隠しなさい」アンジー様がそう言って私にどうするか聞いてくる。
「それですが、ひとりでやりたいことがありますので、迷惑にならないように家から離れます」
 私は申し訳なさそうにそう言った。
「あなたは本当にそれで良いのかしら?」
 キャロルが少し怒った口調で言った。でも心配している気持ちも一緒に伝わってくる。
「まだ私にはどうして良いかわかりません。それしか考えられません」
 私は苦笑いをしながらそう答えた。この隷属がもたらす妙な感じは、いつも私を安心させてくれる。言外の意味がちゃんとわかるから。きっとこの複雑な気持ちさえキャロルには伝わっているのだろう。
「本当に大丈夫かしら」キャロルは、少しだけ首をかしげて私をのぞき込むように私を見る。
「大丈夫です。何かあったらこれを使います」
 私は少しだけ微笑んで首に提げたペンダントを見せる。でも、きっと私の心は伝わっているのだろう。
「まあ脳内通信があるから大丈夫でしょうね」
 キャロルは素っ気なく言った。でも、キャロルの心配している気持ちは変わっていない。
「はい」
 私はそう言ってみたものの、やはりひとりは寂しい。でも、家族はみんな、一人旅を経験されている。私もしたことがあるけれど、ただ両親の元に飛んで帰っているだけで、旅とはいえない。
「馬が乗せてもいいといっているわよ」キャロルがそう言って馬車を貸してくれた。
「乗せてくれるの?」私はテンに聞いた。
「ヒン」そう言って顔を近づけてくれた。これは本当に一人旅だ。目的地はどこにしようか。ああ、ディー様が戦ったあの森を目指そう。
 その森の横の砂漠には、みんなで助けたあのワームがいるはずだ。 どうして行く気になったのかわからないが、 どうなっているのか知りたかった。これまで生きてきて、他人のために何かができたのは初めてかもしれない。だからなのだろうか?その成果を見たかったのかもしれない。
 ただ、勇者達に会ってみたいとも思っていた。でも、それよりも会って魔族だとバレて、憎悪の目で見られるのも嫌だった。表面上は普通に話して会話の中に敵であると感じられるのももう嫌だった。そう思ってしまうのはダメなのだろうか。そんなことをひとりで考えたかった。
 私は皆さんに守られているのを感じている。扱いかねているわけでもよそよそしいわけでもなく、本当に守られていると感じる。だから今度は普通の人との関わりが怖くなっている。本当に受け入れてくれるのだろうか。
きっとキャロルなら何悩んでいるのよとでも言うだろう。ここまできて後戻りもできないとも思っている。しかし、その目に耐えられるのだろうか。ファーンに飛ばされて来た時だって、周囲の人は、魔族と言うだけで驚いていたし、困惑しているのを感じていたのだから。

「行ってきます」私は皆さんに見送られて家を出た。
「行ってきます」、「気をつけて行ってらっしゃい」、言ってみて、言われてみて、この言葉に込められた本当の気持ちがわかったような気がする。
 私は、ワームのいるあの森を目指していた。
「途中には以前暮らしていた隠れ里もあるから、こっそり見てきたらどう?」とも言われたが、死んでいない事を知られるのも怖かったし、今の境遇を説明する自信も無い。
 そうやって、ゆっくりと・・・と言っても相変わらずテンの走る速度は速い。ビギナギルを越えて、ハイランディスに入ろうとしている。テンは、自分で休むタイミングや水の補給、エサなどを指示してくれて、私はそれに応えるだけだった。それは私がボンヤリと違う事を考えているのを気遣ってくれているのだと、数日のうちにわかってしまった。本当にテンはすごい馬だと思う。
 「そういう時は、「気を遣ってくれてありがとう」と感謝を込めて声を掛けて撫でるといいのですよ」と言われていた事を思い出して、休憩ごとに声を掛けていた。もちろん「ヒン」と啼いて答えてくれる。素敵だなあと思う。

「そろそろ、フェルバーンですかね」
 私は、話に聞いていた断崖絶壁の谷を越えて、山の中をしばらく走り、森と平野が見えてきた頃にそう呟いた。
 風景をキョロキョロと見回しながら、遠くに集落が見えてきて、そこを目指して馬車を走らせる。すると、道のかなり先の方に、体の大きな人が立っていた。人にはありえないくらい大きい人。多分かなり高位の魔族のようだ。私は速度を落としてゆっくりと通り過ぎようとする。しかし馬車を止められた。
「こんにちは。突然でお止めして申し訳ないが、あなたは魔族ではないのかな?」
 私にかけられたその声からは敵意は感じられない。それでも魔族だと尋ねられ、私は手綱と杖を握りしめる。
「魔族だとしたらどうしますか」私にはそう答えるしかなかった。
「これ以上行くと魔族にはあまりよくない状況になる。その事を伝えたかったのだ。それと、もし時間があるのなら、私の所でお茶でもしながら話をしないか?」
 その人の言い方は無遠慮だったけれど、その言葉はとても優しく、嘘をついたり、罠にはめようとはしていないと思った。それに私は、この人となぜか話をしたいと思ってしまった。
「わかりました。お茶のお誘い感謝します」私はそう言って、手綱を持ったままお辞儀をする。
 その人は、私について来るように合図をしたので、その人の後ろについて馬車をゆっくりと走らせる。その人は道を少しそれて森の中に入っていった。
 そこには小さい集落があり、その中をゆっくりと進む。その奥には、少し立派な2階建ての家があった。
 その人は歩きながら出会う魔族や獣人や人に声をかけて挨拶をしている。出会った人は私を見て驚き、そして目を伏せてそこからいなくなった。敏感な人には匂いがわかるのだろうか?少し不安になる。
「匂いを気にしているのかい?大丈夫匂っていないよ。むしろ匂いがしないからあなたを警戒しているのだよ」
 その人は笑いながらそう言った。
「そうですか」
 なぜかほっとしている自分がいる。あのような目で見られるのがつらくなってきている自分がいる。昔はそんな事をいちいち気にしていなかったのに。もっともファーンでも魔族である事を隠しているから、そうならないだけで、もし魔族と知っていたらあんな感じの対応だったかもしれないのだ。あ、へこんだ。自分の気持ちが、しおれていくのがわかった。
「私の事を信用していいのかい?」そう言いながら御者台から降りる私に手を差し出す。
「ここまで連れて来て今更です」私はその人の手を取り馬車から降りる。
「それにしても、魔族を乗せても平気で、魔族も生活している集落に入っても怯えることもない。とても豪胆な馬ですね」その人は馬を見て感心している。普通そう思いますよね。
「私の家族の所にいる馬はみんな魔族でも大丈夫ですよ」
 私は家族という言葉を使った時にちょっとだけ嬉しかった。隷属をしてからは、家族である事の安心感が私を包み、さらにきずなも感じている。やはり隷属してよかったと思っている自分がいる。
「それはすごいですね。獣人なども大丈夫なのですか?」その人は驚いた様子で私を見る。
「ドラゴンだって乗せられますから」自分が褒められたような気がしてつい余計な事まで言ってしまった。
「それはすごいですね。馬はこのままでも大丈夫ですか?」
「大丈夫?」私が尋ねると胴を震わせた。ああ、久しぶりに走りたいのですね。
「周囲を走りたそうです。走らせてもかまいませんか?」
「この森の中をですか?襲われるかもしれませんよ?」その人はさらに驚いている。
「それは心配です。それでもいいの?」
「ヒン」胸を張ってテンは啼きました。
「大丈夫みたいですから、馬具を外します」
「これはすごいものを見せてもらいました。馬と会話をしているのですね」
「うちにいる馬たちはみんなそうらしいですよ。大変優秀なんだそうです」
「ええ?」驚くその人を尻目に、テンは私をチラリと見てから一目散に走り出す。私はテンに手を振って
「気をつけてね」と大きな声で言った。
「ではこちらへ」その人は、私を家の中へと案内する。
 玄関を入ると、広い大広間があり、その右の部屋に案内された。多分書斎なのだろう。シンプルだが書棚があり、貴重な紙が重ねて置いてある。領主様の応接室のような感じだ。
「今、お茶をお持ちします」彼がそう言った時に、コンコンと扉をノックする音がした。
「ああ、お茶を用意してくれたのですか。入っても良いですよ」その人は扉の向こう声を掛ける。
 扉が開いてメイドの姿をした、多分獣人さんと思われる人が入ってくる。お辞儀をしてお茶をテーブルに置こうとした。
「私の身の回りの世話をしてくれている人です。名前はミーさん」
「初めまして、私エーネと申します」
 私は勢いよく立ち上がって挨拶をしようとして、テーブルにぶつかってしまう。お茶がこぼれそうになるのを、その人はすばやくカップを抱えて防いだ。
「ああ、すいませんすいませんすいません」私は慌ててしまって何度も何度も頭を下げる。
 顔を上げるとその人はビックリしていたが、ミーさんと呼ばれた人は表情を変えていない。ああ、丸いお耳が可愛いです。私の顔を見て一瞬だけちょっと表情が変化しましたが、すぐに元に戻りました。もしかしてこの方は表情が読めるのでしょうか。
「そうですか。せっかくですからミーさんも一緒に座ってください」
 そう言われて、戸惑いながらもミーさんはその人の隣に座る。
 私は、この館の中のその人の匂いにも懐かしさを感じている。しかし思い出せない。たぶん父の知り合いなのだろう。それだけでも本当は警戒しなければならないはずだ。でも来てしまったものはしょうがない。アンジー様から言われている会話術を反芻して会話のタイミングを待った。
 テーブルにある茶器からは、お茶のいい香りが鼻をくすぐる。お菓子まで用意してあるとは、まるでビギナギルの領主様の館のようです。
「旅の途中でおひきとめしまして申し訳ありません。ここから先の道は色々仕掛けをしてありまして、魔族の方は立ち入りが難しくなっております」
「はあ。それはありがとうございます」
「それに見たところ女性の一人旅。何か事情があるのか気になったものですから。まあ、それがお引止めした本当の理由ですね」
「そうでしたか」
「あともう一つは、匂いをお隠しでしたが漏れてきた匂いが気になりましたので」
「何が気になりましたか?」私はアンジー様から叩き込まれた想定問答を思い出しながらそういった。質問があった場合は質問で返して自分からは答えない。初対面の時にはそれが鉄則だと。
「アモン様の子どもの匂いがしました」私をじっと見つめて言った。
「私からアモン様の子どもの匂いですか?」私は表情を変えずに言った。
「そういう風に答えなさいと言われていますね」
「・・・」さすがにそれは想定問答にはなかった。そういう時は黙っていろと言われていた。
「アンジー様はさすがですね」
「アンジー様を知っているのですか?」私は顔を輝かせてそう尋ねる。
「引っかかってはいけませんよ」彼は、笑いながらそう言った。
「あ」どうやら引っかかったらしい。
「今のは、私の類推からの質問です。アンジー様にはお会いしたことはありませんし、その時は会話を漏れ聞いて、遠くから見かけただけです」
「・・・はい」私はまたへこんでしまう。どうやら付け焼き刃で敵う相手ではなかったようです。
「あなたの素性はお聞きしません。どうして一人旅をしているのかだけお話しください」
 私は正直に、人と共存したいという自分の気持ちが判らなくなっている事、自分の精神が安定しないせいで魔法の制御がうまくできない事、近接戦闘が苦手で、できるだけ友達の足手まといになりたくないという事を話した。
「そうでしたか。それなら私はご協力できると思いますよ」
「ありがとうございます。ですが、正直に申し上げますが、そこまでしてもらういわれはありません」
「無償の協力は裏があると言われていましたか」
「はい。感謝をさせて、後から無理な要求をしてくる場合があると言われています」
「さすがに天使様ですね。しっかりされています」
「そうでしょうか?人を疑いすぎではありませんか?」
「心情的にはそうでしょう。しかし、その積み重ねで魔族は人と争っているのですよ」
「ええ?」
「人は良い人ばかりではなく、必ず裏切る人がでるのです。約束を反故にする。嘘をつくなど、我々には考えられない事をしてきます。最初の頃は魔族も混乱してしまいました。今では、裏切るのを前提に付き合っていくことにしていますよ」
「それは・・・残念ですね」私は顔を降ろして下を向く。
「ですが魔族も同様に人を裏切っています。おかげで、今は、お互い疑心暗鬼になって互いを信用する事が出来なくなっていますね」
「お互い様ですか。私の家族や知っている人達は、決してそんな事はなく。むしろ好意的でさえあります。獣人でもエルフでもドワーフでも人であったとしても。でも、他の人たちはそうではないかもしれません。どうしたら乗り越えられますか?」
「あなたの家族は魔族なのですよね?」
「家族は二つあります。血のつながった魔族と、最近一緒に暮らすようになった人たちの二つです」
「二つ目の家族は魔族ではないのですね」
「はい」
「色々な種族が一緒にいる家族なのですね」
「・・・」
「家族は信頼ができて、それ以外の人がどういう反応をするのか不安なのですね」
「・・・・はい」
「あなたのお父様はなんと言っていますか?」
「父は・・・どうして父の話が出ますか」
「あなたのお父様は他の種族との融和を考えていらっしゃったのではありませんか」
「父をご存じでしたか」
「はい。実はそうです」
「私もそれを望んでいます。でも現実は厳しいと思います。だからと言って父のように里にこもる事も今の私には無理です」
「どうして?」
「世界を知ってしまったのです。里以外の世界を」
「知ってどうしたいのですか?」
「その中で魔族として共に生きていきたいのです」
「答えは出ていませんか?」
「あ・・・でも」
「踏ん切りもつかないということですか」
「私が魔族であることを町の人に知られてしまうと、家族に迷惑をかけてしまいそうです」
「そうなのですか?」
「エルフさんやドワーフさん獣人さんや長生きの人たちはうまく溶け込んでいます。でも、魔族は状況が違うような気がします」
「人族の敵だからですね」
「はい。今では私が姿を偽っている事も後ろめたいのです。正体を明かした時に態度を変えられるかもしれないのが、不安で、そしてつらいのです」
「不安なのですね」
「はい。最初から打ち明けていたとしたらまた違っていたかもしれなのですが」
「家族の方はどう言っていますか」
「まだ話していません。今回だって、私が雰囲気を察して逃げてきたようなものです」
「逃げてきた理由を話してみませんか?」
「魔族の私が、魔族と戦っているその人たちに会ってしまうと魔族を敵として見られなくなって攻撃が鈍る事が考えられると思います」
「なるほど。では魔王として絶対的な力を見せたらどうなりますかね」
「それはわかりませんが、その人達がより強い敵を求めていれば、むしろ闘争心を燃やすか、それとも心が折れるか、どちらかだと思います。ですが、心を折る事は家族が望まないでしょう」
「わかりました。もちろんここで話したことは秘密です。さて、あなたが魔法の能力をちゃんと制御したいとの事ですので、旅の途中でしょうけれど、しばらくここに滞在しませんか?」その人は微笑みながらそう言った。隣のミーさんはちょっとだけ表情が変化したような気がします。
「ええと、ここに滞在すれば、制御できるようになるのですか?」
「少なくとも一人で考えるよりはましだと思いますよ」
「よろしいのですか?」
「私は大歓迎ですが、どちらかに向かっているのではありませんか」
「あてはありませんでした。エルフの森の先にある黒い霧の出た森を見たいと思ってそちらに向かっていただけですから。むしろ、私の願いが叶うならばお願いしたいと思います」
「5日滞在されて成果がでなければ、旅をお続けください」
「えっと実際にはどのくらいを考えていらっしゃいますか」
「1か月くらいですか」
「あのーまぐさだけは良いものを用意しなければなりません」
「なるほど。馬を大事にされているのですね」
「家族が言うには、馬達はわがままだけど私達に付き合ってくれる大事な家族だからと言っております」
「それくらいは大丈夫です。明日からさっそくやりましょう」
「はい」
 そうして私は、しばらくこの人の家に滞在する事になりました。
「あのーお名前をお聞かせいただきたいのですが」
「そういえば名前を名乗っておりませんでしたね、私の名前は・・・内緒にしておいてください」
「はあ、ではなんとお呼びすればいいですか?」
「ケイ・・・友人からは郷と呼ばれていました」
「じゃあケイ様とお呼びしますね」
「ミーさんもそれでお願いします」ミーさんも頷いている。

○ただ今、勇者特訓中
「エーネから連絡がないわねえ」アンジーがちょっとどころかかなりイライラしている。
「心配ですか?」
「あんた。隷属は問題ないのよね」
「切れていませんよ。エーネは無事です」
「どこにいるかわからないのかしら?」
「大体はわかりますが、どこかのお屋敷で特訓しているようです」
「お屋敷?特訓?」
「精神修行ですね」
「はあ? 水垢離でもしているというの?」
「そうです。ついでに走らされていますね。こっちはダイエット目的かもしれませんが」
「まあ、それならいいわ。相手は誰なの?」
「残念ながら顔が見られないのですよ」
「へえ。便利な機能ね」アンジーは私を疑いの目で見ています。
「パムの時と同じで正式な隷属なので」とりあえず言い訳にもならない理由を言いました。
「変なものまで見るんじゃないわよ。その・・・お風呂とか」アンジーが余計な事を言いました。
「ああ、そこまで考えていませんでした・・・やめておきますね」私がそう言うと、アンジーがハリセンを取り出しました。おおう久しぶり。
「当たり前でしょ」 アンジーがパシリと本当に優しく頭を叩きました。

○今時、滝修行ですか
 山の中で立ったまま滝に打たれている。水が冷たい。でもそれ以上に大量に落ちてくる水がとても痛い。体がしびれて何も考えられなくなる。「考えられなくなる」そう考えている自分が見える。ああ、まるで自分が落ちてくる水になったように自分を真上から見下ろしている。
 山の中にいて、光が射し、風は流れ、鳥は飛び、草花は揺れている。自分という存在はこの世界と共にあり、一体となっていて、この世界のものだ。自分も他人も気持ちは移ろいやすく、常に色々な事を考えている。
 その後に走りこむ。凍えたからだが温まり、活性化していく。この里の外周。たぶん結界なのだろう。その内側に沿って走っている。何日か走っていると、里の人達の私を見る目が変わっていく。最初は変な目で見ていたが、最近は挨拶をしてくれる。走り込みをして何が変わるのか?そう考えたりする。何も考えずには走られない。常に何かを考えながら走っている。そのうち疲れて考えられなくなる。つらいし苦しいとだけ考えている。だが、屋敷に戻るまでは走り続けなければいけない。歩いても良いとは言われているが、最後まで走り切りたい。そうやって走ってみると自分には、体力がかなりある事がわかった。今までは、こんな距離は私には無理だと思い込んで、やりもしないであきらめていた。私の中で最初からあきらめるのが当たり前だったのだ。世の中に出て、そんな事はなくなったと思っていたけれど実際にはそうだったのだ。
 昼の食事を挟んで午後からは魔法の特訓だ。
 里のさらに奥に広場があった。いや作られたのかもしれない。ケイ様はそこに立って、
「私に対して全力で魔法を打ちなさい」と私に言った。
「死んでしまうかもしれませんよ」そう考えただけで私は恐くて足が震えている。
「いいから打ちなさい」そう言われてようやく私はその人に向けて雷撃を打った。しかし、簡単に消されてしまった。どうやってあの魔法を消したのだろうか?私は首をかしげて見ている。
「今のは手加減していたでしょう。ちゃんと攻撃しなさい。大丈夫だから」
「はい」私はそれでも最初の雷撃より少しだけ強い魔法を撃ってしまう。全力とはほど遠い。
「大丈夫だと言っているのに打てませんか」
「無理です」
「仕方ありませんね。では私は、あなたが本気を出さないのなら、あの馬を殺して荷馬車を破壊しましょう。どちらもあなたのものではなく、友達の持ち物ですよね。あなたのものではない。その友達はきっと悲しむでしょう。そしてあなたを恨んで一生口をきいてくれないかもしれませんよ?でも、あなたのものではないなら別に構いませんよね。簡単な話ですよ、次の一撃に手を抜いたら間違いなくあの馬を殺します。あなたは中途半端な攻撃をして友達の馬を殺させる事になるのです」
 ケイ様は私にでも想像できるように詳細までを私に言葉で投げつけてくる。
 私は、その言葉を聞きながら、その事を想像して手足が冷たくなり、キャロルの悲しむ表情と私を悲しい目で拒絶する表情を想像してしまった。私はすぐさま怒りに転嫁して、私は杖を強く握り直した。
「うおおおおおおお」叫び声と共に私は巨大な球体を作りその人に投げつける。
「はっ?」投げた瞬間気付いた。私はまた操られたのか?そう思った時には、目の前のあの人が黒焦げになっていた。
「大丈夫ですか」私は彼のところに飛ぶように近寄った。
「あなたの全力を見るために術をかけたことをお詫びします。でも私は生きていますよ? あなたは自分の力もわからずに自分の力におびえて、その能力を封じているのです。どの程度の力かわからないのに、よくわからずこの程度抑えれば大丈夫なのかと適当に加減しているだけなのです」ケイ様は私の腕を握りそう言った。
「わかりましたから、薬を取りに行かせてください」
「魔族なんてもう少しこのままでいれば、回復しますからこのままで聞いてください」
「そうはいきません」私は薬を取りに馬車まで戻り薬草を握りしめて戻ってくる。
「これを使ってください」私はその薬草を全身に貼り付ける。
「この薬草はすごいですね」あっという間に回復していく様子を見てさすがにビックリしている。
「ひ、秘密にしてください。でも使わないと死んでしまいます」
「これが噂になっている薬草でしたか。これはすごいですね。噂になるわけだ」
「頼みますからこんな事はこれっきりにしてください」
「明日からは全力がどの程度か知るところから始めましょう」
「また今みたいな事をしなきゃだめですか?」
「明日からあなたが全力で魔法を打てればこうはなりませんよ。所詮魔法です威力は限られています。防ぎようもありますし、避けようと思えば避けられます」
「私には細かい操作が苦手なのです」
「わかります。そうですね。あなたの手の大きさで、小さい砂粒をつまめますが、私の手の大きさで砂粒をつまむのは至難の業ですよね。それと同じ事なのです。でもできない訳ではないのです。練習しかありません」
「私の魔法の師匠は似たような事を言っていましたが、今そう言われてようやくわかったような気がします」
「その師匠は、できないあなたに何と言いましたか?」彼は探るような目でそう尋ねた。
「今は出来なくてもいいし、練習しても無理かもしれない。ただ練習の仕方は覚えていてくださいと言われました。きっと練習する必要が出てくると。言われた時はついていけない自分が情けなかったのですが、きっとこういう事だったのですね」
「ああ、そこまでも考えさせたかったのですね。本当にあなたに期待しているのですね」
「そこで聞き返さない自分もだめなのです。どうしてか聞こうとしないで受け流してしまう」あ、またへこんでしまいました。
「そうですか。今わかったのですからいいではありませんか?」
「自分で気づきたかったです。でもおかげで早くあの方のために成長できます。ありがとうございました」
 そうして私は、魔法制御を練習を始めました。

○ミーさん
 一泊目の夕食後に、ミーさんと二人きりになったので、私は会話がしたくてついこんな事を聞いてしまいました。 
「ミーさんはここに長いのですか?」
「いえ、まだ数か月です」
「答えなくてもけっこうですが、何が原因でこの里に来ることになったのですか?」
「構いませんよ。魔族に追われて、あの方に匿っていただきました。あの方は私の恩人です」
「今は大丈夫なのですか?」
「多分殺されたことになっていると思います。だから出歩いても大丈夫だと思います」
「家族はいらっしゃるのですか?」
「残念ながら」ミーさんはそう言って下を向いてしまいました。しかし、顔を上げて、こう言いました。
「気にしてはいけませんよ。でももう少し会話に気をつけましょうか」
「はい気をつけます」
 ミーさんは知らない地方の面白い話を色々してくれました。この旅では、私は自分の至らなさにへこんでばかりです。

○翌日
 滝に打たれて、魔法制御の練習が終わった時にミーさんから話がありました。
「魔法制御の練習で気になった事があります」
「なんでしょうか」
「あなたは、慌てすぎです」
「はあ」そのとおりなだけに反論も出来ません。
「周囲の気配をもっと感じていないと、魔法詠唱に集中しすぎて襲われてパニックになって大変危険な事になります」
「確かに友達から、詠唱に入る前には、落ち着けとか周囲は私が守るからとか言われています」
「良い友達をお持ちなのですね」
「はい!大好きです」
「ですが、一人の時にはそうは行きませんよ」
「は・・・い」
「朝はマラソンから魔法の訓練、昼からは近接戦闘の訓練をしましょう」
「はい」そう言った私の不安げな表情を見たからか。
「難しい事はしませんよ」
「そうですか?」
「私の気配がしたら持っている杖で殴りなさい」私の持っている杖を指さします。
「ええ?いいのですか?」
「叩けると思っていますか。ではこれから1時間。私はこれであなたを叩きますから」
 彼女はどこから出したのかハリセンを持っている。厳しい人はみんなそれを装備しているのでしょうか。これは嫌な予感がします。
「ではいきます」
「はい」私は膝を落として構えます。とたん頭を叩かれました。
「は?」思わず後ろを振り向きましたが、そこにはすでにいませんでした。前に向き直ると正面にミーさんが立っている。
「どっちを向いているのですか、 感じなさい」ミーさんは無表情にハリセンを胸のあたりで手のひらをパンパンと叩いて見ている。
「ええ?」私は感じなさいと言われて目をつぶる。
「目をつぶっていては見えませんよ。後ろを見るイメージを作りなさい」
「はい。イテ」
 そう言われて私は目を開けてイメージを作ろうとするが、すでに側頭部を叩かれていた。
「だんだん痛くなりますよ」
「はい」そもそも気配なんて全然感じないのですが。そう思っているとパシっと耳を叩かれる。これは痛い。
「痛い」つい、耳を手でさわる。しかし、今度はその腕をきつく叩かれた。
「いたー」痛くて気配を感じるどころではありません。
「大丈夫こぶもできませんから」
「はい」それは痛いのとは別の話ではありませんか。
「次からもっと痛いですよ」そう言った後しばらくして今度は膝を小突かれる
「痛い」しかし、だんだんわかってきた。近付いた時の空気の押され具合、風を切る音、呼吸する音。これまで聞こえていたのに聞き逃していた音。聞こえて当たり前でちゃんと聞いていなかった音。ようやく気配を感じるの意味がわかってきた。
「はっ」私は咄嗟にハリセンの方向に顔が向いた。
「そうそう。あなたは覚えるまでがかかるだけで、覚えられるのです」ミーさんは、私をうまくのせてくれている。褒められたいと思わせてくれる。
「はい」嬉しくてつい言葉が出る。言葉と共に反応も出来ている。
「反応が遅い。もっと気配を感じて」
「はい」
 今度はミーさんの動きがゆっくりになる。ああ、わかる。気配がわかる。こういうことか。
「えい」
「おしい。もっと集中して」
「とあー」
「そうそう。位置まで感じてください」
「てやー」
「今日はこのくらいにしましょう」
「はい。ハアハア。頭が熱っぽいです」私は頭がぼんやりしてフラフラしてしまいました。
「当然です。頭を使っているのですから」

 私は翌日には、これで私も気配を読める~とか思った事がありましたが、すぐ落ち込みました。
「今度はひざー」私は昨日できていた事が、まだまだ初歩だった事を痛感していた。今度は攻撃速度が上がっていたのです。
「そうです。気配だけでは避けられません。どこからの攻撃か気付いてください」
「ええ?そんなこと・・・」
「できませんか?気配は読めるようになりましたよ」
「そうです。できるはずです」
「そうそう。その意気ですよ」そうして訓練は続いていく。さらに
「上下はわかるようになりましたね。ものすごい急成長です」
「そうなのですか?私の周りの人は簡単にできていましたから、私はダメなんだなあと思っていましたよ」
「ご両親も同じように何でも出来る人達だったのですね」
「はい。できるのが当たり前なんだと。だから最初から出来ない私がダメなんだと思っていました」
「環境もありますねえ。でもできるようになったでしょう。普通の魔族だって、こんなに早く体得しませんよ」
「もしかして褒められましたか」
「おや褒められ慣れていないのですね。褒めてますよ」
「う、嬉しいです」
「はい今日はここまでです。傷も癒やさないとなりませんし、私もちょっと楽しくて時間がかなりすぎていました」
「ありがとうございました」

○ケイ様とミーさんの会話
「どうですかあの子は」
「はい。周りの人たちがすごすぎて、当たり前の平均が高すぎたのでしょう。あの子は、自分がまるでできない子のように思っていて、自分で自分の能力を引き出せていませんでした」
「なるほど。確かに周囲のレベルが高くてそれが当たり前だと自分がダメなように見えますね」
「それと、要領が悪いので覚えるまでに時間がかかります。その代わり覚えてからはすぐ成長しています。あの子の性格と幼少期の環境が災いしているのではありませんか?」
「確かにそうかもしれませんね。で、どうですか」
「彼女の友達という人が懇切丁寧に教えてくれる人で、頑張れば成果が出ると教えてくれていましたから、順調に成長していますよ。あとは自分でその部分を直して成長していけるかどうかですが」
「無理はいけませんが、ここにいる間だけでもお願いします」
「わかりました」
「やはりあなたがいてくれて本当によかった。私ではきっとあの子のそういう部分まで考えてあげられたかどうか」
「そうでしょうか。でもあの子をわざわざ館に連れてくるあたり、かなり気になさっていますね」
「最初は懐かしさからでしたが、あの考えを聞いて何とかしてあげたいと思ってしまいましたからね」
「魔族と他種族の共存ですか」
「はい。一度は上手く行きかけたのですが、今思うとあの時は拙速だったと思います」
「今ならどうですか?」
「まだ無理でしょうね。一度こじれてしまいましたから」
「そうですね。私はあなたに拾われて、そしてそのお考えに賛同している身ですので、微力ながらお手伝いさせていただきます」
「それには国を作りたいのですが、まだ先になりそうです」
「おつきあいします」
「ありがとう」

○エーネ家に戻る
「色々とありがとうございました。最後までお名前を明かしてもらえませんでしたが、またこちらに来てもよろしいですか」
「今度はそのお友達。ライバルさんと一緒においでください」
「家族も一緒で構いませんか?」
「私にそれだけの準備ができませんので大人数は勘弁してください」
「この里の皆さんにもよろしくお伝えください。今度来る時にはたくさんお土産を持ってきます」
「お待ちしています」
「お元気で」
 そうして私の一人旅は、旅ではなく終わった。でも少しだけ自分が大きくなれたように感じられた旅だった。
 やっぱり自分はどうもダメだ。あの人の匂いには覚えがある。思い出せないだけで。親切に魔力の抑え方を落ち着く方法を教えてくれた。メイドのミーさんには、簡単な近接戦闘の訓練までしてもらえた。二人ともなんだかとても暖かった。そして、ケイ様には魔族と人族の共存の話を聞いた。
 ちょうど1か月、その館にお世話になった。ワームは見られなかったけど、その里には懐かしさを感じた。

○エーネの帰還
「ただいま帰りました」
「お帰りなさい」「お帰り~」「おう帰ってきたかどうじゃった一人旅は」「泣いてないでしょうね」
 本当に「だだいま」の重みを感じていた。声を掛けて貰える事の嬉しさを感じていた。
「どこに言っていたのかしらねえ」
 アンジー様がジロリと私を見て言われました。アンジー様の言葉でさえ本当は優しいのだ。
「実はかくかくしかじか」
「それで家の事とかお手伝いしてきたのでしょうね」
「それがメイドのミーさんに断られまして。何度もさせて欲しいと言ったのですが・・・」
「さすがお嬢様。そこで後ろについて行って何か手伝いなさい。食器をさげて洗うとか。で、洗濯はどうしたのよ」
「それが・・・・」
「もしかして自分の下着を洗わせたとか言わないわよね」
「恥ずかしながら」
「この子は・・・キャロル後はよろしく」アンジー様が眉間に手をあてて、キャロルの肩を叩きました。
「ええ?私ですか」キャロルは不意を突かれて動揺している。
「私が言うより聞きそうだしね。頼んだわ、お姉ちゃん」アンジー様が本当に頭痛がしているような感じです。
「お姉ちゃんはエーネです」キャロルが困った顔でそう言った。
「お姉ちゃん言わないで・・・」私は切なくなっていつもどおりの返事を力なく返した。
「あーあ、エーネ。こっちにちょっと来なさい。とりあえず話を聞かせて」
 キャロルの方が相変わらずお姉ちゃん口調なのですが。

 テーブルの端で二人が話しているのを横目にアンジーが私に顔を近づけて言った。
「あんたどうするの。これは挨拶に行かないといけないでしょうね」
「きっと里の皆さんにも迷惑かけていますよねえ」
「そうよね。お土産はなにがいいかしら」
「その辺もキャロルが聞き出してくれそうですよ」
「あんた大体場所がわかっているのよねえ」
「ええまあ。でも我々が行くと何やら勘ぐられそうなところなのですよ。フェルバーンですから」
「まあ、人族なら行ってもごまかしはききそうね」
「それがねえ」
「あんたにしては歯切れが悪いわね。もしかして魔族領との境界線を越えるの?」
「ギリギリ越えてはいないとは思いますが、微妙なところですね」
「あーそれは無理よ。それは行けないわ。勇者を特訓しただけでも刺激しているのに、さらに魔族領にちょっかい出したら、魔族側から完全に誤解されるわ」
「キャロルに行ってもらいましょうか」
「それしかないわねえ」
 二人がため息をついている。

 エーネが旅の話をしている姿はとても生き生きしていて、本当に楽しかったという事が伝わってくる。
「それはいい旅だったわね」
 私は、エーネの話を聞いて私は嬉しくなっていた。そんな人達に出会えたエーネをうらやましくさえ思った。
「旅と言えるかどうかわかりませんが、良かったです」
 そういうエーネの顔はちょっと大人びていた。なんというか、成長が顔に出ていると思った。
「なら、私の成長したのも見てもらいましょうか」
 私も負けていられません。張り合うようにそう言った。
「どうしてそうなりますか」エーネの方が私のその姿にあきれている。
「何を勘違いしているの、勝負する訳ではなくて、旅をするのよ、私なら行っても良いと言われているのでしょう?お世話になった家族としてお礼を持って挨拶に行くのよ。途中で何かあったら成長したところを見せてあげるわ」
 私は、つい右腕の力こぶをエーネに見せる。
「はい。ありがとうございます」
 そう言われたエーネが涙声になっている。本当にすぐ泣くー。
「だから泣くんじゃないの。お姉ちゃん呼びするわよエーネ」私は持っていたハンカチで目元を拭う。
「だからお姉ちゃんいうなー」私が涙を拭いているので、顔はそのままに両腕だけブンブン振っている。あら可愛い。
「今度から落涙の迅雷に名前変えるわよ」私はついそう言ってしまった。
「それは嫌です」エーネは急にキリっとした顔になり、そう言いました。
「あら泣き止んだ。今度からこっちかしら」
「ええ~」

Appendix
おおおかえり
意外に早かったわ
どうやった
私は何もなかったわ。だって魔族の里にやっかいになって、そこで走り回っていただけだから。
そうか、あんまり活躍出来んかったなあ
私達は活躍しない方が良いのよ。
でも良い運動になったんやろ
それはねえ。でもやっぱりまぐさがねえ。やっぱりここのと比べるとやや劣るのよ
またメシの話かいな
ここが一番良いのよねえ
それは、まあそうやな。何にしても姫さん共々無事で良かったわ
さて、しばらくゆっくりしたいわ
お疲れさんでした


続く
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