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婚約破棄? いえ、そもそも貴方の家は先日お取り潰しになっていますよ?
新しい婚約者
しおりを挟む「キレス様。出て来なくてもよかったのですけれど。変に注目が集まってしまいますよ?」
「構わないよ。婚約者である君のためならどんなことだってするさ」
あまり迷惑はかけたくない。そう思っての発言だったのですがキレス様は良い笑顔でそう言い放ちました。
「いえ、そんな……」
この方、最初に会った時からこのような感じなんですよね。何て言いますか私に対して甘いのです。無いかにつけて手を貸してくれる感じなのです。今回の件についてはすぐに出て来ることはありませんでしたが、効果的な状況で出て行く瞬間を測っていたのかもしれません。
「遠慮はしなくていい。私がそうしてあげたいだけなんだ」
「そ、そうですか」
キレス様は身分的にも私には勿体ない方なのですが、如何せんこのような方なのでどのように対応すべきかとても悩みます。
「何だよお前は!」
コーリーがキレス様に声を荒げて問います。
これ以上、コーリーが不敬な態度をする前に護衛の方たちはさっさとこの場から連れ出して行って欲しい所ですね。何故、まだここに居るのでしょう?
「私は先日からノエル・ラテシアの婚約者になったものだよ。そうさっきから聞こえるように言っているつもりだったのだけどね、元婚約者君」
キレス様からあからさまに馬鹿にしている言葉を掛けられてコーリーは怒りで顔を赤くしました。
「ふざけんなよ! 何でお前みたいないきなり出てきたやつがノエルの婚約者になってんだよ!」
「コーリー。黙ってください。それにこのような場であまり声を荒げるようなものではありませんよ」
「はぁ!? お前もこいつの味方になるのか!?」
味方も何も、私がキレス様の婚約者なのですから、キレス様の側に立つのは当然ですし、コーリーを庇ったり、味方をしたりする意味もありません。
「それにキレス様は私の婚約者ですが、立場はより上の方です。下手な発言は避けた方が良いのではないでしょうか」
「ノエルは本当に優しい女性だね。こんな奴の事なんて適当にあしらってしまえばいいのに」
キレス様の言う通りなのですが、この様子からしてこのまま放り出しても、また突っかかってくるような気がするのですよね。
「ノエルは後の事を考えているようだが、そのような事は気にしなくていいよ。私の実家であるダリア家が対処するからね」
逸れでしたら安心……して良いのでしょうか? 何やら過剰な結果になりそうな気配がしますが。
「ダ、ダリア……家」
さすがにこの家名の事は知っていた様で、コーリーの表情が怒りから絶望へ一気に変化していました。
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