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第17話 メイド喫茶 Part2

第17-3話 メイド喫茶ファーン(制服試着編)

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○第2回制服会議
 翌々日、再び服屋に呼び出しをかけられました。そこには村長も居酒屋の女将さんも商店会の会長まで来ています。
「すごい人数ですねえ」
「デザインコンペですので」店長が答える。
「ナナミさんは?」
「着替え中ー。ナナミー大丈夫?」店長がさらに奥の部屋に声を掛ける。
「は、恥ずかしいですー」部屋の奥から声がする。
「メアさん、手伝ってあげてください」私はメアさんに目配せする。
「行って参ります」そう言って試着室の方に行った。そこでメアさんの驚きの声が聞こえた。
「なんと!」メアさんの大声に全員がびっくりする。
「ではお連れします」メアがそう言って連れてきたのは、3人でした。ナナミさんと同じ顔の2人と一緒に入ってくる。デザインの違うメイド服を着て、少し高くなった壇上に並ばされた。3人とも恥ずかしそうですが、それよりも同じ顔が3人です。こっちの方が驚きですよ。
 村長たちは1から3まで書かれた札を持っていて、店長から私にも同じ札を持たされる。
「公平でしょ?」
「まあ、確かに」私は、家族に残りの札を配りました。
「じゃあメアさん回って―」店長がメアに言った。
「私もですか?」メアはその場で回ってみせる。
「DT。これが一番オーソドックスな形なのでしょう?」店長が私を見て言った。私は当然のようにうなずく。
「では1番~。そうそう説明も自分でしてねー」店長の声にナナミさんが一歩前に出ました。
「1番ナナミです。このデザインは、スカート丈を膝上にして、その下にフリルをあしらい、動作をすると膝裏が見えるように配慮されています」 お盆を持つように手をあげながら、くるりとその場で回転する。ふむ、スカートの動きがなめらかです。下のフリルと下着に高級なものを使っていますねえ。私は心の中でそう語っていると、家族が全員ジト目で私を見ます。
「口に出して解説しないと、一般の方々にわからないわよ」アンジーがそう私に言った。もちろんジト目のまま。
「店長を差し置いてですか?」
「ああ、DT解説してみてよー」そう言った店長の私を試すかのような目線に私は闘争心が湧きました。
「わかりました。まずヘッドカチューシャについては、あまり華美にならないようにおちついたものにして、顔回りの白いエプロン自体に白いフリルを多用して、顔の周りを明るくして、顔だけに視線がいくようにしています。そして、肩の部分をパフスリーブにする事で、肩幅の差を強調せず、胸元は、エプロンを抱え込むようにボリューム感を出すことで、胸のない人もある人も同じように見えるようにして、さらに後ろの大きなリボンがスタイルをうまくカバーするようにして、結果的に誰もが同じ雰囲気に全体的に均一なメイドとなるようにしています。黒いスカートはシンプルなものにしていながら、裾から少しだけ出ているレースのフリルが清楚な感じのアクセントとして効果があり、黒と白のコントラストの中に唯一見える膝頭の肌色と動いた時にちらりと見える膝裏がポイントです。スカートの動きも上質な生地を使って、さらりと動いているのがシンプルなスカートであることを一層引き立てています。さらに白のソックスですが、肌の見える場所を限定してその清潔感を強調しています。以上」私は一気にそこまで言いました。
「腕はどうなのよ」不満そうに店長が私に尋ねます。
「特に問題はありませんが、あえて指摘させていただければ、肩はバルーンスリーブにして、袖口をもう少し長く、しかも腕の太さに合わせて、2つボタンで留めていただければ、お茶を出す際に袖がお茶を倒すリスクを抑えられると思います。3つボタンでも良いですがその場合は白いボタンにしてくださいね」私は自信ありげにそう言いました。
「ふむ。参考になるわー。さすがメイドマイスターねー」感心しているのは店長だけで、それ以外のその場にいる全員がドン引きしています。
「じゃあ次ー」
「エントリーナンバー2番。ヒトミです。スカート丈をやや膝より上にあげて大胆に足を強調しています。フレアスカートとその下の白いフレアでドロワースとニーソックスのガーターベルトを隠すようにしています。エプロンは上にはつけず下だけにして、下に着ている服が見えるところが特徴です。ブラウスにフリルを多用しているところも特徴ですね~以上です」お辞儀をして元の位置に戻る。
「DT。コメントしてー」
「全体的に派手に見えますが、要所要所は抑えが効いて丁寧に考えられています。まず袖から行きましょう。デザイン自体露出が多いので、あえてパフスリーブの半袖にして腕を出して、手袋のみにしたところはポイントが高いです。エプロンドレスは、一見派手に見えますが、足元に目が行きがちなので、上を派手にしても余り意味がなく、逆にこのようにシンプルにまとめていたほうが、しつこくなくて良いと思います。そして、フレアスカートの下にフリルがたくさんあり、多少動いてもドロワースは見えないものなのです。しかし、ガーターベルトはセクシーすぎますねえ。特に肌のきれいな人が装着した時には、強調されて邪魔な気がします」私は残念そうにそう言った。
「セクシーとは相反するの?」店長が鋭い目で聞きました。
「飲食店なのですから清楚感が必要ですよ」私はドヤ顔でそう言いました。
「なるほど一奥が深いですね一教えられるわー。じゃあ次―」
「エントリーナンバー3番です。最後です。コノミです。よろしくお願いします」ペコリとお辞儀する。
「自分でデザインしたんだからちゃんと説明するのよー」
「あ、そうでした。ええと、前の2人とは少し違った趣になっていますので、メイド服といえるのかはわかりませんが、機能性に重点を置いています。頭にはヘアバンドとしてカチューシャをジャンパースカートに腰までのエプロンと半袖のブラウス。アクセントは後ろのリボンです。スカートはやや短めですが膝上まで、ややタイトにしてスリットを入れています。ソックスはひざ下までとしています。以上です」やはりお辞儀をした後下がりました。
「DT~どうなのさー」 ぞんざいですねえ
「本来的なウェートレスとして、実に効率的に無駄のない造りになっていて、そこにスカートも無駄のない感じに仕上げてあり、非常に良い出来だと思います」私はそう言いました。
「まだ言い足りなさそうな感じねー」
「これ以上言うと私の人格が否定されます」
「そういうのはいいからー。ちゃんと今後のデザイン界のために言いたいことは言ってねー」
「では、皆さんから冷たい目を向けられるとは思いますが、デザイン界のためにと言われればあえて言いましょう」
「あんたは単に言いたいだけでしょ」アンジーがつっこみます。
「それはそうです。あともう少しで良いものができるとなれば、言いたいですよ」
「良いから早く言わんか」
「はい。そもそも今回のコンセプトであるメイド喫茶向けではないのです。つまりアピールが足りない。なので提案します。ジャンパースカートの胸元のベスト部分とブラウスに改善を要求します。まず、ベスト部分は開口部をもう少し広げて、ブラウスも胸元を大きく開くようにデザインをし直してください。いいですか絶対に下着が見えない微妙なラインを検討してください」私はそう言いました。これは自分の性癖を知られるようで言いたくなかったのですが。
「なるほどね一男の人の目線は参考になるわねー」
「下着を見せてはいけません。見えるかもしれないというのが男の心を動かすのです。もっとも見えればラッキーなのですが、それでは違うサービスになってしまいます。それではメイド喫茶ではありません。きっぱり」
「これで全部よー。審査員の皆さんは一、採用した方がいいのを選んでくださいー。ではせーのー」おざなりですねえ。
 そして、着る側の人たちは、1番に。客商売側は2番になりました。
「すまんが、検討時間が足りないと思うのだ。もう少し話し合いをさせてもらえんか?」村長が言いました。
「わかりましたではご意見を」 店長はしきろうとしないで私を見ています。そうして、その場で検討会が始まる。
「1番の丈をあげてはどうじゃ」
「2番の丈を下げましょう」
「着る皆さんはどうですか?」
「1番の丈をあげるのはもったいないですねー」
「2番の丈を下げていただけるのであればかまいません」
「どうですか?」
「どちらかになりそうですね」
「3番が一番いいのですが、コンセプトが違うと言われてしまうとなあ」
「メイド喫茶にこだわりますか?」
「今回は、ビギナギルとの兼ね合いでなあ。今回はそうしたいのじゃよ」村長がすまなさそうに言った。
「村長に言われましては」
「その後に引き継ぐ喫茶店経営ではその制服を採用するわよ」アンジーが言いました。
「では1番の丈の短いものか2番の丈の長いものかどちらを採用するかですね」
「ちょっと考える時間をくれぬか」村長が再び提案する。
「では休憩にしましょうか」メアが気を利かせてそう言った。全員が席を立って体を動かしている。
「こんなに揉める事なのかしらー。面倒くさいわー」そう言った店長と私が服の生地について話をしていると、家族を含めてその場の全員が、何やら協議をしています。服を着て立っているナナミさんたちがちょっとかわいそうです。
 おやメアさんがナナミさん達を呼んで話の輪に加わり、何か話しています。私は呼ばれないのですね。ナナミさんの顔が輝き、ヒトミさんの顔が青ざめ、他の人たち全員が頷いています。どうやら決まったようです。
「さて、決まったぞ」村長が嬉しそうです。
「多数決は必要ないのですね?」私はそう聞きました。
「ああ、話し合いの結果、2番のメイド服を”一部修正する”ということで決まったわ」村長がそう言いました。
「ではそのように。店長さんよろしくお願いします」
「着る人に合わせるのは、ナナミーに頼むわー」店長はその場から退出した。
「では解散」メアがナナミさんのそばに行って慰めています。納期がタイトですからねえ。ああ、製作はヒトミさんのほうでしたか。それにしてもどうしてここにいらっしゃったのですかねえ。
 私は、ヒトミさんとコノミさんのお二人に挨拶をしました。
「初めまして。ヒトミさんとコノミさんですね。私は」
「初めましてDTさん。私が噂のヒトミです」ニッコリ笑ってそう言いました。ムツミさんから何か聞きましたね?
「噂のコノミです。よろしくお願いします」そう言ってお辞儀をしました。
「ところでどうしてこちらにおいでだったのですか?」私は疑問に思っていた事をお二人にぶつける。
「ひーねーちゃんはベリアルで仕事をしていて、くーちゃんは勉強にきていましたよー」ナナミさんはこう答えました。なるほど。だからいらっしゃったのですねえ。
 そこで会議は終了して解散となった。村長達は女将さん達と飲みに行ったようです。まだ昼間なのですが。

 店を出て家までの道で私はアンジーに聞いた。
「どういう交渉がされたのですか?」
「売り上げの話よ。売り上げが一と愚痴を言ったら、妥協案を示されてねえ」
「2番にすれば確実に人は入ると。さらに全員がその服を着てくれるとなれば、確実に達成されるということですね?」
「そうでしたか。それで皆さんも買収されたのですね」
「まあね。具体的なメリット示されてはねえ」全員があらぬ方を見ている。
「私も皆さんの可愛い姿を期待していいのですね」
「本当は2番で着て欲しかったのじゃろう?」モーラがエロい目つきで私を見て言いました。
「本音はそうですよ。ヒトミさんが着ているのを見て皆さんが着ている姿を想像していましたからねえ」
「丈の短いので想像していたわけね」
「もちろんですよ。前回も言ったとおり、皆さん全員、御御足がきれいですからねえ。本当は、ニーハイも不要だと思うんですよねえ」
「想像通りの変態ね」ア
「そうじゃな」モ
「そうでしょうか?」パ
「そうではありません」ユ
「そうかも~」エ
「男の方ですからねえ」メ
「そうなの?」レ

○制服完成
 仮縫いもすでに終わり、完成したメイド服を家に持ち帰り、最終調整です。服を渡してもらった時に店員さんとメアさんがお互いに親指を立てていたのは、どういう意味だったのでしょうか。ちょっと不安です。
 それぞれが、自分の部屋で着替えて居間に来ました。ただ、レイだけは、自分で着替えられずにメアがついて着替えさせています。
 私も一応、執事スタイルというのでしょうか着替えました。ああ、エリスさんも私達の家に来て着替えています。
「あのー、皆さんそれで良かったのですか?」私は着替え終わった順に降りてくるのを見てそう言いました。だってねえ、デザインコンペの時の衣装より露出がかなり多くなっています。半袖なのはまあ良いですけど。胸元とフレアスカートがちょっとねえ。スカートは前回よりちょっと持ち上がっていませんか?確かに私があの紙に描いたイラストではそうなっていましたけど。胸元はやりすぎじゃないですかねえ。まるでバニーガールのような襟だけに蝶ネクタイとか鎖骨が丸見えですよ。
「今回は特別よ」アンジーが言った。そう言いながらも、ちょっと恥ずかしそうです。もっとも皆さん似合っていますねえ。ほぼ全員が降りてきたところで並んでみるとまあ良いですよ。ええ、胸元まで開いたブラウスの色をなぜか少しずつ変えてあるあたりデザイナーという方達はすごいものですねえ。
「どうかしら」アンジーが久しぶりにうれしそうにくるくる回っている。
「わしのはどうじゃ」モーラもくるくる回っている。こっちもやっぱりうれしそうだ。
「二人ともうれしそうね」エリスさんは着たまま椅子に腰を掛けてテーブルに肘をついて顎を乗せてみんなを見ている。
「なんじゃ、エリスはうれしくないのか」
「まあ、ひらひらもフリフリも好きですけど、他人のために給仕するっていうのがねえ」
「それは仕方なかろう。それで本業の薬屋の方の売り上げが上がるのならお主にとっても儲けものじゃろう」
「こっちの村で売り上げは、意識していないけどねえ」
「私は見ていたいですけどねえ、美しい人が綺麗な服を着ているだけでも十分価値がありますよ」私は、背広を脱いでから腰掛けました。
「こんにちわー。エリス様いますか?呼ばれてきたんですけど」と豪炎の魔女さんがお見えになりました。そうですか結界破ってきましたか。やはりすごい人なんですねえ。
「あら来たわね。あなたも参加よ。メア悪いけど一着追加で」
「え?何のことですか?」周囲のお揃いのメイド服を見てキョロキョロしながら豪炎の魔法使いさんは言いました。
「すでにお話しをいただいておりましたので、仮縫いまでできております」メアは、ちょっと恥ずかしそうにお辞儀をした。そしてスカートの後ろを気にしている。大丈夫ですよ見えません。
「さすがね。見てのとおりよ。メイド服着てもらうわ」そう言って来ているメイド服を見せる。
「え?えええええええ。まあ、お姉様が着るなら・・・頑張ります」そう言って下を向いた。いやこんなメイド服恥ずかしいでしょう普通。
「よろしい」どうしてエリスさんのメイド服姿を見て、赤くなるのかわかりませんねえ。
 そして、最後にレイが居間に入ってきました。やはりつらそうです。涙目で私の所に飛びついてきました。もう少し我慢できたら、後でブラッシングしてあげますね。
 エルフィがなぜか恥ずかしがっていますが、いつもの服とたいした代わりはないと思うのですが。そう思ったら涙目で睨まれました。何か違うのですかねえ。
「スカート気にしなきゃならないのは嫌ーーー」そう言ってイーーーって顔をしました。ああ、可愛いですねえ。全員が体を動かした時のスカートの上がり具合を気にして互いに見ています。まあ、モーラのようにガッツリ大股開いて床の物を取らない限りは大丈夫そうです。
「これは、ヒメツキさんにおいでいただいて、ぜひ着てもらいたいですねえ」 
「何の話かしら?」扉が開いて声が聞こえます。幻聴でしょうか?
 噂をすると影が差すと言いますが、さすがにこれは早すぎませんか。ヒメツキさん。
「本人登場じゃ」
「あらそのかっこう。もしかして」とヒメツキさん。ちょっと引いていますね。
「いいところに来た。手伝いに来たのであろう?メアできそうか」
「はい、こんなこともあろうかとご用意してあります。ミカさんとキャロルの分も」
「用意周到じゃのう」
「ミカは呼べるけどキャロルは無理よ。領主様のところでメイドしているのですから」
 ヒメツキさんは、手伝わされることには抵抗しないのですねえ。
「ヒメ様~」ちょっと声が大人びていますが、聞き覚えのある声とその呼び方は。都合良すぎますよ。キャロルが扉から入ってくる。そしてヒメツキさんに抱きつきます。
「どうしてここへ?」結構身長が伸びていて、そのまま頭を撫でているヒメツキさん。キャロルは抱っこして欲しそうです。
「領主様が一緒に行こうって」結局抱っこしたヒメツキさんの顔を間近で見ながらキャロルが言いました。
「領主様は?」
「こんにちはー。ここが魔法使いさんの家だと聞いてきたのですが」そう言ってノックの後に入って来ました。そういえばキャロルはノックしませんでしたねえ。
「領主様、商人さんも」私はお二人が中に入ってきたのでビックリしました。
「実はお願いに上がりました」領主様と商人さんは帽子を脱いでご挨拶してくれました。そこで全員が一度服を着替えに部屋に戻りました。レイはパムが連れて着替えさせるようです。
 階段を降りるとお茶の香りがしています。メアさん相変わらず着替えが早いです。男の私よりも早くありませんか?
 居間のテーブルには、お茶とお菓子が置いてあります。そして、私の定位置の正面に領主様と商人さん。私の隣にヒメツキさんとエリスさんが座っています。本来モーラとアンジーが両隣なのですが。全員が居間に集合して、テーブルに座りました。テーブルサイズを広げていますので、十分座れますが、かなり遠くなります。
「どうしたのですか?わざわざここまでお見えになるなんて」私は一応聞きました。
「うちの街の収穫祭へのお誘いです。というか、前回のように喫茶店をやって欲しいのです」汗をふきふき領主様が言いました。汗出ていませんよねえ。
「それはちょっと無理ですよ。距離的に難しいです」
「実は、街の人から嘆願書が届きまして、旅費接待費込みで是非来てもう一度というか毎年やって欲しいと」
「それこそマンネリになりそうですが」
「出された料理やジュースなどがことのほか好評で、この日のために頑張っているとか言われましてねえ。こうしてお願いに上がった次第です」
「うちの村でも収穫祭がありまして、そちらで手一杯なのですよ」
「それも承知しております」
「移動も結構かかりますよね」
「実のところ最近は魔獣の被害もほとんど無くなりまして、半分の日程で往復できています。ですから私の顔を立てると思ってぜひ」テーブルに両手をついて頭を下げる領主様と商人さん。
「ちょっと考えさせてください。とりあえずこの村の収穫祭の方を終わらせないとなりませんから」
「是非ご検討よろしくお願いします。では失礼します」キャロルをおいて領主と商人さんは宿に帰っていきました。
「私たち目立っていたのねえ」キャロルを膝に載せてヒメツキさんが言う。もう膝に乗せられる身長じゃないですけどね。
「悪目立ちよ。まあしかたないけど」とエリスさん
「皆さん綺麗で可愛いですから人目を引きますからねえ。あと大活躍でしたし」私は思い出しながらそう言いました。
「そうじゃのう。冒険者として登録してからは、活躍していたものなあ」モーラも感慨深げです。
「そうですね。共同で魔獣を狩ったりしていましたから」ユーリもそう言います。
「さすがに今は、まったりしすぎか?」モーラは別にいいのではありませんか?
「モーラが脱皮したおかげで縄張りが広がって魔獣が襲って来ないからね」アンジーがそう言いました。
「おかげで、畜産業が維持運営できるようになったので、むしろ喜ばしいのですよ」私は嬉しくなって言いました。
「なるほどね」ヒメツキさんは頷いています。
「さて皆さんのメイド姿は堪能させていただきました。私としては、一度限りであの街でメイド喫茶復活というところでどうでしょうか」私は皆さんを見回して言いました。
「まあ、どうせなし崩し的に来年も再来年もお願いにくるであろうがな」モーラが言った。まあそうなりますね。
「ええ、そういう未来が見えるわ」ため息をつくエリスさん。
「でも、一回だけにした方が良いと思うのです。何かがあって旅に出たりしていますから」ユーリがそう言いました。確かに色々ありました。でももうないと思いたいです。
「確かにドタキャンは相手に対して失礼です」とメア。
「ドタキャンって言わないで。突然中止っていいなさいね」
「うかれすぎですかねえ。あとマンネリになるので、何か趣向を変えなきゃとか言いそうですよねえ」私は余計な事を思っています。まあ、何か面白い事をやれないかとかね。
「そうかもしれないなあ」モーラも何か考えていそうです。
「頼みに来る時に、キャロルを連れて来るとかあざといわよね。ヒメツキさんが居るかどうかもわからないのに」アンジーが言いました。
「まったくそのとおりだわ、まあ会えたから感謝はしているけど」ヒメツキさんは、そう言ってキャロルの頭を撫でる。
「とりあえず、ファーンの収穫祭を終わらせましょう。その後であちらの街の収穫祭を1回で終わらす方法を考えましょう」
 ヒメツキさんは、モーラに何かを話して、一緒に出て行く事になり、キャロルは、せっかくなので私の所にお泊まりする事になりました。ヒメツキさんとモーラは夕食までに戻って来たのですが、キャロルと一泊だけして、またどこかに行ってしまいました。それでもキャロルは健気に領主様と商人さん。それに領主様お付きのメイド兼護衛と共に帰っていきました。

 今回は、メイドの研修はしませんでした。パムは、姿勢挙動共に問題ありませんでした。しかし、レイは、どうにもならないレベルでしたのでメアがあきらめました。
「この短期間ではとても無理です。今回は看板娘として活躍してもらいます」
「無理に矯正して、さらに服を着るのを嫌いになれられても困りますからねえ」
途中、ミカさんが合流しましたが、成長が早くてみんな驚いています。
「しかたなかろう。獣人だってドワーフだってエルフだってみんな幼少から成人までは早いのだから」
「キャロルより少し大きいくらいだったのにねえ」
「ミカ様ずるいです」キャロルが涙目でした。それでもキャロルの成長も結構早いと思うのですが。


Appendix
 最初にメイド喫茶の話が出た時に、私はすぐに店長さん会いに行き、こんな会話をしていました。

「DTさあ。メイド服の本質はわかるけど、これは客商売だからねー」
「確かにそうなのですが」
「メイド服と言ったって、客商売においてはスカートの丈は大事なのよー。前回よりも長い丈は却下よー。デザイナーとしてそれは不許可なのー」
「膝下で我慢してください」
「だーめ。見せたくないあなたの気持ちも判るけど。見たい人たちのニーズにも合わせなきゃねー」
「とほほ」
「それと、胸元については、当然開けるからねー」
「ジャンパースカートを要望したはずですが」
「それはクライアントの意向だから守るわー。中に着るブラウスを大胆に開けて、谷間が見えるくらいにするけどねー」
「それはやり過ぎではありませんか?」
「客商売なんてそんなものよー。大丈夫だからーデザイナーに任せなさい。ちゃんとエロくしないようにするからー」
「とほほ」
 今思えば、ほとんどダヴィ店長の描いたデザイン通りではありませんか。とほほ


続く

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