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え? あの殿下、それは私ではないのですが
その後の話
しおりを挟む王宮に呼び出され、陛下、殿下と話をしてから少し。
夜会での騒動の噂はまだ落ち着いていないながら、事態は収束に向かっています。
フロイデン殿下があのような行動に至ったのは、デリン様に対する劣等感から来たものでしたが、どうやらその背景には殿下の執事であったドリタ様による印象操作があったようです。
詳しい部分を伝え聞くことはできませんでしたが、どうやらドリタ様は将来的に軍の幹部になる予定のフロイデン殿下の後ろにつき、私欲を満たそうとしていたようです。
そのために、王国の管理の一部を担う公爵家の令嬢であるデリン様とフロイデン殿下が婚姻することを阻止したかったようです。
フロイデン殿下の婚約を白紙にするという企み自体は成功しましたが、夜会の場でフロイデン殿下が堂々と宣言することは想定してなかったようで、その結果、ドリタ様の計画が明るみに出たということです。
それと、私たちが王宮へ呼び出された際にどうやら私たちの婚約者である2人の家に、ドリタ様からけん制というべきか脅しのような忠告をされていたようですね。その際のやり方が手馴れていたそうなので、常習的に似たようなことをしていたのでしょう。
これまでなかなか好き放題やっていたようですが、よくいままで見つからなかったものです。いえ、見つかっても根回しや権力を使って握りつぶしていたのでしょう。
今回の件も含め、過去にやってきたこともあれこれ明るみに出ているらしいので、ドリタ様が王宮へ戻っていることはないでしょう。
そして、フロイデン殿下とデリン様の婚約に関しては正式に白紙となったことが伝えられました。しかし、今回の件に関係しないものや王宮に関わりを持っていない者には伝わっていないので、しばらく混乱は続くでしょうけれど。
実のところ、フロイデン殿下とデリン様の婚約が破棄された件。白紙にはなりましたが、完全に白紙になったわけではないようです。
学院も卒業まで1年を切っていますし、上位貴族となれば卒業と同時に婚姻を結ぶのが一般的で、この時期に婚約していないのは今回のような特殊な状況でなければほとんどありません。
そのため、すぐにでも新しい婚約者を探し出すのが急務になります。しかし、二方はどちらもその動きが一切見られない上に、フロイデン殿下がオリシュ公爵家、デリン様のご実家に出入りしているという噂が。
あの時フロイデン殿下から直接話を聞いた内容から、おそらくこの噂は本当なのでしょう。
今後どうなっていくかはわかりませんが、いい感じに収まってくれるといいですね。
こんな感じで今回の騒動は終わりました。
「お姉さま。今回の件、しっかり反省しているんですよね?」
「し、していますよ」
「なら、その方の後ろから出てきたらどうですか?」
今、ローズお姉さまと私の間にいる男性はお姉さまの婚約者のコリン様です。今日はあの件について婚約者同士で話をするという体で集まっています。
話をすると言いましたが、本題はローズお姉さまの今回の行動をコリン様に叱ってもらうことです。ローズお姉さまは非常にコリン様に懐いて……、慕っているのでコリン様に叱ってもらった方が効果があると思うんです。
「まあ、今回は問題なかったのだし」
「今後同じようなことが起きた際、今回と同じようにうまく収まるとは限りませんよ。その時一番不利益を被るのはコリン様の可能性が高いです」
「……」
コリン様が言葉を出し切る前に私がそう言うと、その光景がありありと想像できたのかコリン様は口を閉じ、後ろに隠れていたローズお姉さまの方へ振り向きました。
「この場で話すのは少々難しいので、この後2人きりになったときに話します」
「お願いしますね」
コリン様の言葉にまさか裏切られると思っていなかったのか、ローズお姉さまは驚きの表情を浮かべています。
このくらいは甘んじて受けてほしいものです。
ローズお姉さまとコリン様がこの場を離れ、残っているのは私と私の婚約者であるオリバだけです。
「コリン様はしっかりお姉さまを叱ってくれるでしょうか」
「ローズさんに甘い人だからね。まあ、今回はさすがに叱りはするだろうけど」
「してくれないと困ります。私やお父様ではもう慣れてしまっていてなかなか反省してくれないので」
ローズお姉さまも自分の行動がよくないことは理解していると思いますが、どうしても自分を守ることを優先してしまいがちです。
これで少しは改善してくれると嬉しいのですが。
「なんだかんだ許してくれるからじゃないかな」
「それは、まあ、ずっと怒っているのは疲れますし」
これまでのローズお姉さまのことを思い出してため息をつきます。意図していないでしょうけれど、人に甘えるのが上手なのですよね。
今回に関してはそんなことはできないのでしっかり注意したのですが、どこまで効果があるのか。コリン様の言葉でしっかり反省してくれるといいのですが。
「今回、陛下が気づいていただけなかったらどうなっていたか」
「本当にそうですね」
ローズお姉さまか私が無理やりフロイデン殿下の婚約者として祭り上げられていたのは間違いないでしょう。一度でも王族が関係する婚約が成立してしまえば陛下でもその決定を破棄するのは難しいので、あの段階で気づいていただけたのは本当に助かりました。
婚約者のオリバとの仲は良好ですし、強引に別れさせられるのは非常に困ります。
「あなたと別れるのは嫌ですから」
「そう言ってくれるのはすごく嬉しいね」
私がオリバの顔を見つめてそう言うと、オリバも私のことを見つめて嬉しそうな表情をして言葉を返してくれました。
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