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第23話 アンジー天界から用事を言いつけられる
第23-8話 砂漠の種族
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○ 作業開始
「とりあえず私達の住まいを移動させないとなりませんね。まずは場所を探しに行きましょう」とメア
「パム。その子のそばについていて・・・というか寝ちゃっていたわね」アンジーがパムを見るとその子を抱きかかえている。
「よほど疲れていたのでしょうね。私が背負って森に入ります」パムがその子を背中に背負う。親子のように見えない事もないと思ったら、パムから苦笑されました。
「その子には申し訳ないけど、建物の位置については、パムの意見が重要なのよ」アンジーが私をイラッとした目で見ながら言いました。
「そこは承知しております」パムは、ちょっとすまなそうに言いました。
「しかし何度見てもこれはひどい有様ですねえ」
私は、家の周囲にあいたクレーターをしげしげと見る。
「それよりも、あれだけの攻撃を受けて、良く家が無事であったなあ。すごい防御魔法じゃな」モーラが不思議そうに私に尋ねる。
「それはもう。すべての属性に耐性をつけるためにそれぞれの属性の防御魔法を何重にもかけましたからねえ」私は嬉しくてついつい饒舌になります。
「そんなことは不可能であろう。水属性の上に炎属性を重ねてかけるなど属性同士で反発して、最後にかけた魔法だけしか有効にならないであろうが」モーラが怪訝そうな顔でさらに尋ねる。
「魔法の上に重ねがけしなければ良いのですよ。その間に一層だけ薄い無属性の魔法の膜を挟んで、その壁に次の属性を重ねていきました」私は得意げに説明します。
「それでは、最初の攻撃で炎属性に防御できても、そこで効果を失って次の氷属性の魔法をぶつけられたら、効果が無くなってしまうではないか」
「なので、知っている限りの色々な属性の魔法の層を重ねていって、どんな攻撃にも耐えるようにしていますよ」私は胸を張ってそう言いました。えっへん。
「それでも、ここに落ちてきたのは、聖属性の光の攻撃に見えたわよ」
アンジーがさらっと冷たい目で言いました。
「そうでしたか。むしろそれは、研究の成果が発揮されて良かったです」
「しかし、これまで聖属性の攻撃など見ておらんだろう」
「ええ、アンジーがこれまで治癒に使った魔法やスペイパルで光になってあの豊穣の天使のところに行ったりしていたのを見まして、それを解析しました。そこで聖属性の攻撃の場合は、アンジーの作っていた鏡を応用して攻撃を反射しながら、全属性すべて魔力を変換して、シールドの強化にリサイクルをしましたねえ」
「なるほど!それはそんなに簡単ではないでしょう?」アンジーがだんだん怒りモードのようです。どうして?
「確かに、光のエネルギーを周囲に逃がす方法でしたから。まあ、家の周囲に攻撃の跡が残っているのはあたりまえですねえ」
「でもあの時は、家からかなり離れていた私たちにも衝撃が伝わってくるほどの攻撃でしたよ」レイがそう言って不思議そうにしています。
「ああ、物理的な破壊力は、家に直接影響しないように魔法の結界から直接、地下にある耐震構造材に衝撃が加わるようにしてありましたから大丈夫だったんですね、きっと」
「家を建てた時にはそんなもの作らなかったではないか」モーラも私を見る目が、だんだん怪しい人を見る目になっています。
「家を建てた時は、皆さんと一緒に作っていましたからそこまで考えていなかったのです。地下室にこもったときに、ふと、迷いの森の時のような攻撃をされたら、地下にいる私は安全でも、みんなの住んでいる家は跡形もなく吹き飛ぶなあと考えてしまいまして」私がそう言うと、全員があーという顔をする。
「あの時期、毎日のように寝ぼけて朝起きてきたのってこれのためだったのかしら?」アンジーがジト目です。
「それだけではないですよ。まあ、まっ先に手はつけましたねえ」私は嬉しそうな顔をして言いました。たぶん鼻の穴が開いていたと思います。ムフー。
「あ・あ・あんたって人は。私が毎日起こしに行ってさんざん怒っていたのがバカみたいじゃないの。その時にちゃんと言っておいてよ」ちょっと恥ずかしそうにアンジーが言った。
「そればかりに手をつけていたわけではありませんから。いくつかの研究と並行していましたし、実際の作業はその後でしたから」
「まあ、先見の明はあったな」モーラがため息をついて言った。
「嫌な予感ほど良く当たりますからねえ。にしてもこんな大惨事になるとは思いませんでしたよ」
「家は無事じゃがなあ」
「これでは野中の一軒家ですよ。魔法防御が完璧でも、物理攻撃でいつでも襲ってくださいと言っているようなものです」ユーリが家の周囲を見ながら言いました。
「では、家を森の中に少しだけ動かしておきましょうか」
「とりあえずメアに結界は張ってもらったから、人の目には映らないわよ」
「どの位持ちますか?」
「2日くらいなら大丈夫かと」メアが言いました。
「なら大丈夫そうですね、このまま放置して森に入りましょう」
「道沿いに村から遠くなる方に移動させませんか?」ユーリが言った。
「やっぱりそうなるわよねえ」
「道沿いに歩きましょう。ほどよくカーブしている道の先にあって、反対側の山あいに監視できそうな崖があるところですね」私が言うとレイが獣化して走って行きました。ゆっくり歩いてくださいな。
「元魔王の時は、その罠が使えたからなあ」モーラが周囲を見回しながら歩いている。
「この辺ですかねえ」しばらく歩いて右カーブを抜けたところに林があった。そこにレイも立っている。
「パムどうじゃ」私達がそこに到着して、モーラがパムに尋ねる。
「反対側の山あいがいい感じだと思います。ちょっと行ってきます」パムは背中の子どもの様子を気にしながらも、軽い足取りで道路の反対側の林に入って行った。レイがそれに続く。
「こども・・・背負ったままか。まあいいけど。大丈夫かあの速度」モーラがビックリしながら言った。
しばらくすると、反対側の崖の上から手を振っています。レイも立ち上げって手を振っています。
『聞こえますか。ここからは、みなさんがはっきり見えます。かがんでみますね』
かがんだパムは、草に隠れて見えなくなりました。レイはかがまずにこっちに手を振っています。
『ああ見えなくなりましたよ』
『問題ありませんね。では戻ります』しばらく待っているとパムとレイが戻ってくる。
「あの場所は非常にいい感じです。反対側からの見通しも良く、普通の間者なら間違いなくあそこで監視を行うでしょう」
「ふむ、ならば束石を置こうか」モーラは、森の中から言った。
「メアさんお願いします」私はメアに束石の位置を決めてもらおうとした。
「方角は、前回と同じにしますか。少しだけ方角が変わっていますが」
「扉の正面が崖の方に向いていれば、多少角度が変わってもいいと思います」パムがそう答える。
「あと~厩舎に陽が入るところに作れるなら大丈夫じゃないですかね~」エルフィが付け加える。
「了解しました。この辺ですね」メアがつま先で地面に×をつけていく。
「メアすごい記憶力じゃな」
「それが私の能力ですから。褒められましても困ります」メアがそう言いながらもスカートの裾をつまんで丁寧にお辞儀をした。嬉しかったのでしょうか。
「次に地下室の穴を開けましょう。メアさん大体の位置がわかりますか」
「もちろんです」続けて足でその位置に穴を開けていく。
「モーラ、木を掘り起こして整地できますか?」
「うむ。大体でいいのじゃな」モーラは、地面に手を当てて土から木の根を土の中から持ち上げていく。根ごと持ち上げられた木は、そのまま立ち続けている。そしてメアが地面につけた印は残ったままになっている。まるで手品のようですねえ。
「木をどこかに移動しましょう」私は、木のそばに行って枝を払い、根を切り始める。モーラがさらに奥の方に木を置く場所を作り始めました。
「何かに利用しますか?」私は全員に尋ねる。
「家を移動した後、厩舎の新築が待っているわ。定員を増やして、シャワーをつけて欲しいそうよ」アンジーの言葉にエルフィが頷いています。
「今すぐは無理ですねえ」私はメアに木のサイズの指示をもらい、それからはその大きさに切り始める。
「とりあえずは、木を一時保存しておきましょう。次に土を掘りますね」
「掘った土は、地下室の埋め戻しに使いますので、捨てないようにしてください」
「ではみなさんお願いします」私がそう言うと、メアがつけた地下室の×の範囲をパム、ユーリ、エルフィとレイが掘り始める。特にレイがうれしそうにはしゃいで、我を忘れて掘っていて、周囲に土や石をガンガン飛ばしているので、他の3人は、作業の手をとめてレイの様子を見ている。
「うれしそうですねえ」私はシールドを作って、飛んでくる土や石が飛散しないようにした。
「獣の本能なのでしょうか」パムがしげしげと見ている。
レイがハッと我に返り周囲を見回した。急におとなしくなり作業スピードが落ちる。
「レイ。端の方はいいから中央はガンガン掘ってください」
「はい」そしてレイは、再び地面を掘り進む。土が飛ぶのもおかまいなしだ。
「意外に深くて、大きかったのじゃな」
「作ってから拡張しましたので」
「寝てる間であろう?そんな音しなかったと思うが」モーラが私をジロリと見て言いました。
「いやまあ。あはは」私は頭をかきました。
「どうせ魔法で遮音シールドとか振動遮断シールドとか構築しておったのであろう」モーラはため息をついた。
「モーラ様ご慧眼です。私は手伝っておりましたのでよく知っております」メアが横から突っ込む。
「メアさ~ん。ばらさないでって言ってたじゃないですか」
「まあ、あんたのやる事なんで別にいいけどね」
「でもすごいです」とユーリ
「気付かなかったとは。不覚です」パムがへこんでいる
「私は2階だったから~全く~わかりませんでしたね~」
「最初は、一番近かった私でさえわからなかったのですから仕方がありません」メアが言いました。
「本当に、頼むから土のドラゴンであるわしの立場を危うくするな」モーラは私の尻を軽く叩きました。
「実は、特にモーラにはわからないように念入りにシールド張っていましたからしかたないですよ」
「にしてもなあ」恨みがましい目で私を見てモーラが言いました。
「あ、モーラ様がガチでへこんでます~」エルフィが嬉しそうに言った。
「しょげてます」ユーリまでビックリしている。
「めずらしいわ、本当にへこんでるわね」アンジーもビックリです。
「そんなモーラも可愛いですね」私はつい言葉にしてしまいました。
「!!」モーラが下を向きました。
「モーラ様赤くなってます~」
「おや、デレ期来ましたか」私がついそう言った。
「デレ期ってなんですか」ユーリが不思議そうに私に尋ねる。
「おぬしらわしで遊ぶな」そうやって赤い顔を見せないよう下を向いています。腕がプルプル震えている姿も可愛いですねえ。
『頼むからもう勘弁してくれ』モーラが脳内通信で言いました。本気で恥ずかしがっているのがわかります。
『おや、私の心の声がダダ漏れでしたねえ』
『旦那様~いじわる~』
『レディにその態度はいけません』メアが言った。
『追い打ちかけない方がよろしいかと』パムが私を追い込む。
『ええっ私が悪いのですか?』おっと私に逆風が・・・
「そのほうが丸く収まるからよ」アンジーが笑っている。
「やはり親方様は、ヒエラルヒーの最下層なんですね」レイがオチをつけました。
「とほほ」
土まみれのレイが頭を撫でろと寄ってきましたが、土だらけなのでそっと頭を撫でる。期待していた撫で方と違って、レイは残念そうだ。
そうこうしているうちに少しだけ穴掘りが終了した。
「深く掘るのはモーラにお願いしましょうか」本来穴掘りは、深さに応じて掘削範囲が広がるのですが、束石の位置がわからなくなるので、かなり手前で掘るのをやめている。
「うむ、どうせおぬしのシールドを使って束石まで届かぬようにするのであろう?多少大雑把でもいいのであろうが」
「まあそうなんですが、私も土の中にはシールドを張れませんので、あまり大雑把にやられると困りますよ」
「しかたないのう」そう言ってモーラは、私の手を取って掘った穴の中心にゆっくりと降りる。
「かなり深いのう」
「ええ、私の作業が皆さんの安眠に影響しないよう3mくらいは掘りましたからねえ」
私は、周囲を見渡して、地上の束石の近くにシールドの壁を穴の周辺に作って位置を示す。
「あのシールドから垂直に土を切り取れば良いのじゃな」
「はい、取り除いた土はどうしますか」
「中央に盛り上がらせるか」
「私たちの立っているところにですか?」
「ああ、大丈夫じゃ汚れはせん。少し集中するから声を掛けるな」
モーラは、周囲を見回し、手を大地につけて、目を閉じた。静かな地鳴りと共にシールドの位置に沿って土が崩落して綺麗な切断面が現れる。それと同時に私たちが立っている土が隆起していく。
「こんなもんかなあ」
「さすがですねえ。感動して思わず抱きしめたくなりましたよ」私はそう言って思わず抱きしめそうになる。
「おぬしよせ、よさんか」2人とも体勢を崩して倒れて土だらけになる。
「まったく、無感動かと思えば、衝動的にこんなことをしおって。服が汚れたではないか」
「すいません」
私は立ち上がり、モーラの手を取って立ち上がらせ、モーラの服の土を叩いて落とす。モーラも私の見えない部分の土を叩いて落とす。
「この土はどうするのじゃ」
「外に出さないといけませんね」
「ふむ」モーラは、何事もないかのようにその土の隆起を元に戻した。そして、私の手を取って浮かび上がり、穴の外に出る。切り取った材木の近くに土が隆起した場所ができている。
「さすがねえ」
アンジーがそばに来て魔法を使って服の汚れを綺麗にしている。そんなこともできるのですか。
「ついでだから、ほら」アンジーは私の服も綺麗にしてくれた。
「ありがとうございます」
「さて準備はできました。家に戻りましょう」メアさんが声を掛ける。
「すでに夕暮れが近いですねえ」私はつぶやく
「このまま作業を続けるのは無理ですか」
「灯りがあればできそうですけど」
そんな時にパムが背負っていた子が起きたようだ。状況がわからずパムの背中から降りたがっている。パムはかがんでその子を降ろした。落ち着いたのかパムを質問攻めにしている。お互いカタコトでなかなか会話が進まないようだ。
「一度、家に戻って今日はあきらめましょう」
「ここはどうしますか?」
「私が、蓋をします。危ないですからね」
私はそう言って、地面一帯にシールドを張る。さらに風を起こして、レイが掘って周囲に飛び散った土を巻き上げてその上にかぶせる。
その姿を不思議そうに見ていたその子は、驚いたように大きな声でしかも早口でパムに話している。
『何かまずいことしましたかねえ』
『襲われた時にも同じような事が起こったみたいで、ぬし様が犯人ではないのかと言っているようです。違うと話して、あなたを助けたと言っているのですが、伝わっているかどうか』
「そうですか」私は、その子に近づく。その子は、私に強い敵意を向け、パムの足に隠れて見ている。
「私は。あなたを。助けました。その私が。なぜ。あなたの。家族を。殺したと。思いますか?」
その子は驚いている。パムも驚いている。
「ぬし様話せるのですか?」
「いいえ、あなた達の会話を聞いていて、断片的な言葉からこうではないかと」
「そういえば、最初に私と出会って話をした時に私が単語を教えていったら、少しだけ会話ができるようになったわね」アンジーが思い出して、そう言った。
「あの時は、この世界の言語体系と私の日本語と比較して解析していきました」
「そういう能力を持っているのか」モーラが相変わらずこいつは・・・と言う顔をしています。
「持っています。でも、今まで忘れていたくらいですからねえ。使い方も忘れていましたよ」
「石の組成やら、空気の組成やら何でも解析するのじゃなあ。今度は言語か」モーラがあきれていますねえ。
「これまで皆さんと会話を始めて、全く使わなくなった能力ですからねえ。この世界の言語は、天界で発生して、人界、魔族、エルフ族など他種族に伝播されてほとんど同じ言語を使っていますから。この子のような独自の言語体系を持っている種族は初めてなのですよ」私は言い訳をしておきます。使えない能力は無意味です。使えるように精進しないといけませんね。
「つまりこの子は、この世界におけるイレギュラーということか?」モーラが私にそう尋ねる。
「私が知っているいくつかの地方言語ですから、私たちの使っている言語には共通する部分があります。他種族と交流がなく独自の発展をしたのでしょう」パムが言った
「そうですね。パムの言うとおりです。わかったとしても驚くようなことでもないですよ」
「小難しい話はそこまでにしてください。この子が困っています」ユーリが困惑しているその子の様子を見ているので、かなり怒っています。
「まあ、今日は客間に泊めてやれ。アンジーいいな」
「これから村に連れて行っても準備が大変そうね。私はこれから村に行って来るわ。この子の受け入れのための準備をしてくるわ」
「私もこの子を連れて一緒について言って良いですか」パムがその子を見て言いました。
「ああそうね。その方がいいわね」
「私も同行します。家には保存食しか残っていませんので、食材を買いに参りたいのです」メアがそう言った。
そうして4人は、そこから歩いて村に向かった。
「それでは、一度家に戻りましょう」
「どうせ、家までは同じ道ですからそこまで一緒にいけばよかったのではありませんか」
「わしらの頭を冷やさせるためであろう。ドワーフのパムとしてもあの子は気になるところであろうからな」
「私が連れてきておいて今更ですが、人族ではないのですね」
「ああ、本来なら言語をあやつらない魔獣だな」
「言語を持つ魔獣ですか」
「ゴブリン、オークに近いのであろうが、南の方は未開地が多いのでなあ、独自に進化したのではないか」
「今日戻って来た道をたどる事になりますが、だいたいわかっていますから、明日、あの子を連れて行ってきましょう」
「のう、これから行ってこないか」
「確かにそうでした。一息つけてよく考えれば、そうした方が良さそうですね。そうしますか」
「では、ちょっと行ってきますね」
「私も行きます~」
「他にも誰か倒れていたら困るからなあ。そうじゃな。わしの手に乗れ」
「僕も行きます」とレイも行きたがる。
「なるほど、鼻を生かして探してもらいますか。災害救助犬ですねえ」
「僕は残って留守番しています。この機に乗じて襲撃する者が出ないとも限りませんので」
「ユーリ頼みましたよ」
「はい」
「連絡は取れるようにしてあります。あと、危険になったらペンダントを使って逃げてくださいね」
「はい」
そうして、モーラの手にエルフィとレイと共に乗り、ユーリを置いて
「おぬしも別々に行動することができたようじゃな」
「今回のひとり旅で色々考えさせられました。特に私が家族離れできなかっただけだというのを思い知らされましたし」
「ほう、そうだったのか」
「私ひとりでは何もできていない。みんなに依存して暮らしていたとよくわかりました。言い訳ですね。結局独りは寂しかったんです」
「みんなそうでしたよ~」
「はい、寂しかったのです。でも、それだけに帰ってきた時に皆さんに会えてうれしさが倍増しました。でも家が・・・」
「まあなあ。家は無事だったから、よしとしてくれ」
「モーラこの辺です。砂漠とオアシスの境界あたり。ああ、たいまつが見えます。あの子を探しているのでしょうか?」
上空から見下ろすと、砂漠には、たいまつを持った人も含めてかなりの人数が歩き回っているのが見える。
「一度降りて説明してこい。その間にわしが連れてくるわ」
「わかりました」
私は、エルフィとレイと共に空から飛び降り、砂漠に降り立った。たいまつの火を持った男に近づく。
「誰かを探しているのか」私は頭の中に浮かんだ言葉を大きな声でゆっくりとしゃべる。
するとその男は、私に気付きたいまつの火を近づけ私の顔を見る。怒りと恐れとで周りの者達の元に駆けていく。
「怯えていませんか~」エルフィがそう言って私を見る。
「確かにそう見えますねえ」私はゆっくりとその人達の元に近づいていく。両手を万歳のように手をあげて害意のないことを示しながら。
「お前は、我々を皆殺しに来たのか」多分こんな事を私に言ったのでしょう。表情には怯えの方が見えます。
「私は何もしていません。ここには初めて来ました」
「おまえのような姿の者が巨大な獣を使って私たちを襲ってきた」
「それは私ではありません」
周囲を囲んでいる者達が私とエルフィ、レイを指さして何か盛んに話している。
「わかった。多分違うのだろう。だが、ここに突然現れたのはなぜだ」
「瀕死の子どもを助けたのですが、他に助けの必要な者がいないか見に来たのです」
「子どもだと?」
「ああ、もうじきその子を連れてくる」
『モーラ、どうですか?』
『まもなく到着するわ』
『ここは、誰かの縄張りですか?』
『ああ確かにそうだが、たぶん攻撃してこないじゃろう。それがどうした』
『到着したら姿を現して、その子を降ろしてもらえませんか』
『そうか。わかった』
「まもなくドラゴンがその子を連れてくる。元気になっている。ただし独りだけだ」
「またせたな」空から声がする。その声を聞いて、そこにいた全員が空を見上げるが、何も見えない。そこで不可視化の魔法を解いてモーラが現れる。砂煙を上げて地上に降り立ち、その手の中に子どもと、アンジー、パム、メア、家を守っていたユーリも一緒に来た。
その子は、飛び降りるようにモーラの手から降りて、その人達の元に駆けだしていく。
「やっぱりそうだったんですねえ」
「あそこで手当だけしていればここまで大きな問題にはならなかったのではないかしら?」
「いや、あの子の周囲には誰もいなかったのですよ。だから連れてきたのです」
「その後も手当てをしてからここに連れてきていれば何とかなったんじゃないの?」
「それは・・・そうですねえ」
「それは仕方なかろう。そもそもその子がみんな殺されたと言っていたのだから」
「確かに」
「さて、戻りますか」
「私の用は済んだ。それでは失礼します」そう言って、モーラの手に乗ろうと歩き出すと。
「お待ちください。ぜひお礼を」
「その子は私に巻き込まれただけです。お礼を言われる類いのものではない。むしろお詫びしなければならない」私はその男?らしき人に頭を下げた。それが挨拶になるのかわからなかったけれど。
「お詫びにケガをしている人がいれば直しますよ~」カタコトの言葉を使いエルフィが言った。私はちょっと余計な事かもしれないと思ってしまう。
「でも~それくらいはしてあげてもいいかもしれませんよ~この子を捜索までさせているのですから~」エルフィは振り向いてそう言った。
「まあ確かになあ」モーラはドラゴンからいつもの姿に戻った。
「しかたないわねえ」アンジーもパムを連れてその人達の中に入っていき、けが人を探し始めた。
「おお、ドラゴンが子どもを助けてくれて、さらには、その仲間達がケガを治してくれるのか」人の姿になったモーラのところに老人達が寄ってくる。モーラは何を言われているかわからないので、私を見る。
「レイ、獲物を探してきましょう。今夜の夕食を」ユーリがレイを見る。
「ユーリさん行きますか」獣化してユーリを乗せて走り出し、森の中に入っていく。
『どうやら今回のこの騒動は、誰かが砂漠に出現させたサンドワームによるものらしいです。それを倒してください』とパムが言った。
『わかりました。レイ、方向転換です。大きさはどのくらいですか?』レイが跳躍して空中で反転して着地をしてそこから再び走り出す。ユーリはしがみついたままだ。
『話によるとかなりでかいです』
『わかりました。さてどうやっておびき出しましょうか』
『近づいていくと顔を出すみたいですよ』
『わかりました。砂漠の中央ですね』言い終わらないうちに砂から顔を出すサンドワーム。大きいといっても直径は、人を丸呑みにできるくらいの大きさだ。長さは土の中なのでわからない。
『これくらいなら大丈夫そうです。レイもういいですよ。止まってください』
『この砂はまずいです。止まってしまうと埋まります』
『流砂ですか。仕方ないですね。レイごめん。背中に足をかけるね』
『はい。大丈夫ですか?』レイはそう言うが足先に意識を集中させて走っている。
『飛んでこちらに注意を引きつけます。レイはそのまま走り続けて、タイミングを見て一撃を入れてください』
ユーリは雷撃を何発かレイの着ているつなぎに打ち込む。つなぎが淡く光りだしたところで落ちないようにかがんで立ち上がり、大剣を両手に構える。さらにレイが接近して、サンドワームがユーリに向かって噛みつこうと首を動かした時に、ユーリはレイの背中からサンドワームの頭の上まで飛んだ。それに合わせてサンドワームも頭を上げる。ユーリが滞空して降下し始めた時にレイがつなぎに帯電した魔法をサンドワームに打ち込む。サンドワームが一瞬止まったところにユーリが剣に魔法をかけ、剣の長さを数倍にしてその頭部を切断するように切った。剣はサンドワームの頭から胴体までを真っ二つにしながら切り進む。サンドワームの地上に出ている部分を切り進み、地上に降り立った。流砂はすでに止まり。レイが横にきたので、ユーリはその頭を撫でる。
「ではこれから料理の時間です」メアとパム、それにモーラが、サンドワームの死体に近づき、手を合わせて拝んだ後、パムが死体を大雑把に切りわけ、それをモーラとパムが砂漠の端まで持ってきて。そこで調理が始まる。
「あんたの好きな、みんなで晩ご飯よ」
治療が終わったのかアンジーとエルフィが近づいてくる。においにつられてその人達も寄ってくる。
私達は、焼けたその肉を食べて見せるが、あまり近づいてこない。
周囲の人達は、私たちを指さして口々に叫んでいる。
「あの化け物を倒し、しかもそれを食すとは。すごい人達だ」
あの子が匂いにつられて私たちの所に来る。パムが食べて見せて、そのまねをしてその子が食べる。その皿を持って、家族のところに持って行った。恐る恐る食べる家族、しかしおいしかったのか奪い合うように食べている。
私は、こっちに来いと合図をしたところ、みんな一斉にこちらに来て、焼けた肉を欲しがった。パムが順番に並ぶように指示をすると一列に並んでいる。なんかほのぼのとしていていいなあと感じた。
言葉が通じなくても食べておいしいのは共通だ。わからないままに私の家族とその人達はコミュニケーションを取っている。ユーリとレイは倒した時のことをジェスチャーで褒められているようだ。
「ぬし様。どうやらあのサンドワームを砂漠に放ったのは、ぬし様と同じような格好の者だったようです。あの子は、それを見てしまったために殺されそうになったようで、その時にぬし様が現れたため立ち去ったようです。その子は、容貌が似ていたので仲間だと勘違いしたようですね」
「なるほどそういうことでしたか。でもあんなに大きい生き物なのですか」
「実はあのような大きさではないのです。ドワーフ村の砂漠にもいますが、そうですね、ぬし様の頭の中のイメージのみみずと同じくらいの大きさです。ただ、動物を砂の中に引き込んで小動物などを食しますので、結構獰猛です」
「ここのワームは、肉食なんですか。この世界の生態系はかなりおかしいですが、そうなのですねえ」
そのワームの頭の部分だけでも、そこにいた部族の人たちが食べても十分余るくらいの肉があり、パムとメアがその体を引きずりあげたのだが、全長30メートルはありそうだった。
食事をしながら先祖の話を聞いてみたが、その部族は、どの種族の範疇に入るのかよくわからなかった。もちろん魔族との接触も無いそうで、小規模な集落を作って森の中で暮らしているといい、主に狩猟により生計を立てているらしい。食事の終わった者達がワームを干し肉にしようと解体を始めている。
帰りは、その種族に見送られながら、モーラの手に乗って帰ってきました。
Appendix
さっそく掟破りか?
すまんな。あの男があそこの子どもを助けてきたのでなあ。返しに来たのだ
それにしても不可視化の魔法か?
見られたか
まあ、里には知らせないでおくが、うちでトラブルが起きた時にはよろしく頼むよ
まあ、仕方が無いのう
良かった。さすがドラゴン界のトラブルバスター。
なんじゃそれは
風さんが言っていたよ。隣なんだから何かあったら頼りなさいってね
風の奴め
じゃあまた
ああ、隣なんだからわしの家族と一緒に食事でもどうだ?事前に言ってくれればなあ
これまで一度も顔合わせしてなかったのに変われば変わるものだね
ほっとけ
続く
「とりあえず私達の住まいを移動させないとなりませんね。まずは場所を探しに行きましょう」とメア
「パム。その子のそばについていて・・・というか寝ちゃっていたわね」アンジーがパムを見るとその子を抱きかかえている。
「よほど疲れていたのでしょうね。私が背負って森に入ります」パムがその子を背中に背負う。親子のように見えない事もないと思ったら、パムから苦笑されました。
「その子には申し訳ないけど、建物の位置については、パムの意見が重要なのよ」アンジーが私をイラッとした目で見ながら言いました。
「そこは承知しております」パムは、ちょっとすまなそうに言いました。
「しかし何度見てもこれはひどい有様ですねえ」
私は、家の周囲にあいたクレーターをしげしげと見る。
「それよりも、あれだけの攻撃を受けて、良く家が無事であったなあ。すごい防御魔法じゃな」モーラが不思議そうに私に尋ねる。
「それはもう。すべての属性に耐性をつけるためにそれぞれの属性の防御魔法を何重にもかけましたからねえ」私は嬉しくてついつい饒舌になります。
「そんなことは不可能であろう。水属性の上に炎属性を重ねてかけるなど属性同士で反発して、最後にかけた魔法だけしか有効にならないであろうが」モーラが怪訝そうな顔でさらに尋ねる。
「魔法の上に重ねがけしなければ良いのですよ。その間に一層だけ薄い無属性の魔法の膜を挟んで、その壁に次の属性を重ねていきました」私は得意げに説明します。
「それでは、最初の攻撃で炎属性に防御できても、そこで効果を失って次の氷属性の魔法をぶつけられたら、効果が無くなってしまうではないか」
「なので、知っている限りの色々な属性の魔法の層を重ねていって、どんな攻撃にも耐えるようにしていますよ」私は胸を張ってそう言いました。えっへん。
「それでも、ここに落ちてきたのは、聖属性の光の攻撃に見えたわよ」
アンジーがさらっと冷たい目で言いました。
「そうでしたか。むしろそれは、研究の成果が発揮されて良かったです」
「しかし、これまで聖属性の攻撃など見ておらんだろう」
「ええ、アンジーがこれまで治癒に使った魔法やスペイパルで光になってあの豊穣の天使のところに行ったりしていたのを見まして、それを解析しました。そこで聖属性の攻撃の場合は、アンジーの作っていた鏡を応用して攻撃を反射しながら、全属性すべて魔力を変換して、シールドの強化にリサイクルをしましたねえ」
「なるほど!それはそんなに簡単ではないでしょう?」アンジーがだんだん怒りモードのようです。どうして?
「確かに、光のエネルギーを周囲に逃がす方法でしたから。まあ、家の周囲に攻撃の跡が残っているのはあたりまえですねえ」
「でもあの時は、家からかなり離れていた私たちにも衝撃が伝わってくるほどの攻撃でしたよ」レイがそう言って不思議そうにしています。
「ああ、物理的な破壊力は、家に直接影響しないように魔法の結界から直接、地下にある耐震構造材に衝撃が加わるようにしてありましたから大丈夫だったんですね、きっと」
「家を建てた時にはそんなもの作らなかったではないか」モーラも私を見る目が、だんだん怪しい人を見る目になっています。
「家を建てた時は、皆さんと一緒に作っていましたからそこまで考えていなかったのです。地下室にこもったときに、ふと、迷いの森の時のような攻撃をされたら、地下にいる私は安全でも、みんなの住んでいる家は跡形もなく吹き飛ぶなあと考えてしまいまして」私がそう言うと、全員があーという顔をする。
「あの時期、毎日のように寝ぼけて朝起きてきたのってこれのためだったのかしら?」アンジーがジト目です。
「それだけではないですよ。まあ、まっ先に手はつけましたねえ」私は嬉しそうな顔をして言いました。たぶん鼻の穴が開いていたと思います。ムフー。
「あ・あ・あんたって人は。私が毎日起こしに行ってさんざん怒っていたのがバカみたいじゃないの。その時にちゃんと言っておいてよ」ちょっと恥ずかしそうにアンジーが言った。
「そればかりに手をつけていたわけではありませんから。いくつかの研究と並行していましたし、実際の作業はその後でしたから」
「まあ、先見の明はあったな」モーラがため息をついて言った。
「嫌な予感ほど良く当たりますからねえ。にしてもこんな大惨事になるとは思いませんでしたよ」
「家は無事じゃがなあ」
「これでは野中の一軒家ですよ。魔法防御が完璧でも、物理攻撃でいつでも襲ってくださいと言っているようなものです」ユーリが家の周囲を見ながら言いました。
「では、家を森の中に少しだけ動かしておきましょうか」
「とりあえずメアに結界は張ってもらったから、人の目には映らないわよ」
「どの位持ちますか?」
「2日くらいなら大丈夫かと」メアが言いました。
「なら大丈夫そうですね、このまま放置して森に入りましょう」
「道沿いに村から遠くなる方に移動させませんか?」ユーリが言った。
「やっぱりそうなるわよねえ」
「道沿いに歩きましょう。ほどよくカーブしている道の先にあって、反対側の山あいに監視できそうな崖があるところですね」私が言うとレイが獣化して走って行きました。ゆっくり歩いてくださいな。
「元魔王の時は、その罠が使えたからなあ」モーラが周囲を見回しながら歩いている。
「この辺ですかねえ」しばらく歩いて右カーブを抜けたところに林があった。そこにレイも立っている。
「パムどうじゃ」私達がそこに到着して、モーラがパムに尋ねる。
「反対側の山あいがいい感じだと思います。ちょっと行ってきます」パムは背中の子どもの様子を気にしながらも、軽い足取りで道路の反対側の林に入って行った。レイがそれに続く。
「こども・・・背負ったままか。まあいいけど。大丈夫かあの速度」モーラがビックリしながら言った。
しばらくすると、反対側の崖の上から手を振っています。レイも立ち上げって手を振っています。
『聞こえますか。ここからは、みなさんがはっきり見えます。かがんでみますね』
かがんだパムは、草に隠れて見えなくなりました。レイはかがまずにこっちに手を振っています。
『ああ見えなくなりましたよ』
『問題ありませんね。では戻ります』しばらく待っているとパムとレイが戻ってくる。
「あの場所は非常にいい感じです。反対側からの見通しも良く、普通の間者なら間違いなくあそこで監視を行うでしょう」
「ふむ、ならば束石を置こうか」モーラは、森の中から言った。
「メアさんお願いします」私はメアに束石の位置を決めてもらおうとした。
「方角は、前回と同じにしますか。少しだけ方角が変わっていますが」
「扉の正面が崖の方に向いていれば、多少角度が変わってもいいと思います」パムがそう答える。
「あと~厩舎に陽が入るところに作れるなら大丈夫じゃないですかね~」エルフィが付け加える。
「了解しました。この辺ですね」メアがつま先で地面に×をつけていく。
「メアすごい記憶力じゃな」
「それが私の能力ですから。褒められましても困ります」メアがそう言いながらもスカートの裾をつまんで丁寧にお辞儀をした。嬉しかったのでしょうか。
「次に地下室の穴を開けましょう。メアさん大体の位置がわかりますか」
「もちろんです」続けて足でその位置に穴を開けていく。
「モーラ、木を掘り起こして整地できますか?」
「うむ。大体でいいのじゃな」モーラは、地面に手を当てて土から木の根を土の中から持ち上げていく。根ごと持ち上げられた木は、そのまま立ち続けている。そしてメアが地面につけた印は残ったままになっている。まるで手品のようですねえ。
「木をどこかに移動しましょう」私は、木のそばに行って枝を払い、根を切り始める。モーラがさらに奥の方に木を置く場所を作り始めました。
「何かに利用しますか?」私は全員に尋ねる。
「家を移動した後、厩舎の新築が待っているわ。定員を増やして、シャワーをつけて欲しいそうよ」アンジーの言葉にエルフィが頷いています。
「今すぐは無理ですねえ」私はメアに木のサイズの指示をもらい、それからはその大きさに切り始める。
「とりあえずは、木を一時保存しておきましょう。次に土を掘りますね」
「掘った土は、地下室の埋め戻しに使いますので、捨てないようにしてください」
「ではみなさんお願いします」私がそう言うと、メアがつけた地下室の×の範囲をパム、ユーリ、エルフィとレイが掘り始める。特にレイがうれしそうにはしゃいで、我を忘れて掘っていて、周囲に土や石をガンガン飛ばしているので、他の3人は、作業の手をとめてレイの様子を見ている。
「うれしそうですねえ」私はシールドを作って、飛んでくる土や石が飛散しないようにした。
「獣の本能なのでしょうか」パムがしげしげと見ている。
レイがハッと我に返り周囲を見回した。急におとなしくなり作業スピードが落ちる。
「レイ。端の方はいいから中央はガンガン掘ってください」
「はい」そしてレイは、再び地面を掘り進む。土が飛ぶのもおかまいなしだ。
「意外に深くて、大きかったのじゃな」
「作ってから拡張しましたので」
「寝てる間であろう?そんな音しなかったと思うが」モーラが私をジロリと見て言いました。
「いやまあ。あはは」私は頭をかきました。
「どうせ魔法で遮音シールドとか振動遮断シールドとか構築しておったのであろう」モーラはため息をついた。
「モーラ様ご慧眼です。私は手伝っておりましたのでよく知っております」メアが横から突っ込む。
「メアさ~ん。ばらさないでって言ってたじゃないですか」
「まあ、あんたのやる事なんで別にいいけどね」
「でもすごいです」とユーリ
「気付かなかったとは。不覚です」パムがへこんでいる
「私は2階だったから~全く~わかりませんでしたね~」
「最初は、一番近かった私でさえわからなかったのですから仕方がありません」メアが言いました。
「本当に、頼むから土のドラゴンであるわしの立場を危うくするな」モーラは私の尻を軽く叩きました。
「実は、特にモーラにはわからないように念入りにシールド張っていましたからしかたないですよ」
「にしてもなあ」恨みがましい目で私を見てモーラが言いました。
「あ、モーラ様がガチでへこんでます~」エルフィが嬉しそうに言った。
「しょげてます」ユーリまでビックリしている。
「めずらしいわ、本当にへこんでるわね」アンジーもビックリです。
「そんなモーラも可愛いですね」私はつい言葉にしてしまいました。
「!!」モーラが下を向きました。
「モーラ様赤くなってます~」
「おや、デレ期来ましたか」私がついそう言った。
「デレ期ってなんですか」ユーリが不思議そうに私に尋ねる。
「おぬしらわしで遊ぶな」そうやって赤い顔を見せないよう下を向いています。腕がプルプル震えている姿も可愛いですねえ。
『頼むからもう勘弁してくれ』モーラが脳内通信で言いました。本気で恥ずかしがっているのがわかります。
『おや、私の心の声がダダ漏れでしたねえ』
『旦那様~いじわる~』
『レディにその態度はいけません』メアが言った。
『追い打ちかけない方がよろしいかと』パムが私を追い込む。
『ええっ私が悪いのですか?』おっと私に逆風が・・・
「そのほうが丸く収まるからよ」アンジーが笑っている。
「やはり親方様は、ヒエラルヒーの最下層なんですね」レイがオチをつけました。
「とほほ」
土まみれのレイが頭を撫でろと寄ってきましたが、土だらけなのでそっと頭を撫でる。期待していた撫で方と違って、レイは残念そうだ。
そうこうしているうちに少しだけ穴掘りが終了した。
「深く掘るのはモーラにお願いしましょうか」本来穴掘りは、深さに応じて掘削範囲が広がるのですが、束石の位置がわからなくなるので、かなり手前で掘るのをやめている。
「うむ、どうせおぬしのシールドを使って束石まで届かぬようにするのであろう?多少大雑把でもいいのであろうが」
「まあそうなんですが、私も土の中にはシールドを張れませんので、あまり大雑把にやられると困りますよ」
「しかたないのう」そう言ってモーラは、私の手を取って掘った穴の中心にゆっくりと降りる。
「かなり深いのう」
「ええ、私の作業が皆さんの安眠に影響しないよう3mくらいは掘りましたからねえ」
私は、周囲を見渡して、地上の束石の近くにシールドの壁を穴の周辺に作って位置を示す。
「あのシールドから垂直に土を切り取れば良いのじゃな」
「はい、取り除いた土はどうしますか」
「中央に盛り上がらせるか」
「私たちの立っているところにですか?」
「ああ、大丈夫じゃ汚れはせん。少し集中するから声を掛けるな」
モーラは、周囲を見回し、手を大地につけて、目を閉じた。静かな地鳴りと共にシールドの位置に沿って土が崩落して綺麗な切断面が現れる。それと同時に私たちが立っている土が隆起していく。
「こんなもんかなあ」
「さすがですねえ。感動して思わず抱きしめたくなりましたよ」私はそう言って思わず抱きしめそうになる。
「おぬしよせ、よさんか」2人とも体勢を崩して倒れて土だらけになる。
「まったく、無感動かと思えば、衝動的にこんなことをしおって。服が汚れたではないか」
「すいません」
私は立ち上がり、モーラの手を取って立ち上がらせ、モーラの服の土を叩いて落とす。モーラも私の見えない部分の土を叩いて落とす。
「この土はどうするのじゃ」
「外に出さないといけませんね」
「ふむ」モーラは、何事もないかのようにその土の隆起を元に戻した。そして、私の手を取って浮かび上がり、穴の外に出る。切り取った材木の近くに土が隆起した場所ができている。
「さすがねえ」
アンジーがそばに来て魔法を使って服の汚れを綺麗にしている。そんなこともできるのですか。
「ついでだから、ほら」アンジーは私の服も綺麗にしてくれた。
「ありがとうございます」
「さて準備はできました。家に戻りましょう」メアさんが声を掛ける。
「すでに夕暮れが近いですねえ」私はつぶやく
「このまま作業を続けるのは無理ですか」
「灯りがあればできそうですけど」
そんな時にパムが背負っていた子が起きたようだ。状況がわからずパムの背中から降りたがっている。パムはかがんでその子を降ろした。落ち着いたのかパムを質問攻めにしている。お互いカタコトでなかなか会話が進まないようだ。
「一度、家に戻って今日はあきらめましょう」
「ここはどうしますか?」
「私が、蓋をします。危ないですからね」
私はそう言って、地面一帯にシールドを張る。さらに風を起こして、レイが掘って周囲に飛び散った土を巻き上げてその上にかぶせる。
その姿を不思議そうに見ていたその子は、驚いたように大きな声でしかも早口でパムに話している。
『何かまずいことしましたかねえ』
『襲われた時にも同じような事が起こったみたいで、ぬし様が犯人ではないのかと言っているようです。違うと話して、あなたを助けたと言っているのですが、伝わっているかどうか』
「そうですか」私は、その子に近づく。その子は、私に強い敵意を向け、パムの足に隠れて見ている。
「私は。あなたを。助けました。その私が。なぜ。あなたの。家族を。殺したと。思いますか?」
その子は驚いている。パムも驚いている。
「ぬし様話せるのですか?」
「いいえ、あなた達の会話を聞いていて、断片的な言葉からこうではないかと」
「そういえば、最初に私と出会って話をした時に私が単語を教えていったら、少しだけ会話ができるようになったわね」アンジーが思い出して、そう言った。
「あの時は、この世界の言語体系と私の日本語と比較して解析していきました」
「そういう能力を持っているのか」モーラが相変わらずこいつは・・・と言う顔をしています。
「持っています。でも、今まで忘れていたくらいですからねえ。使い方も忘れていましたよ」
「石の組成やら、空気の組成やら何でも解析するのじゃなあ。今度は言語か」モーラがあきれていますねえ。
「これまで皆さんと会話を始めて、全く使わなくなった能力ですからねえ。この世界の言語は、天界で発生して、人界、魔族、エルフ族など他種族に伝播されてほとんど同じ言語を使っていますから。この子のような独自の言語体系を持っている種族は初めてなのですよ」私は言い訳をしておきます。使えない能力は無意味です。使えるように精進しないといけませんね。
「つまりこの子は、この世界におけるイレギュラーということか?」モーラが私にそう尋ねる。
「私が知っているいくつかの地方言語ですから、私たちの使っている言語には共通する部分があります。他種族と交流がなく独自の発展をしたのでしょう」パムが言った
「そうですね。パムの言うとおりです。わかったとしても驚くようなことでもないですよ」
「小難しい話はそこまでにしてください。この子が困っています」ユーリが困惑しているその子の様子を見ているので、かなり怒っています。
「まあ、今日は客間に泊めてやれ。アンジーいいな」
「これから村に連れて行っても準備が大変そうね。私はこれから村に行って来るわ。この子の受け入れのための準備をしてくるわ」
「私もこの子を連れて一緒について言って良いですか」パムがその子を見て言いました。
「ああそうね。その方がいいわね」
「私も同行します。家には保存食しか残っていませんので、食材を買いに参りたいのです」メアがそう言った。
そうして4人は、そこから歩いて村に向かった。
「それでは、一度家に戻りましょう」
「どうせ、家までは同じ道ですからそこまで一緒にいけばよかったのではありませんか」
「わしらの頭を冷やさせるためであろう。ドワーフのパムとしてもあの子は気になるところであろうからな」
「私が連れてきておいて今更ですが、人族ではないのですね」
「ああ、本来なら言語をあやつらない魔獣だな」
「言語を持つ魔獣ですか」
「ゴブリン、オークに近いのであろうが、南の方は未開地が多いのでなあ、独自に進化したのではないか」
「今日戻って来た道をたどる事になりますが、だいたいわかっていますから、明日、あの子を連れて行ってきましょう」
「のう、これから行ってこないか」
「確かにそうでした。一息つけてよく考えれば、そうした方が良さそうですね。そうしますか」
「では、ちょっと行ってきますね」
「私も行きます~」
「他にも誰か倒れていたら困るからなあ。そうじゃな。わしの手に乗れ」
「僕も行きます」とレイも行きたがる。
「なるほど、鼻を生かして探してもらいますか。災害救助犬ですねえ」
「僕は残って留守番しています。この機に乗じて襲撃する者が出ないとも限りませんので」
「ユーリ頼みましたよ」
「はい」
「連絡は取れるようにしてあります。あと、危険になったらペンダントを使って逃げてくださいね」
「はい」
そうして、モーラの手にエルフィとレイと共に乗り、ユーリを置いて
「おぬしも別々に行動することができたようじゃな」
「今回のひとり旅で色々考えさせられました。特に私が家族離れできなかっただけだというのを思い知らされましたし」
「ほう、そうだったのか」
「私ひとりでは何もできていない。みんなに依存して暮らしていたとよくわかりました。言い訳ですね。結局独りは寂しかったんです」
「みんなそうでしたよ~」
「はい、寂しかったのです。でも、それだけに帰ってきた時に皆さんに会えてうれしさが倍増しました。でも家が・・・」
「まあなあ。家は無事だったから、よしとしてくれ」
「モーラこの辺です。砂漠とオアシスの境界あたり。ああ、たいまつが見えます。あの子を探しているのでしょうか?」
上空から見下ろすと、砂漠には、たいまつを持った人も含めてかなりの人数が歩き回っているのが見える。
「一度降りて説明してこい。その間にわしが連れてくるわ」
「わかりました」
私は、エルフィとレイと共に空から飛び降り、砂漠に降り立った。たいまつの火を持った男に近づく。
「誰かを探しているのか」私は頭の中に浮かんだ言葉を大きな声でゆっくりとしゃべる。
するとその男は、私に気付きたいまつの火を近づけ私の顔を見る。怒りと恐れとで周りの者達の元に駆けていく。
「怯えていませんか~」エルフィがそう言って私を見る。
「確かにそう見えますねえ」私はゆっくりとその人達の元に近づいていく。両手を万歳のように手をあげて害意のないことを示しながら。
「お前は、我々を皆殺しに来たのか」多分こんな事を私に言ったのでしょう。表情には怯えの方が見えます。
「私は何もしていません。ここには初めて来ました」
「おまえのような姿の者が巨大な獣を使って私たちを襲ってきた」
「それは私ではありません」
周囲を囲んでいる者達が私とエルフィ、レイを指さして何か盛んに話している。
「わかった。多分違うのだろう。だが、ここに突然現れたのはなぜだ」
「瀕死の子どもを助けたのですが、他に助けの必要な者がいないか見に来たのです」
「子どもだと?」
「ああ、もうじきその子を連れてくる」
『モーラ、どうですか?』
『まもなく到着するわ』
『ここは、誰かの縄張りですか?』
『ああ確かにそうだが、たぶん攻撃してこないじゃろう。それがどうした』
『到着したら姿を現して、その子を降ろしてもらえませんか』
『そうか。わかった』
「まもなくドラゴンがその子を連れてくる。元気になっている。ただし独りだけだ」
「またせたな」空から声がする。その声を聞いて、そこにいた全員が空を見上げるが、何も見えない。そこで不可視化の魔法を解いてモーラが現れる。砂煙を上げて地上に降り立ち、その手の中に子どもと、アンジー、パム、メア、家を守っていたユーリも一緒に来た。
その子は、飛び降りるようにモーラの手から降りて、その人達の元に駆けだしていく。
「やっぱりそうだったんですねえ」
「あそこで手当だけしていればここまで大きな問題にはならなかったのではないかしら?」
「いや、あの子の周囲には誰もいなかったのですよ。だから連れてきたのです」
「その後も手当てをしてからここに連れてきていれば何とかなったんじゃないの?」
「それは・・・そうですねえ」
「それは仕方なかろう。そもそもその子がみんな殺されたと言っていたのだから」
「確かに」
「さて、戻りますか」
「私の用は済んだ。それでは失礼します」そう言って、モーラの手に乗ろうと歩き出すと。
「お待ちください。ぜひお礼を」
「その子は私に巻き込まれただけです。お礼を言われる類いのものではない。むしろお詫びしなければならない」私はその男?らしき人に頭を下げた。それが挨拶になるのかわからなかったけれど。
「お詫びにケガをしている人がいれば直しますよ~」カタコトの言葉を使いエルフィが言った。私はちょっと余計な事かもしれないと思ってしまう。
「でも~それくらいはしてあげてもいいかもしれませんよ~この子を捜索までさせているのですから~」エルフィは振り向いてそう言った。
「まあ確かになあ」モーラはドラゴンからいつもの姿に戻った。
「しかたないわねえ」アンジーもパムを連れてその人達の中に入っていき、けが人を探し始めた。
「おお、ドラゴンが子どもを助けてくれて、さらには、その仲間達がケガを治してくれるのか」人の姿になったモーラのところに老人達が寄ってくる。モーラは何を言われているかわからないので、私を見る。
「レイ、獲物を探してきましょう。今夜の夕食を」ユーリがレイを見る。
「ユーリさん行きますか」獣化してユーリを乗せて走り出し、森の中に入っていく。
『どうやら今回のこの騒動は、誰かが砂漠に出現させたサンドワームによるものらしいです。それを倒してください』とパムが言った。
『わかりました。レイ、方向転換です。大きさはどのくらいですか?』レイが跳躍して空中で反転して着地をしてそこから再び走り出す。ユーリはしがみついたままだ。
『話によるとかなりでかいです』
『わかりました。さてどうやっておびき出しましょうか』
『近づいていくと顔を出すみたいですよ』
『わかりました。砂漠の中央ですね』言い終わらないうちに砂から顔を出すサンドワーム。大きいといっても直径は、人を丸呑みにできるくらいの大きさだ。長さは土の中なのでわからない。
『これくらいなら大丈夫そうです。レイもういいですよ。止まってください』
『この砂はまずいです。止まってしまうと埋まります』
『流砂ですか。仕方ないですね。レイごめん。背中に足をかけるね』
『はい。大丈夫ですか?』レイはそう言うが足先に意識を集中させて走っている。
『飛んでこちらに注意を引きつけます。レイはそのまま走り続けて、タイミングを見て一撃を入れてください』
ユーリは雷撃を何発かレイの着ているつなぎに打ち込む。つなぎが淡く光りだしたところで落ちないようにかがんで立ち上がり、大剣を両手に構える。さらにレイが接近して、サンドワームがユーリに向かって噛みつこうと首を動かした時に、ユーリはレイの背中からサンドワームの頭の上まで飛んだ。それに合わせてサンドワームも頭を上げる。ユーリが滞空して降下し始めた時にレイがつなぎに帯電した魔法をサンドワームに打ち込む。サンドワームが一瞬止まったところにユーリが剣に魔法をかけ、剣の長さを数倍にしてその頭部を切断するように切った。剣はサンドワームの頭から胴体までを真っ二つにしながら切り進む。サンドワームの地上に出ている部分を切り進み、地上に降り立った。流砂はすでに止まり。レイが横にきたので、ユーリはその頭を撫でる。
「ではこれから料理の時間です」メアとパム、それにモーラが、サンドワームの死体に近づき、手を合わせて拝んだ後、パムが死体を大雑把に切りわけ、それをモーラとパムが砂漠の端まで持ってきて。そこで調理が始まる。
「あんたの好きな、みんなで晩ご飯よ」
治療が終わったのかアンジーとエルフィが近づいてくる。においにつられてその人達も寄ってくる。
私達は、焼けたその肉を食べて見せるが、あまり近づいてこない。
周囲の人達は、私たちを指さして口々に叫んでいる。
「あの化け物を倒し、しかもそれを食すとは。すごい人達だ」
あの子が匂いにつられて私たちの所に来る。パムが食べて見せて、そのまねをしてその子が食べる。その皿を持って、家族のところに持って行った。恐る恐る食べる家族、しかしおいしかったのか奪い合うように食べている。
私は、こっちに来いと合図をしたところ、みんな一斉にこちらに来て、焼けた肉を欲しがった。パムが順番に並ぶように指示をすると一列に並んでいる。なんかほのぼのとしていていいなあと感じた。
言葉が通じなくても食べておいしいのは共通だ。わからないままに私の家族とその人達はコミュニケーションを取っている。ユーリとレイは倒した時のことをジェスチャーで褒められているようだ。
「ぬし様。どうやらあのサンドワームを砂漠に放ったのは、ぬし様と同じような格好の者だったようです。あの子は、それを見てしまったために殺されそうになったようで、その時にぬし様が現れたため立ち去ったようです。その子は、容貌が似ていたので仲間だと勘違いしたようですね」
「なるほどそういうことでしたか。でもあんなに大きい生き物なのですか」
「実はあのような大きさではないのです。ドワーフ村の砂漠にもいますが、そうですね、ぬし様の頭の中のイメージのみみずと同じくらいの大きさです。ただ、動物を砂の中に引き込んで小動物などを食しますので、結構獰猛です」
「ここのワームは、肉食なんですか。この世界の生態系はかなりおかしいですが、そうなのですねえ」
そのワームの頭の部分だけでも、そこにいた部族の人たちが食べても十分余るくらいの肉があり、パムとメアがその体を引きずりあげたのだが、全長30メートルはありそうだった。
食事をしながら先祖の話を聞いてみたが、その部族は、どの種族の範疇に入るのかよくわからなかった。もちろん魔族との接触も無いそうで、小規模な集落を作って森の中で暮らしているといい、主に狩猟により生計を立てているらしい。食事の終わった者達がワームを干し肉にしようと解体を始めている。
帰りは、その種族に見送られながら、モーラの手に乗って帰ってきました。
Appendix
さっそく掟破りか?
すまんな。あの男があそこの子どもを助けてきたのでなあ。返しに来たのだ
それにしても不可視化の魔法か?
見られたか
まあ、里には知らせないでおくが、うちでトラブルが起きた時にはよろしく頼むよ
まあ、仕方が無いのう
良かった。さすがドラゴン界のトラブルバスター。
なんじゃそれは
風さんが言っていたよ。隣なんだから何かあったら頼りなさいってね
風の奴め
じゃあまた
ああ、隣なんだからわしの家族と一緒に食事でもどうだ?事前に言ってくれればなあ
これまで一度も顔合わせしてなかったのに変われば変わるものだね
ほっとけ
続く
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