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王と忠誠
呼び名
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「それじゃあ、お世話になりました」
「ありがとう」
レオンとララが礼をすると、ドラクルは嬉しそうに目を細めて見せた。
「ああ。またなにか聞きたいことがあればいつでも来るといい」
「ありがとうございます。その時はまた頼らせてもらいますね」
「そうしろ……ではな。新世代の王と、その忠臣よ」
「うん。またね、おじいちゃん」
突拍子もないララの発言にドラクルは少し面喰らって、それから愉快そうに笑った。
「はっはっは! おじいちゃんか……まあそうだな。いいだろう、好きに呼べ。魔人の娘」
「魔人の娘じゃなくてララだよ」
「お前……自分の名前はちゃんと呼ばせるのか……」
あまりの傍若無人ぶりに、レオンは驚きと呆れの混じった声で言う。
しかし、当の本人たちは然程気にしてはいないようだった。
「どこまでも面白い奴だ。であれば、ララと呼ぶことにしよう」
「うん。ママに貰った名前だから、できれば名前で呼んでほしい……ありがとうね。おじいちゃん」
「……良い。気にするな。それではな、ララ」
ドラクルの居場所からほんの少し離れたところにある集合地点には、既に迎えが来ていた。
「師匠」
「遅かったな。話が弾んだか?」
「まあ、そんなとこです。な、ララ」
「うん」
頷くララがあまりにもいい笑顔をしていたのを見て、シンピもどこかうれしい気持ちになった。
それはきっと、昔の仲間を想う気持ちと、ララへの庇護欲の表れだった。
「……そうか。それは良かった」
「あれ。師匠、なんか嬉しそうじゃないですか?」
「気のせいだ。行くぞ」
妙に聡くなってきたレオンに答えるや否や、シンピは転移魔法を唱える。
それはもちろん、照れ隠しだった。
転移して戻ってきたレオンとララの目に真っ先に飛び込んできたのは、汗まみれのベルと、集中した様子でなにかブツブツと唱えているリンネだった。
「し、しぬ……」
「目線の先に飛ぶイメージ……目線の先に飛ぶイメージ……転移! ……駄目かぁ」
「えっと……どういう状況?」
レオンが状況を吞み込めず問うと、ベルが帰ってきた三人に気がついた。
「あ、レオンさんにララさん……おかえりなさ~い……」
力なく手を振るベルはやけにぐったりしていて、まるで修行を始めたばかりの頃のレオンのようだった。
「ベル。戻ったのか」
シンピが言う。
「はい。父のところに行って来ました……お休み、取れます」
ベルは、そう言ってにへらと笑ってみせた。
「ありがとう」
レオンとララが礼をすると、ドラクルは嬉しそうに目を細めて見せた。
「ああ。またなにか聞きたいことがあればいつでも来るといい」
「ありがとうございます。その時はまた頼らせてもらいますね」
「そうしろ……ではな。新世代の王と、その忠臣よ」
「うん。またね、おじいちゃん」
突拍子もないララの発言にドラクルは少し面喰らって、それから愉快そうに笑った。
「はっはっは! おじいちゃんか……まあそうだな。いいだろう、好きに呼べ。魔人の娘」
「魔人の娘じゃなくてララだよ」
「お前……自分の名前はちゃんと呼ばせるのか……」
あまりの傍若無人ぶりに、レオンは驚きと呆れの混じった声で言う。
しかし、当の本人たちは然程気にしてはいないようだった。
「どこまでも面白い奴だ。であれば、ララと呼ぶことにしよう」
「うん。ママに貰った名前だから、できれば名前で呼んでほしい……ありがとうね。おじいちゃん」
「……良い。気にするな。それではな、ララ」
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「師匠」
「遅かったな。話が弾んだか?」
「まあ、そんなとこです。な、ララ」
「うん」
頷くララがあまりにもいい笑顔をしていたのを見て、シンピもどこかうれしい気持ちになった。
それはきっと、昔の仲間を想う気持ちと、ララへの庇護欲の表れだった。
「……そうか。それは良かった」
「あれ。師匠、なんか嬉しそうじゃないですか?」
「気のせいだ。行くぞ」
妙に聡くなってきたレオンに答えるや否や、シンピは転移魔法を唱える。
それはもちろん、照れ隠しだった。
転移して戻ってきたレオンとララの目に真っ先に飛び込んできたのは、汗まみれのベルと、集中した様子でなにかブツブツと唱えているリンネだった。
「し、しぬ……」
「目線の先に飛ぶイメージ……目線の先に飛ぶイメージ……転移! ……駄目かぁ」
「えっと……どういう状況?」
レオンが状況を吞み込めず問うと、ベルが帰ってきた三人に気がついた。
「あ、レオンさんにララさん……おかえりなさ~い……」
力なく手を振るベルはやけにぐったりしていて、まるで修行を始めたばかりの頃のレオンのようだった。
「ベル。戻ったのか」
シンピが言う。
「はい。父のところに行って来ました……お休み、取れます」
ベルは、そう言ってにへらと笑ってみせた。
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