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いまさら愛せと言われましても
愛していますから
しおりを挟むあまりの突飛な言動にどう言葉を孵したらよいか迷っていると、隣に控えていた夫のロレスが私の前に出てきました。
「申し訳ありませんが、話になりませんのでお帰りください」
「こいつが婚姻しているとかほざいているがどうせ俺を追い払うための偽造だろ? だったら、お前は俺とこいつとの婚約には無関係ないんだから、口出しする権利はない。邪魔だ。そこで黙ってろ」
出来れば私だけで対処したかったのですが、どうも彼は過去のこともあって私の事を下に見ているようですし、何を言っても聞き入れることはなさそうなのですよね。
それにロレスは本当に私の夫なので関係ないということはないのです。まあ、彼が私とロレスの関係を知っているとは思えないので、今の反応はそこまでおかしい事ではないでしょうね。
そもそもロレスが執事服を着ているのも、そう判断した要因の1つでしょうし。
「いいえ。関係はありますよ」
「はあ? ああ、俺とこいつがくっ付くとお前には何の利益もないもんな? だがな、大した地位もないくせに偉そうな態度なんてとるなよ」
元から自分にとって都合のいい様に言葉や物事を捕らえる方でしたが、まさかここまで酷いとは思っていませんでした。一応この場には私たち以外に私付きの側仕えもいますし、本当の執事もいるのですけれど、見な心底呆れた目で彼えお見ていますね。
「いえ、本当に私とロレスは婚姻を結んでいるんです」
そう言って私は彼に見えるよう、指に嵌めてある指輪を見せました。それに合わせてロレスも彼に指輪を見せました。
「は? どういうことだよ。何で勝手にこんな奴婚姻なんて結んでんだ」
さすがに私とロレスの指に嵌まった指輪を見て自分が想像していたことと違うことに気付いたのか、彼は怒気を孕んだ表情と声色でそう発し、私のことを睨んできました。
彼のこういった言動や態度はよくありましたし、あまり得意ではありませんでした。昔であれば委縮してしまうところでしたが、今は隣にロレスが居ますし、大丈夫。
「私はロレスの事を愛していますから」
私はロレスの手をぎゅっと握り、彼にはっきり聞こえるようそう言葉に出しました。
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