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会計の4年生、セルフォード公爵家長男のセシルと、ミズーリ侯爵家次男のジークフリート。
書記の3年生、イラルド公爵家次男のアルバートと、クウェール侯爵家長女のエリザベス。
庶務の2年生、ミラトス公爵家長女のロザリアとミズーリ侯爵家三男のチャールズ。
やっぱりか。公爵・侯爵家の方たちばかりだ。フィリウスは、合格通知が来た時から、少し後悔していた。普通学年の成績トップは、その学年で最も地位が高いものになる。フィリウスの学年には、騎士団長の息子、ジゼリア公爵家のギルバートがいるし、フィリウスの家はギリギリ伯爵家、なんとか上位貴族という身分だ。にも関わらず、空気を読まずに一番をとってしまった。
良くできたとは思ったけど、まさか首席だなんて。
「申し訳ありません。」
気がついたら、フィリウスは謝っていた。
急にこんなこと言われても意味がわからないだろう。あわてて謝ろうとしたところで、良く通る低い声が響いた。
「ギルバートのことなら気にすることはない。奴は脳筋だ。筆記が八割をしめる入学試験でトップが取れないことは我々もあいつもわかっていたことだ。お前は歴代の中でも優秀な成績だったと聞いている。それを素直に誇ればいい。その働きに期待している。」
フィリウスは思わず呆けた。通じるとも思っていなかったし、そんな言葉をかけてもらえるとも思ってなかった。
「あれ?違ったか?」
声をかけられてハッとした。
「あ、いえ。ありがとうございます。」
褒められた。
顔が緩むのを果たして堪え切れたかどうか、フィリウスにはわからなかった。
「それよりさ、フィルって呼んでもいい?僕たちは基本愛称で呼び合っているから。」
セシルにそう言われて、慌てて肯定する。
「僕たちのことも愛称で呼んでくれていいから。」
「え。いえ、そんな」
「生徒会の仲間としてやっていくんだしいいでしょ?学園では身分を強要しないってことになっているんだしさ。」
小柄なフィリウスよりさらに小さく、ふわふわとしたプラチナブロンドの髪の彼が可愛らしく小首を傾げる様子に、なんだか逆らえない。
結局、先輩をつけて呼ばせていただくことで話はまとまった。
書記の3年生、イラルド公爵家次男のアルバートと、クウェール侯爵家長女のエリザベス。
庶務の2年生、ミラトス公爵家長女のロザリアとミズーリ侯爵家三男のチャールズ。
やっぱりか。公爵・侯爵家の方たちばかりだ。フィリウスは、合格通知が来た時から、少し後悔していた。普通学年の成績トップは、その学年で最も地位が高いものになる。フィリウスの学年には、騎士団長の息子、ジゼリア公爵家のギルバートがいるし、フィリウスの家はギリギリ伯爵家、なんとか上位貴族という身分だ。にも関わらず、空気を読まずに一番をとってしまった。
良くできたとは思ったけど、まさか首席だなんて。
「申し訳ありません。」
気がついたら、フィリウスは謝っていた。
急にこんなこと言われても意味がわからないだろう。あわてて謝ろうとしたところで、良く通る低い声が響いた。
「ギルバートのことなら気にすることはない。奴は脳筋だ。筆記が八割をしめる入学試験でトップが取れないことは我々もあいつもわかっていたことだ。お前は歴代の中でも優秀な成績だったと聞いている。それを素直に誇ればいい。その働きに期待している。」
フィリウスは思わず呆けた。通じるとも思っていなかったし、そんな言葉をかけてもらえるとも思ってなかった。
「あれ?違ったか?」
声をかけられてハッとした。
「あ、いえ。ありがとうございます。」
褒められた。
顔が緩むのを果たして堪え切れたかどうか、フィリウスにはわからなかった。
「それよりさ、フィルって呼んでもいい?僕たちは基本愛称で呼び合っているから。」
セシルにそう言われて、慌てて肯定する。
「僕たちのことも愛称で呼んでくれていいから。」
「え。いえ、そんな」
「生徒会の仲間としてやっていくんだしいいでしょ?学園では身分を強要しないってことになっているんだしさ。」
小柄なフィリウスよりさらに小さく、ふわふわとしたプラチナブロンドの髪の彼が可愛らしく小首を傾げる様子に、なんだか逆らえない。
結局、先輩をつけて呼ばせていただくことで話はまとまった。
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