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第7話 DT壺る
第7-2話 朝食は何時から?
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○楽しい朝食ゆかいな朝食
ごおーん ごおーんんんん
翌日の朝は、豪快なノックの音とともにみんなが起きた。
家を揺るがすような轟音のノックで。
メアが気付いてドアに近づいていたですがタッチの差で遅かった。
「おはようございます。」ドアを開けてメアが挨拶する。
「おはよう・ございます。ね?ちょっと早かったかしら。」どうやら今度は本物らしい。動きがなめらかだ。
「いえ、昨日は時間を決めておりませんでしたので私は夜明けからお待ちしていました。」メアが言った。さすがメイドです。優秀なメイドは眠らないのでしょうか。ああ、ホムンクルスは眠らなくても良いのでしょうか。
「他の人達は違うようね。」テーブルにはまだ誰も座っていない。食器が並べてあるだけだ。
「申し訳ありません。たぶん2度寝しています。」
「なるほど。時間を決めないとダメなのね。」
「招待する場合は招待主が、来訪者が来訪を予告した場合は来訪者が事前に告げて、家の者が了解すればその時間になります。」
「人間界は勉強になるわね。」
「あくまでその人々の習慣ですので、ルールと言うよりマナーですね。失礼しました。玄関先では何ですのでお入りください。」メアが一歩退いて扉の前から横に移動する。
「お邪魔します。で、いいのね?」ちょっと緊張しているカンウさんです。
「はい。申し訳ありませんがしばらくテーブルでお待ちください。主人を呼んで参ります。」メアは、椅子を引いてカンウさんを座らせてから一礼をして居室の方に向かいました。
「急がなくて良いわよ。」カンウさんはそう言いながら部屋の中を見ている。
「はい」メアは呼び止められたのでその場でカンウさんを向いてお辞儀をして、部屋の廊下に向かった。
そんなに広い家ではないので廊下を通してほとんど聞こえていました。なので、メアさんが迎えに来る前にそそくさと用意して、メアに合図を送って居間に入っていきます。
「あー、どうもカンウさん。おはようございます。お早いですね・・・ああ、時間決めていませんでしたものねえ。」
「それもあるけど、朝食に誘われるのって久しぶりなのでついうれしくなって早く来すぎてしまったわ。ごめんなさい。」そう言って照れているカンウさん。妙に表情が豊かです。ああ、昨日のは映像でしたものねえ。なんか可愛いく見えてきました。ドラゴンさんに対して不敬ですかねえ。
「いえいえ、時間を決めていなかったモーラのせいですので。」私も照れてモーラに責任を押しつけます。
「ああ?わしが何かって、もう来たのか。まだ夜明け・・・そうだよな夜明けは朝の始まりじゃ。確かにお主は間違っておらぬ。すまなかった。時間も決めずに朝食を一緒にとか言って悪かった。」居間に入ってきてモーラが謝っている。
「あなたが謝るなんて、どうしたの?」目を見開いてカンウさんがモーラを見る。顎まで落ちていそうな驚きぶりです。
「ああそうか。わしは変わったのかのう。まあようきた。すまぬが朝食までしばらく待ってくれぬか。」モーラはそう言って定位置に座る。私もつられて自分の定位置にすわる。カンウさんの真正面に座って間近に見ると美人さんです。可愛いとか思ってすいませんでした。謹んでお詫び申し上げ、ここに訂正いたします。あれ?どうしてこんな事を思ったのでしょうか。昔こんなことばかりしていたのでしょうか。
「別に良いわよ。」
「お食事の用意はできております。が、」メアが居間に入ってきて言った。
「何か問題でも?」
「家のルールとして食事は全員で食べるというのがございます。」
「そうなのね。」
「ああそうじゃ。それがうちのルールじゃ。なので皆が揃うまでちと待ってくれ。」
「あのうカンウさん。食事前にすっきりさせておきたいので、モーラをさしおいて先に話してしまいますが、昨日の件で念のためお聞きしたい事があります。」
「何かしら」急に目が真剣になるカンウさん。
「大きさを教えて欲しいのですが。」私の言葉にガクッと肩を落とす。今更聞くのそれという顔をされた。
「そうね、高さはこの部屋くらいで大きさはテーブルの半分くらいでああ、こんな感じよ」そう言ってカンウさんは、映像を見せてくれる。
「これは・・・本物の方じゃな。」場所は特定できないがどこか暗いところにあるようだ。
「そう。これがオリジナルよ。」
「かなり大きそうじゃなあ。」モーラが映像と部屋の大きさとを見比べている。確かに結構な大きさだ。
「大丈夫なのかしら?」
「わかりました。この話は受けさせていただきます。」
「できそうなの?」
「カンウさんにお願いすることはありますが。」簡単に説明する
「神の声を演じて欲しいと言うのね。モーラはそれについてどう思うの?」
「問題はなかろう。「どのような形で持ち出されようと壺は戻される」とだけ告げれば。」
「これは人間への干渉にはならないでしょうね。」
「それを言ったら取り戻すという行為自体が干渉じゃろう。おぬしは水神なんじゃから宣託くらいは大丈夫だろう。」
「そうなのよ。何でも盗まれて黙っていたら私の所有物はみんな人間に取られてしまうわ。返してもらわないと。」
「そうですよねえ。そうそう、竜は光り物を集めたがるものですしねえ。」いつの間にか席に着いていたアンジーは言いながらモーラをちらっと見る。たぶん前の村で持っていた髪飾りのことを聞きたかったらしい。
「わしらの移動についてじゃが。」モーラさんそこはスルーですか。やはりそうですか。
「ドラゴンになって飛んで行って良いわよ。そのエリアのドラゴンにはすでに話してあるから。」
「なるほどその辺は抜かりないか。」
「とりあえず何か問題が起きるけど黙認してとしか話してないわよ。この後詳しく説明に行くけど」
「あと、ここの生活を・・・」
「それも生活しているように偽装しておくわ。ここで生活していた証拠はできるわよ。」
「ああそれは助かる。ここで生活していたとなれば、他国で似たような者が何かをしてたとしてもわしらではないと言えるからな。」
「すぐ行くの?」カンウさんが尋ねる
「それは・・・」私は少し躊躇する。それは、
「それは食事の後お話しください。皆様おそろいになりましたので。」メアが話の途中でそう告げた。
話の間にユーリとエルフィが席に着いていた。
「いただきます」
「いただきます」私の言葉で一斉に挨拶をしてから食べ始める。まるで学校給食ですねえ。一人は、神に祈りを捧げていますが。
いつもどおりの前菜サラダに冷製のスープ。焼きたてのパン。そしてベーコンエッグと蒸しチキン。完璧なイングリッシュブレックファーストです。どうやってベーコン調達したのでしょうか。さすがメアさんです。というか、前のご主人は、醤油を用意しているくらいですし日本人でしたよねえ。ご飯と味噌汁は・・・さすがに無理ですよねえ。
「あらおいしい、あなたが作ったの?」カンウさんがメアを見て言った。
「はい。未だ手探りですが。」
「とてもおいしいわ。」カンウさんはそう言って食べていますが。マナーがちゃんとできています。どこぞの土のドラゴンとは大違いです。どこで覚えるのでしょうか。痛っモーラ私と蹴らないように。まったく。しつけがなっていないのですね。
「お褒めいただきありがとうございます。」メアは、そこでお辞儀をする。
「メアさんは座らないの?」
「お客様への食事を出し終えましたら座らせていただきます。」
「私のことはもう良いわよ。座ってくださいな」
「はいありがとうございます。それでは失礼して。」そう言ってメアは自分の席に座って食事を始める。
「うちは、自分の食べたい分を食べたいだけ取れるようになっています。ですので、お客さんの分を除き自分で取りに行きます。」
「なるほど。」
「あ、そのバター取って。」アンジーが私にバターを取るように言いました。確かにこの大きいテーブルでは届きませんね。私はバターをアンジーに渡す。
「そういえば、バターとかどうやって調達したのですか?」私はメアさんに尋ねる。
「作りました。」メアがあっさりと言います。
「ええ?」
「難しいことはありません。この世界での問題は、作っても保存ができないだけなのです。」
「なるほど。うちには冷蔵庫があるからできるのね。」アンジーが今更のように言った。
「はい。この人数分の食料を保存するにはちょうどよいくらいの大きさです。」まあ、氷を毎日吹き付けているだけのものですが。
「やはり新鮮な材料と腕の良い調理人かのう。」モーラも感慨深げに頷いている。
「そうですね」私も賛同しています。
「そういえば、カンウの食事はどうしているのじゃ。」
「私?たまにお供え物があるので食べたりするけど、基本は食べないわね。お供え物も気付いたら腐っていることもあるし」
「そうだよなあ。あと風呂はどうしているのじゃ」
「え?風呂?人間のしている水浴びでしょう?する必要ないわよ。私は水のドラゴンなのよ」なんかあきれたようにカンウさんはモーラに言った。
「ああそうだったな。」
「え?入浴しているの?あなたが?」本当に不思議そうにモーラを見てカンウさんが言いました。
「もちろんこの姿でだがな」モーラはモグモグとパンを頬張りながら言いました。可愛いですけどしゃべる時は口に物を入れてはいけませんよ。
「それはそうでしょう。私みたいに水とともにあるわけでは無いんだから。そうなの?わからないものね。」
「そう。人間の暮らしはわからないことが多い。だがおもしろいぞ。特に水浴びでは無いお風呂といやつがな。そう入浴がだ。」なんかえらそうに講釈たれていますよこのドラゴン。
「本当に変わったわねあなた。いや、変えさせられたのかもね。」カンウさんはそう言いながら私を見ます。おっと嬉しそうな目ですねえ。吸い込まれそうです。いや、他の皆さん誤解ですよそのジト目は止めてください。
「そうか?自ら変わらねばこんなもの変わらんぞ。嫌ならそこから逃げれば良いのじゃからのう」
「確かにそうだけど。」なぜか嬉しそうなカンウさんです。
「まあ、水のお主にいうのもなんだが、入浴はいいぞ。心が温まる。心がな」
「そうなの?今度入らせてもらうわ。」
「ああ、そうするがよい。ああ、おぬし別にかまわぬよな」モーラが私を見て言った。あなたにとっても自分の家でしょう?
「もちろんですよ。モーラさんのお友達です大歓迎です。」
「と、友達?」おやモーラさん何、顔を赤くしているのですか。
「モーラはそう思ってくれているのかしら。」カンウさんがニヤニヤしながらモーラを見て言った。
「まあ、長い付き合いだからのう。わしに嫌がらずつきあってくれているのは、風とお主くらいじゃからなあ。腐れ縁とわしはうそぶいてはおるが、感謝しておるよ。」
「あらまあ!その言葉が聞けるなんて朝食もいいものですね。でも、そんなあなたに勧められているお風呂については、次の機会にでもお願いするわ。」
そうしてつつがなく食事は進む。
「この朝食というのはなかなか良いわね。皆さんと一緒に仲良く楽しく食べる。良い習慣だわ。これから私も混ぜてもらおうかしら。」
「お主には祭ってくれる者達が大勢いるであろう。そいつらとも食べてやらんか。」
「そもそも神と神をあがめる人間とは、そういう関係ではないわ。仲良くしてはダメなの。そこには一定の距離感がなくてはだめなの。当然一緒に暮らすとか食事とかをしてはいけないのよ。」
「一緒にじゃなくても世話をする者をその中から誰か選べば良いではないか。」
「そういうのはね。その人が死んでしまって世代交代をしていくので、私の心が耐えられないのよ。一回試したけど、一度きりで良いわ。」
「そうだよなあ。わしらと違って決定的に一生が短い。さすがに水竜の一族から連れてくるわけにもいかないしな。」
「そんな事をしたら大事よ?わかっているわよね。」カンウさん怒っています。
「はは、わかっているよ。冗談じゃよ。」
「まったく!!そんな冗談はやめて欲しいのだけれど。」カンウさん怒った顔も素敵ですねえ。
「そうです食事は楽しくないとね。それにしても約2名は静かねえ。」アンジーが言った。軌道修正がいつもうまいですねえ。
「私は人見知りなので~」とエルフィが言う。そういえば、モーラの時も最初は様子をうかがっていましたね。
「そうそうあなたの噂を聞きましたよ。良い婿をとったと一族大喜びみたいです。」
「どこからそんな話が聞けるのですか?あんな閉鎖的な所なのに。しかも私から連絡していないのにどこからそんな事を聞きつけたんでしょうか。まあ噂だけが娯楽みたいな種族ですからどこからか聞いてくるのでしょうけど。そして、部族内ではすぐ広まるのでしょうけど。あ・・」エルフィはそこまで一気に言いました。いつもと口調が違いますし。人見知りなのに結構しゃべりますねえ。
「まあ、どこからかそう言う話は流れるものよ。でも、転生者で魔法使いの婿が来れば一族の行く末も安泰だと言っていると聞きましたよ。」
「あー、全くあの年寄り達は。若いハイエルフを冒険に出す時だって、私のことは勝手に行ってこいもう帰ってくるな、厄介払いできてせいせいしたみたいな扱いをしておいて、今更手のひら返しますか相変わらずですね。
もう、小さいときから散々私のことを下げる発言しておいて今更ですよ。で、ほかにも何か言っていましたか?」
なんだかんだ言って興味津々ですね。やっぱりあなたも噂好きのエルフなんですねえ。
「早く連れてきて顔を見せて欲しいそうですよ。あと、一族の危機が迫っているかもしれないので、早く連れてきて欲しいとも言っているそうですよ。」
「田舎ですねえ。なんか戻っても噂話の補強にしか扱われなさそうな感じですね。それより、他に探しに出たもっと優秀なハイエルフ達は一体どうしたんですか?きっともっと優秀ないい人を見つけているでしょうから自分たちで危機を回避して欲しいものです。私はできるだけ帰らないでこのままだらだら生きていたいのです。」
「なるほどねえ。もし、何かの機会があればその事を聞いた方に話しておくわね。」
「ええぜひ。育ててもらった恩もありますし二度と戻らないとまではいいませんが。」
「そうそうユーリさん。あなたモテモテですってね。」カンウさんが言った言葉に、一同が、ばっとユーリを見る。しかし、ユーリは黙々と食べている。
「そんなことはありません。モテるわけはありません。僕、男の子みたいなものですから。女っぽくないし。」ユーリは、食事の手を止めて、しかし視線をあげずにそう言った。
「でも、お誘いをみんな断っているんですよねえ」カンウさんそんな話をどうして聞けるのですか。もしかして私たち監視されていましたか?
「お誘いですか?ああ、つきあって欲しいと言うことがそういう意味なのですね。つまり好きだから交際したいと。でも、僕が好きな人はたった一人ですから。」そう言ってユーリは私を見ます。真剣な目でじーっと私を見られてもねえ。
「それに、僕より強い人じゃないと無理です。僕を守れるような人で無いと」そう言うと顔を赤らめて下を向いてしまった。むしろそこで顔を赤くするのかと私は突っ込みたい。
「なるほど。この方より強くないと難しいのですね。」カンウさんが真剣に聞いています。なんで真剣に聞きますか。
「いえ。この中の誰かひとりより強くてもかまいません。」ユーリはきっぱりはっきり言いますね。
「かなりハードルは高いわよね、それ」アンジーがそれを言いますか。
「その中に~アンジー様が入っているなら~誰でも大丈夫~ということなのではないのですか~?」エルフィも興味津々だ。
「天使様に、子どもに暴力を振るうような人は、そもそも好きにはなれません。」淡々と話し黙々と食べている。あまり食事中に話さないみたいですねえ。
「それは確かにな。アンジーを除いたら、それでも強さのレベルが高過ぎる。一般人には厳しいのう。」
「僕は、この中の皆さんから認められるまでそんなことを考えていられません。もっと強くならなければならないのです。みなさんを守れるくらいまでに」
「わしらはみんなユーリのことを認めておるんじゃがのう。」
「そうよ。今更だけどこの前の旅行の時だって大活躍だったじゃない。」
「いいえまだまだです。もっとメンタル面を強くしなければ。」ユーリは食事を終えたのかナイフとフォークを皿の上に並べて置いた。
「うーむ。女の子としてはどうなのじゃそれ。」モーラがそう言って同じように皿にナイフとフォークを乗せて片付ける準備をする。
「皆さん、食後のデザートです。」メアのその声にそれぞれが食器を下げに台所に向かう。カンウさんの皿はメアが下げました。
「おお、朝からデザートか。さすが客がいるときは特別か」モーラが食器を下げて戻ってくるとそう言った。
「デザート?」カンウさんがキョロキョロしています。
「ああ、お口直しのお菓子のことですよ。」
「お菓子を食後に?」カンウさんの頭の上にハテナマークが飛んでいます。
「まあ食べてみてください。」
「今日はプリンです」
「おおっなんとプリンとな。」
「これはどういうものなのですか。」目の前に出されてそのプルプル震えているものを持ち上げて見ている。まあ、確かに怪しいですよねえ。
「卵菓子と言えば良いのでしょうか。私も久しぶりですねえ」
「あら、おいしい。」カンウさんは、ちょっと心配そうに私達の食べ方を見て一口すくって食べました。
「わかるか?わかるか?」モーラ、超うれしそうですね。
「なるほど!あなたが人間と一緒に暮らしている意味も理由もわかりました。」カンウさんそう言って頷いています。嬉しそうに食べています。
「ほほう、スイーツでわかるとか、すでにわしの術中に堕ちたな。」モーラが妙な事を言っています。意味不明です。気持ちはわかりますが。
「まあ認めましょう。」カンウさんは、食べ終わって満足そうにスプーンを置き、目をつぶって頷きながら言いました。
「ねえメアさん。おかわりはありますか」恥ずかしそうにメアに尋ねたカンウさんの言葉に一同驚く。
「残念ですが、急だったもので用意ができませんでした。」メアが本当にすまなそうに頭を下げる。
「また今度くればよいじゃろう。」
「そうね。そうするわ」どうしてそんなに名残惜しそうに言いますか。後ろめたいじゃないですか。
「さて。お願いできそうだとわかってよかったわ。早速で申し訳ないけど。」カンウさんは表情が堅くなった。
「ああ、午後から出るつもりじゃ。」
「ごめんなさいね、・・」
「うかつに名前を呼ぶなよ。カンウ。」
「久しぶりだしねえ。じゃあ、連絡しに行ってきます。」そう言ってカンウさんは席を立った。
私達は全員で玄関を出て見送ります。
カンウさんは、かなりの距離まで離れたところでパッと細い水の渦になり、竜巻のように空へ登っていき、雲の中へ消えていった。
○普通の概念
カンウさんを見送って、皆さんで食器の片付けをした後に私は言いました。
「では準備をしますか。今回もモーラの手の上で移動します。」
私の言葉にアンジーとエルフィとユーリがげんなりしている。前回は確かにひどかったですからねえ。
「その前に衣装を調達しないといけません」メアが言った。
「確かに必要ですねえ」
皆さんと一緒に急いで街に行きました。まず行ったのは、いつもの服屋さんです。
「こんにちわ」私が扉を開けて言いました。
「いらっしゃいませ~。あ~お久しぶり・・・というほどでもありませんね~どうしましたか~」
「年季の入ったローブとかを購入したいのですが。」
「ごめんなさい~そういうのは~古着屋さんに~お願いしてください~」ムツミさんがすまなさそうに言った。
「そうだとは思いましたが念のため伺いました。」
「それはありがとうございます~でも~そうですね~せっかく来てもらったので~」ムツミさんはそう言って私を引っ張っていきます。そして試着室に置いてあった服を私に渡してきました。
「これを着ろと?」私はムツミさんと手に持たされた服を交互に見ます。
「前回~平均的な~とか色々ディス・・・失礼な事を言ってしまったので~お詫びにと店長が~」ムツミさんはそう言って服を持った私を着替えのブースに押し込んでカーテンを閉める。
「ムツミさん。あいつに新しい服を?」メアがムツミさんの耳元に口を近づけてひそひそと聞いています。
「はい~皆さんに釣り合うように~少しだけ格好いい服を用意しました~皆さんについて歩く男性が格好悪いと色々ありますから~」
「確かに今の普段着はあまり見栄えのしない地味な服ですから。」
「確かに奴隷商人の噂もあのダサい服のせいかもしれないわねえ。」アンジーまで参加しています。
「そうですが、あまり格好良くなると街の女の子達から注目されませんか?それが心配です。」とユーリが言いました。
「でも~旦那様には~格好良くしていて欲しいです~」とはエルフィです。
「そう思いますよねえ~今回の発案は~メアさんですよ~」とムツミさんは言った。
「ナイスよメア」アンジーが親指を立てる。
「さすがじゃのうメア」モーラも親指を立てる。
「一歩リードされたかも~」そう言いながらエルフィも親指を立てる。
「ま、負けられません。」ユーリもつられて親指を立てる。
私は着替えて、カーテンを開いてこう言いました。
「皆さん全部聞こえてますよ!!わざと聞こえるようにヒソヒソ言っていたでしょう。確かに私がダサいのは仕方ありませんけど。これはどうなんでしょう。似合ってませんよねえ。」ジャケットはちょっと仕立ての良いものですが、どうもピシッと決まりません。パンツもどこにでもいる感じの人にしか見えません。
「ああ、まあ普通じゃな」
「そうねえ。普通ねえ」
「確かに普通です。」
「あ~まあ~普通です~」
「皆さん普通普通って言っていますけど格好いいです。あるじ様格好良いです。なんて言うか。普通です」唯一の味方のユーリでさえ普通ですか。とほほ
「メアさ~ん、ですから~DTさんは~店長の男性服のモデルなんですよ~」
「確かに今回は、普通の服をオーダーしましたから。しかしこんなに普通とは。」
「本人目の前にして普通普通を連呼するのはやめてください。私自身鏡を見ての感想が普通なんですから。でもこれいただきます。」
「これは差し上げます~モデル料と言う事で~」
「ありがとうございます。このまま着て帰ります」
「お待ちを~一度着替えてください~」
「はあそうします。」そうして私は普段の服に着替えて着替えのブースから出ました。あれ?皆さん売り場に戻りましたね。私は売り場の方に戻りました。
「メアさんどうでしたか~」
「ありがとうございます。これでご主人様が誰からも認識されずにすみます。」
「どういうことじゃ。」
「実は最近、街でのご主人様の人気が高くなり始めているのです。」メアがさらにヒソヒソ声で言った。
「え?そうなの?」アンジーがびっくりしている。
「なので、このままここで格好いい服を仕立てしまうと私達にとってかなり問題が生じてしまいます。」
「え?メアさんそれって」ユーリが言いました。
「はい、たぶん言い寄る女性がかなりの数に・・」
「それは~まずい~」エルフィが腕で胸をはさんでイヤイヤをしています。アンジーがそれを見てイラッとした顔をしています。
「ふむ、奪われないために策を弄したか。やるなメア」モーラは手を握り親指を立てる。メアもそれに答える。
「だから前回から普通普通と連呼していたのね」
「あれは~実際~そうなのですよ~」とはムツミさんです。
そこに私が戻ってきました。
「支払いは要りませんので~そのままお持ちください~」
「ありがとうございます。」
「それと~これは~古着屋の割引券です~」
「そんなものを置いているのか」
「はい~大概のお客さんは~ここの店で服の値段を見てから~古着屋に行きますので~」
「なるほどなあ。うまいことを考えるものじゃ」
「あちらで買っても~この店の割引券を出していますので~」
「うまい商売の仕方じゃ。えらいのう」
「えへへ~褒められた~」
そうして、私達は服を一着と割引券をいただいてその店を出ました。
古着屋さんには、さすがにムツミさんの姉妹はいらっしゃらず、普通の方でした。そして、それらしい衣装を探します。アンジーは修道服まがいのワンピースを着てその上にフード付きのローブをはおって顔を隠せるようにしました。皆さんも同じように下に汚い服を着てローブを身に纏っています。いかにも貧乏そうな風体の6人組がができあがりました。最後まで嫌がったのはメアです。
「私の戦闘服はメイド服です。」そう言って抵抗を続けるので仕方なくメイド服の上からすっぽりとフード付きのローブを着せて、アンジーのお付きの雰囲気を出してみました。そんなにローブって売っているのですねえ。これから寒い季節になるので先んじて仕入れていて洗ってもいなかったようです。ラッキーといえばラッキーでしたねえ。
「費用はどうするのじゃ」帰りの道でモーラが聞いてきました。
「それが、台所にお金が用意してありまして、カンウと書いた紙が置かれていました。」メアがそれに答える。
「寄付のお金か。あまり手をつけたくないのう。」モーラの言う事はもっともです。
「うちのお金に余裕はありますか?」私の問いにメアが頷いて答える。
「では、そのお金は使わないようにしましょう。」
「あやつには、労働を少し憶えてもらうことにする。」なんか良いことを思いついたようにうれしそうにモーラが言った
「大丈夫ですか?」
「あいつはすぐ適応すると思うぞ。わしと付き合えるくらいだからな。」
「であれば今度薬草の栽培しているところで水まきでも手伝ってもらいますね。」
「良い案じゃな。」
「さて準備はできました。皆さん行きましょう。」
Appendix
「壺を献上してきた者がございます。」
「ふむ、よくやった褒美を取らそう。」
「ありがたき幸せ。」
「これがその壺なのね。意外に質素な壺ね。水は湧き出てこないのかしら。」
「残念ながら伝説にあるようなことは起きません」
「まあ、神殿にあった壺という価値しかないのねえ。」
「王妃よこんなものが欲しかったのか?」
「欲しかったのは他国に対する国の権威でしょう?」
「確かになあ。」
Appendix
「うまくやったな。」
「ああ、作戦どおりさ」
「地震をどうやって起こしたのだ?」
「いるところにはいたんだよ。地震を起こせる魔法使いが隣国にな。軍隊に所属していたのを騙して連れてきた。」
「どうやったんだ。」
「冷遇されていたから、今回の作戦を手伝ったらこちらの国の軍隊で高給を出すと騙したのさ。」
「なるほどな。その後は軍隊に?」
「こちらの軍でも使えないから、約束を反故にしてさらに相手の軍隊にもリークして復帰できないようにした。」
「それはひどいな。仕返しされないか?」
「そういう魔法使いは闇の仕事には重宝するらしくて、その手の組織から誘いがかかるようにしたのさ。」
「なるほど厄介払いできたのか」
「ああいう奴は脅せば何とでもなるものさ」
続く
ごおーん ごおーんんんん
翌日の朝は、豪快なノックの音とともにみんなが起きた。
家を揺るがすような轟音のノックで。
メアが気付いてドアに近づいていたですがタッチの差で遅かった。
「おはようございます。」ドアを開けてメアが挨拶する。
「おはよう・ございます。ね?ちょっと早かったかしら。」どうやら今度は本物らしい。動きがなめらかだ。
「いえ、昨日は時間を決めておりませんでしたので私は夜明けからお待ちしていました。」メアが言った。さすがメイドです。優秀なメイドは眠らないのでしょうか。ああ、ホムンクルスは眠らなくても良いのでしょうか。
「他の人達は違うようね。」テーブルにはまだ誰も座っていない。食器が並べてあるだけだ。
「申し訳ありません。たぶん2度寝しています。」
「なるほど。時間を決めないとダメなのね。」
「招待する場合は招待主が、来訪者が来訪を予告した場合は来訪者が事前に告げて、家の者が了解すればその時間になります。」
「人間界は勉強になるわね。」
「あくまでその人々の習慣ですので、ルールと言うよりマナーですね。失礼しました。玄関先では何ですのでお入りください。」メアが一歩退いて扉の前から横に移動する。
「お邪魔します。で、いいのね?」ちょっと緊張しているカンウさんです。
「はい。申し訳ありませんがしばらくテーブルでお待ちください。主人を呼んで参ります。」メアは、椅子を引いてカンウさんを座らせてから一礼をして居室の方に向かいました。
「急がなくて良いわよ。」カンウさんはそう言いながら部屋の中を見ている。
「はい」メアは呼び止められたのでその場でカンウさんを向いてお辞儀をして、部屋の廊下に向かった。
そんなに広い家ではないので廊下を通してほとんど聞こえていました。なので、メアさんが迎えに来る前にそそくさと用意して、メアに合図を送って居間に入っていきます。
「あー、どうもカンウさん。おはようございます。お早いですね・・・ああ、時間決めていませんでしたものねえ。」
「それもあるけど、朝食に誘われるのって久しぶりなのでついうれしくなって早く来すぎてしまったわ。ごめんなさい。」そう言って照れているカンウさん。妙に表情が豊かです。ああ、昨日のは映像でしたものねえ。なんか可愛いく見えてきました。ドラゴンさんに対して不敬ですかねえ。
「いえいえ、時間を決めていなかったモーラのせいですので。」私も照れてモーラに責任を押しつけます。
「ああ?わしが何かって、もう来たのか。まだ夜明け・・・そうだよな夜明けは朝の始まりじゃ。確かにお主は間違っておらぬ。すまなかった。時間も決めずに朝食を一緒にとか言って悪かった。」居間に入ってきてモーラが謝っている。
「あなたが謝るなんて、どうしたの?」目を見開いてカンウさんがモーラを見る。顎まで落ちていそうな驚きぶりです。
「ああそうか。わしは変わったのかのう。まあようきた。すまぬが朝食までしばらく待ってくれぬか。」モーラはそう言って定位置に座る。私もつられて自分の定位置にすわる。カンウさんの真正面に座って間近に見ると美人さんです。可愛いとか思ってすいませんでした。謹んでお詫び申し上げ、ここに訂正いたします。あれ?どうしてこんな事を思ったのでしょうか。昔こんなことばかりしていたのでしょうか。
「別に良いわよ。」
「お食事の用意はできております。が、」メアが居間に入ってきて言った。
「何か問題でも?」
「家のルールとして食事は全員で食べるというのがございます。」
「そうなのね。」
「ああそうじゃ。それがうちのルールじゃ。なので皆が揃うまでちと待ってくれ。」
「あのうカンウさん。食事前にすっきりさせておきたいので、モーラをさしおいて先に話してしまいますが、昨日の件で念のためお聞きしたい事があります。」
「何かしら」急に目が真剣になるカンウさん。
「大きさを教えて欲しいのですが。」私の言葉にガクッと肩を落とす。今更聞くのそれという顔をされた。
「そうね、高さはこの部屋くらいで大きさはテーブルの半分くらいでああ、こんな感じよ」そう言ってカンウさんは、映像を見せてくれる。
「これは・・・本物の方じゃな。」場所は特定できないがどこか暗いところにあるようだ。
「そう。これがオリジナルよ。」
「かなり大きそうじゃなあ。」モーラが映像と部屋の大きさとを見比べている。確かに結構な大きさだ。
「大丈夫なのかしら?」
「わかりました。この話は受けさせていただきます。」
「できそうなの?」
「カンウさんにお願いすることはありますが。」簡単に説明する
「神の声を演じて欲しいと言うのね。モーラはそれについてどう思うの?」
「問題はなかろう。「どのような形で持ち出されようと壺は戻される」とだけ告げれば。」
「これは人間への干渉にはならないでしょうね。」
「それを言ったら取り戻すという行為自体が干渉じゃろう。おぬしは水神なんじゃから宣託くらいは大丈夫だろう。」
「そうなのよ。何でも盗まれて黙っていたら私の所有物はみんな人間に取られてしまうわ。返してもらわないと。」
「そうですよねえ。そうそう、竜は光り物を集めたがるものですしねえ。」いつの間にか席に着いていたアンジーは言いながらモーラをちらっと見る。たぶん前の村で持っていた髪飾りのことを聞きたかったらしい。
「わしらの移動についてじゃが。」モーラさんそこはスルーですか。やはりそうですか。
「ドラゴンになって飛んで行って良いわよ。そのエリアのドラゴンにはすでに話してあるから。」
「なるほどその辺は抜かりないか。」
「とりあえず何か問題が起きるけど黙認してとしか話してないわよ。この後詳しく説明に行くけど」
「あと、ここの生活を・・・」
「それも生活しているように偽装しておくわ。ここで生活していた証拠はできるわよ。」
「ああそれは助かる。ここで生活していたとなれば、他国で似たような者が何かをしてたとしてもわしらではないと言えるからな。」
「すぐ行くの?」カンウさんが尋ねる
「それは・・・」私は少し躊躇する。それは、
「それは食事の後お話しください。皆様おそろいになりましたので。」メアが話の途中でそう告げた。
話の間にユーリとエルフィが席に着いていた。
「いただきます」
「いただきます」私の言葉で一斉に挨拶をしてから食べ始める。まるで学校給食ですねえ。一人は、神に祈りを捧げていますが。
いつもどおりの前菜サラダに冷製のスープ。焼きたてのパン。そしてベーコンエッグと蒸しチキン。完璧なイングリッシュブレックファーストです。どうやってベーコン調達したのでしょうか。さすがメアさんです。というか、前のご主人は、醤油を用意しているくらいですし日本人でしたよねえ。ご飯と味噌汁は・・・さすがに無理ですよねえ。
「あらおいしい、あなたが作ったの?」カンウさんがメアを見て言った。
「はい。未だ手探りですが。」
「とてもおいしいわ。」カンウさんはそう言って食べていますが。マナーがちゃんとできています。どこぞの土のドラゴンとは大違いです。どこで覚えるのでしょうか。痛っモーラ私と蹴らないように。まったく。しつけがなっていないのですね。
「お褒めいただきありがとうございます。」メアは、そこでお辞儀をする。
「メアさんは座らないの?」
「お客様への食事を出し終えましたら座らせていただきます。」
「私のことはもう良いわよ。座ってくださいな」
「はいありがとうございます。それでは失礼して。」そう言ってメアは自分の席に座って食事を始める。
「うちは、自分の食べたい分を食べたいだけ取れるようになっています。ですので、お客さんの分を除き自分で取りに行きます。」
「なるほど。」
「あ、そのバター取って。」アンジーが私にバターを取るように言いました。確かにこの大きいテーブルでは届きませんね。私はバターをアンジーに渡す。
「そういえば、バターとかどうやって調達したのですか?」私はメアさんに尋ねる。
「作りました。」メアがあっさりと言います。
「ええ?」
「難しいことはありません。この世界での問題は、作っても保存ができないだけなのです。」
「なるほど。うちには冷蔵庫があるからできるのね。」アンジーが今更のように言った。
「はい。この人数分の食料を保存するにはちょうどよいくらいの大きさです。」まあ、氷を毎日吹き付けているだけのものですが。
「やはり新鮮な材料と腕の良い調理人かのう。」モーラも感慨深げに頷いている。
「そうですね」私も賛同しています。
「そういえば、カンウの食事はどうしているのじゃ。」
「私?たまにお供え物があるので食べたりするけど、基本は食べないわね。お供え物も気付いたら腐っていることもあるし」
「そうだよなあ。あと風呂はどうしているのじゃ」
「え?風呂?人間のしている水浴びでしょう?する必要ないわよ。私は水のドラゴンなのよ」なんかあきれたようにカンウさんはモーラに言った。
「ああそうだったな。」
「え?入浴しているの?あなたが?」本当に不思議そうにモーラを見てカンウさんが言いました。
「もちろんこの姿でだがな」モーラはモグモグとパンを頬張りながら言いました。可愛いですけどしゃべる時は口に物を入れてはいけませんよ。
「それはそうでしょう。私みたいに水とともにあるわけでは無いんだから。そうなの?わからないものね。」
「そう。人間の暮らしはわからないことが多い。だがおもしろいぞ。特に水浴びでは無いお風呂といやつがな。そう入浴がだ。」なんかえらそうに講釈たれていますよこのドラゴン。
「本当に変わったわねあなた。いや、変えさせられたのかもね。」カンウさんはそう言いながら私を見ます。おっと嬉しそうな目ですねえ。吸い込まれそうです。いや、他の皆さん誤解ですよそのジト目は止めてください。
「そうか?自ら変わらねばこんなもの変わらんぞ。嫌ならそこから逃げれば良いのじゃからのう」
「確かにそうだけど。」なぜか嬉しそうなカンウさんです。
「まあ、水のお主にいうのもなんだが、入浴はいいぞ。心が温まる。心がな」
「そうなの?今度入らせてもらうわ。」
「ああ、そうするがよい。ああ、おぬし別にかまわぬよな」モーラが私を見て言った。あなたにとっても自分の家でしょう?
「もちろんですよ。モーラさんのお友達です大歓迎です。」
「と、友達?」おやモーラさん何、顔を赤くしているのですか。
「モーラはそう思ってくれているのかしら。」カンウさんがニヤニヤしながらモーラを見て言った。
「まあ、長い付き合いだからのう。わしに嫌がらずつきあってくれているのは、風とお主くらいじゃからなあ。腐れ縁とわしはうそぶいてはおるが、感謝しておるよ。」
「あらまあ!その言葉が聞けるなんて朝食もいいものですね。でも、そんなあなたに勧められているお風呂については、次の機会にでもお願いするわ。」
そうしてつつがなく食事は進む。
「この朝食というのはなかなか良いわね。皆さんと一緒に仲良く楽しく食べる。良い習慣だわ。これから私も混ぜてもらおうかしら。」
「お主には祭ってくれる者達が大勢いるであろう。そいつらとも食べてやらんか。」
「そもそも神と神をあがめる人間とは、そういう関係ではないわ。仲良くしてはダメなの。そこには一定の距離感がなくてはだめなの。当然一緒に暮らすとか食事とかをしてはいけないのよ。」
「一緒にじゃなくても世話をする者をその中から誰か選べば良いではないか。」
「そういうのはね。その人が死んでしまって世代交代をしていくので、私の心が耐えられないのよ。一回試したけど、一度きりで良いわ。」
「そうだよなあ。わしらと違って決定的に一生が短い。さすがに水竜の一族から連れてくるわけにもいかないしな。」
「そんな事をしたら大事よ?わかっているわよね。」カンウさん怒っています。
「はは、わかっているよ。冗談じゃよ。」
「まったく!!そんな冗談はやめて欲しいのだけれど。」カンウさん怒った顔も素敵ですねえ。
「そうです食事は楽しくないとね。それにしても約2名は静かねえ。」アンジーが言った。軌道修正がいつもうまいですねえ。
「私は人見知りなので~」とエルフィが言う。そういえば、モーラの時も最初は様子をうかがっていましたね。
「そうそうあなたの噂を聞きましたよ。良い婿をとったと一族大喜びみたいです。」
「どこからそんな話が聞けるのですか?あんな閉鎖的な所なのに。しかも私から連絡していないのにどこからそんな事を聞きつけたんでしょうか。まあ噂だけが娯楽みたいな種族ですからどこからか聞いてくるのでしょうけど。そして、部族内ではすぐ広まるのでしょうけど。あ・・」エルフィはそこまで一気に言いました。いつもと口調が違いますし。人見知りなのに結構しゃべりますねえ。
「まあ、どこからかそう言う話は流れるものよ。でも、転生者で魔法使いの婿が来れば一族の行く末も安泰だと言っていると聞きましたよ。」
「あー、全くあの年寄り達は。若いハイエルフを冒険に出す時だって、私のことは勝手に行ってこいもう帰ってくるな、厄介払いできてせいせいしたみたいな扱いをしておいて、今更手のひら返しますか相変わらずですね。
もう、小さいときから散々私のことを下げる発言しておいて今更ですよ。で、ほかにも何か言っていましたか?」
なんだかんだ言って興味津々ですね。やっぱりあなたも噂好きのエルフなんですねえ。
「早く連れてきて顔を見せて欲しいそうですよ。あと、一族の危機が迫っているかもしれないので、早く連れてきて欲しいとも言っているそうですよ。」
「田舎ですねえ。なんか戻っても噂話の補強にしか扱われなさそうな感じですね。それより、他に探しに出たもっと優秀なハイエルフ達は一体どうしたんですか?きっともっと優秀ないい人を見つけているでしょうから自分たちで危機を回避して欲しいものです。私はできるだけ帰らないでこのままだらだら生きていたいのです。」
「なるほどねえ。もし、何かの機会があればその事を聞いた方に話しておくわね。」
「ええぜひ。育ててもらった恩もありますし二度と戻らないとまではいいませんが。」
「そうそうユーリさん。あなたモテモテですってね。」カンウさんが言った言葉に、一同が、ばっとユーリを見る。しかし、ユーリは黙々と食べている。
「そんなことはありません。モテるわけはありません。僕、男の子みたいなものですから。女っぽくないし。」ユーリは、食事の手を止めて、しかし視線をあげずにそう言った。
「でも、お誘いをみんな断っているんですよねえ」カンウさんそんな話をどうして聞けるのですか。もしかして私たち監視されていましたか?
「お誘いですか?ああ、つきあって欲しいと言うことがそういう意味なのですね。つまり好きだから交際したいと。でも、僕が好きな人はたった一人ですから。」そう言ってユーリは私を見ます。真剣な目でじーっと私を見られてもねえ。
「それに、僕より強い人じゃないと無理です。僕を守れるような人で無いと」そう言うと顔を赤らめて下を向いてしまった。むしろそこで顔を赤くするのかと私は突っ込みたい。
「なるほど。この方より強くないと難しいのですね。」カンウさんが真剣に聞いています。なんで真剣に聞きますか。
「いえ。この中の誰かひとりより強くてもかまいません。」ユーリはきっぱりはっきり言いますね。
「かなりハードルは高いわよね、それ」アンジーがそれを言いますか。
「その中に~アンジー様が入っているなら~誰でも大丈夫~ということなのではないのですか~?」エルフィも興味津々だ。
「天使様に、子どもに暴力を振るうような人は、そもそも好きにはなれません。」淡々と話し黙々と食べている。あまり食事中に話さないみたいですねえ。
「それは確かにな。アンジーを除いたら、それでも強さのレベルが高過ぎる。一般人には厳しいのう。」
「僕は、この中の皆さんから認められるまでそんなことを考えていられません。もっと強くならなければならないのです。みなさんを守れるくらいまでに」
「わしらはみんなユーリのことを認めておるんじゃがのう。」
「そうよ。今更だけどこの前の旅行の時だって大活躍だったじゃない。」
「いいえまだまだです。もっとメンタル面を強くしなければ。」ユーリは食事を終えたのかナイフとフォークを皿の上に並べて置いた。
「うーむ。女の子としてはどうなのじゃそれ。」モーラがそう言って同じように皿にナイフとフォークを乗せて片付ける準備をする。
「皆さん、食後のデザートです。」メアのその声にそれぞれが食器を下げに台所に向かう。カンウさんの皿はメアが下げました。
「おお、朝からデザートか。さすが客がいるときは特別か」モーラが食器を下げて戻ってくるとそう言った。
「デザート?」カンウさんがキョロキョロしています。
「ああ、お口直しのお菓子のことですよ。」
「お菓子を食後に?」カンウさんの頭の上にハテナマークが飛んでいます。
「まあ食べてみてください。」
「今日はプリンです」
「おおっなんとプリンとな。」
「これはどういうものなのですか。」目の前に出されてそのプルプル震えているものを持ち上げて見ている。まあ、確かに怪しいですよねえ。
「卵菓子と言えば良いのでしょうか。私も久しぶりですねえ」
「あら、おいしい。」カンウさんは、ちょっと心配そうに私達の食べ方を見て一口すくって食べました。
「わかるか?わかるか?」モーラ、超うれしそうですね。
「なるほど!あなたが人間と一緒に暮らしている意味も理由もわかりました。」カンウさんそう言って頷いています。嬉しそうに食べています。
「ほほう、スイーツでわかるとか、すでにわしの術中に堕ちたな。」モーラが妙な事を言っています。意味不明です。気持ちはわかりますが。
「まあ認めましょう。」カンウさんは、食べ終わって満足そうにスプーンを置き、目をつぶって頷きながら言いました。
「ねえメアさん。おかわりはありますか」恥ずかしそうにメアに尋ねたカンウさんの言葉に一同驚く。
「残念ですが、急だったもので用意ができませんでした。」メアが本当にすまなそうに頭を下げる。
「また今度くればよいじゃろう。」
「そうね。そうするわ」どうしてそんなに名残惜しそうに言いますか。後ろめたいじゃないですか。
「さて。お願いできそうだとわかってよかったわ。早速で申し訳ないけど。」カンウさんは表情が堅くなった。
「ああ、午後から出るつもりじゃ。」
「ごめんなさいね、・・」
「うかつに名前を呼ぶなよ。カンウ。」
「久しぶりだしねえ。じゃあ、連絡しに行ってきます。」そう言ってカンウさんは席を立った。
私達は全員で玄関を出て見送ります。
カンウさんは、かなりの距離まで離れたところでパッと細い水の渦になり、竜巻のように空へ登っていき、雲の中へ消えていった。
○普通の概念
カンウさんを見送って、皆さんで食器の片付けをした後に私は言いました。
「では準備をしますか。今回もモーラの手の上で移動します。」
私の言葉にアンジーとエルフィとユーリがげんなりしている。前回は確かにひどかったですからねえ。
「その前に衣装を調達しないといけません」メアが言った。
「確かに必要ですねえ」
皆さんと一緒に急いで街に行きました。まず行ったのは、いつもの服屋さんです。
「こんにちわ」私が扉を開けて言いました。
「いらっしゃいませ~。あ~お久しぶり・・・というほどでもありませんね~どうしましたか~」
「年季の入ったローブとかを購入したいのですが。」
「ごめんなさい~そういうのは~古着屋さんに~お願いしてください~」ムツミさんがすまなさそうに言った。
「そうだとは思いましたが念のため伺いました。」
「それはありがとうございます~でも~そうですね~せっかく来てもらったので~」ムツミさんはそう言って私を引っ張っていきます。そして試着室に置いてあった服を私に渡してきました。
「これを着ろと?」私はムツミさんと手に持たされた服を交互に見ます。
「前回~平均的な~とか色々ディス・・・失礼な事を言ってしまったので~お詫びにと店長が~」ムツミさんはそう言って服を持った私を着替えのブースに押し込んでカーテンを閉める。
「ムツミさん。あいつに新しい服を?」メアがムツミさんの耳元に口を近づけてひそひそと聞いています。
「はい~皆さんに釣り合うように~少しだけ格好いい服を用意しました~皆さんについて歩く男性が格好悪いと色々ありますから~」
「確かに今の普段着はあまり見栄えのしない地味な服ですから。」
「確かに奴隷商人の噂もあのダサい服のせいかもしれないわねえ。」アンジーまで参加しています。
「そうですが、あまり格好良くなると街の女の子達から注目されませんか?それが心配です。」とユーリが言いました。
「でも~旦那様には~格好良くしていて欲しいです~」とはエルフィです。
「そう思いますよねえ~今回の発案は~メアさんですよ~」とムツミさんは言った。
「ナイスよメア」アンジーが親指を立てる。
「さすがじゃのうメア」モーラも親指を立てる。
「一歩リードされたかも~」そう言いながらエルフィも親指を立てる。
「ま、負けられません。」ユーリもつられて親指を立てる。
私は着替えて、カーテンを開いてこう言いました。
「皆さん全部聞こえてますよ!!わざと聞こえるようにヒソヒソ言っていたでしょう。確かに私がダサいのは仕方ありませんけど。これはどうなんでしょう。似合ってませんよねえ。」ジャケットはちょっと仕立ての良いものですが、どうもピシッと決まりません。パンツもどこにでもいる感じの人にしか見えません。
「ああ、まあ普通じゃな」
「そうねえ。普通ねえ」
「確かに普通です。」
「あ~まあ~普通です~」
「皆さん普通普通って言っていますけど格好いいです。あるじ様格好良いです。なんて言うか。普通です」唯一の味方のユーリでさえ普通ですか。とほほ
「メアさ~ん、ですから~DTさんは~店長の男性服のモデルなんですよ~」
「確かに今回は、普通の服をオーダーしましたから。しかしこんなに普通とは。」
「本人目の前にして普通普通を連呼するのはやめてください。私自身鏡を見ての感想が普通なんですから。でもこれいただきます。」
「これは差し上げます~モデル料と言う事で~」
「ありがとうございます。このまま着て帰ります」
「お待ちを~一度着替えてください~」
「はあそうします。」そうして私は普段の服に着替えて着替えのブースから出ました。あれ?皆さん売り場に戻りましたね。私は売り場の方に戻りました。
「メアさんどうでしたか~」
「ありがとうございます。これでご主人様が誰からも認識されずにすみます。」
「どういうことじゃ。」
「実は最近、街でのご主人様の人気が高くなり始めているのです。」メアがさらにヒソヒソ声で言った。
「え?そうなの?」アンジーがびっくりしている。
「なので、このままここで格好いい服を仕立てしまうと私達にとってかなり問題が生じてしまいます。」
「え?メアさんそれって」ユーリが言いました。
「はい、たぶん言い寄る女性がかなりの数に・・」
「それは~まずい~」エルフィが腕で胸をはさんでイヤイヤをしています。アンジーがそれを見てイラッとした顔をしています。
「ふむ、奪われないために策を弄したか。やるなメア」モーラは手を握り親指を立てる。メアもそれに答える。
「だから前回から普通普通と連呼していたのね」
「あれは~実際~そうなのですよ~」とはムツミさんです。
そこに私が戻ってきました。
「支払いは要りませんので~そのままお持ちください~」
「ありがとうございます。」
「それと~これは~古着屋の割引券です~」
「そんなものを置いているのか」
「はい~大概のお客さんは~ここの店で服の値段を見てから~古着屋に行きますので~」
「なるほどなあ。うまいことを考えるものじゃ」
「あちらで買っても~この店の割引券を出していますので~」
「うまい商売の仕方じゃ。えらいのう」
「えへへ~褒められた~」
そうして、私達は服を一着と割引券をいただいてその店を出ました。
古着屋さんには、さすがにムツミさんの姉妹はいらっしゃらず、普通の方でした。そして、それらしい衣装を探します。アンジーは修道服まがいのワンピースを着てその上にフード付きのローブをはおって顔を隠せるようにしました。皆さんも同じように下に汚い服を着てローブを身に纏っています。いかにも貧乏そうな風体の6人組がができあがりました。最後まで嫌がったのはメアです。
「私の戦闘服はメイド服です。」そう言って抵抗を続けるので仕方なくメイド服の上からすっぽりとフード付きのローブを着せて、アンジーのお付きの雰囲気を出してみました。そんなにローブって売っているのですねえ。これから寒い季節になるので先んじて仕入れていて洗ってもいなかったようです。ラッキーといえばラッキーでしたねえ。
「費用はどうするのじゃ」帰りの道でモーラが聞いてきました。
「それが、台所にお金が用意してありまして、カンウと書いた紙が置かれていました。」メアがそれに答える。
「寄付のお金か。あまり手をつけたくないのう。」モーラの言う事はもっともです。
「うちのお金に余裕はありますか?」私の問いにメアが頷いて答える。
「では、そのお金は使わないようにしましょう。」
「あやつには、労働を少し憶えてもらうことにする。」なんか良いことを思いついたようにうれしそうにモーラが言った
「大丈夫ですか?」
「あいつはすぐ適応すると思うぞ。わしと付き合えるくらいだからな。」
「であれば今度薬草の栽培しているところで水まきでも手伝ってもらいますね。」
「良い案じゃな。」
「さて準備はできました。皆さん行きましょう。」
Appendix
「壺を献上してきた者がございます。」
「ふむ、よくやった褒美を取らそう。」
「ありがたき幸せ。」
「これがその壺なのね。意外に質素な壺ね。水は湧き出てこないのかしら。」
「残念ながら伝説にあるようなことは起きません」
「まあ、神殿にあった壺という価値しかないのねえ。」
「王妃よこんなものが欲しかったのか?」
「欲しかったのは他国に対する国の権威でしょう?」
「確かになあ。」
Appendix
「うまくやったな。」
「ああ、作戦どおりさ」
「地震をどうやって起こしたのだ?」
「いるところにはいたんだよ。地震を起こせる魔法使いが隣国にな。軍隊に所属していたのを騙して連れてきた。」
「どうやったんだ。」
「冷遇されていたから、今回の作戦を手伝ったらこちらの国の軍隊で高給を出すと騙したのさ。」
「なるほどな。その後は軍隊に?」
「こちらの軍でも使えないから、約束を反故にしてさらに相手の軍隊にもリークして復帰できないようにした。」
「それはひどいな。仕返しされないか?」
「そういう魔法使いは闇の仕事には重宝するらしくて、その手の組織から誘いがかかるようにしたのさ。」
「なるほど厄介払いできたのか」
「ああいう奴は脅せば何とでもなるものさ」
続く
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