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婚約破棄? いえ、そもそも貴方の家は先日お取り潰しになっていますよ?
仕込みと牽制
しおりを挟むコーリーが夜会の会場からいなくなると、野次馬をしていた方たちはすぐに元の場所へ戻って行きました。
これは見世物が終わったから、というよりもダリア家に喧嘩を売りたくない、そんな感情からの物でしょうね。騎士団には多くの貴族の方が所属していますから下手な事をしてしまえば、その方の今後の騎士団内での活動に影響が出てしまいます。
それと、警備の方がコーリーをすぐに連れて行かなかったのは、キレス様からそうするようにと指示を受けていた可能性がありますね。
キレス様が指示を出した瞬間に動き出しましたし、その可能性は非常に高いでしょう。
「ノエル、大丈夫だったかい?」
「大丈夫ですよ。それに最初から見ていたのでしょう?」
「ははは、まあね」
先ほどの展開になるようにコーリーを焚きつけたとは思えませんので、最初から最後まで仕込みという事はないでしょうが、どうやらキレス様が今回の騒動を裏から操作していたようですね。突発的に起きたことだとすれば、キレス様の行動はタイミングが良すぎましたから、そうとしか思えません。
「どうしてあのような事を?」
「あの者の家の関係だね。実はあの者も罪に関わっていたから、それであのような形にしてみたんだ」
「なるほど、そうだったのですか」
コーリーもあの不正に関わっていたのですね。私は学園に通っていた影響で結果しか聞くことが出来なかったため詳しい事情は分かりませんが、コーリーが私との婚約を破棄する振りをして気を引こうとしたのはそれに関係しているのかもしれません。
「それに、私が君と婚約していることを他の者たちに示す、絶好の機会だったからね。これで君に手を出すような者は出て来ないだろうさ」
「え?」
まさかそのような意図もあったとは。いえ、効果自体はあるでしょうけれど、そもそもこの場でそれを公表する意味はあるのでしょうか。もう少し正式な場で発表する方が効果はあると思うのですが。
「ダリア家に喧嘩を売るような方はいないでしょうから効果的でしょうね」
どうあれ、これだけは確実なことでしょう。
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